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第71回高松宮記念杯競輪(GI)展望
第71回高松宮記念杯競輪が和歌山競輪場で開催される。和歌山でのGI開催は初めてとなるが、勝ち上がり方式は昨年同様に3日目の準決勝までは東日本地区と西日本地区に分かれて戦われる伝統の東西対抗戦だ。東日本は新田祐大、西日本は脇本雄太を中心にレースが進んでいくだろうが、準決勝が4個レース(各レースの2着までの4名と3着の1名が決勝進出)と厳しい勝ち上がりなので波乱の決着も十分にありそうだ。
新田祐大がハイスピードの捲りで別線を粉砕
高松宮記念杯は3日目準決勝まで東日本地区と西日本地区に分かれて戦われる東西対抗形式が最大の特徴だ。初日のメインとなるのは東日本と西日本の特別選抜予選で、東日本の特別選抜予選で4着までに入った4名と一次予選で1着を取った5名が2日目の青龍賞へ、西日本も特別選抜予選の4名と一次予選の5名が2日目の白虎賞に勝ち上がる。3日目の準決勝は4個レースで、東日本は青龍賞の9名と二次予選3個レースで3着までに入った9名が準決勝2個レースに、西日本も白虎賞の9名と二次予選の9名が準決勝2個レースに振り分けられる。そして東西それぞれの準決勝で2着までに入った8名と3着の1名が晴れて決勝進出と、他のGIより厳しい勝ち上がりシステムとなっている。
東日本の初日特別選抜予選は北日本が2名、関東が4名、南関東が3名の組み合わせで、スピードの絶対値が違う新田祐大が中心となるだろう。
北日本は新田祐大と佐藤慎太郎の福島コンビだ。新田は昨年の特別選抜予選では新山響平の逃げを目標に1着、2着も佐藤で福島ワンツー、一昨年の特別選抜予選も吉澤純平-平原康多-武田豊樹-諸橋愛の関東2段駆けラインを7番手から捲り切り、渡邉一成が1着、新田が2着で福島ワンツーだった。今年の特別選抜予選も関東と南関東はどちらも2段駆けが濃厚だが、快速捲りで粉砕して佐藤と福島ワンツーを決めてくる。
関東は4名だが、鈴木竜士-平原康多-諸橋愛の3車で連係、木暮安由はおそらく単騎戦だろう。平原は3月のウィナーズカップでは落車・欠場となったが、直前の松山記念では逃げ切りで諸橋愛とワンツーを決め今年2度目の記念優勝とハイレベルで好調をキープしていた。今大会の特別選抜予選では南関東も強力な2段駆けラインとなるので、場合によっては平原が前回りの並びもありそうだ。木暮は18年、19年と2年連続で高松宮記念杯決勝進出しており、単騎戦を選択しても侮れない存在となるだろう。
南関東は3名で松井宏佑-郡司浩平-和田健太郎の並びだろう。ナショナルチームに属する松井は2月の全日本選抜競輪と3月のウィナーズカップで準決進出と競輪でもめきめきと力をつけてきており、今大会ではさらなる活躍が期待できる。郡司浩平はウィナーズカップでは準決で敗れたが残り3走はオール1着、4月の武雄記念は3連勝の勝ち上がりで準優勝と絶好調で、今回も好目標の松井の仕掛けに乗って勝利を目指してくる。

新田祐大 福島 90期

平原康多 埼玉 87期


郡司浩平 神奈川 99期
脇本雄太が三谷竜生とワンツーを決める
西日本の特別選抜予選は中部が1名、近畿か3名、中四国が3名、九州が2名の組み合わせだ。機動力で上回る脇本雄太率いる近畿ラインが中心だが、勢いで勝る中四国ラインの逆転も十分で、両ラインが叩き合うようなら浅井康太や九州コンビの出番もあるだろう。
中部の浅井康太は単騎戦だろう。浅井はしばらく低迷していたが、2月の静岡記念決勝では渡邉雄太-郡司浩平の南関東2段駆けを7番手から捲って完全優勝で復活を力強くアピール、4月の高知記念決勝も8番手からの捲りで優勝している。今回も浅井らしい自在戦で、近畿と中四国の両ラインの間隙を縫っての抜け出しを狙う。
近畿は3名で脇本雄太-三谷竜生-村上博幸の並びだろう。一昨年の特別選抜予選では深谷知広の逃げを脇本が7番手から捲って1着、三谷が2着のワンツーで、別線だった村上が9車身差ながら3着に入っている。昨年の特別選抜予選では太田竜馬の逃げをやはり7番手から捲り番手から抜け出した三谷が1着、太田の番手から切り替えた清水裕友が2着、脇本は3着だった。今回も脇本が桁違いのスピードを発揮、三谷がぴったりマークでの押し切りが濃厚だ。
中四国は3名で、清水裕友と松浦悠士の中国コンビを原田研太朗が追走だろう。昨年の特別選抜予選では清水は2着だったが、今や清水と松浦の2人はタイトルホルダーの仲間入りを果たし、中国コンビでビッグレースを連覇中とその勢いは凄まじい。2人ともトップクラスの先行力を有しているのが強みで、今回は近畿ラインを破っての勝ち星が期待できるだろう。原田研太朗も好調で3月のウィナーズカップの準決では9番手からの大捲り1着で決勝進出を果たしており、中国コンビが不発の展開になったときには原田の自力発進があるかもしれない。
九州は2名で山田英明-中川誠一郎の並びだろう。山田は2月の全日本選抜で18年の高松宮記念杯以来のGI優出を決めて復調気配で、4月の武雄記念の初日特選では中川を連れて思い切りのいい逃げを打っている。準決も中川を連れて捲り、中川は捌かれて連係を外したが、山田は2着で決勝進出を果たしている。中川の近況はやや元気がないが、昨年の特別選抜予選は脇本雄太ラインの3番手から4着に入り白虎賞進出、白虎賞は清水裕友目標に3着、準決は7番手から捲って2着、決勝は脇本の先行に乗って優勝しており今年も決して侮れない。

浅井康太 三重 90期

脇本雄太 福井 94期


清水裕友 山口 105期

中川誠一郎 熊本 85期

深谷知広が迷いのない打鐘先行を披露する
東西対抗形式はどうしても地区的に偏りが出るので、勝ち上がり戦では2段駆けが望める機動力充実の地区が優勢になりやすい。昨年の青龍賞では新田祐大が新山響平の逃げを目標に2段駆けで2着、準決も新田は坂本貴史を目標に追い込みの1着で決勝進出している。西日本の白虎賞では不破将登-竹内雄作-吉田敏洋の中部ラインで主導権、4番手からの清水裕友の捲りに合わせて竹内が発進して清水は不発、7番手の脇本雄太も仕掛けきれずに不発で波乱の決着となっている。今年も若手機動力型の熱い走りに注目したい。
3月のウィナーズカップで鮮烈なビッグレースデビューを飾ったのが福島・115期の高橋晋也だ。一次予選は逃げて3着で大槻寛徳が1着、二次予選も逃げて3着で佐々木雄一が1着、準決は原田研太朗に捲られたが郡司浩平を不発にする逃げで2着に粘り込みいきなりの決勝進出と、その先行力はまちがいなく本物だ。4月の武雄記念も準決で敗れたが残り3走は主導権を取り切っており、もちろん今大会も北日本ラインの先頭で別線の反撃を許さない走りを披露してくれるだろう。
関東では113期の森田優弥に注目したい。ウィナーズカップでは初日の特別選抜予選で落車・欠場となったのがやや気になるが、1月の和歌山記念では4日間主導権を取り切っている。一次予選と二次予選は逃げ粘り2着、準決は5着に沈んだが、4日目特別優秀は3着に粘り込みと成績も申し分ない。同期・同県の黒沢征治もウィナーズカップでは3走で主導権取りと積極的で、森田は再びの和歌山バンクで黒沢といっしょに関東ラインをぐいぐい引っ張っていくだろう。
西日本では深谷知広の先行力に期待したい。昨年の大会では4日間主導権を取り切り、一次予選が3着で吉田敏洋が1着、二次予選が逃げ切りで金子貴志とワンツー、準決は4着に沈んだが、4日目特別優秀は柴崎淳が1着、深谷が2着で2度目の中部ワンツーを決めている。今年4月の武雄記念も4日間逃げ、準決では郡司浩平に捲られながらも2着に粘り込んで決勝進出を果たしている。今大会も迷いのない打鐘先行で中部を盛り上げる。
地元・和歌山の期待の星は稲毛健太だ。昨年後半から成績が上昇、年末のグランプリシリーズのFI戦を優勝している。そして1月の和歌山記念では初日特選は9着だったが、二次予選は捲りの2着で東口善朋と地元ワンツー、準決も捲りの2着で村上博幸とワンツー、決勝は6着だったが打鐘から仕掛けて主導権を取り切り見せ場をつくっている。3月のウィナーズカップでは準決進出と好調をキープしており、今大会も地元バンクで熱い走りを見せてくれるだろう。

高橋晋也 福島 115期

森田優弥 埼玉 113期


深谷知広 愛知 96期

稲毛健太 和歌山 97期

高松宮記念杯の思い出 2014年第65回大会 
稲川翔が脇本雄太の番手からGI初優勝
浅井康太-吉村和之の中部コンビが前受け、岩津祐介-柏野智典の岡山コンビが中団、菊地圭尚-大塚健一郎の即席コンビが続き、脇本雄太-稲川翔-東口善朋の近畿トリオが後攻めで周回を重ねる。赤板前の1コーナーから脇本が上昇を開始するが、合わせて菊池も踏み上げる。それを見た浅井が車を下げ、菊池が誘導員の後位に入る。脇本は前へ踏み続け、打鐘の3コーナーで誘導員を交わして先頭に立ち主導権を奪う。すると菊池はイン粘りに出て脇本後位は競り合いとなるが、最終ホーム手前で稲川が競り勝って番手を死守する。最終ホーム過ぎから脇本が一気にペースを上げ、競り負けた菊池は3番手に入り、4番手に大塚となるが、遅れた東口が2車身空いた5番手となり、さらに3車身空いた6番手に岡山コンビ、8番手に中部コンビの長い隊列となる。8番手の浅井は最終2コーナーから捲りにいくが車が伸びず、脇本の番手から直線鋭く抜け出した稲川がGI初優勝、2着に大塚、3着に岩津が入る。

表彰

ゴール

バンクの特徴
クセがなく走りやすい400バンク
直線は長めだが先行が粘り込める
和歌山バンクはクセがなくて走りやすい標準的な400バンクで、どんな戦法の選手でも実力を存分に発揮できる。直線が比較的長めだが、先行も決して不利ではない。
今年1月に開催された記念の決まり手を見てみると、全48レースのうち1着は逃げが5回、捲りが16回、差しが27回、2着は逃げが11回、捲りが8回、差しが13回、マークが16回となっている。
見なし直線距離が59.9mと長いので1着はさすがに差しが断トツだが、逃げの連絡みが16回と健闘している。先手ラインの選手が1着を取ったレースも20回だ。
ただグレードレースでは上位戦になればやはり捲りのほうが優勢で、先手ラインの選手が1着を取ったレースは初日に7回と半数以上だったが、2日目は5回、3日目も5回、4日目は3回にとどまっている。3日目の準決3個レースはすべて捲りのラインがワンツーを決めているし、決勝も松浦悠士が7番手から捲って優勝、渡部哲男と中四国ワンツーを決めている。
先行は打鐘前から仕掛けて先頭に立ち、最終ホームからうまくペースで駆けられれば、直線ではとくに伸びるコースはないしカントも標準的なので、後方からの巻き返しを押さえ込んで12秒台前半の上がりタイムでも十分に逃げ粘れる。カマシも有効で、打鐘から最終ホーム目掛けて一気にスパートし、別線から3、4車身のアドバンテージが取れればそのまま押し切れる。
捲りは当然中団が理想だが、バンクはクセがなく車がなめらかに進むので、脚力さえあれば7、8番手からの逆転も決まる。ただし直線が長いので中団からの捲りであっても仕掛けのタイミング次第では差される可能性は高い。
2日目12Rの二次予選Aでは松浦悠士が4番手から捲り、渡部哲男が付け切れずに別線の選手に割り込まれて3番手となってしまったが、最後の直線で鋭く追い込んで松浦を差し切り1着となっている。
周長400m、最大カントは32度15分07秒、見なし直線鏡は59.9m。全国の競輪場の中で最後までクロイド曲線のバンクを採用していてクセの強いバンクとして有名だったが、平成11年にマッコーネル曲線のバンクに全面改修され、選手からも走りやすくなったと評価が高い。直線が長いので追い込み選手は3、4番手からでも十分に勝負になり、先手ラインの3・4番手にいた選手が直線伸びて好配当というケースが多い。最高上がりタイムは平成26年5月13日にフランスのフランソワ・ペルビスが7番手捲りで叩き出した10秒6。

和歌山バンク