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KEIRINグランプリ2020直前展望
2020年も終わろうとしていますね。2020年はとんでもない年になりました。
日本全国津々浦々まで、てんやわんやになってしまいましたね。
が、最後はしっかり締め、2021年に突き進もうではありませんか!
締めくくりはKEIRINグランプリ2020を観戦して盛り上がって2021年令和3年を明るい年にしていきましょう!

脇本雄太 福井 94期
2020年の活躍を振り返れば、どう考えても大本命となるでしょう。宮杯、親王牌と2冠獲得、しかも宮杯は完全優勝。見事としか言いようがありません。コロナ禍でなければ東京オリンピックでメダルも獲得していた可能性は非常に高かったと思います。ただ、一点、競輪祭の落車棄権が気になります。その影響がなければ、今の段階(前夜祭前の原稿なので)で単騎としても間違いなく優勝候補の筆頭に挙げられるでしょう。

新田祐大 福島 90期
2020年は早々にグランプリ出場を決める事ができず、賞金争いで最後の最後まであがいた結果、手にしたグランプリの出場権ですが、これが吉と出れば、ライン3車の強みが発揮され優勝の2文字が見えてくるでしょう。番手の佐藤慎太郎、3番手の守澤太志がそれぞれの仕事をきっちりし、競輪らしいレースを見せてくれるはずです。

郡司浩平 神奈川 99期
悲願達成の競輪祭GI優勝は、これからの郡司時代をつくる第一歩となったはずです。2021年以降の活躍をする上でも、このグランプリで良いところを見せるでしょう。和田健太郎とラインを組んで活躍が大いに期待されるはず。普段のトレーニングでもナショナルチーム組のスピード、パワーは意識して臨んでいるので、その対策もしっかり考えてグランプリ本番では魅せてくれると思います。

松浦悠士 広島 98期
松浦の進化が止まりませんね。素晴らしいと思います。現状でラインを組む清水裕友との前後はわかりませんが、前でも後ろでも、魅せるレースを展開してくれるでしょう。2020年を振り返ればオールスター決勝で見せた脇本を破ったレースが見事でした。グランプリでも競輪らしい競走を見せてくれると思います。
KEIRINグランプリ2020展望
 競輪界最強の称号を目指して今年のベストナインが激突するKEIRINグランプリ2020が12月30日に平塚競輪場に於いていよいよ号砲を迎える。本来ならば先行日本一の脇本雄太が大本命となるところだが、競輪祭での落車の影響は免れず波乱の余地も十分だ。ライン的には3車揃った北日本勢が優勢だが、安定感ではナンバーワンの松浦悠士と清水裕友の中国コンビも侮れず、競輪祭でGI初制覇を達成して勢いに乗る地元・郡司浩平の力走にも注目したい。
不発に終わった昨年のリベンジで先行策も十分

清水裕友 山口 105期
 清水裕友は2月の全日本選抜決勝では松浦悠士の先行に乗り番手捲りでGI初優勝を達成、一番乗りでグランプリの切符を手に入れた。7月のサマーナイトフェスティバル決勝でも松浦の先行に乗って優勝と好調だったが、その後は急速に調子を落としてしまいビッグレースでの優出がなくなってしまった。11月の競輪祭も二次予選Aで敗れてしまったが、一次予選1は先行して2着、二次予選Aも先行して7着と復調を目指して以前にも増して積極的な走りを見せており、グランプリでも盟友・松浦を連れての先行策が十分に考えられる。
単騎でも逃げ切り優勝を狙う

脇本雄太 福井 94期
 脇本雄太は6月の高松宮記念杯を完全優勝、決勝は逃げ切りで圧巻のスピードを見せつけた。その後は7月のサマーナイトフェスティバルでは準決敗退、8月のオールスターでは決勝2着、9月の共同通信社杯では決勝7着に終わったが、10月の寬仁親王牌決勝では再び逃げ切って優勝している。だが、11月の競輪祭では初日に落車して途中欠場となり、幸い骨折はなかったが全治1か月と診断された。グランプリでは落車の影響を免れず、今年は単騎なのもネックとなるが、それでも先行に強いこだわりを持つ脇本は逃げ切り優勝を狙ってくるだろう。
中国コンビの絆で難敵を撃破

松浦悠士 広島 98期
 この1年間、最強の安定感を維持し続けてきたのが松浦悠士だ。11月の競輪祭では準決で失格となったが、それ以外のGI、GIIはすべて優出している。3月のウィナーズカップ決勝では清水裕友の先行に乗り番手捲りで優勝、8月のオールスター決勝では原田研太朗の先行に乗り、捲ってきた脇本雄太とのもがき合いを制して優勝している。グランプリでの清水との前後は未定で、近況の調子では松浦が上だか、昨年の汚名返上とばかりに清水が前回りになる可能性もあり、中国コンビの絆で脇本雄太や新田祐大らの難敵撃破を狙ってくるだろう。
タイトルホルダーとして地元戦に臨む

郡司浩平 神奈川 99期
 郡司浩平は競輪祭決勝では松井宏佑の先行に乗って番手捲りを打ち、猛追する平原康多を振り切って念願のGI初制覇を達成、タイトルホルダーとして地元・平塚でのグランプリに臨む。3年前、平塚で開催されたグランプリでは10番目の次点で出場がかなわず悔し涙を飲んだ。その悔しさを晴らすべく、郡司はこの3年間強い気持ちで走り続けてきたと言っても過言ではない。初出場となった昨年のグランプリはなにもできずに終わったが、今年は和田健太郎という心強い味方がおり、地元ファンの声援を背に優勝の二文字を目指して突っ走る。
調子は上向きで初優勝を目指す

平原康多 埼玉 87期
 平原康多は3月のウィナーズカップや9月の共同通信社杯などで落車して今年は万全とは言えない状態が続いたが、2月の全日本選抜で準優勝、6月の高松宮記念杯で決勝6着、11月の競輪祭決勝もさすがの走りで2着に突っ込み、獲得賞金第4位で8年連続11回目のグランプリ出場を決めた。今年も関東は1人で空いている脇本雄太の番手を主張することもできるが、今回もやはり昨年同様に単騎での戦いになるだろう。競輪祭の走りを見る限りでは調子は上向きにあると言ってよく、単騎戦でも平原らしい巧者ぶりを発揮して勝機を掴んでくる。
最高齢優勝の記録更新に挑む

佐藤慎太郎 福島 78期
 佐藤慎太郎は昨年の覇者だ。昨年は新田祐大を目標に最後は巧みなコース取りと鋭い差し脚で初優勝を飾っている。今年もビッグレースの優勝こそなかったが、2月の全日本選抜、6月の高松宮記念杯、7月のサマーナイトフェスティバルで優出とグランプリ覇者の名に恥じない活躍を見せていた。昨年の優勝時は43歳と1か月で11年に優勝の山口幸二の43歳5か月に少し及ばなかったが、今年も優勝できれば最高齢優勝の記録を更新できる。今年は新田祐大に加えて守澤太志も参戦でラインに厚みがあるだけに連覇が十分に期待できるだろう。
グランプリでの汚名返上の走りを誓う

和田健太郎 千葉 87期
 和田健太郎は昨年10月の寬仁親王牌から今年6月の高松宮記念杯まで、5大会連続でビッグレースで優出と高い安定感を維持してきた。その後はビッグレースでの優出は途切れてしまったが、11月の競輪祭で再び優出を果たした。しかし、決勝では松井宏佑ー郡司浩平の3番手を固めたが、松井の強烈ダッシュに離れてしまうという大失態を演じてしまった。郡司の優勝で結果オーライとはいえ、レース後は反省しきりでグランプリでは必ずや汚名返上の走りを見せてくれるはずだ。もちろん郡司とは何度もワンツーを決めており連係相性は抜群だ。
自慢のスピードを爆発させる

新田祐大 福島 90期
 新田祐大は11月の競輪祭決勝は5着に終わったが、獲得賞金額第8位でグランプリの切符を手にした。決勝では少し焦りがあったのか、少しでも前にいたいという気持ちが強かったのか、赤板の1コーナーで古性優作に押さえられてもすぐには引かず、結局は終始内に詰まった状態で力を出しきれずに終わっている。しかしグランプリでは北日本が3人揃ってラインに厚みがある。最悪でも7番手の位置があるのだから焦る必要もない。競輪祭の準決では8番手から捲って上がり10秒9をマークしており、グランプリでも自慢のスピードを爆発させる。
北日本3番手でラインを援護

守澤太志 秋田 96期
 守澤太志は主戦法は追い込みだが、先行・捲りの自力脚も兼備したオールラウンダーだ。3月のウィナーズカップ決勝では高橋晋也の捲りに乗り直線鋭く伸びて準優勝、8月のオールスターの準決では最終4コーナーで近藤龍徳から過度の押し上げを受けたが、バランスを崩しながらも諦めず踏んで4着入線、3着入線の近藤が失格で繰り上がりながらも2度目のGI優出、10月の寬仁親王牌でも準決を3着で突破して優出している。グランプリでは北日本の3番手でラインを徹底的に援護するが、最後はタテ脚を発揮して直線勝負に賭けてくるだろう。
思い出のレース
KEIRINグランプリ2019
佐藤慎太郎が脇本雄太を差し切って優勝
 佐藤慎太郎‐新田祐大の福島コンビが前受け、清水裕友‐松浦悠士の中国コンビが3番手、その後ろに単騎の平原康多と中川誠一郎が続き、7番手に脇本雄太‐村上博幸の近畿コンビ、最後方に郡司浩平の並びで周回を重ねる。赤板過ぎまでそのままの隊列で動きはなかったが、車間を空けてタイミングを見計らっていた脇本が打鐘とともに踏み上げる。合わせて清水も踏むが、脇本はその上を越えて最終ホームで新田を叩いて先頭に立つ。新田は引かずイン粘りに出て村上を捌いて脇本の番手を奪取、佐藤は牽制して清水の上昇を阻む。それでも立て直した清水が最終1コーナーから再び仕掛けるが車が伸びない。絶好の展開となった新田は最終3コーナーから仕掛けるがやはり車が伸びず、佐藤が新田と脇本の中を割って最後の直線に入る。力強く逃げる脇本だったが、立川の長い直線を利した佐藤がゴール手前でズブリと差して05年4月のふるさとダービー武雄以来のビッグレース優勝を飾る。2着に脇本、3着に平原が入る。

KEIRINグランプリ2019ゴール

表彰 

バンクの特徴
冬場はバンクが重く先手ラインがやや有利
 平塚ではKEIRINグランプリがこれまでに7回開催されており、87年は滝澤正光が3番手から捲って優勝、92年はグランプリ初出場の吉岡稔真が6番手から捲って優勝、01年は後続のもつれを尻目に伏見俊昭がまんまと逃げ切っている。
 と、ここまでは自力選手が先行・捲りで優勝しているが、これ以降は世代交代が進んで競走がスビード化するとともに自力選手同士の叩き合いが激しくなり、加えて冬場の平塚バンクはやはり重いので自力選手が先行・捲りで押し切るレースはなくなっている。
 05年は小嶋敬二が捲り不発に終わったが、小嶋の番手からインに切り込んだ加藤慎平が逃げる武田豊樹の番手を奪い、ゴール前で差し切って優勝している。
 08年は永井清史‐小嶋敬二の中部コンビのカマシが決まり、それを井上昌己が追走、小嶋は最終バック過ぎから番手捲りを打つが最後の直線に入ってから井上が一気に交わして優勝、空いた内を突っ込んだ平原康多が2着で、小嶋は3着。
 11年は深谷知広‐浅井康太‐山口幸二が中部トリオが打鐘から先行、最終バックから浅井が番手捲りを打つが、最後の直線で山口が鋭く追い込んで優勝、武田豊樹が2着、番手捲りの浅井は08年の小嶋敬二と同様に3着。
 17年はまたもや深谷知広‐浅井康太の中部コンビが先行、浅井が今度こそは番手絶好のチャンスをモノにして優勝、2着に武田豊樹、8番手から捲った新田祐大が3着だった。
 平塚はカントも直線も標準的な400バンクで、走路もクセがなくて走りやすいので戦法的な有利・不利はなく力どおりの決着になるケースが多い。しかし、冬場はバンクが重くカントもそれほどきつくないので捲りはスピードに乗りにくく、先手ラインのほうがやや有利だ。
 17年の同時開催のS級シリーズの決まり手を見てみると、全30レースのうち1着は逃げが5回、捲りが10回、差しが15回、2着は逃げが2回、捲りが6回、差しが7回、マークが15回となっている。

 周長は400m、見なし直線距離は54.2m、最大カントは31度28分37秒。軽い走路でタイムも出やすいとされているが、バック側に相模川があり海も近いので冬場はバンクが重い。17年のグランプリシリーズでは上がりタイムはほとんどが11秒台後半から12秒台だった。逃げ切りは5回あったが、5回とも12秒台の上がりで押し切れている。ちなみにグランプリで優勝した浅井康太の上がりは11秒5、3日間の最高上がりタイムは3日目選抜で天田裕輝が7番手から捲ってマークした11秒4だ。

平塚バンク