レース展望

 平成最後の頂上決戦・KEIRINグランプリ2018が静岡競輪場に於けるグランプリシリーズの3日目11Rに号砲を迎える。先行日本一の脇本雄太を先頭に4人揃った近畿勢が強力ですんなりの展開なら近畿ワンツーが濃厚だが、平原康多や新田祐大が打倒・近畿を目指していかなる作戦に出てくるかが一番の見どころになる。もちろん競輪祭を優勝して上昇気配の浅井康太のGP連覇も十分で、初出場の新鋭・清水裕友の大駆けにも期待したい。
自慢のスピードで捲り切る
新田祐大選手
新田祐大 福島 90期
 新田祐大は2月の全日本選抜決勝では古性優作-村上義弘-村上博幸-椎木尾拓哉の近畿4車の2段駆けラインを大外から捲り切って優勝している。今年のグランプリも脇本雄太率いる近畿ラインにスピードで対抗できるのは新田しかいない。ただ8月のオールスター(準決で落車、途中欠場)を最後に競輪競走から遠ざかっているので、レース勘に不安があるし体調面も不明瞭だ。昨年のグランプリも8番手から大外を捲るも3着が精一杯だっただけに、単騎戦になりそうな今年は位置取りにこだわった走りが見られるかもしれない。
相性抜群の脇本雄太とワンツー決着を狙う
三谷竜生選手
三谷竜生 奈良 101期
 5月の日本選手権決勝では近畿4車は脇本雄太-三谷竜生-村上義弘-村上博幸の並びで結束、脇本と村上兄弟に挟まれた三谷には相当のプレッシャーがあっただろうが、ゴール前できっちり差し切って史上7人目の日本選手権連覇を成し遂げた。そして6月の高松宮記念杯決勝でも脇本の先行を差してGI連覇を達成している。10月の寛仁親王牌決勝も脇本の番手で、3番手を狙ってきた浅井康太をブロックしてしっかりアシスト、3番手から捲った脇本が優勝、三谷が準優勝しており、もちろんグランプリでも好連係でワンツー決着を狙う。
先行日本一の脇本雄太が主導権を握る
脇本雄太選手
脇本雄太 福井 94期
 脇本雄太は東京五輪でのメダル獲得を目指してナショナルチームでハードトレーニングに明け暮れているが、その成果が競輪競走でもみごとに花開き、今や文句なしの先行日本一へと成長を遂げた。8月のオールスター決勝では竹内雄作との壮絶なもがき合いを制して主導権を奪うと、そのまま後続をちぎっての鮮やかな逃げ切りで悲願のGI制覇を達成した。続く10月の寛仁親王牌決勝では3番手捲りでGI連覇、11月の競輪祭では準優勝と今年のGI戦線は脇本を中心に動いていたと言ってよく、もちろんグランプリでも脇本が主導権を握っていく。
競輪祭優勝の勢いに乗ってグランプリ連覇へ
浅井康太選手
浅井康太 三重 90期
 浅井康太は昨年のグランプリの覇者だが、昨年の優勝はグランプリの1回のみと決して最良の年とは言えなかった。しかし、今年は出だしこそはケガの影響でピリッとしなかったが、6月の久留米、8月の富山、10月の豊橋と記念を3回優勝して好調をキープ、そして11月の競輪祭決勝では先行策に出た脇本雄太の3番手から内を突き、ゴール前で逃げ粘る脇本を交わして実に7年ぶり3度目のGI優勝を飾った。昨年同様に今年も単騎での戦いになるだろうが、昨年よりも状態がいいのは間違いなく、グランプリ連覇の偉業達成も十分だ。
打倒・近畿ラインの秘策はあるか
平原康多選手
平原康多 埼玉 87期
 平原康多は脇本雄太や新田祐大らのナショナルチームによるハイスピード化に飲み込まれないように、今年は自転車のセッティングやトレーニング方法など試行錯誤を繰り返してきた。そのため例年よりもやや安定性を欠いた1年となりGI優勝も果たせなかったが、それでも9月の共同通信社杯決勝では躍進著しい若手レーサーたちを相手にさすがの巧さを発揮して優勝している。ただ11月の競輪祭決勝では4番手からの仕掛けで脇本の先行を捲れなかっただけに、より大胆でより攻撃的な走りと戦術で打倒・近畿ラインを目指してくるだろう。
魂の走りで再び頂点へ
村上義弘選手
村上義弘 京都 73期
 村上義弘は2月の全日本選抜決勝では古性優作の先行に乗って番手捲りで準優勝、5月の日本選手権決勝も脇本雄太率いる近畿ラインの3番手から準優勝と前半戦は好調だったが、8月のオールスター決勝で痛恨の失格、続く9月の共同通信社杯決勝で落車してからやや調子落ちになってしまった。それでも、10月の松戸記念決勝は4番手からの捲りで優勝、11月の競輪祭では勝ち上がりに失敗したが一次予選2では先行勝負と熱い走りは健在だ。16年のグランプリでは満身創痍の状態から優勝をもぎ取っており、今年も村上の逆転一発が侮れない。
兄の力を信じて勝機を見出す
村上博幸選手
村上博幸 京都 86期
 村上博幸は2月の全日本選抜決勝では番手捲りを打った兄・義弘の後ろで巻き返してきた吉澤純平を牽制、さらには平原康多をブロックときっちり仕事をこなして3着、5月の日本選手権は決勝4着、6月の高松宮記念杯は決勝7着と兄・義弘と同様に今年前半は好調だった。しかし、8月のオールスターで優出を逃してからやや調子落ちになり、10月の寛仁親王牌二次予選Aで無念の落車、競輪祭では勝ち上がり失敗している。それでもグランプリでは敬愛する兄の力を信じ、近畿ラインをしっかりガードしながら勝機を見出してくるだろう。
盟友・平原康多との連係から底力を発揮する
武田豊樹選手
武田豊樹 茨城 88期
 武田豊樹は3月のウィナーズカップ決勝では最終ホームから仕掛けた平原康多のロング捲りをやや離れ気味になりながらも追走、最後の直線でようやく追いつくとそのまま勢いで差し切って久しぶりのビッグレース優勝を飾った。その後も6月の高松宮記念杯で優出と好調だったが、8月の2度の落車の影響で1か月の欠場を余儀なくされ、9月から復帰後も苦しい戦いが続いている。それでも、昨年のグランプリも決して万全の状態ではなかったが最後は2着に突っ込んでおり、今年も盟友・平原との連係からさすがの底力を発揮してくれるだろう。
新鋭・清水裕友が驚きの結末を呼び込む
清水裕友選手
清水裕友 山口 105期
 105期の新鋭・清水裕友は9月の共同通信社杯でビッグ初優出を決めると決勝は先手ラインの3番手にうまくスイッチして準優勝と大健闘、10月の寛仁親王牌でもGI初優出を決め決勝は果敢に先行して6着、10月の地元・防府記念では三谷竜生-村上義弘の近畿コンビを下して記念初優勝と快進撃。11月の競輪祭も一次予選1は8着ながらその後は3連勝で勝ち上がり、決勝では3着に突っ込んで大逆転でグランプリ初出場を決めた。勢いに乗っている若手レーサーほど怖いものはなく、年末の大一番でもアッと驚くような結末が期待できそうだ。
プレイバック KEIRINグランプリ2017
深谷知広目標に浅井康太が2度目のGP制覇
 三谷竜生-桑原大志の即席ラインが前受け、3番手に深谷知広-浅井康太の中部コンビ、その後ろに平原康多-武田豊樹-諸橋愛の関東トリオ、新田祐大-渡邉一成の福島コンビが後攻めで周回。青板のバック過ぎからまずは新田が動いて深谷の横まで上がると、深谷は5番手まで車を下げる。続いて赤板から平原が上昇、2角で誘導を下ろして先頭に立つ。すると今度は深谷が仕掛け、打鐘とともに主導権を奪い、平原が3番手、三谷が6番手、新田が8番手となる。すかさず三谷が最終ホーム手前から反撃に出るが、最終2角で平原が外に振ると三谷は失速して後退する。続いて新田が2角8番手から大外を捲り上げると、平原も3番手から仕掛けるが、浅井が外に振りながら番手から発進して平原も失速。同時にインを突いた諸橋が浅井を押し上げたときにバランスを崩して落車、深谷と桑原も落車に巻き込まれる。浅井がそのまま直線鋭く伸びて優勝、武田が2着、新田が3着。
表彰 浅井康太
表彰 浅井康太
ゴール
ゴール
静岡競輪場 バンクの特徴
平均的な400バンクで捲りが決まりやすい
先行選手は遅めのスパートかカマシが有効
 どんな戦法でも実力を発揮できるように設計された平均的な400バンクで、走路自体もクセがなくて走りやすいが、基本的には逃げが粘りにくく捲りが決まりやすいとされている。
 16年5月に開催された日本選手権の決まり手を見て見ると、全66レース(ガールズ1個レースは除く)のうち1着は逃げが6回、捲りが27回、差しが33回、2着は逃げが7回、捲りが14回、差しが19回、マークが26回となっている。
 やはり捲りがよく決まっており、先手ラインの選手が1着になったのは15回しかない。先行選手は打鐘で先頭に立ってもすぐには駆けず、最終ホームからスパートすればゴールまで粘れる。2日目6Rの近藤隆司、2日目11Rの深谷知広、6日目6Rの三谷竜生が打鐘からうまく流して見事に逃げ切っている。
 ただ、流しすぎると別線に叩かれる危険があるので、ダッシュ自慢の選手ならカマシのほうが有効だ。2日目8Rでは打鐘で渡邉雄太が先頭に立ったところを竹内雄作が3番手から一気にカマし、後続をぶっちぎってまんまと逃げ切っている。
 捲りは400バンクの定石どおりに最終2角からの仕掛けが理想だが、GIの場合は先行選手の掛かりもトップクラスなので、もう少し早めに、できれば最終ホームから思い切って仕掛けて3角までに捲り切る勢いで踏んでいったほうがいい。
 カントがやや緩めなので、遅めの仕掛けだと先行選手のペースにはまってしまって簡単には捲れない。直線では外側のコースがあまり伸びないので、脚をためての捲り追い込みも決まりにくい。
 直線ではとくに伸びるコースはないが、逆にいえば、力のある選手ならばどのコースをとっても直線強襲ができるということだ。16年の日本選手権のときも、先手ラインの後ろにいた別線の脚力上位の選手が伸びて連絡みを果たすケースが多かった。ちなみに全66レースのうちスジ決着は29回、スジ違いの決着が37回となっている。
静岡競輪場

 周長は400m、最大カントは30度43分22秒、見なし直線距離は56.4m。バック側の特別観覧席と選手宿舎の間から吹き込んでくる風のためにホーム、バックともに向かい風になることがあり、風の強い日は先行選手には厳しい。競りも風のある日はバンクが重くなるので、インもアウトも互角に戦える。やや緩めのカントと風の影響でタイムが出にくく、89年6月に秋田・58期の佐藤仁が上がり10秒8をマークして以来バンクレコードは更新されていない。