特集

月刊競輪WEBをご覧の皆様、後閑信一です。
今回は今年私が注目している2人の選手について触れてみたいと思います。
まず1人目は長崎県・山崎賢人選手です。私が山崎選手のレースを気にし始めたのは、今から2年位前になります。
山崎選手は最強軍団111期生の在校2位の実力者。乗車フォームもスピードが上がるに連れて頭が下がり脚も根元から振り上がり、ペダルの打点の位置も高い。乗り方も力任せではなくしなやかで力強い!競輪競走がしっかりと出来ている選手だったからです。
競輪競走が出来ているというのは、大体の先行、捲りの自力選手は、レースの緩急を無視してスパートしてしまいます。多くの新人選手はラインの先頭VSラインの先頭同士でスプリントレースをしてしまい、その結果ラインの2番手、3番手の選手は仕事どころか、たまに離れてしまう場面もあり、ラインが崩れてしまうレースを多く見受けられます。
その点、山崎選手は競輪競走の走り方が無意識な対応能力なのか?自然にレースの緩む瞬間をしっかりと予測して叩きに行くレースが出来ているのです。そしてレースに勝って引き上げて来た際にも決して高ぶらず、あまり呼吸も乱さず飄々としている様子が、一喜一憂する選手が多い中で最近にいないタイプです。周りに惑わされないこの選手は楽しみだ!と私は気になっていました。
彼はみるみるうちに成長し昨年はGIオールスター競輪初出場でなんと決勝戦にまで進出したのです。そして次のGII共同通信社杯競輪でも3連勝で決勝戦に進出!一気にスターダムにのし上がりました。彼の勢いは衰えずその後もGIII取手記念もあっさりと完全優勝を成し遂げたのです。その勢いは同地区で「今、最もタイトルに近い男!」として注目を集めていた佐賀県・山田英明選手の存在が薄くなる程、強烈なインパクトを与えてくれました。これは山田英明選手はじめ九州勢にとっては、勢力がグッと強くなる訳ですから「今を頑張れば!チャンスはくる!」と各選手モチベーションも上がっているのではないでしょうか!今後の九州勢は山崎賢人選手の活躍で大きく、競輪界の勢力図に影響を与える存在である事は間違いないです。今年も山崎賢人選手が楽しみです。
そして次に私が注目をしている選手は徳島県・太田竜馬選手です!109回生スーパールーキーとして飛ぶ鳥を落とす勢いでS級上位まで駆け上がり当時は「太田竜馬のトップスピードが時代を変える!」とまで言われていました。私も同感!そう思います!そのくらい太田選手のトップスピードを生かした捲り脚は光り輝いて、競輪界でも五本の指に入る程だと私は思っています。
太田選手も昨年は山崎選手同様GII共同通信社杯競輪決勝に進出し、次のGI競輪祭でも連日、目の覚める捲りで決勝に進出を果たしました。しかし、太田選手はその2つのビッグレースで最大の弱点(課題)が浮き彫りになってしまったのです。それは、「自分で踏みあげてスピードを上げレースを作る力がないこと!」その自信の無さが、共同通信社杯では清水裕友選手の前で自力宣言するも勝負どころで内側に進路をとり、小細工する様なレース、村上義弘選手と接触してしまう結果になってしまい、競輪祭では脇本雄太選手と平原康多選手を相手に赤板で一瞬だけ顔を見せただけで、その後は後方で全く見せ場なく終わり、本人が一番悔しいとは思いますが、あのレースは見ている側も悔しく残念なレースとなりました。
しかし逆にポジティブに考えれば、この課題をクリア出来れば必ず太田竜馬選手は一皮むけて本格化する!と私は思っています。そして今年に入り、太田竜馬選手が変わりました!赤板からでも積極的に主導権を取りに行くレースが目立つ様になったのです。しかもラインが4人いれば4人を出し切る先行をして「これぞ四国の先行スタイル!」を見せつけるレースが光ります!そして流石なのは結果がすぐに付いてくる所!今年の高松記念では山崎賢人選手とのバトルを制して記念初優勝を果たしました!そんな太田竜馬選手の活躍無くして四国の発展は無いと思っています。そこへ今後、S級S班で山口県・清水裕友選手も加わり中四国ラインが形成された時には巨大な勢力となり、今後の競輪界の勢力図が変わってくると思います。現在強固な近畿勢に対抗する勢力が手薄な中で、九州勢と四国勢は今後、目が離せない地区となります。更に南関東勢、関東勢、中部勢、東北勢がいかに勢力を強めて来るかでこれからの競輪界の復活劇が期待出来るのではないかと思っています。選手の皆さんの活躍と今年の競輪界に注目したいです。山崎賢人選手と太田竜馬選手!この2人の活躍と戦いはラインとしても個人としても今後が楽しみです。