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今年もGIは残すは競輪祭となりました。いよいよ年末のグランプリ出場に向けて焦りを感じている選手もいるのではないでしょうか。獲得賞金のボーダーラインにいる選手は、一本でも多く走りたいから追加が欲しいと思っているでしょうし、残りの斡旋が記念とFIの違いで不公平だと呟いている選手もいるでしょう。まぁここまで来たらあまり細かい事は気にしないで、選手の皆さんは勝負師ですから競輪祭での一発逆転を目指して全力投球出来るようにしっかり調整してもらいたいです。

さて、先月行われた寬仁親王牌世界選手権記念トーナメントは稲垣裕之(京都)選手が涙、涙の優勝で幕を閉じましたね。 あの涙は、それはそれは高い壁を乗り越えるために努力、苦労を積み重ねてきたでしょうから半端ないぐらいの嬉し涙だったのでしょうね。 稲垣選手といえば、これまでに何度も何度も優勝するチャンスがありました。しかし神様は簡単には優勝させてくれませんでしたよね。その悔しさは半端ないものだったと想像出来ます。私も「無冠の帝王」と言われていましたから優勝出来なかった時の辛さは理解出来ているつもりです。ただ、私の場合は「力が無くて優勝出来ないんだ 練習するしか手はない」と思っていましたから、レース後も即集中して練習出来ました。稲垣選手の場合はチャンスをものに出来ない勝負弱さと見られていた部分もあるのでガッカリ感も半端なかったでしょうね。精神的ショックから立て直しての練習は辛かったと思いますよ。でも一度優勝することで次からは気分的にも楽に走れるようになるし、タイトルホルダーとしてのプライドも出てくるので、練習もやらなきゃいけないと積極的に集中して出来るようになり、ますます強く安定した稲垣選手を見られるようになると思います。 またファンの皆さんもそれを望んでいますから稲垣選手頑張ってください!

選手の皆さんは稲垣選手のように涙を流せる喜びを味わったことがありますか?ただ1着とれて嬉しい、優勝出来て嬉しい。その程度の喜びでは進歩はないと思いますよ。強くなるためには目標を持ってください。そしてその目標を達成するためにはどうしたらいいのかを考えてください。目標に向かって考え、考えたことを実行していく。その繰り返しで人は強くなっていきます。ただやっているだけでは意味がない。考えて努力!

目標を達成し嬉し涙を流している選手の姿が増えていくと、その数と比例して競輪人気がのびていくと思います。選手の皆さん今年も残り少なくなってきましたが頑張ってください!
山田裕仁(61期 岐阜)
 1968年昭和43年6月18日岐阜県48歳 GI6勝 KEIRINグランプリを3回制覇
 その強さに「帝王」と呼ばれた 61期で同期は神山雄一郎
 2014年3月に日本選手権競輪を最後に引退し現在は競輪評論家として活躍中