『KEIRINグランプリ出場』をすべての選手が目指して頑張っています。出場したことない人は、一度は出てみたいと思い、一度走ったことのある選手は、またあの雰囲気の中で走りたいと思います。そこにしかない独特の雰囲気を味わえる場所なんです。
そのKEIRINグランプリ出場者第一号に、今年は久留米での全日本選抜競輪を優勝した福島県の渡邉一成選手に決まりました。決勝戦のレースは、先行する福井の脇本選手を新田祐大選手がカマシマクリを決めて番手の渡邉選手が抜いて優勝するという内容でしたが、こうなるにはなるべきしてなった結果のように思えます。
昨年の弥彦競輪での寬仁親王牌決勝戦でのことです。東北ラインは、新田祐大選手を先頭に番手渡邉一成選手、三番手伏見選手、四番手菊地選手という長いライン。誰もが新田選手が先行するのではないかと予想したと思います。四番手を固めるということは、限りなく優勝から遠ざかるということなのに、それを菊地圭尚選手はコメントとして出したからです。
自力で動ける選手がラインを固めるということ。それはいくらライン戦の競走といえどもそれなりの納得の結論だと思うのが普通で、ほぼ北日本ラインが先行だろうと誰もが予想したと思います。が、実際のレースで新田選手は、先行どころか見せ場も作れず終わってしまいました。
レース後、各々の選手はどう思ったんだろう…。今後の北日本の連携は…?
それから半年。GIの舞台でリベンジのチャンスが訪れました。北日本は、新田選手を先頭に番手渡邉選手、三番手は伏見選手から佐藤慎太郎選手に変わってはいたが、四番手にまたしても菊地選手。前回の反省を踏まえて、私は菊地選手は四番手を回らないとみていました。が、発表されたコメントは、またも北の四番手。「決まった!競走だから何が起こるかわからないが、120%先行は北日本だ!」。対する近畿の脇本選手も先行日本一と言っても過言じゃない選手ですが、ダッシュ力日本一の新田選手に、そのダッシュに離れずについていける渡邉選手。北日本で決まる予想ができあがりました。競輪は人間が走るものなので、予想には走る選手の性格も非常に大切な要素になります。ですが今回は性格よりも二度の失敗は許されないという気持ちの方が強かった走りだったに違いないと思います。
競輪が賭けの対象である以上貸し借りがあってはいけないですが、北日本が今後強くなっていくには、優勝した渡邉選手は。自分で優勝したとは思わず「ラインに勝たせてもらった」と思うことが最も重要だと思います。また先行した新田選手も、勝たせてあげたのではなく「強ければ抜かれることはなかったんだ。相手が強く勝たれたんだ。」と思い今後の練習に励むべきです。こういう気持ちを大切に持ち、練習に励み今後のレースにのぞんで来るようであれば北日本はますます強力な地区になっていくに違いありません。
そしてファンとしては、ますます楽しみな魅力ある特別競輪になっていくでしょう。
獲らせてもらった1着を自分で獲ったと勘違いしてる選手に「超一流」への道はありません。
周りもそれを分っています。
すべての選手に「超一流」を目指して頑張ってもらいたいと思います。
山田裕仁(61期 岐阜)
1968年昭和43年6月18日岐阜県47歳 GI6勝 KEIRINグランプリを3回制覇
その強さに「帝王」と呼ばれた 61期で同期は神山雄一郎
2014年3月に日本選手権競輪を最後に引退し現在は競輪評論家として活躍中