月刊競輪WEB|KEIRIN.JP
'2019年'、'令和元年' この新時代に記憶にも記録にも残る選手は誰になるのでしょうか?
令和の幕開け、5月を迎える前は「今か、今か」と、新元号の令和が待ち遠しくて仕方のなかったワクワク感も忘れてしまい、あの高揚感はまるで一昔前のことだったかのように時の流れるスピードをしみじみ実感しています。
令和を迎え、世間ではいろいろな出来事が毎日ニュース等でテレビを賑わしていますが、明るい話題が少なかったように思えているのは私だけではないのでは…米朝首脳会談により、今後の北朝鮮問題は解決の明るい方向をみていくのかと期待していたら、再びロケット発射訓練が再開されてみたり、米中貿易摩擦で株価は下落、日本経済にも大きく影響しそうな勢いで、このまま消費税増税しても大丈夫なのかと「時期見直し」の声もチラホラと。某政治家に至っては北方領土問題で問題発言も飛び出す始末。国技である大相撲では新大関・貴景勝の綱取りへの期待という楽しみをケガによる途中欠場で、夏場所の盛り上がりに水を差した感になっている。暗い話題ばかりが目につくわけですが、競輪選手達は明るい話題を提供してくれると期待しています。
私がデビューした頃の競輪は何かに例えるとあらゆる商品を揃える百貨店のようでした。それは、追い込み選手でもマーク技術、競りのテクニックをみがき、もちろん脚力を上げることも大切ですが、それにより、自分の回れる位置を作り上げていき、優勝に一番近い位置、最終4コーナーを番手で回ってこれるようになるという何かの積み重ねが必要だったように思います。また、追い込み選手でもグランドスラマーになれる時代でした。それが今の競輪は、専門店のように自力選手が優勝に一番近い位置で、自力選手が簡単に番手を回れる時代です。そう考えると、今年のグランプリは自力で戦える選手しか出場していないのかもしれませんね。現時点での特別競輪優勝者は、全日本選抜競輪の中川誠一郎選手(自力)、日本選手権競輪の脇本雄太選手(自力)、ダービー2着は賞金での出場が毎回近い位置にあり、これは清水裕友選手(自力)。そして今は脇本一強時代と言われていますが、この選手を追走していくのも相当脚力を必要としている状況で、ほぼ自力選手並みの脚力を持った選手が2着候補となっている。現時点での賞金ランキング上位者で追い込み選手と呼ばれるのは佐藤慎太郎選手だけです。この賞金ランキングを維持していくことも大変なことだと思います。このように年末のグランプリ出場に向けて折り返し地点が近づいていますが、今は自力天国の専門店に向かっているように思います。
山田裕仁(61期 岐阜)
1968年昭和43年6月18日岐阜県49歳・GI6勝・KEIRINグランプリを3回制覇。その強さに「帝王」と呼ばれた。61期で同期は神山雄一郎。2014年3月に日本選手権競輪を最後に引退し現在は競輪評論家として活躍中。