特集

 昭和23年11月20日、小倉で産声を上げた競輪は、昨年11月20日に発祥70周年を迎えた。長きにわたり競輪を支えていただいたお客様へ感謝の気持ちを込め実施した記念事業のミッドナイトフィナーレは、12月29日から31日の三日間で開催。初日にA級3班戦、2日目にA級1・2班戦、最終日にガールズ戦の単発記念レースをメインとし、熱のこもった闘いを繰り広げ平成30年のレースを締めくくった。
(各記念レースの出場選手は、2018年7月から9月のミッドナイト競輪成績上位者を中心に7名ずつをあっせん。)

ミッドナイトA級3班戦単発レース
 レースは、唯一ラインを形成した福永大智-鮫島康治が先頭。続いて植原琢也-一ノ瀬匠-夏目新吾-薦田将伍-三浦綾の並びで周回が進む。残り2周のホームストレッチで薦田が上昇を開始し三浦が追走。そのまま誘導の後ろに入ると、薦田の仕掛けに合わせ動いた夏目が2コーナー付近からスパートし打鐘をむかえる。主導権を握った夏目の動きに乗じた植原、3番手に薦田そして三浦、福永ライン、一ノ瀬とつづく。最終ホーム手前、福永が猛然と踏み出し主導権を奪いにかかる。追走の鮫島が福永のダッシュに少し離れ車間が空くとすかさず植原がスイッチし福永の番手を確保。レースはペースアップした。最終3コーナー過ぎ、挽回したい鮫島が3番手薦田の内に斬り込み2番手までポジションを進めるが、スピードに乗った福永の好位から踏み出した植原がゴール前で福永を捉え1着入線。2着には薦田、3着には粘りを見せた福永が入った。

 冷静な判断と俊敏な動きで優位にレースを進め2018年最後の競走を1着で終えた植原琢也は、「レース序盤、前々に位置をとろうと思っていたんですけど、スタートで3番手をとれたので落ち着いてレースを見られました。残り1周で、福永選手がくるだろうと思っていたところいい勢いできて、このスピードだと後ろも離れるのではと思い、すかさず追走しました」「一発レースで、今回単騎が多かったんですけど、大学時代競技をやっていて単騎のレースは慣れていたので落ち着けたかなと思います」と振り返った。
そして、「昨年は、デビュー戦からしばらく準備不足というか、自分の考えの甘さみたいなものを突き付けられ悔しい年でした。自分に何が出来て出来ないのかを思っている以上にレースでは把握できていなくて、無理矢理仕掛けたり仕掛けなくていいところで動いたりが多かった。最近、その出来ることの少なさや出来ることの確信のようなものが出てきたので、まずはそこをしっかり踏まえ、今年は19日からスタートでだいぶ空くので、8割ぐらいの状態に持っていって初戦を迎え、楽しいレースができ勝てる年にしたいと思っています」と、1年を振り返ると同時に今年の抱負を語った。

ミッドナイトA級1/2班戦単発レース
 レースは、森山智徳-栗田貴徳-中石昌芳のラインが誘導員の後ろをとり、そのあとに馬場和広-磯島康祐-北川大五郎-藤井昭吾とつづき周回を重ねる。赤板をむかえ最後方からゆっくりと上昇を始め先頭を伺う藤井にそれを追走する馬場。徐々にペースが上がり藤井が主導権を握り打鐘。藤井-馬場を迎え入れた森山はすんなり3番手の好位置で最終ホームを通過する。1コーナー過ぎ、森山が3番手から捲りを狙い飛び出すと馬場がけん制し仕掛けられず元の位置へ。バック過ぎ、後方から猛然とスパートした北川と森山の動きに影響を受けた栗田の内に切れ込んだ中石が前団に迫り直線勝負。なかなか詰まらない前走2人をギリギリかわした森山が1着。ゴール直前で粘る藤井を捉えた馬場が2着。態勢を立て直し森山を追った栗田が3着となった。

 途中まで作戦通りにレースを運び、今期S級復帰が決まっている森山智徳は、「スタートで前をとったら単騎の4人がレースを動かすかなと。あとはカマシか先捲りと思っていました。4人のうち誰かが先行して、さらに動いたところを番手か3番手で一緒に出て行こうと想像していたんですけど、すんなり3番手がとれたので逆によすぎると思ってしまってレースを見過ぎた感じです。自分のペースで思いっきり仕掛けていれば」「1着は良かったんですけど、今までやってきたことが台無しになった気はします。捲るんだったらしっかり捲らないとS級では話にならない。勝ちに行ってしまった感じがありますね」と反省点が口を突いた。
 そして、「昨年前半戦はほぼ先行で勝負できました。フレームが良かったので、先行しても残るような感じがあったし脚の調子も良かったが、後半戦は捲りにまわされることが増え先行できなくなっていた。意地でもちゃんと先行しなくてはいけないという感じがあります。G1に一回でも出場すれば格が上がる。歳も歳なので少しでも早く出場できる力をつけたいです」「今年は、S級1班を獲りたいです。そのための競走と脚力をつけたいですね。それと自力ばかりでは勝てない歳なので、番手の仕事もできるような形をとりたいです」

ミッドナイトL級単発レース
 スタートで飛び出した梶田舞が前で受けつづいて小林莉子-坂口楓華-山原さくら-細田愛未-土屋珠理-増茂るるこの並びでレースが進む。赤板、後続の動きを警戒してか3番手の坂口が速度を緩め2番手の小林との車間を空けはじめ、つづく山原も坂口との車間を少し空け様子をうかがう。そのまま打鐘をむかえレースが動きだす。前団との車間を徐々に詰めながら主導権獲りに動く坂口が最終ホームで先行、乗じた山原が勢いそのままに2コーナーで坂口を叩いて先頭にたつと3番手以降は並走状態。内に梶田、小林。外に細田、土屋が位置する。先頭に立つ山原を追って梶田が切り替えそれに小林がつづく。3コーナー過ぎ、最内で坂口は粘りの走りで食い下がるが、勝負は山原を追った勢いで4コーナーを立ちあがった梶田と追走した小林の一騎打ち。ゴール直前で梶田を捉えた小林が1着。わずかに差された梶田が2着。3着は山原となった。

 序盤から終始梶田をマークするレース運びで勝利を手にした小林莉子は、「初手2番手。打鐘からペースが上がって坂口選手が仕掛けて出るその上を山原選手がすかさず叩いて、さらにペースが上がっていくのできつかったんですけど、落ち着いて自分の行けるところからって決めていたので、ゴール前3番手からでしたけど差せて良かったです。最終3コーナーに入ったくらいが結構いい速度だったので、これは差せるかなと。気持ちに余裕があったと思います」と、振り返った。
 そして、「昨年は、簡単に勝たせてもらえない苦しい一年だったと思っていたんですけど、最後の最後7連勝で締めくくれ、そして好いメンバーで走らせてもらってかなり良い収穫になったなと思います。今年が勝負、ガールズケイリンコレクションを1つ獲りたいと思って練習やっているし、地元開催のガールズグランプリに絶対出たいので、しっかり気持ちを作って頑張ります」と、抱負を語った。