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 今年は、スポーツ界のスーパースターの引退が続きますね。浅田真央さんの引退を聞いてなんだか気分が暗くなり、そして今度は宮里藍さんの引退発表でまた少し気分が暗くなりました。
同時に「スポーツ」とは他人に元気を与えることが出来るものなんだ、とあらためて感じられる瞬間でもありました。

選手の皆さんも「モチベーションが保てなくなりました」と言わなきゃいけない日がいつか来ると思いますが、それまでは「人に感動を与えることが出来ることをしている」ということを忘れないで頑張ってください。

競輪界では、先日16年ぶりに東西対抗の勝ち上がり方式が復活して高松宮記念杯が開催されました。 勝ち上がりのレースを観ながら、各特別競輪(GI)ごとに特色を持たせることは非常に良いことだと思いました。
車券を購入する側になって、予想する際には選手の戦法や並び、選手の性格まであれこれ考えながら当たり目を推理します。東西対抗戦になると、普段連携している選手同士でも別線で戦わなくてはならなくなる場合があり、今開催でも西王座戦では稲垣選手を先頭に京都勢3人がダービー王三谷選手と別線で戦うというレースがありました。予想する側としては、どちらのラインが先行するんだろうか?別線といってもガチに先行争いするんだろうか??と、考えさせられ、その新鮮さがさらに興味を引くような気がしました。 昨今、特別競輪(GI)の売上が下がってきていますが、今後も各特別競輪(GI)ごとの特色をより全面に出していけば、ファンの方に新しい刺激、興味を持ってもらえるんじゃないかと思いました。

その高松宮記念杯では、吉田拓矢選手が先行するだろうと予想できたので番手の平原選手が優勝に近い位置にいるとかなりの人が予想していたと思います。結果は、新田祐大選手が豪快なマクリを決めて大会連覇を達成しました。レース前のコメントでは、「ここを目標にやってきたわけではない」と発言していた新田選手だけに、今後の活躍が楽しみになるレース内容でした。 ナショナルチームとして競技との両立に苦慮することも多いと思います。短期登録制度の選手を観ていてわかるように、まだまだ世界との脚力差が大きいことは確かです。その差を縮める努力は日本の競輪にもきっと役にたつと思うので頑張って欲しいです。

ここからは余談ですが、先日義理の父親が亡くなりました。その義父が私の子供達に亡くなる直前に「人生に悔いは無いよ」と言い遺したらしいです。 私は選手を辞める時に「やり残したことは無い、辞めてからも、もし生まれ変わっても競輪選手になることはない」と思っているぐらい悔いはありません。ですが、我が人生において「悔いは無い」と言えるだろうか? そんな自信は無いと感じ、1日1日を無駄に過ごして何しているんだろう?と反省させられました。

選手の皆さんにおいても、1レース1レースに「悔いの無い」レースが出来るように心がけてもらえればと思います。
山田裕仁(61期 岐阜)
 1968年昭和43年6月18日岐阜県48歳 GI6勝 KEIRINグランプリを3回制覇
 その強さに「帝王」と呼ばれた 61期で同期は神山雄一郎
 2014年3月に日本選手権競輪を最後に引退し現在は競輪評論家として活躍中