月刊競輪WEB|KEIRIN.JP
第35回共同通信社杯競輪展望
第35回共同通信社杯競輪が松阪競輪場で開催される。「若手の登竜門」と呼ばれる大会で、昨年は清水裕友や山崎賢人らがこの大会をきっかけに大きく羽ばたいていったのは記憶に新しい。今年も若手選手たちの活躍が大いに期待されるが、昨年同様に平原康多らのベテラン勢が若手選手たちの進撃に待ったをかけることができるのか、それとも世代交代の流れがますます加速していくのか、格付けはGIIながら見どころ満載の4日間となるだろう。
ヤングパワーがシリーズを引っ張る
ベテラン勢の反撃も見どころだ
 昨年の大会では「若手の登竜門」らしく清水裕友、山崎賢人、郡司浩平、太田竜馬らが決勝進出、ゴール前では清水がビッグレース初制覇かと思われた瞬間、逆転の強襲劇で優勝をさらっていったのがベテランの平原康多だった。それでも、清水、山崎、郡司、太田らはいまではビッグレース決勝の常連といってもいいほどの成長を遂げており、世代交代の波はもはや止めようがないほどの勢いとなっている。今大会も若手選手たちを中心にシリーズは動いていくだろうし、清水や山崎らに続く新たなヤングパワーの台頭も期待できそうだ。

平原康多 埼玉 87期
 平原康多は昨年の決勝ではインコースに切り込み初優勝へと突き進む清水裕友とは対象的に冷静に外のコースを取って逆転優勝、ベテランの経験値の高さと上手さを見せつけた。今年前半は迷走していた平原だが、6月の高松宮記念杯で今年初のGI決勝進出を果たすと次場所の久留米記念決勝では杉森輝大の先行に乗って今年初優勝を飾った。8月の地元・西武園記念決勝では前を任せた小林泰正が赤板前に落車のアクシデントに見舞われたが、和田健太郎の番手に切り替えて番手捲りで優勝と平原らしい走りを見せており、今大会も世代交代を迫る若手選手たちの前に大きな壁となって立ちはだかるだろう。

村上博幸 京都 86期
 おなじくベテラン勢では村上博幸が好調だ。7月のサマーナイトフェスティバル決勝では近畿勢からただひとりの勝ち上がりだったが、南関東の渡邉雄太と連係、渡邉の捲りをきっちり差して優勝している。1月の松阪記念決勝ではやはり近畿の目標がいない組み合わせだったが、最終3角7番手から捲り追い込んで完全優勝を達成と松阪バンクとの相性も抜群だ。今大会も脇本雄太や三谷竜生が不在で機動力の面で苦しい戦いを強いられるシーンがあるかもしれないが、相性抜群の松阪バンクで再び村上博幸の自力発進が見られるかもしれない。

佐藤慎太郎 福島 78期
 北日本では佐藤慎太郎が堅調だ。2月の全日本選抜で準優勝、3月のウィナーズカップで決勝7着、サマーナイトフェスティバルで決勝4着とビッグレースで存在感を示しており、8月8日時点での獲得賞金ランキングは7位と13年ぶりのグランプリ出場が見えてきている。なぜか今年は北日本だけでなく関東との連係でも好成績を挙げており、8月の西武園記念でも準決は小林泰正マークで2着、決勝は平原康多マークで2着に入っている。今大会も組み合わせの有利・不利に関係なく、確かな位置取りからベテランらしいしぶとい走りを見せてくれるだろう。
地元・中部勢の奮起に期待
山崎賢人が徹底先行で九州を引っ張る

浅井康太 三重 90期
 地元・中部勢はどうか? 8月の名古屋・オールスターに続いての地元でのビッグレースだけに各選手の奮起に期待したいところだ。浅井康太は落車の影響でリズムを崩してしまい、3月のウィナーズカップでの準優勝以降はビッグレースでの決勝進出がない。8月8日時点での獲得賞金ランキングも13位とグランプリ出場に黄信号が灯っている状態だ。現時点ではオールスターの結果は不明だが、中部の選手たちはオールスターに照準を絞って仕上げてきているはずで、仮にオールスターが不本意な成績に終わっても、練習の成果が1か月遅れで出てくることはよくあるパターンなので、今大会では浅井を始めとする中部勢の走りに大いに注目したい。

中川誠一郎 熊本 85期
 中川誠一郎は7月のサーナイトナイトフェスティバル決勝では全日本選抜に続いての地元優勝を狙ったが、残念ながら捲り不発に終わってしまった。最終1角で村上博幸の巧みな牽制にあって後輪がはねてしまったのが原因で、踏み出したときのスピードは前団を捲りきれるくらいの勢いがあったので調子自体はまったく問題ない。準決では山崎賢人の先行を目標に1着と九州連係がうまく決まっているのも好材料だ。中川といえば単騎捲りの印象が強かったが、今大会ではベテラン・中川と新鋭・山崎が再び好タッグ組んで九州勢を盛り上げてくれるだろう。

山崎賢人 長崎 111期
 山崎賢人は昨年の共同通信社杯では優勝こそならなかったが3連勝で勝ち上がって決勝4着と健闘、今年もウィナーズカップ決勝8着と健闘している。その後はビッグレースでの決勝進出はないが、注目すべきは近況の徹底先行ぶりだ。6月の久留米記念では二次予選Aと準決を逃げ切り、サマーナイトフェスティバルは3日間逃げて1着、6着、2着。7月の立川FI決勝では強引すぎるほどの単騎逃げで5着に沈むも見せ場はつくっている。実戦で逃げるのが強くなるための一番の近道というのは今も変わらぬ真実で、今大会では昨年よりパワーアップした山崎の勇姿が見られるにちがいない。

渡邉雄太 静岡 105期
 南関東では渡邉雄太が急上昇中だ。今年はウィナーズカップでビッグレース初優出を決めて決勝9着、5月の日本選手権では決勝5着、サマーナイトフェスティバルでは2着、2着の勝ち上がりで決勝は8番手からの中川誠一郎の捲りに合わせて6番手から仕掛け、前団をきれいに捲り切ってビッグ初優勝かと思われたが、ゴール前で村上博幸に差されて惜しくも準優勝だった。それでも8月8日現在の賞金獲得ランキングでは8位とグランプリ初出場が狙える位置につけている。この先も年末に向けてますます勢いを増して大暴れしてくれるだろう。
松浦悠士が中四国連係から初優勝を狙う
113期の宮本隼輔に大活躍の予感

松浦悠士 広島 98期
 中四国勢は今大会も清水裕友、太田竜馬を始めとして機動力が充実しており、松浦悠士にビッグレース初優勝の大きなチャンスが巡ってきそうだ。今年の松浦は2月の全日本選抜で決勝6着、3月のウィナーズカップで決勝6着、5月の日本選手権で決勝6着とビッグレースを連続優出、6月の高松宮記念杯は勝ち上がりに失敗したが、7月のサマーナイトフェスティバルでは初日特選予選は太田竜馬-清水裕友の3番手から3着、準決は目標不在だったが6番手からの捲り追い込みで2着、決勝も6着ながら吉田拓矢の先行を壮絶なもがき合いの末に捲り切るという気迫の走りを見せており、今最もビッグ初優勝に近い男のひとりであることは確かだ。

清水裕友 山口 105期
 清水裕友は落車で今年のスタートはよくなかったが、日本選手権の決勝では結果的には脇本雄太の捲りに屈するも4番手からの先捲りで準優勝、高松宮記念杯も決勝4着とS級S班の名に恥じない活躍を見せた。サマーナイトフェスティバルの準決では位置取りの上手い清水にしては珍しく7番手に置かれて勝ち上がりに失敗したが、次場所の弥彦記念では3連勝の勝ち上がりで優出と好調をキープしている。二次予選Aは6番からの捲りで上がりタイムが10秒9、準決は4番手からの捲りで11秒1とタイムも素晴らしく、もちろん清水もビッグ初優勝に最も近い男のひとりだ。

宮本隼輔 山口 113期
 「若手の登竜門」である今大会の注目はデビューからまだ1年余りの113期の選手たちだ。とりわけ近況勢いに乗っている山口の宮本隼輔は昨年の山崎賢人や清水裕友のように大活躍してくれそうな予感がある。宮本は3月・松山のルーキーチャンピオンレースを優勝、5月の富山FIでS級初優勝を達成すると、7月の大垣記念決勝では平原康多、浅井康太、和田真久留らのトップレーサーたちを相手に3番手から捲ると、番手に切り替えてきた平原の猛追を振り切り、113期では一番乗りの記念優勝を飾っている。今大会も上位陣を相手に決して力負けしない堂々たる走りを見せてくれそうだ。

黒沢征治 埼玉 113期
 埼玉の黒沢征治は4月にS級2班に特別昇級したばかりだが、新人らしい徹底先行で勝ち星を量産、FIで2回、企画レースのブロックセブンで1回とすでに3回の優勝を果たしている。記念初出走となった6月の函館では二次予選Aで小松崎大地に捲られて6着に敗れているが、一次予選は逃げて2着で池田勇人と埼玉ワンツー、3日目特選は、いったんは山中秀将に捲られながらも直線で抜き返して芦澤辰弘とワンツー、4日目特別優秀では清水裕友、坂本貴史らを相手に逃げ切りと、宮本隼輔と同様に上位陣相手に十分に戦えることを証明してみせている。
思い出のレース
2012年 第28回大会 渡邉一成
渡邉一成が番手捲りでビッグレース初優勝
 脇本雄太―稲垣裕之―南修二―柴崎俊光、鈴木裕―望月永悟、佐藤友和―渡邉一成―成田和也の並びで周回を重ねるが、残り2周半でアクシデントが発生、後ろの動きを警戒して振り返った脇本が誘導員と接触して落車、そのまま誘導員も退避してしまう。目標を失い先頭に立ってしまった稲垣は後ろの動きをうかがいながら流していくが、佐藤が赤板から一気に叩いて主導権を奪ってしまう。やや車間が空いて稲垣が4番手、南関東コンビが7番手の展開となるが、佐藤にはペースを落とす気配はなく打鐘前からハイピッチでレースは進んでいく。最終ホームでようやく稲垣が北日本ラインに追いつくが、一本棒の並びのまま最終周回に突入する。すると渡邉が後ろからの反撃を待たずに2角から早々と番手捲り打ち、そのままゴールまで押し切ってうれしいビッグ初優勝、2着にも成田が入り福島ワンツー、稲垣の仕掛けに乗った南が中コースを伸びて3着に入る。


ゴール

表彰

バンクの特徴
カントがきつく直線も長いので捲りが優勢
カントを利しての中割りが決まりやすい
 松阪は平成8年にバンクが全面改修され、最大カントが34度25分29秒と400バンクの中では日本一きついカントを有している。ちなみに第2位は松山と小倉の34度01分48秒、第4位が名古屋の34分01分47秒だ。
 見なし直線距離も武雄、弥彦、いわき平、四日市に次いで5番目に長く、61.5mとなっている。
 走路自体はクセがなくて走りやすくどんな戦法でも十分に力を発揮できる。現在のスピードケイリンに向いた高速バンクとなっているが、やはりきついカントを利した捲りが決まりやすく、先行選手にはやや厳しいバンクとなっている。
 今年1月の記念開催の決まり手を見てみると、全48レース(ブロックセブン1個レースを含む)のうち1着は逃げが7回、捲りが13回、差しが28回、2着は逃げが9回、捲りが10回、差しが12回、マークが17回となっている。
 この数字だけを見ると直線が長いわりには先行選手がかなり健闘していように思えるが、先手ラインの選手が1着になったのは15回しかなく、やはり捲りのラインのほうが優勢だ。
 先行は高速バンクらしくカマシが有効で、最終ホーム手前から一気に仕掛け、後続を突き放したまま押し切るというパターンが多い。
 まくりは400バンクの定石どおりに2角からの発進が決まりやすいが、展開次第では先行が緩むポイントを待って3角からカントを使って仕掛けると直線でよく伸びる。
 追い込みもカントを使って惰力をつけ、直線で中に切り込んでいけばよく伸びる。脚をためておけば5、6番手からでも頭に突き抜けることができるので、混戦模様のレースなら中割りの巧みな選手が狙い目となる。
 1月の記念開催では村上博幸が完全優勝を飾っているが、初日特選は柴崎淳―浅井康太の3番手から伸びて1着、二次予選Aは川村晃司の捲りを差して1着、準決は山本伸一の先行に乗って1着、そして決勝は目標不在の組み合わせとなったが、最終3角7番手からの捲り追い込みで優勝、2着も同じく9番手からインを突いた野田源一が入り、2車単は5990円の高配当になっている。


松阪バンク
周長は400m、最大カントは34度25分29秒、見なし直線距離は61.5m。冬場はバック向かい風の日が多いが、夏場は先行向きのバック追い風の日が多く、風に上手く乗ってのカマシが決まりやすく、仕掛けが遅い捲りは風に翻弄されて不発になりやすい。競りは一般的にイン有利だが、風の強い日はインが重くなる。