第3回ウイナーズカップ直前展望
暖かくなってきましたね。春のにおいがしてきました。
今年も第3回ウイナーズカップの季節がやってきました。
一次予選の勝ち上がりは4着までと、先行しても力があれば勝ち上がれる概定番組となっているので、若手の先行選手の先行力が試される大会でもあります。
風を切って逃げ、若手選手の旋風を巻き起こしてほしいですね。
また、最終日の24日にはガールズケイリンコレクション2019 大垣ステージも行われますよ。こちらも目が離せません。
脇本雄太 福井 94期
2019世界選ではメダルを獲ることはできなかったものの、仕上がっていることは間違いないでしょう。先行主体で世界のパワーを我々に魅せてくれるはずです。どれぐらい強いのか本当に楽しみです。とはいえ、東京オリンピックに向け、長いシーズンを戦ってきているので、その精神的疲労があるのも事実。初日のコメントに注目したいですね。
村上博幸 京都 86期
好調といえば村上博幸でしょう。松阪記念完全優勝、奈良記念優勝と勢いに乗っています。奈良記念決勝は番手戦をしっかりものにしているのがイイですよね。動きが抜群なだけに、位置が悪くても突っ込んでくる気配があります。初日から注目していきたいと思います。
松浦悠士 広島 98期
2月の全日本選抜で良い動きを見せた松浦悠士が変わらず好調の気配ですね。玉野記念も二日目、三日目は1着で勝ち上がっています。自在戦にますます磨きがかかってきた感じがあります。ウイナーズカップでもその脚を存分にみせてくれるはずです。こちらも注目の一人です。
松川高大 熊本 94期
直近ではないのですが、前橋FI、高知FI、和歌山FIと3連続優勝を飾っている松川高大が面白そうです。直前の別府FIは決勝6着と敗れていますが、九州勢を引き連れてHBを取る競走でした。動きは申し分なさそうなので、ここも注目をしたいと思います。良い競走をしてくれそうです。
今年で3回目を迎えるウィナーズカップが大垣競輪場で開催される。先行日本一の脇本雄太の参戦で活気を取り戻す近畿勢を中心に推すが、2月の全日本選抜で2度目のGI制覇を成し遂げた中川誠一郎とのスピード対決が見どころだ。優勝に手が届かなかった関東勢の巻き返しや、ライン的には手薄ながら地元戦での奮起が待たれる中部勢、準決勝に大量8人もの選手が勝ち上がった南関東勢のさらなる躍進にも期待が集まる。
脇本雄太が世界レベルの先行力を見せつける
中川誠一郎が自慢のスピードでビッグ連覇へ
別府で開催された2月の全日本選抜では冬場の重いバンクと風の影響が注目されていたが、さすがにGIだけあって先行選手が意外と粘り込めていた。さすがにタイムはよくなかったが、優勝した中川誠一郎を筆頭にカマシがうまく決まっていた印象だ。ただ、やはり風の影響があったのか、銘打っての追い込み選手たちが直線で伸びきれずに次々と脱落していったのも事実。今大会の舞台となる大垣も年間を通して「伊吹おろし」という名の強い風が吹きつけるのが一番の特徴となっている。バンク内に池があって走路も重いので、自力選手だけでなく、追い込み選手の走りにも注意が必要で、ここぞというときに思わぬ苦戦を強いられるシーンが多々ありそうだ。
脇本雄太 福井 94期
今大会の一番の目玉は脇本雄太の参戦だ。今や名実ともに日本一の先行選手となった脇本なら、重い走路も強い風も難なく乗り切っていつもどおりの力強い走りを見せてくれるだろう。ただひとつだけ不安材料があるとすれば近畿のマーク陣か。昨年11月の競輪祭決勝では近畿勢から勝ち上がったのは脇本ひとりで、脇本の後ろから直線差し切った浅井康太が優勝、先の全日本選抜でも近畿勢からの決勝進出はなかった。先行選手は強固なラインに守られてこそ初めて百パーセントの力を出し切れるのであり、それは脇本といえども例外ではなく、せっかくの脇本参戦の大会だけに近畿勢の奮起に期待したい。
中川誠一郎 熊本 85期
全日本選抜でラインの力ではなく個のパワーとスピードで2個目のGIタイトルをもぎとったのが中川誠一郎だ。準決では最終ホーム8番手からの仕掛けであっさりと前団を飲み込んで1着。決勝では地元・九州からただひとりの勝ち上がりとなって単騎戦を選択、勝負どころの4番手で和田真久留と併走となったが、位置取りにこだわらずに単騎でカマして堂々と逃げ切ってしまった。決勝の大一番で、あそこから単騎でカマせる勇気と度胸を持った選手はそうはいない。2個目のタイトルを取ってさらなる進化を遂げた中川が、今大会も脇本雄太に真っ向からのスピード対決を挑んでビッグ連覇を狙ってくるだろう。
山崎賢人 長崎 111期
同じく九州の山崎賢人も全日本選抜では勝ち上がれなかったが、仕掛けは若手らしく積極的で、次につながる走りができていた。初日特別選抜予選は打鐘から先行態勢に入るが、番手に古性優作に入られて5着、二次予選は打鐘からカマすも番手に吉澤純平に入られて8着と不運に泣いたが、腐らずに残り2走も自分のスタイルを貫いて2着、2着と健闘した。さすがに中川誠一郎のように単騎戦で押し切れるような力はまだないが、今大会も九州勢の援護をしっかり受けられれば好結果を挙げられるだろう。
中部のエース・浅井康太が気合いの走りを見せる
平原康多との連係から武田豊樹の連覇も十分
浅井康太 三重 90期
大垣でのビッグレースは09年の全日本選抜以来となるが、今大会の地元・中部勢はライン的にやや手薄で、エースの浅井康太は孤軍奮闘のたたかいを強いられそうな気配。浅井は昨年の競輪祭では7年ぶりのGI優勝、グランプリは8番手からの捲り追い込みで2着と健闘したが、全日本選抜では準決で落車・失格と残念な結果となってしまった。それでも、二次予選では南潤の先行を目標に1着と状態は決して悪くない。浅井はレースの流れに乗って勝機を見つけていくタイプで、あまりタイムの上がらない大垣のようなバンクでの競走は得意とはいえないが、全日本選抜での汚名返上を目指して気合いのこもった走りを見せてくれるだろう。
平原康多 埼玉 87期
関東勢は全日本選抜選では優勝に手が届かなかったが、武田豊樹と吉澤純平が決勝進出とビッグレースでの安定感はピカイチだ。平原康多は本調子ではなかったのか準決では精彩を欠いて4着に終わったが、決勝進出のかかったレースでなんのためらいもなく打鐘からカマして先行できるのはさすがとしかいいようがない。ビッグレースで数々の修羅場をくぐり抜けてきた平原ならではの走りだったといえる。最終日にはきっちり1着を取って人気に応えており、平原がいるかぎりビッグレースの関東勢は高い確率で決勝進出を果たすことができるだろう。
武田豊樹 茨城 88期
武田豊樹は昨年の大会の覇者だ。決勝では平原康多の捲りを離れ気味になりながらも必死に追いかけ、ゴール前で交わして優勝している。しかし、昨年は後半戦に入ってから落車が続き、年齢的なものもあり本来の走りができなくなっていたが、全日本選抜の準決は平原康多のカマシに乗って1着で突破、優勝こそならなかったがS級S班ではただひとりの決勝進出者となった。今大会も万全の調子とはいかないだろうが、盟友の平原康多や愛弟子の吉澤純平に引っ張られて勝ち上がっていくだろう。
郡司浩平 神奈川 99期
全日本選抜での南関東勢決勝進出者は和田真久留ひとりだったが、地区別では最多の8人が準決進出と一次、二次の予選を大いに盛り上げた。今大会も予選での大活躍が期待できるし、複数人の準決突破も十分にあるだろう。とりわけ期待したいのが第1回大会覇者の郡司浩平だ。昨年は調子を崩していた時期もあったが、11月頃から急速に復調してきている。全日本選抜の準決は仕掛けきれずに9着と敗れたが、二次予選は逃げて2着で中村浩士とワンツー、4日目特選では捲って1着と好走している。
体が引き締まって太田竜馬がパワーアップ
佐藤慎太郎が復活の差し脚で鋭さを発揮する
太田竜馬 徳島 109期
太田竜馬は全日本選抜の準決では南関東コンビの大カマシにあって7着と敗れたが、初日特別予選は逃げて3着で中四国勢で上位を独占、2日目スタールビー賞も三谷竜生、中川誠一郎らを相手に逃げてワンツースリー、4日目特別優秀は捲って1着と力強い走りを見せた。年末のヤンググランプリを優勝後は1月のFI戦を2場所連続優勝、続く高知記念決勝では平原康多を下して嬉しい記念初優勝と乗りに乗っている。以前は強いけれどもやや線の細い印象があった太田だが、今は体も引き締まってパワーアップしており、今大会もトップレーサーたちを相手に逃げて逃げまくってくれるだろう。
松浦悠士 広島 98期
中四国では自在型の松浦悠士も気配がいい。GIIは昨年7月のサマーナイトフェスティバルで優出しているが、全日本選抜では初日特別選抜予選と2日目スタールビー賞がともに中四国ラインの3番手から直線伸びて2連勝、準決は6番手からインコースを突いて3着に入りGI初優出を決めている。原田研太朗も以前は捲りのイメージが強かったが、若手の活躍に刺激されたのか全日本選抜では先行主体の競走で準決へ勝ち上がり、小倉竜二は8年ぶりのGI優出、香川雄介は昨年の競輪祭に続いてのGI優出と中四国勢の躍進が止まらない。もちろん今大会も中四国勢の大量優出が期待できるだろう。
佐藤慎太郎 福島 78期
北日本勢では佐藤慎太郎の復活の差し脚に注目だ。全日本選抜では連日関東ラインの番手、3番手を回れるツキもあったが、初日特別選抜予選はバック6番手から中のコースを伸びて3着、準決は平原康多-武田豊樹の3番手から流れ込みの2着、そして決勝では吉澤純平-武田豊樹の後ろから中を割り、中川誠一郎に2分の1輪まで詰め寄って準優勝と鋭さを見せた。北日本には新山響平という頼もしい徹底先行がいるだけに、現在の状態をうまくキープしていければ05年のふるさとダービー武雄以来のビッグ優勝も十分だ。
南潤 和歌山 111期
徹底先行で勢いを取り戻してきたのが近畿の南潤だ。南は昨年4月の函館で史上最速のGIII優勝を決めるなど旋風を巻き起こしたが、ビッグレースではなかなか結果を残せず後半戦に入ってから低迷してしまった。しかし、年末のヤンクグランプリでは優勝こそならなかったが、好位置を取ってからの捲り追い込みで準優勝と見違えるほどの強い走りを披露した。全日本選抜では勝ち上がりに失敗したが、3日間先行して2着、4着、1着と好成績を挙げている。今大会も徹底先行を貫いて、今度こそのビッグ初優出を決めてくるだろう。
思い出のレース 第2回ウィナーズカップ
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武田が平原目標に2年4か月ぶりのビッグ優勝
平原康多-武田豊樹の関東コンビが前受け、原田研太朗-渡部哲男-香川雄介-橋本強の四国勢が中団、単騎の浅井康太が続き、三谷竜生-村上義弘の近畿コンビが後攻めで周回を重ねる。青板3コーナーから三谷が上昇し誘導を降ろして先頭に立つと、追った浅井が3番手に入るが、すかさず原田が巻き返し赤板2コーナーで三谷を押さえて先頭に立ったところで打鐘を迎える。すると三谷は番手で粘り、インに三谷-村上-浅井、アウトに渡部-香川-橋本で4番手まで併走状態となる。その機を逃さずに平原が最終ホーム手前から仕掛け、原田も合わせて踏み込むが、最終2コーナーで平原が捲りきってしまう。武田は離れ気味になりながらも必死に平原を追い、浅井は最後方まで下げて捲りを打つが不発に終わる。そして最後の直線に入ってようやく武田が追いつくと、そのままの勢いで平原を4分の3車身交わして優勝、2着に平原、3着に原田が入る。
表彰
ゴール
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バンクの特徴
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標準的なバンクで脚質的な有利不利はない
年間を通して風が強く、冬場はバンクが重い
大垣は標準的な400バンクで、走路もクセがなくて走りやすく脚質的な有利不利はほとんどない。ただ、お隣の岐阜競輪場を参考にして造られたためにバンクの内側に池があり、冬場はやはりバンクが重くなる。
そして大垣の一番の特徴となっているのが「風」だ。岐阜と滋賀の両県境にある伊吹山(標高1377m)から年間を通して伊吹おろしが吹く、風の強いバンクとなっている。
基本的にはバック向かい風の日はまくりが決まりやすく、バック追い風なら先行有利とされているが、天候次第で風向きがくるくる変わるのでどんな戦法の選手でも風の影響を避けては通れない。
昨年3月の記念開催のときも初日が風速2.5m、2日目と3日目が3.5m、4日目が2.0mと容赦なく吹きつけて選手たちを悩ませていた。そのためタイムが上がらず、スピード自慢の捲り選手たちの苦戦が目立っていた。
3日目準決の10Rでは新山響平が捲って勝っているが上がりタイムは12秒5、11Rは地元の竹内雄作が逃げ切って上がりは12秒9、12Rも河端朋之が逃げ切って上がりは12秒4と、12秒台後半のタイムでも逃げ切れるのが冬場の大垣の特徴といえるだろう。スピードタイプよりも強い風に負けないパワータイプの選手が狙い目だ。
ちなみに3月の記念の決まり手を見てみると、全47レース(エボリューション1個レースを除く)のうち1着は逃げが6回、捲りが15回、差しが26回、2着は(同着1回を含む)逃げが7回、捲りが9回、差しが18回、マーク14回となっている。
ここで注目したいのは2着の決まり手で、マークよりも差しの回数が多いことだ。風の強いバンクではラインの2番手抵抗の選手も風の影響を受けてしまうので、付きバテしたり離れてしまうことがあり、後方にいた選手が直線で伸びてきてスジ違いの決着になりやすい。そのため2着は差しが多くなり、トータル的にもスジ決着よりもスジ違いの決着が多くなっている。
大垣バンク
周長は400m、最大カントは30度37分08秒、見なし直線距離は56m。カントがやや甘いので捲りは外に浮きやすく、先手ラインからの牽制一発で不発に終わるケースが少なくない。直線はインコースから入って外寄りへ抜け出すコースをうまく通るとよく伸びる。中団からの捲り追い込みなら真ん中のコースを取ってくると成功率が高い。競りはインもアウトも互角に戦える。最高上がりタイムは94年5月にゲリー・ネイワンドがマークした10秒5。
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