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第72回高松宮記念杯競輪(GI)直前展望
リニューアルされた岸和田競輪場で第72回高松宮記念杯競輪が開催されます。
注目は松浦悠士でしょう。近況が絶好調ですね。
しかし、ダービー決勝の僅差が相当気になったようで、更なるパワーアップを目指して宮杯に臨むと思います。最近、清水裕友とのラインはゴールデンコンビと呼ばれるようで、今回もそのゴールデンコンビが見られるのであれば、鉄壁となるのか気になるところです。
そのほかにも注目選手をピックアップしました!

松浦悠士 広島 98期
武雄記念から4連覇中の松浦はまさに乗りに乗っているという状態でしょう。動けて捌けてとなると、競輪選手としては完成形に近いのではと思います。今回の宮杯も、目一杯その力を見せてくれるはず。優勝候補の大本命に上げても良いのではないかと思います。彼の競走に注目です。

郡司浩平 神奈川 99期
第75回日本選手権競輪決勝で見せたレース根性は素晴らしかったですね。最後の最後で盛り上げてくれました。あの僅差は実力拮抗の証だと思います。今回も好勝負を見せてくれるでしょう。当然、優勝候補の一角です。松浦-清水のゴールデンコンビを粉砕できるかどうかに期待が掛かりますね。

清水裕友 山口 105期
松浦が強ければ清水も強い!本当にゴールデンコンビですよね。が、ここは優勝を狙ってくるでしょう。ウィナーズカップは勝っていますがGIはまだ勝っていません。ここはチャンスがあれば絶対狙ってくるはず。初日からの活躍に期待しましょう!

山口拳矢 岐阜 117期
粗削りなのかどうかは分かりませんが、強い!巧い!ですね。結構根性入っていると思います。今回のGIで更なる進化を遂げるのか見たいと思います。色々な戦法でファンの期待に応えてくれそうなことは間違いないでしょう。しっかり勝ち上がれるか。これに尽きると思いますが、感嘆の声が上がるような競走を見せて欲しいですね。
第72回高松宮記念杯競輪展望
第72回高松宮記念杯競輪が全面改修で新しく生まれ変わった岸和田競輪場で開催される。例年どおりに3日目の準決勝までは東日本地区と西日本地区に分かれて戦われる伝統の東西対抗戦だ。東日本は郡司浩平、西日本は松浦悠士の2強を中心にレースは進んでいくだろうが、東西対抗形式の勝ち上がり戦は通常とは異なった組み合わせの番組となるので伏兵陣の台頭も十分だ。
南関東が中心も先行争いは避けられない
初日のメインとなるのは東日本と西日本の特別選抜予選で、東日本の特別選抜予選で4着までに入った4名と一次予選5個レースで1着を取った5名が2日目の青龍賞へ、西日本も特別選抜予選の4名と一次予選の5名が2日目の白虎賞に勝ち上がる。3日目の準決勝は4個レースで、東日本は青龍賞の9名と二次予選で3着までに入った9名が準決勝2個レースに、西日本も白虎賞の9名と二次予選の9名が準決勝2個レースに振り分けられる。そして東西それぞれの準決勝で2着までに入った8名と3着の1名が晴れて決勝進出と、他のGIよりも厳しい勝ち上がりシステムとなっている。
東日本の初日特別選抜予選は北日本、関東、南関東が3名ずつの組み合わせだが、各地区の先導役を務める選手がいずれも先行意欲満々なので激戦必至だ。

佐藤慎太郎 福島 78期
北日本は新山響平-佐藤慎太郎-守澤太志の並びだろう。新山は5月の日本選手権では4走のうち3走で主導権取りと相変わらず先行意欲が高く、5日目特選では捲りで勝ち星を挙げている。特別選抜予選では新山が清水裕友や古性優作を相手に打鐘先行を敢行、番手絶好となった佐藤慎太郎が清水の捲りを振り切って1着を取っている。佐藤は準決でも4番手から内を突いて1着、決勝は郡司浩平目標から3着と衰え知らずの鋭さを発揮しており、仮に新山が先行争いに巻き込まれる展開になっても最後の直線で必ずや差し脚を伸ばしてくるだろう。

平原康多 埼玉 87期
関東は吉田拓矢-平原康多-諸橋愛の並びだ。平原にとっては前も後ろも連係実績豊富な好相性の組み合わせで、2月の全日本選抜の特別選抜予選では吉田が松井宏佑相手に主導権を取りきり、平原1着、諸橋2着のワンツーが決まっている。吉田は日本選手権を欠場したが、ファンや対戦相手に元気な姿をアピールするためにも今大会は積極的に攻めてくるだろう。平原も日本選手権の決勝は6着に終わったが、特別選抜予選とゴールデンレーサー賞では思い切りのいい先行策を見せており、今度こそは優勝をと強い気持ちで今大会に臨んでくるだろう。

郡司浩平 神奈川 99期
南関東は深谷知広-郡司浩平-和田健太郎の並びだろう。深谷は3月のウィナーズカップの決勝では仕掛けきれずに終わっているだけに、今回は汚名返上の走りを狙ってくるだろう。それでも新山響平と吉田拓矢の先行意欲が高いので深谷は捲りの展開になるかもしれないが、今の郡司の調子なら深谷がある程度まで行ってくれれば頭に突き抜けることができるはずだ。不安なのはチャンピオンジャージのプレッシャーに押し潰された印象のある和田だが、全日本選抜の決勝では同じ3人のラインで郡司とワンツーを決めておりライン援護に全神経を集中してくるだろう。
中四国ラインの優位は揺るがない
西日本の特別選抜予選は中部が1名、近畿が4名、中四国が3名、九州が1名の組み合わせだ。日本選手権を制した松浦悠士と清水裕友に小倉竜二が続く中四国が断然の中心だが、近畿がうまくまとまれば地元戦に燃える古性優作の大駆けが期待できるし、復調気配の浅井康太や山田英明の一発も侮れない。

浅井康太 三重 90期
浅井康太は単騎戦だろう。浅井は5月の日本選手権では竹内雄作の逃げに乗って準決を2着で突破、19年10月の寬仁親王牌以来のGI優出を決めた。特別選抜予選では風速5.0mの強風のなか8番手からの大捲りを決め、ゴール前では郡司浩平、松浦悠士の2強を交わして1着でゴールイン、上がりタイムも10秒9と健在ぶりを力強くアピールしている。決勝は中団の5番手となるが、最後の直線ではコースが空かず大外を追い込むも4着に終わったが、今回も好位置を奪取できれば突き抜けがあるだろう。

古性優作 大阪 100期
近畿の地元コンビは古性優作-稲川翔の並びだが、東口善朋と村上博幸はどう出るか。地元コンビの援護ために4人で結束する公算は高いが、4着までに入れば準決へフリーパスなので4番手は回れないと考えれば、東口善朋が3番手で村上が単騎戦という線もあるかもしれない。もちろん古性も決勝進出を目指して臨んでくるが、昨年11月の競輪祭と今年3月のウィナーズカップでは稲川とともに優出と地元コンビの相性はいい。日本選手権の準決では先行するも番手に松浦悠士に入られて5着と敗れたが、今回も中四国ラインが強力なだけに古性は先行も辞さずの積極的な攻めを見せてくれるだろう。

松浦悠士 広島 98期
 中四国は清水裕友と松浦悠士の前後は流動的だが、小倉竜二が3番手を固める。日本選手権の決勝では清水-松浦の並びで清水は自在を宣言していたが、眞杉匠が郡司浩平にからまれて行けないと見るとすかさず腹を決めて先行態勢に入ったのはさすがだし、それも松浦との深い絆の賜物だろう。松浦も真後ろに郡司が追い上げてきたが、最後の直線で郡司を牽制し、返す刀で内を突いてきた佐藤慎太郎を押さえ込む超一流ならではのファインプレーでダービー王の称号を獲得した。今回も清水と松浦のどちらが前回りになっても中四国ラインの優位は揺るがないだろう。

山田英明 佐賀 89期
山田英明は単騎戦だろう。山田はウィナーズカップでは決勝4着だったが、2月の全日本選抜と日本選手権は準決敗退と悲願のビッグレース優勝にはなかなか手が届かず、本人はもちろんファンにとってもやきもきの状態が続いている。それでも日本選手権の準決は前方での落車のあおりを食ったのが最大の敗因で、スピード的には決して悪くなかった。二次予選では8番手からの山崎賢人の捲りに食らいつきゴール前できっちり差し切って1着、上がりタイムは11秒1をマークしており、今回も好位置を確保からの抜け出しが期待できる。
太田竜馬と山崎賢人のスピード捲りが侮れない
東西対抗形式はどうしても地区的に偏りが出るので、選手層の厚い地区が必ずしも有利とはならないのが面白いところでもあり悩ましいところでもある。昨年の大会の東日本では南関東が機動力の面で優勢だったが、勝ち上がり戦では千葉、神奈川、静岡が別線で叩き合わなければならない番組が多く、南関東から決勝に乗ったのは和田健太郎ひとりだった。西日本も連係実績の豊富な中四国が別線勝負にならざるを得ず、中四国から決勝に乗ったのは松浦悠士ひとりだった。今大会も勝ち上がり戦では地区的な結束力が試されるシリーズとなるだろう。

高橋晋也 福島 115期
高橋晋也は5月の日本選手権は不参加だったが、3月のウィナーズカップでは連日の主導権取りで優出を果たしている。決勝も深谷知広-郡司浩平の南関東コンビ、松浦悠士-清水裕友の中国コンビを相手に委細構わずの先行策、追い上げてきた松浦に番手に入られる不運もあって8着に終わったが、気合い満点の走りを披露した。2月の全日本選抜も優出こそならなかったが連日の主導権取りで準決まで勝ち上がっており、今大会も新山響平といっしょに北日本を引っ張っていくとともに自身初のGI優出も期待できるだろう。

根田空史 千葉 94期
南関東は機動力がありあまるほど揃っているが、前述のとおり勝ち上がり戦では千葉、神奈川、静岡での叩き合いが避けられないのが苦しい。もちろん郡司浩平と松井宏佑のいる神奈川が優勢だが、静岡には深谷知広がいるし、近況は千葉にも勢いがある。根田空史は全日本選抜では準決で敗れたが、一次予選は逃げて3着、二次予選も逃げて2着で準決進出、日本選手権も一次予選、二次予選を逃げての2着で準決進出を果たしている。岩本俊介もウィナーズカップと日本選手権で準決進出、日本選手権の特別選抜予選では平原康多の逃げを捲って2着に突っ込んでいる。

太田竜馬 徳島 109期
太田竜馬の近況はビッグレースで苦戦が続いており、ウィナーズカップでは一次予選で無念の落車、2場所欠場して臨んだ日本選手権も一次予選で6着と敗れた。しかし、その後は敗者戦でメンバーが軽くなったとはいえ、3日目一般は8番手から捲って上がりタイムは10秒9、4日目選抜も7番手から捲って10秒9、6日目特選も風速5.0mをものともせずに得意のダッシュ力で前団を叩いて堂々の逃げ切りと3連勝しており、今大会もうまくツボにはまれば大活躍が期待できるだろう。

山崎賢人 長崎 111期
山崎賢人も日本選手権では二次予選で4着と敗れたが、一次予選は7番手から捲って上がりタイムは10秒9とナショナルチーム仕込みのスピードを見せつけた。5日目特選も7番手から捲って11秒0、6日目優秀はナショナルチームの仲間である新山響平の逃げを4番手から捲り太田竜馬と同様に3勝を挙げている。これまでのビッグレースでは山崎は九州勢を連れてがむしゃらに主導権を取りにいくというのがお決まりのスタイルだったが、今後は捲りを多用して勝ちにこだわってくるのかどうか注目したい。

思い出のレース 2015年 第66回大会 武田豊樹
武田豊樹が俊敏な切り替えで6度目のGI優勝
平原康多-武田豊樹-佐藤慎太郎の混成ラインが前受け、単騎の石井秀治と岩津裕介が続き、6番手に脇本雄太-稲垣裕之-村上義弘の近畿ライン、最後尾に単騎の松岡貴久で周回を重ねる。赤板前の4コーナーから脇本が勢いよく上昇すると平原も合わせて前に踏み、赤板1コーナーで近畿3車が出切ると平原はすんなり4番手を確保、近畿ラインを追いきれなかった松岡が平原ラインの後ろに入り、8番手に石井、9番手に岩津の一列棒状となって打鐘を迎える。そのままの隊列で最終ホームを過ぎ、岩津が内を上昇して関東ライン3番手の佐藤を捌きにいく。続いて1コーナーから平原が仕掛けていくが、合わせて稲垣が番手捲りを打つと平原は村上をどかしにかかる。村上もしぶとく抵抗して両者がもつれると、すかさず武田が両者の上を踏んで稲垣後位に切り替え、最後の直線で稲垣を交わして優勝、稲垣が2着、岩津にすくわれながらも武田を追った佐藤が3着に入る。

表彰

ゴール

バンクの特徴
岸和田バンク5月31 日にリニューアルオープン
岸和田競輪場は19年7月から2年近くに渡る大規模改修工事に入っており、5月31日からのFI戦で再開される予定だ。その後は6月9日からFII戦が開催され、6月17日から高松宮記念杯が開催される。
バンク、選手管理棟、サイドスタンド、メインスタンドのリニューアルと、ほぼ一から造り直したといっていいほどの大規模改修なので、5月31日からのお披露目シリーズは必見だ。
旧バンクは直線が長めの高速バンクで、もちろん新バンクも現在の競輪界のニーズに合わせた高速バンクとなると思われる。しかし、できたてホヤホヤのバンクは表面上がきれいで走りやすそうに見えても、路面に対するタイヤの食いつきがよくなく重くなりがちなので注意が必要だ。
今年は全国的に例年よりも梅雨入りが早いようだが、19年6月に開催された高松宮記念杯では3日目が雨で風速4.0mの強風が吹く悪天候となった。今年も新しいバンクで雨の日があれば走りづらいと感じる選手がいるだろう。ちなみに19年の開催の決まり手は全48レースのうち1着は逃げが5回も捲りが13回、差しが30回、2着は逃げが3回、捲りが12回、差しが15回、マークが18回となっている。