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第4回ウィナーズカップGII直前展望
新型コロナウイルスには本当に困ったものですね。世界的な規模になってしまいこれ以上拡大してほしくないですね。
何とか抑え込んでほしいと思います。
さて、3月。桜の季節となりつつありますね。今回、ウィナーズカップが行われる福井競輪場のある福井市は桜の名所でもあります。
お花見も含めて競輪を楽しんでいただけるようになるといいですね。

今回のウィナーズカップは、見どころがたくさんあります。
まず、若手の元気がいい選手が目白押し。松井宏佑、高橋晋也、森田優弥には注目です。どれぐらいの成績を残せるのか期待大ですね。
そして、新山響平が少し抜けてきた感じがあります。玉野記念で先行して同着優勝は見事でした。

そしてS級S班。強さを発揮しています。
特に清水裕友、松浦悠士は良いですよね。縦脚キレッキレの平原康多、郡司浩平も大注目です。
今開催の注目選手

平原康多 埼玉 87期
 今開催1番の注目は平原康多でしょう。強い平原が帰ってきたと思います。松阪記念決勝の平原の競走は松浦を相手に先行勝負し、捲らせず逃げ切り優勝。これを強いと言わなくて何が強いのだという競走でした。ナショナルチームのメンバーを相手と想定してのトレーニングの結果が出てきたのだと思います。まだまだ進化する男・平原に大注目です。また、関東の若手先行選手が今回は多いのでこの若手選手が勝ち上がってくれば連携もでき、有利になっていきそうです。

郡司浩平 神奈川 99期
 縦脚が切れていますね!捲り追い込む脚が非常にいいと思います。玉野記念決勝でも同着優勝には成りましたが、タイミング的には追い込んで優勝したかに見えました。自分で動いても、ラインの厚みを活かす競走でも、この切れる縦脚を武器に勝ち上がって決勝進出そして優勝と、活躍してくれるでしょう。

松浦悠士 広島 98期
 松阪記念決勝では、平原に先行されそれに屈した形になりましたが、全日本選抜決勝の落車の影響は少なそうで、ウィナーズカップは万全の形で出場してくるでしょう。万全の体調であれば何でもできる幅広い戦法を駆使して、優勝を狙ってくるはず。縦横無尽に動く松浦の雄姿を決勝でみたいですよね。

清水裕友 山口 105期
 玉野記念決勝は上手くやられてしまった感がありますが、脚は全く持って健在。とにかく強いですよね。競走も、先行を含めて感覚的に上手いレースをしますよね。先行のタイミングや捲るタイミングなどですが、行くときは早めでも猛然と先行するスタイルは見ていて痺れます。そして逃げ切る力があるからさらに凄いなと思います。ウィナーズカップでも痺れる競走を見せてほしいですね。
第4回ウィナーズカップGII展望
 第4回ウィナーズカップが福井競輪場で開催される。全日本選抜で念願のGI初制覇を達成した清水裕友と好アシストを決めた松浦悠士の中国コンビが断然の中心だが、決勝でさすがの底力を発揮して2着に食い込んだ平原康多や、骨折明けながらも連日の鋭い捲りで勝ち上がった郡司浩平のスピードも捨てがたい。グランプリ覇者の佐藤慎太郎も全日本選抜で決勝進出と相変わらずの安定ぶりで、村上博幸率いる地元・近畿勢の反撃にも注目したい。
清水裕友が新しい時代を切り開く
郡司浩平の快速捲りが炸裂する
 時代は確実に動いている。昨年11月の競輪祭では清水裕友の捲りに乗った松浦悠士がGI初優勝、全日本選抜では松浦の逃げに乗った清水がGI初優勝と、中国地区の2人がGI連覇を成し遂げた。中四国地区は長らく機動力で悩まされてきただけに、GI連覇は天地を揺るがす大事件と言っても過言ではない。年末のグランプリで脇本雄太でもなく、新田祐大でもなく、平原康多でもなく、佐藤慎太郎が優勝して大波乱となったのも、来るべき競輪界の大変動を予兆するものだったのかもしれない。中四国勢の躍進によって勢力図は完全に塗り替えられ、今後も加速度的に競輪界は変化を続けていくだろう。

清水裕友 山口 105期
 清水裕友は昨年の競輪祭決勝では吉田拓矢の番手で粘り、平原康多を飛ばして番手捲りを打ち松浦悠士と見事にワンツーを決めた。そして全日本選抜決勝では松浦の逃げに乗って念願のGI初優勝を達成した。これが並の選手ならば、どんなに展開に恵まれても大舞台の決勝となると簡単には勝ち切れないものだが、好展開をしっかりモノにした走りはとても25歳の若手とは思えないものだった。競輪祭決勝で平原をどかした走りもベテラン顔負けの堂々たるもので、今大会も新時代の旗手となった清水を中心にレースが動いていくことになるだろう。

原田研太朗 徳島 98期
 中四国勢の躍進に乗って悲願のビッグレース制覇を目指すのが原田研太朗だ。ウィナーズ(勝利者たち)カップはその名のとおり車券に最も貢献している1着回数の多い選手を中心に選抜されるシステムになっているが、原田は選考期間(19年7月~12月)の1着回数が23回と堂々のトップだ。FI戦での勝ち星が多いのは事実だが、それでも勝つべきときにきっちり勝てているのは好調の印だしファンにとっても信頼できる選手と言える。原田は全日本選抜の準決で敗れたが、今年は全日本選抜まで4場所走って1着が9回と相変わらずの量産体制で、今大会もファンの期待にしっかり応えてくれるだろう。

郡司浩平 神奈川 99期
 郡司浩平は今年初戦の立川記念の準決で落車失格、鎖骨骨折の重症と今年は最悪のスタートとなってしまった。ところが、復帰戦となった全日本選抜の初日特選予選では、2番手から先捲りの松浦悠士には届かなかったが、7番手から捲って2着に突っ込み個人上がりタイムは11秒3と、骨折明けとは思えないスピードでファンを驚かせた。その後もスタールビー賞では和田健太郎とワンツーを決め、準決は1着で通過している。決勝は残念ながら経験値の差が出て不発に終わったが、郡司は記念すべき第1回大会の覇者であり、今大会も優勝候補の一角であることは間違いない。

和田健太郎 千葉 87期
 和田健太郎もウィナーズカップの選考期間に1着を19回と量産して近況好調だ。1月の立川記念で郡司浩平の落車に巻き込まれて自身も落車したが、幸い軽傷だったようで次場所の小倉FIを優勝している。全日本選抜では2日目スタールビー賞で郡司の捲りを差して1着、準決は目標の松井宏佑が行き切れなかったが、番手捲りの松浦悠士にうまく切り替えて2着で決勝進出と相変わらずレース運びは巧みだ。南関東では郡司や松井のほかにも岩本俊介が準決に進出と好走しており、今大会でも彼らを目標に和田の勝ち上がりが期待できる。
総合力一番の平原康多の反撃に期待
佐藤慎太郎が手堅い走りで連に食い込む

平原康多 埼玉 87期
 平原康多は全日本選抜決勝では苦しい展開から2着に突っ込んでさすがの底力を見せた。しかし、レース内容はよくなかった。いつもどおり勝負どころで中団を狙いにいったが、三谷竜生に切られ、山田英明にも追い上げられて6番手となったのが一番の敗因だ。あれが悪くても5番手なら、2段駆けの清水裕友ともっといい勝負ができただろう。年末のグランプリも最悪の8番手から3着と平原らしからぬ走りが続いている。清水裕友らの新世代の興隆に押されて自分の走りを見失っている印象があり、今年は1月の地元・大宮記念を優勝と調子は上がっているだけに、今度こそ平原らしい走りを期待したい。

吉田拓矢 茨城 107期
 関東勢では吉田拓矢が引き続き好気配だ。全日本選抜では準決で惜しくも4着に敗れたが、叩いてきた山崎賢人の番手で粘り、中川誠一郎を飛ばして番手捲りで2着と強い走りを見せた。そして2日目スタールビー賞では、結果は7着ながら平原康多を連れて主導権を取り切り本来の先行力をしっかりアピールしている。以前は、スピードはあっても関東ラインの先頭でただ逃げるだけの選手だったが、昨年11月の競輪祭で優出してから一皮むけた印象で、今大会でもいざとなればの強い走りをきっと見せてくれるにちがいない。

佐藤慎太郎 福島 78期
 昨年のグランプリ覇者の佐藤慎太郎は、今年も高いレベルで安定した走りを続けている。1月の和歌山記念が決勝5着、いわき平記念が決勝2着、そして全日本選抜でも4日間勝ち星こそなかったが、しっかり決勝進出を果たしている。二次予選では北日本の大砲・新山響平の先行に乗り2着、準決は目標の菅田壱道が後手を踏んで最終4角で7番手となってしまったが、そこから中コースに突っ込んで3着に入っている。昨年の大会も決勝7着ながら勝ち上がり戦は2、3、2着と堅実で、今大会もラインや展開に関係なく連の上下に絡んでくるだろう。

新山響平 青森 107期
 新山響平は全日本選抜では二次予選で4着と敗れたが、4日間で1着2回、2着1回と好走している。初日の一次予選はバック向かい風で風速が2.7m、その重いバンクでいつもどおりに打鐘から仕掛け鮮やかに逃げ切って先行力の高さをアピールしている。3日目特選は3番手からの捲りで1着だったが、4日目特別優秀も風速2.6mの強風を物ともせずに逃げて2着に粘り、佐々木雄一とワンツーを決めている。ビッグレースの決勝には長い間乗っていないが、今大会も福井の高速バンクで新山らしい逃げを披露してくれるだろう。
近畿の結束力で地元の意地を見せる
中川誠一郎のスピードはやはり侮れない

村上博幸 京都 86期
 地元・近畿勢は村上博幸を中心に結束して優勝を目指す。村上は年末のグランプリは9着に終わったが、1月の和歌山記念は決勝4着、高松記念も決勝4着、そして全日本選抜も決勝進出と手堅い走りを披露している。二次予選は相性抜群の三谷竜生の捲りを差して1着、準決は清水裕友の捲りに乗り、ゴール前で山田英明の捲りに交されながらも3着に食い下がっている。今大会の近畿勢は機動力的にはやや苦しい印象もあるが、稲毛健太、石塚輪太郎、南潤らを村上がしっかりリードして勝ち上がりを決めてくる。野原雅也も昨年の福井FIで完全優勝ともちろんホームバンクとの相性はよく、地元ファンの熱い声援に応える好走を期待したい。

吉田敏洋 愛知 85期
 中部勢は今大会の出場予定選手が6名のみで苦しい戦いは避けられそうにない。全日本選抜でも浅井康太が二次予選敗退、ホームバンクの金子貴志がまさかの一次予選敗退となってしまった。そんな中でも決勝進出はならなかったが、吉田敏洋が坂口晃輔とともに準決まで勝ち上がり地元の意地を見せた。一次予選は5番手から捲り追い込んで3着、二次予選は勝負どころで逃げる柴崎淳から離れてしまい5番手となったが、直線で大外を強襲して勝ち星を挙げている。直近4か月の勝率が3割9分と調子は上向きで、今大会でも柴崎淳、不破将登らとの連携からチャンスを掴んでくるだろう。

中川誠一郎 熊本 85期
 九州勢ではやはり中川誠一郎の一発に期待したい。全日本選抜では風が強く重いバンクでスイッチが入り切らなかったのか4日間凡走してしまったが、福井は軽い高速バンクなので自慢のスピードをきっと披露してくれるだろう。1月の高松記念では初日特選こそは8着だったが、二次予選はバック8番手からの捲り追い込みで1着、準決も4番手から直線追い込んで1着、決勝は5番手から捲って2着と展開無用のスピードは決して錆びついてはいない。今大会の出場予定選手の中では、井上昌己が全日本選抜で準決に進出しており、4日間勝ち星はなかったものの健在ぶりを示している。
思い出のレース
第3回ウィナーズカップ
脇本雄太が圧巻のスピードでGII初優勝
 脇本雄太は東京五輪を目標に自転車競技に比重を置いているため、競輪は年末のグランプリ以来の出走となったが、ナショナルチームで鍛え上げた圧巻のスピードで通算3度目のビッグレース制覇を達成した。レースは山崎賢人-佐藤慎太郎、太田竜馬-松浦悠士、脇本雄太-浅井康太、渡邉雄太-郡司浩平-中村浩士の並びで周回。青板の2センターから渡邉がゆっくり上昇を開始、その動きに合わせて太田が3番手から踏んで先に切るが、その上を渡邉が叩いて先行態勢に入ったところで打鐘を迎える。同時に山崎が6番手から思い切りよくスパート、最終ホームで渡邉を叩いて主導権を奪ってしまう。山崎ラインを追った脇本は最終1コーナーで3番手に入るが、2コーナーから捲りにいくとあっというまに先頭に躍り出て後続をぶっちぎってしまう。最後の直線では番手追走の浅井との一騎打ちとなるが、浅井の猛追を振り切って脇本が押し切り、浅井が2着、郡司が3着に入る。

表彰

ゴール

バンクの特徴
軽くてクセのない高速バンク
直線が短めで逃げが粘り込める
 福井競輪場は日本競輪選手養成所の400バンクをモデルに造られており、選手間でもクセがなくて走りやすいと評判が高い。標準的な400バンクだが、直線が短いので先行選手に有利とされている。しかし、軽い走路なので後方からの捲りや直線強襲の追い込みも決まりやすく、どんな戦法の選手でも十分に力を発揮できるバンクとなっている。
 18年7月の記念開催の決まり手を見てみると、全47レース(ブロックセブン1個レースを除く)のうち1着は逃げが8回、捲りが20回、差しが19回、2着は逃げが7回、捲りが13回、差しが11回、マークが16回となっている。
 見なし直線距離は標準的だが、コーナー部分が長くてホーム直線距離が21mしかなく見た目は333バンクのようなお皿バンクの感じだ。それでも走路が軽い高速バンクなので捲りがよく決まっている。1着の決まり手が差しより捲りのほうが多いケースはかなり珍しい。
 捲りは400バンクの定石どおりに最終2角からの仕掛けが理想だが、長めのコーナー部分を利して加速していけば直線で一気に伸びるので遅めの3角捲りも決まりやすい。
 4日目7Rの特選では金子貴志が3角3番手から捲って1着、金子を追うようにして同じく3角6番手から仕掛けた長島大介が2着に突っ込んでいる。金子の上がりタイムが11秒4、長島が11秒2で、とにかくスピードのある自力選手に向いたバンクと言える。
 先行も直線が短いので、スピード自慢の選手ならば打鐘から仕掛けて最終ホームから全開で踏んでも十分に押し切れる。
 初日11Rの特別予選では新山響平が打鐘からカマして前団を叩き、そのまま逃げ切って上がりタイムは11秒2、4日目10Rの特別優秀では、今度は突っ張り先行で逃げ切って上がり11秒5をマークしている。ちなみに決勝は脇本雄太が逃げ切って上がりは11秒1だ。
 追い込みも直線は短いが、最終4角をスピードを殺さずに回ることが出来れば、直線では流れるように車が進むので中割り強襲の出現率が高い。

周長は400m、最大カントは31度28分37秒、見なし直線距離は52.8m。冬場はバック向かい風の日が多く、風の強い日は逃げが苦しく、バック過ぎからの遅めのまくり追い込みが決まりやすい。ただコーナー部分が長いので、先手ラインの番手の選手にうまく合わされると捲りは不発になりやすい。風のない日ならば直線の短い高速バンクなので、捲り-逃げなどの自力選手同士の決着も多い。