悲し涙より嬉し涙!
あっという間に冬のオリンピックも終わってしまいましたね。オリンピック開催前は、'いったい日本はいくつの金メダルを獲得出来るんだ'と相当盛り上がっていたような気がしますが、開催の序盤では何となく'あれ?'という空気が流れていたこと覚えていますか?
男女共にスキージャンプでの期待値が大きかったために不穏な空気が流れていたのでは?
終わってみればそんなことをも忘れてしまうようなお祭り騒ぎになる結果を出してくれました。小さな島国日本人の力が世界で通用するという姿をみせてくれた選手達、改めて'感動をありがとう'、そしてご苦労様でした。
このオリンピックを通してアスリート側から見てやはり素晴らしいと思えたことにいくつか触れてみたいと思います。その一つはピーキング力(調整能力)の高さです。4年に一度の大会を絶好調で迎える能力が各国の選手共に素晴らしいと感じました。大怪我をして、本番での出来栄えを心配されていた羽生選手が金メダルを獲得したことは皆さんもご存知のことですよね。いくら痛み止めを打って出場していたとしてもその痛みはごまかせなかったと思いますよ。今だから言えますが、私が現役の時一度だけ鎖骨骨折しているのに最低出走回数に足らなくなる為に痛み止めを飲んでまで走ったことがあります。結果は9・9・8。 その経験から、この集中力の高さとしっかりケガを治して完走しきる、しかもメダルを獲る所までの力を発揮出来る調整能力の高さには感動させられました。これは嬉し涙です。
そして次には、日本人が得意にしている'団結力'です。個人の能力を集結して総合力を最大限発揮に発揮出来る力です。以前、日本の自転車界でもオリンピックチームスプリントでメダルを獲得しています。これと同じようにスケートでもパシュートという競技で金メダルを獲得してくれました。しかもオリンピックレコードのオマケ付きです。個人個人の力を観れば、オランダチームはメダリストの集まりです。しかし空気抵抗や交代技術等、日本の研究能力と努力は素晴らしい物がありました。その結果が金メダルに繋がったと思います。夏のオリンピックの時に400mリレーでメダル獲得した時と同じような事が言えますよね。個人個人の力が劣っても、ある意味技術力でカバー出来るという良いお手本があったのではないでしょうか?
これは日本の競輪でも個々の力は劣ってもラインの力で勝てるということに繋げてもらいたいと思います。
冬のオリンピックに出場経験のある選手も競輪界に転向してきています。
競輪学校受験には、自転車経験の無い人が受ける適性試験という制度があります。私も高校までは陸上部だったので適性試験で選手になった一人です。
適性出身者でタイトルホルダーが多いのはなぜでしょうか?それは、基礎体力作りをしっかりやっているからだと思います。私が陸上部の練習から自転車の練習に変えて思ったこと、それは練習がトータルで楽だったことでした。冬のオリンピック経験者が何人か競輪界に入ってきていますがきっとその選手達も私と同じこと思ってると思いますよ。
今回のオリンピックでメダルラッシュだったスピードスケートのコーチは一番の敵であるオランダから呼んできた人でした。そして300日以上も一緒に練習、合宿するには費用がかかります。予算集めも大変だったと思います。時間をかけて練習してきた結果が今回のオリンピックでした。この自転車界もようやくですが徐々にこの行動に近づいてきている努力をしています。
今まで何度も言ってきましたが直ぐに結果が出るなら誰も苦労はしません。
メダリスト皆さんが口にしていた「協力してくれた人、応援してくれた人に感謝です」 この言葉を競輪選手の皆さんもよく理解して頑張ってもらいたいと思います。そして最後は'嬉し涙' に繋げてもらいたいと思います。
山田裕仁(61期 岐阜)
1968年昭和43年6月18日岐阜県49歳 GI6勝 KEIRINグランプリを3回制覇
その強さに「帝王」と呼ばれた 61期で同期は神山雄一郎
2014年3月に日本選手権競輪を最後に引退し現在は競輪評論家として活躍中