月刊競輪WEB|KEIRIN.JP
平成最後のGIIウィナーズカップが私の地元大垣で開催され無事終了しました。 優勝者は、先行日本一と言われている脇本雄太(福井)選手の圧勝。 脇本選手は、来年の東京オリンピックに出場、いや、メダル獲得を目指してナショナルチームに在籍し世界大会参戦やナショナルでの練習のため国内でのレース参加はこの大会が今年初参加でした。 久しぶりの日本の競輪ということを感じさせない連日の圧勝(準決勝こそ2着に負けていますがこれは展開のあやと言ってもいいでしょう)。 上がりタイムもよく、展開に恵まれて勝ったのではなく実力で勝利したというべく四日間の勝利なので圧勝という表現にさせていただきました。 脇本選手の次走は、日本選手権ということですが、この日本選手権も優勝に一番近い男でしょう。
さて、このウィナーズカップでの注目選手といえば当然SS級の選手達なので少し振り返ってみたいと思います。 まずは決勝戦にも乗って2着と健闘した浅井康太(三重)選手は、前走松山記念で落車して、決してベストな状態での参加ではなかったと思います。でも脇本選手の番手の選手は連日離されていたのに決勝戦の浅井選手はしっかり追走、さすがSS級という走りを観せてくれたのではないでしょうか。 前回大会の優勝者武田選手は、未勝利で終わり、今年に入り1勝しか出来ていないことからもまだ時間はかかりそうな雰囲気です。平原選手は、最終日はしっかり勝ちきりシリーズも2勝して存在感はアピール出来たのではないでしょうか。 しかし、昨年のグランプリでの落車以後の記念GIIIでの優勝は無し。以前の威圧感は少し薄れている感じです。練習や研究熱心な選手なので気温の上昇と共に調子も上げてくるような気がします。 チャンピオンジャージを着ている三谷選手は、全日本選抜で落車してのケガからの復帰戦でしたが、未勝利で終わり、動き自体ももう少し時間がかかる印象でした。 村上義弘選手も玉野記念での落車によるケガの影響で本調子ではない中、気持ちのこもった走りは観せてくれたと思います。 村上博幸選手は、今年に入り記念優勝2回と調子を上げていると思いますが、初日に脇本選手の番手を回る機会があったため今後の課題もみえたのではないでしょうか。清水選手は、全日本選抜での落車で骨折しての復帰初戦でしたが、未勝利で終わったことからもまだまだ動きが悪かったです。
いつも言っていることですが、選手は落車等による怪我が無ければ最高な仕事だと思います。しかし、残念ながら怪我が付いて回るのも事実です。怪我をしてからどう復調してくるかということもプロとして必要なことですね。
業界として一強時代ではまったく面白くなくファンにも飽きられます。いつの時代も東西両横綱と呼ばれる人がいてその対決が観たいと思う人が増えるから業界も盛り上がってきます。スーパースターの出現が必要不可欠だと思いますが、そのスーパースターと勝ち負け出来るスターも必要です。
ガールズケイリンコレクションでもナショナルチーム所属の小林優香選手が今年国内ケイリン初参加にして国内常勝の児玉碧衣選手や石井寛子選手に勝って優勝しました。ナショナルに所属している選手は特別な人間でなく同じ人間です。ナショナル所属の人達は世界に目を向け上を観ているということです。これから始まる短期登録の外国人選手の強さを観ればわかるようにその世界レベルに近づこうと努力しているだけなんです。選手の皆様には現状に満足することなく常に上を見続け進化する努力をしてもらい、個々のレベルが上がることによりハイレベルなレースを提供してもらうことが競輪の発展にもつながるとウィナーズの決勝戦を観て改めて感じました。
山田裕仁(61期 岐阜)
1968年昭和43年6月18日岐阜県49歳・GI6勝・KEIRINグランプリを3回制覇。その強さに「帝王」と呼ばれた。61期で同期は神山雄一郎。2014年3月に日本選手権競輪を最後に引退し現在は競輪評論家として活躍中。