特集

温故知新
2018年の競輪界を占う!
競輪解説者の重鎮・山口健治氏、佐々木昭彦氏、坂本勉氏の新春座談会
各地の現場を見ている山口健治氏、佐々木昭彦氏、坂本勉氏の三方に2017年を振り返りつつ、2018年の競輪界について本音トークをしていただきました。
どんな事が飛び出してくるのか。皆様お楽しみください!
○2017年を振り返って見ましょう。
まずは2017年の全日本選抜競輪から見て行きましょう。


坂本勉(以下坂本) 「その前の2016年の競輪祭から平原康多、武田豊樹という鉄壁ラインが優勝して、勢いがそのまま地元関東の取手で平原が優勝して、2017年初めのGIを見ると2017年はこの二人でどれだけタイトルを獲っていくのかなという思いがあったんですけどね。磐石なレースで安定感もある平原が獲ったので。それぐらい勢いを感じました」


山口健治(以下山口) 「そんな感じですよね。安定感が平原には出てきましたよね。前半戦はレースの巧さがありました。それがどこまで続くのか難しいですよね競輪は。」


佐々木昭彦(以下佐々木) 「平原中心で、全日本選抜から始まって。新田祐大がナショナルチームのトレーニング方法で変ってきたなという感じがしましたね。
あっという間に平原中心から、新田に変わってきたなという感じがしました」

全日本選抜表彰
3月には新設された第1回ウィナーズカップが高松で行なわれましたがみなさんは取材されていてどのように感じましたか?
坂 本 「決勝は新しい顔ぶれになって郡司浩平選手が優勝したんですけども、スピード化がされて来たという感じですかね。やっぱり捲りの鋭いものが乗って来た中でね。平原が安定感で決勝には乗っていたんですけども、競輪はスピードにこれからは変わってきたかなという、時代が感じられる展開かなと感じました。」
山 口 「そんな感じがしましたよ。やはり若手の郡司が優勝したじゃないですか。あ、これからは若手の時代かなっていう感じかな。平原とか武田も村上義弘も強いんですけど、若手が出てきた感じがしましたね」
佐々木 「ウィナーズカップの選考基準というのが、1着が多い選手ですから、そのようなところも、結構、若手の励みになってのではないかと思うんですよね。ウィナーズカップに出たいということで、それとウィナーズカップで名前を売りたいという感じで。良かったと思います」
山口・坂本 「良かったよな」

ウィナーズカップ表彰
ゴールデンウィークに移った日本選手権競輪ですが、ここでも若手の三谷竜生選手が優勝しました。
坂 本 「そうですね。ウィナーズカップの勢いがあったというか、やっと100期台がGI獲って、これからこういう100期台が顔なのかなという感じですよね。ある意味、競輪界の為に三谷くんが優勝した事はよかったような気がします。これで若手にもチャンスがあるんだなというのが見えてきたという感じですよね」
山 口 「三谷なあ、」
佐々木 「やっぱり100期台の選手にとって、坂本君がいうように励みになった一番でしょうね。同じ奈良県の選手に聞くと三谷が優勝した事ですごく励みになったと言っていましたし、奈良だけではなくて近畿の選手ですよね。近畿がなんか強くなったという気がしますよね」
その後ちょっと三谷選手は調子を落とした感じがありましたが。
坂 本 「やはりプレッシャーなんでしょうね。GIを獲ったという事で、ある程度成績を残さなくていけないという事で。ちょっと強引過ぎて落車など怪我をしてしまった感じでしょうね」
山 口 「競輪選手は怪我に強い人と怪我に負けちゃう人がいますからね」
佐々木 「健治さん、怪我して鎖骨とかは?」
山 口 「最初の頃は骨折とかなかったのよ。だんだん脚力が落ちて来てから。恵まれて鎖骨は左右一回」
佐々木 「僕もあまりなかったですね。結構落っこちていたんですけど」
また日本選手権競輪で深谷知広選手はどのように感じられました?
坂 本 「予選とか、初日二日とかは2走とか深谷はカマシとかで強さが光っていたんですけど、後半になるとあの走りなのでその疲れが出ているような感じかなというのと、あと、ラインを気にして走る選手なので。自分が獲りたければ獲るような走りをしてもいいと思うんですけど、ライン全員で決まるようなレースをしていたので、後ろに喰われたり、早めの仕掛けになったりして優勝が取れないレースになっているのかなと見ていましたけどね」
山 口 「深谷はね、勢いが良かったけど、3年ぐらい前か、鎖骨を折ってリズムが悪くなってしまったなという感じがありますよね」
佐々木 「しかし今は体を見ても、すっごく締まってて、自転車もサドルの鼻がかなり上っていたのが、平行になって。バランスが良くなった分、前までちょっと振られたら、パッと止めたのが、粘ってずっと行ってますよね。深谷に関してもナショナルチームで色々なトレーニングを積んで、また体の色々なケアもやって、その分よくなってきているのかなと思いますよね」

日本選手権競輪表彰
岸和田での高松宮記念杯競輪はいかがだったでしょうか? 優勝は新田選手でした。
坂 本 「もうとにかく、新田の強さというか、スピード、ダッシュの強さが、ただただそれが出たレースでしたね。それから、これから新田時代になるのかなという予感がありましたよね」
山 口 「あの時は捲りか、成田和也が付いて北日本でワンツーと、成田も良く頑張った高松宮記念杯でした」
佐々木 「新田が目立ち始めたのが、宮杯あたりですよね。脚を溜めて一気に捲ったスピード、あの後から坂本君がいうように新田時代がきたなと思います。ナショナルチームと競輪と両方頑張っているというイメージで。世界を駆け巡って、また日本の競輪でも活躍するのは大変ですよね」
山 口 「本当に大変だと思いますよ。海外遠征してきて、帰って来てまたトレーニングしながら競輪に出て。それでも勝てるんだから大したものですよね」
坂 本 「やっぱりあれは好きじゃないとやれないですよね。本当に自転車を愛していなかったら、こんなハードスケジュールをやれないと思いますよ」

高松宮記念杯競輪表彰
夏の夜の祭典サマーナイトフェスティバルが行われましたがどの様に見えていました?
坂 本 「スピード化になって、新田時代ですよね。新田が強過ぎるので、誰が新田に対抗してくるかという感じでした。とにかく後ろを離しているという印象があるので、ある意味新田の後ろは嫌だというのもありますよね。新田が可哀想だという訳ではありませんが、後ろが離れるとレース展開は苦しいものはありますよね」
山 口 「新田の捲りについて行けるのは渡邉一成だけ?」
坂 本 「成田とかトップスピードがある選手ぐらいだけですからね。それが3番手を回るとなると本当について行けるの?という感じですよね。外国選手の後ろに付いているみたいなものですからね」
佐々木 「またね新田選手のトリッキーな動きもありますからね」

サマーナイトフェスティバル表彰
一年を通してガールズ選手を見ていかがでした?
3 人 「児玉碧衣だよね!」
佐々木 「普通の開催の時は、力の差がありすぎて強さが光ったんですけど、ガールズケイリンコレクション、ガールズグランプリとなるとその力の差が縮まってくると位置だね」
坂 本 「児玉はダッシュがいいので、後ろを悉く離して勝ってる印象が多いんですけど、2017年は捲りもやるんですけど、先行を結構する様なイメージで。力を付けているなという印象がありました」
山 口 「どうしても先行で戦っているのは奥井迪なんだよね。高木真備も行くんですけど、先行で勝負していくのはこの二人かな。児玉も居るんですけど、大きな大会になるとこの二人が戦っていますね。奥井が先行意欲が高いですよね」
坂 本 「自分のスタイルを変えないですよね。大きな舞台でも変えないでやって来るのが立派ですよね」
佐々木 「新しい太田りゆとかね、良い選手がどんどん出て来ていますよね。2018年のガールズグランプリが楽しみですね」
ナショナルチームの都合上ガールズケイリンに走る機会が少ない小林優香はどの様に見られています?
坂 本 「食事面とか節制して、体もすごく絞れて来たみたいで動きも良くなってきていますからね。今年のガールズグランプリで見たいですよね。小林が出てきたらまた一段と激しいレースになると思うので面白いと思いますけどね」

ガールズケイリンフェスティバル表彰
いわき平のオールスター競輪に移りましょう。優勝は地元の渡邉一成選手でした。
山 口 「オールスターも時期がかわって、真夏のお盆の時期になりました。そこで渡邉一成が優勝しました。新田の動きに乗ってそれから抜いているんだよね。福島勢二人で地元で盛り上げちゃった感じだよね」
佐々木 「平原、武田が少し体調が悪かった感じもありましたしね」
山 口 「地元勢2人が盛り上げた感じでしたよね」

オールスター競輪表彰
共同通信社杯は武雄競輪場で行われました。佐々木さんの地元バンクでもあります。
山 口 「武雄はいいところだよね」
佐々木 「リニューアルして綺麗になって大勢のお客様に来ていただきました」
山 口 「武雄は高校生の時のインターハイに行ったきりなんです」
佐々木 「インターハイの後に国体があったんですよね」
山 口 「あの時は行き方がわからなくて苦労しましたよ」
優勝した諸橋愛選手についてはいかがですか?
佐々木 「諸橋は自分の信念をずっと貫き通したね。とにかく厳しい攻めでやっと勝ち取った優勝ですね。あれ40歳で、その後も頑張ってグランプリの出場権を獲ったんですからすごいですよね」
山 口 「あの頃諸橋ね、夏ぐらいから優勝も多くなってきたし、着も安定する形で戦いました」
佐々木 「弥彦記念が良かったですよね。あれで勢いづいてグランプリまで来ましたから」
坂 本 「あの決勝では初めて、決勝で(渡邉)一成が前回りの新田が後ろだったんですね決勝。色々な作戦とかあったと思うんですけど、その前のオールスターで一成が優勝しているから、その逆である程度引出し役で一成が行って新田が優勝かなと思っていたんですけどね。展開もある程度そういう感じになったんですけど。ね」
佐々木 「村上がいたからね、村上がそういうことはさせないという競走だったね」
山 口 「それが競輪ですから」
坂 本 「見ていてそれはそれで面白かったですよ決勝は。人間の心の入ったドラマみたいなものがありますから」

共同通信社杯表彰
10月に入って前橋で行われた寬仁親王牌ですがオールスターに続いて、渡邉一成が優勝しました。
佐々木 「決勝は福島ワンツースリーでしたよね」
山 口 「そして新田の捲りについて行くのが渡邉だよね。あの2人はドーム走らせたら相当違うと思うんだよね」
坂 本 「ドームの走りは慣れているし、すごく踏み方が違くて、トップスピードをもっていますからあの2人は。成田も競技やっていましたから、そういう感じで3番手でよく付いて行ったし。あそこで思ったのは新田がそれまではどっしり構えて捲りをやる感じが多くみられたのが、あの親王牌から先行もするし、一回動いて位置を取るようになって来ましたよね。あそこでちょっと変わってきたなという感じでしたよね新田の走りが。余裕が出てきたんでしょうね1本獲っているってことでね。それでまた成績が良い方になってきましたよね」

寬仁親王牌表彰
そして2017年最後のGIの競輪祭ですが、また新田が優勝しました。
山 口 「ドームですから。最後はあの勢いで捲りに行ったわけじゃないですか。スピードが違かったもん新田の捲りは」
坂 本 「やっぱり競輪界はこれから技術もそうだと思うんですけど、スピード化の方がリードして行っていますね成績を残して」
佐々木 「2着に来た北津留翼も競技的な面ではそれまで頑張っていたもんね」
坂 本 「そうですね。だからトップスピードを持っている選手がドームとか強いし、これからのレースの流れとして、若手もそうなんですけど、スピードがある選手が成績を収めて行くのかなという感じですかね。ギアも今マックス3.93ですから、それをしっかりと踏み切れる選手が出てくると強くなってくるのかなという感じですかね」

競輪祭表彰
まとめに移りたいと思います。それでは皆さんから見られた各地区の状況を教えてください。
坂 本 「北日本地区は自力選手が多いのと、良い原石の自力選手がいっぱいいると思うんですよ。特別とか自力選手は良い選手がいっぱいると思うんですけど、本当のこちらのお二方のような真のマーク屋がいないのかなと思いますね。競輪選手が強くなるには、良い先行選手がいて、良いマーク屋が育つ。良いマーク屋がいて良い自信をつかせる先行選手が育つので、これからは北日本で良いマーク屋が出てきて欲しいですね」
山 口 「今の坂本さんがドンピシャですよ。追い込み屋、マーク型が先行選手を育てますからね。関東は先行型が少ないんですよ。先行より自在型。平原を筆頭にね。レースの上手い木暮安由もいますよね。木暮はGIの決勝まで行くんですけど、その先だよね。優勝に近いところまで行くけど、もうちょいかなと思いますよね」
九州はいかがでしょうか?
佐々木 「九州というよりも、四国が、徳島の太田竜馬、島川将貴や、愛媛とか良い107、109、111期とすごい選手が出てきているんですよ。そういう選手が育てばその地区は盛り上がって、西地区が盛り上がるんですよね。九州も盛り上がる、中国も盛り上がります。今年に関しては期待はしていますね」
中部、近畿はいかがでしょうか?
山 口 「中部、近畿は重鎮・村上義弘、稲垣裕之がいますけど、若手が結構出てると思うんですよ。特に大阪の古性優作。レースが上手いよ。強引さもある。競輪選手向きだと思うんですよ」
佐々木 「石塚輪太郎、南潤ですね」
山 口 「和歌山の南も良いね。育って競輪界が盛り上がって欲しいよね」
そして2018年ですが誰が活躍するのか選手をピックアップしてください。
坂 本 「去年ワールドカップチャンピオンになった脇本ですね。そろそろ特別獲ってグランプリに出て良いと思いますよ。今まで近畿の先輩達を引っ張ってきて。ちょっとぐらいは良い思いをさせてもらって、グランプリに出てもらいたいですね」
山 口 「関東は期待するのはちょっと少ないんですよね。特に東京もそうなんですけどね。北日本はね坂本さんが先ほど言われたように、新田、一成がいますけど、若手が徐々に上がって来ると思いますよ」
佐々木 「僕は古性ですね。西の方では古性が一番安定してくるような戦い方をするのではないかと思います」


2018年のグランプリは誰が乗ってくるのか予想してください。
坂 本 「去年の安定感からいったら新田が確実に乗ってくる感じですけど、先ほど言った脇本あたりが本当に特別を獲って出てもらいたいですね」
山 口 「やはりね平原ですよ。安定感ありますからね競輪上手いし、若手ではないんですけど、今年十分に活躍できると思いますよ」
佐々木 「先ほど言った古性、そして原田研太朗ですね。先ほど言った四国の選手が伸びてきているんで、やはり一緒に切磋琢磨してくると思うので原田が乗ってくると思うんですけどね」


今競輪界ではお客様に楽しんでいただけるように様々な試みを行なっています。エボリューション、ブロックセブン、モーニング、ミッドナイト、短期の外国選手なども含めて皆さまはどのように感じられていますか。
佐々木 「競輪も7車の方向に変わってきているのかなという感じがします。そしてまた1日通して競輪が買えるというのは、一つの楽しみでもありますよね」
山 口 「朝早くから夜ミッドナイトまでね」
佐々木 「武雄でも、朝早くからモーニングやって、夜ナイターやって、ミッドナイトは家で買って貰って。モーニング7というのがすごく売れているんですよね」
山 口 「すごく楽しそうじゃないですか。ブロック7もそうですが、今7車立ての競輪が多くなりましたよね。それも良いんですけど、私は9車からやっていますから、7車でやると強い選手がみんな勝っちゃいますからね。5番手、6番手の位置がありますから、すぐ捲り上げて行く。力のある選手が勝てるのが7車だと思うんですけどね」
坂 本 「よくファンの方も人数が少ない方が当たる確率がいいから7車の方を買うという人をよく聞きますけどね。それはそれでいいと思うし、先ほど健治さんが言われた通り、7車だと力勝負で勝敗がわかると思うので推理しやすいのではないかと思うんですけどね」
山 口 「簡単だもん。若い時7車立てだったら位置要らないもん。引いてピューって捲って終わりですからね。9車立てで35連勝(坂本勉氏が記録)ですから、7車立てだったらその倍ぐらいはいっちゃうますよ。それぐらい位置取りも簡単だもん」


短期登録の選手たちを見てどうでした?
坂 本 「世界の競技でも強い選手がきているので、そこは世界の実力が見られていいと思うし。最初、後ろを千切って勝っていたレースが多かったですけど、さすが日本選手ですよね。後半になると結構外国選手も負けているレースが多く出てきましたよね。そこは車券的に推理して面白いですよね。日本人選手のレベルも上がると思います。またトレーニングや色々な事が聞けると思いますし相乗効果があると思います」


企画レースとしてリベンジマッチがありましたがそれはどうでした?
山 口 「同じ選手が斡旋されて戦うレースですよね。お客さんが喜んで頂ければいいですけどね」
佐々木 「お客さんが覚えてくれていればいいですけれども。毎回、毎回違うメンバーでやるから覚えているのかな」
坂 本 「選手側からしたら、毎回毎回必死ですからね。もう一回同じ選手が勝つということはないと思います。選手は必死で走りますから」


最後に皆様の2018年の抱負をお願いします。
坂 本 「少しでもお客様に的確な情報を提供して、車券に貢献したいと思います」
山 口 「抱負としては。大レースでも観て、車券がうまく当てるようにしたいと思います。いい情報があればお客様に提供したいと思います」
佐々木 「若い選手がどんどん強くなって、それを私達がファンの皆さまに紹介できるように、競輪界が盛り上がってくれればなと思っています」
ありがとうございました。