レース展望

今年最後のGI・第60回競輪祭が小倉競輪場で開催される。今回からGIでは初のナイター開催となり、開催日数も4日間から6日間となる。前半3日間にはガールズグランプリの出場権をかけたガールズケイリンが組み込まれているが、男子も6日制となって勝ち上がり方式が大幅にリニューアル、前半3日間はガールズと同様のポイント制となっており、残り6席となったグランプリ出場権を巡る戦いはますます激しさを増してくるだろう。
前半3日間はオール予選で激戦は必至
 先行日本一の脇本雄太が文句なしの主役だ
6日制となった競輪祭は勝ち上がり方式が大幅に変更され、特別選抜予選などのシードレースはなくなり、前半3日間は全108名の選手がポイント制の一次予選を2走して、ポイント上位者が4日目のダイヤモンドレース、二次予選A、二次予選Bに振り分けられる。
準決フリーパスのダイヤモンドレースには従来は特別選抜予選スタートの27名からしか勝ち上がれなかったが、今回は全選手に勝ち上がれるチャンスが出てきた。新しい勝ち上がり方式では決勝戦を含めると5走しなければならず、ダイヤモンドレース進出は大きなアドバンテージとなるため、前半3日間の一次予選はかつてない激しい戦いが繰り広げられることになるだろう。
脇本雄太選手
脇本雄太 福井 94期
主役を務めるのは脇本雄太だ。8月のオールスターで鮮やかな逃げ切りで悲願のGI初制覇を成し遂げた脇本は、10月の寬仁親王牌でも捲りで圧勝してGI連覇を成し遂げた。準決、決勝と連係した三谷竜生に差しを許さぬ桁違いのスピードで、とくに準決では従来のバンクレコードに並ぶ上がり8秒8を叩き出している。東京五輪でのメダル獲得を目指してナショナルチームで鍛えられている成果であり、今競輪祭も前橋に続いてのドームバンクが舞台となれば超特急・脇本を止めることは誰にもできないだろうし、GI3連覇の偉業達成も現実味を帯びてくるだろう。
三谷竜生選手
三谷竜生 奈良 101期
三谷竜生は5月の日本選手権、6月の高松宮記念杯でともに脇本雄太の番手回りからやはりGI連覇を達成した。その後はオールスター、9月の共同通信社杯と決勝進出を逃したが、寬仁親王牌では脇本とワンツーで準優勝と状態面に不安はない。近況は自力勝負が減っているが、寬仁親王牌決勝では先行勝負に出た中国コンビを追ってきた浅井康太をうまく牽制して脇本の3番手奪取に貢献と番手戦が板についてきた。先行日本一の脇本の番手は他地区の選手から狙われる危険性が高いが、今大会も脇本との絶妙な連係から近畿ワンツーを決めてくる。
古性優作選手
古性優作 大阪 100期
脇本雄太と三谷竜生の活躍で今年は近畿勢が大躍進、10月15日現在の獲得賞金ランキングでは村上義弘が4位でS級S班への返り咲きが見えてきた、6位には村上博幸がランクイン、12位につけている古性優作にも競輪祭の結果次第ではグランプリ初出場のチャンスは十分にある。古性は、寬仁親王牌は準決で敗れたが今年はビッグレースで3度決勝進出とタイトルに手が届くところまできている。先行・捲りの自力勝負だけでなくヨコの捌きもうまいのが古性の強みで、今大会も巧みな位置取りから決勝進出を狙ってくる。
平原康多がハイスピードケイリンに立ち向かう
 渡邉一成が得意の捲りでラストチャンスに賭ける
平原康多選手
平原康多 埼玉 87期
脇本雄太、新田祐大、深谷知広らのナショナルチームのスピードスターたちの活躍によって現在の競輪界は否応なしにレース形態の変化を余儀なくされている。さらには100期代の若手の台頭によって、世代交代の波もじわりじわりと押し寄せているのが現実だ。
そのハイスピード化の波に飲み込まれないように、自転車のセッティングやトレーニング方法などで試行錯誤を繰り返しながら戦い続けてきたのが平原康多だ。9月の共同通信社杯決勝では山崎賢人、太田竜馬、清水裕友らの若手の波状攻撃をはねのけて優勝とさすがの強さとうまさを見せつけているが、続く寬仁親王牌では脇本雄太、三谷竜生の近畿コンビに屈して3着に終わっている。それでもレース巧者ぶりでは誰にも引けを取らないクレバーな平原だけに、今競輪祭でも平原が近畿コンビに対していかなる対抗策を打ち出してくるかに注目したい。
浅井康太選手
浅井康太 三重 90期
浅井康太は、寬仁親王牌決勝は9着に終わったが、準決では柴崎淳の逃げを目標に捲ってくる古性優作を止めてから直線抜け出してしっかり1着を取っている。成績は高いレベルで安定しているが勝ち切るイメージの薄い浅井だったが、8月の富山記念では今年2度目の記念優勝を飾っており、勝つべきところで勝てるような状態に戻ってきていると見ていい。中部は深谷知広が不在のためにライン的にはやや劣勢の印象があるが、柴崎淳や竹内雄作との連係から今大会も浅井の一発が期待できるだろう。
渡邉一成選手
渡邉一成 福島 88期
渡邉一成は10月15日現在の獲得賞金ランキングでは10位とグランプリ出場の当落線上にいるが、6位の村上博幸とは1千万円、7位の武田豊樹とは3百万円の差なのでまだまだチャンスはある。7月のサマーナイトフェスティバルでは深谷知広の逃げを捲って優勝、8月のオールスターでは決勝3着、寬仁親王牌では準決を捲りの2着で突破して決勝4着と盟友の新田祐大が不在でもしっかりと結果を残している。今競輪祭もナショナルチームの仲間である脇本雄太に負けないハイスピード捲りで奮闘してくれるだろう。
中川誠一郎選手
中川誠一郎 熊本 85期
スピード勝負なら中川誠一郎も負けてはいない。中川は前橋のバンクレコードを保持しており、寬仁親王牌の4日目特別優秀では結果は2着だったが個人上がりタイムは8秒8とバンクレコードに並ぶ記録を出している。2日目理事長杯では脇本雄太の捲りをぴったりマークして差し切りの1着と状態は万全だ。昨年の競輪祭では北津留翼が準優勝で地元ファンの大喝采を浴びており、今年は中川が地元ファンの期待に応えてくれるだろう。
GI初決勝を経験して清水裕友が勢いに乗る
 山崎賢人が九州勢を連れて積極的に攻める
若手選手の登竜門とされている9月の共同通信社杯では最後は平原康多の優勝で幕を閉じたが、清水裕友、太田竜馬、山崎賢人、郡司浩平の若手が決勝進出を果たして大会を大いに盛り上げた。勝ち上がりシステムはやや違うが、共同通信社杯も初日はオール予選で初日から若手がトップクラスを相手に真剣勝負を挑んで勢いに乗れたのが好結果につながったと思われる。今競輪祭も前半3日間はオール予選となるので、共同通信社杯のときと同様に若手の大活躍が期待できるだろう。決勝を含めて5走しなければならないのもベテラン勢には厳しく、フレッシュパワーの台頭に一役買ってくれそうだ。
清水裕友選手
清水裕友 山口 105期
清水裕友は共同通信社杯決勝で前を任せた太田竜馬が車体故障で離脱するアクシデントがあったが、そこから前々に攻め込み、4分の1車輪差で準優勝と勢いを見せつけた。続く寬仁親王牌の準決では平原康多、中川誠一郎を下しての捲りの1着で突破、初のGI決勝では柏野智典を連れて打鐘からの先行勝負に出ており、結果は6着に終わったが次につながる素晴らしいレースぶりで今競輪祭でも決勝進出が期待できる。
山崎賢人選手
山崎賢人 長崎 111期
山崎賢人は8月のオールスターでGI初決勝を経験、決勝では見せ場なく終わってしまったが、それが大きな反省材料となったのか、共同通信社杯で連日果敢な攻めを見せて3連勝で決勝進出、決勝も4着に終わったがしっかりと先行勝負に出ている。寬仁親王牌では準決で敗れたが脇本雄太を相手に先行勝負に出て見せ場をつくっており、残り3走で3勝と成績も上々だ。今大会も九州勢を連れての積極的な走りを見せてくれるだろう。
郡司浩平選手
郡司浩平 神奈川 99期
郡司浩平は昨年後半からやや調子を落としていたが、今年は8月の小田原記念で1年4ヶ月ぶりに記念優勝を果たして復活した。続く9月の名古屋F1では3連勝で完全優勝、共同通信社杯では1着、1着、2着で決勝進出を果たしている。寬仁親王牌では一次予選で稲垣裕之の強引な牽制を受けて7着と敗れたが、2日目特一般では逃げて2着に粘り岡村潤とワンツー、3日目選抜では捲って1着と好調をキープしている。
南潤選手
南潤 和歌山 111期
若手のライバルたちに負けまいと徹底先行で見せ場をつくっているのが南潤だ。南はまだビッグレースでの決勝進出はないが、共同通信社杯は3走で主導権を取りきり一次予選では古性優作の1着に貢献している。理事長杯スタートとなった寬仁親王牌でもトップクラスを相手に気後れすることなく先行勝負を貫いて4日間主導権を取っており、今大会も徹底的に逃げまくってくれるだろう。
思い出のレース
2014年 第56回大会 平原康多

関東4車の結束から平原が抜け出して優勝
稲垣裕之‐浅井康太‐金子貴志の中近勢が前受け、中団に山崎芳仁‐佐藤友和の北日本勢、武田豊樹‐平原康多‐神山雄一郎‐木暮安由の関東勢が後攻めで周回を重ねる。青板バックから武田がゆっくりと上昇開始、赤板で前団まで上がると稲垣はすんなり車を下げる。関東勢が正攻法の位置に収まり、その後ろで稲垣と山崎が並走になっているのを確認しながら赤板2角で武田は誘導員を下ろして早くも先行態勢に入る。武田はそのまま一気にスパート、山崎は8番手まで下がり、稲垣が5番手の一列棒状となって最終ホームを通過する。稲垣が最終2角から捲っていくが、関東4番手の木暮に牽制され、さらには武田との車間を切っての平原の牽制も受けて伸びきれず関東3番手の神山の横までが精一杯。最後の直線に入ると平原が武田の番手から抜け出し、神山が武田と平原の中をわろうと踏み込むが、平原がスピードよく先頭でゴールを駆け抜けて優勝、逃げ粘った武田が2着、神山が3着。
ゴール
表彰
表彰
ゴール
バンクの特徴
無風の高速バンクでスピードに乗りやすい

直線が伸びるので追い込み勢にも不利はない
グリーンドーム前橋に次ぐ2番目のドーム競輪場として1998年に誕生した小倉バンクは、全国の競輪場のデータを基に「走りやすさ」を追求して設計された国内で音も有数の高速バンクだ。
前橋と同様に天候に左右されることなく常にベストの状態で走れるのが最大の特徴で、走路も軽くてタイムが出やすいのでスピードのある先行選手に向いている。打鐘から先行してもスピードに乗ってマイペースに持ち込めれば2、3着に粘り込めるので先手ライン有利が基本とされている。
しかし、さすがにGIとなれば基本どおりとはいかず、競輪祭にかぎっていえば捲りのほうが優勢だ。15年の大会では先手ラインの選手が1着を取ったのがほぼ半数の23回だったが、16年の大会では16回、昨年の大会では17回にとどまっている。
ちなみに昨年の決まり手を見てみると、全48のうち1着は逃げが3回、捲りが19回、差しが26回、2着は逃げが5回、捲りが11回、差しが13回、マークが19回となっており、逃げの連絡みは8回しかなかった。
その原因のひとつは逆説的に聞こえるかもしれないが、100期台の若手機動力型の台頭だろう。
以前はGIで通用する機動力型は関東、中部、近畿の選手たちにほぼ限られていた。その貴重な先行選手を巡って競り合う場面が多かったので、先行選手にとってはマイペースに持ち込みやすかった。
しかし、今では機動力型の不毛の地といわれていた中四国や九州にも粋のいい若手が次々と登場してきたので主導権争いが避けられないケースが増えてきて、後方待機の捲りや追い込みが決まりやすくなっている。
 昨年の競輪祭の初日1Rでは茨城・100 期の横山尚則と徳島・109期の太田竜馬が激しいもがき合いを演じ、最終的にはベテランの追い込み勢が上位入着して2車単は8万円、3連単は53万円の大穴になっている。


周長は400m、最大カントは34度01分48秒、みなし直線距離は56,9m。直線は外帯線から1、2mところを外に膨れないように締めて回って追い込むとよく伸びる。ゴール前での中割りも有効だ。以前、追い込みは3番手以内が絶対条件といわれいたが、機動力型の消耗戦が増えてきたおかげで、内、外と後方待機の選手が伸びてくるレースが多くなっている。
小倉バンク
小倉バンク