今回は、6月岸和田競輪場で開催された第69回高松宮記念杯競輪の決勝戦を振り返りたいと思います。
優勝は奈良のS級S班、三谷竜生選手でした。平塚ダービーに続いてGI連覇です。大選手に成長しました。しかし、まだまだ伸びしろは大いに感じられる選手です。今後も自身のタイトル量産と近畿勢の牽引役としても頑張ってもらいたいです。決勝戦ですが近畿勢は3車結束と強固なライン。それに対して関東勢も3車でしたが、茨城県の同県しかも師弟関係の吉澤純平選手と武田豊樹選手に群馬県の木暮安由選手が競り込みに行くという意外な並びとなりました。時代も変わりつつあり、競輪もルール改正等でレース形態も変わりつつあります。しかし選手は決して見失ってはならないことがあると思います。それはいつの時代でも「負い目なく勝負を掛け合って行かなければならない」と言うことです。個人的、感情的に捕らわれてしまうとゆくゆくは自分の首を絞めることになり、逃げ場がなくなり自分自身でせっかく見えてきた栄光への道を閉ざしてしまう事になる可能性があるのです。どの時代も競輪は人間が走るという事に変わりはないのですから、人と人との心の掛け合い、相手の心を動かせる器量も持ち合わせていないと仕事は上手くはいかないものです。挨拶や礼儀はもとより、【大義名分】という言葉をしっかりと掲げられる様に、普段からしっかりとレースで見せて周りを納得させるレースをしながら、これから仕事で掛け合うであろう相手に対して、引かせる理由も作っておく事も重要な事でもあるし、またどんなに点数が違えども、格が下で後ろに付いてくれるのが分かっている仲間に対しても、しっかりと気配りをして挨拶や礼儀など、配慮していく事が重要となります。お互い人間ですから気を使われる事は嬉しいものです。気を使ってもらえたら使って返してあげたいのが人間の心理ですから、そこはお互い人間同士、本音と建て前を上手く使いこなして、争い事を起こさなくてもスムーズに勝ち取る事が出来る様に進めて行く器も、勝負師の中には備えておかなければなりません。競輪選手の大変な所は、レースが終わると、明日のレースの番組が直ぐに出てくるので、汗も引かないまま明日の自分の戦法や位置をコメントしなければなりません。なので私は1日中、自転車に乗っている時も食事の時も常に「このメンバーならこの位置主張が自然か」とか「この選手の前に回るならもっと競るレース又は先行や捲りを出しておかなければならない」とか先の先までシミュレーションしておいて、考え方に一貫性を見せられる努力をしていました。競輪選手の仕事は1日24時間365日気の抜けない過酷な職業でもあり、奥の深い素晴らしい職業なのです。