月刊競輪WEB|KEIRIN.JP
競技規則の一部改正以後初の特別競輪、高松宮記念杯が先日行われ、中川誠一郎(熊本)選手が2月別府開催の全日本選抜以来、今年2度目の特別競輪優勝を果たしました。全日本選抜競輪での優勝は、単騎での競走になりましたが、最終ホームで思い切りよくカマシて先行して逃げ切り優勝という自力での優勝。 この高松宮記念杯では、地区は違うが、脇本選手の番手を回ることが可能なメンバーになり、しかも先行の番手で最終4コーナーをむかえ差しての優勝。 実力だけではなく、強運も持ち合わせているところを見せつけた開催でもあったように思います。
2019年も早半年が経ち、もう後半戦がスタートしています。前半戦を振り返ると、脇本雄太選手の一強時代というインパクトが強いと思いますが、前記したように、今年の特別競輪3回のうち2回優勝している中川選手がいます。 なのに、なぜ中川時代を思わせることが出来ないのでしょうか? それは、やはり成績の安定感に物足りなさを感じてしまうからだと思います。大舞台に強いという勝負強さはもちろん必要ですが、調子悪い中でも上手く走るということもSS級と言われる人達には求められることだと思います。これは、中川選手がということではなく、今年前半の記念競輪優勝者で重複したのは、村上博幸選手が、松阪、奈良の記念優勝2回です。あとは、脇本選手のウィナーズカップと日本選手権優勝(脇本選手はナショナル活動のため特別競輪しか出走してませんが)という3人だけが2回以上の優勝者です。一昔前の記念競輪は、あぁ 優勝者はこの人だろうと想像出来る開催が多かった。今の記念競輪は、多数の選手が自分にもチャンスがあると思って参加出来てるのではないでしょうか?これは、違う目でみると、誰を負かしたら自分にもチャンスがあるのかわからない、ある意味目標がないのと同じ状態になっています。特別競輪に参加すれば、脇本選手を負かさないと優勝出来ないと思う開催が続くと思いますが、記念競輪では、運が味方してくれれば勝てるという開催が続くように思います。
ミッドナイト開催の売り上げが好調なことは最高だと思いますが、これは、本場にお客様を迎え入れることがないため、競輪場での従業員も少なくすみ、必要経費も少なく、利益追求には最高の形だと思いますが、テレビゲームと同じ感覚の競輪になることは寂しく思います。公共事業としての競輪開催は、地域住民にとっての雇用の場所提供にも一役買ってるのでしょうから本場が盛り上がるのが一番です。
今年の後半戦も「自力天国」、新ルールによる今のところの流れは、初日予選は力のある自力選手が別々の番組になるので自力選手が勝つというパターンが多く、二日目以降の負け戦は差しの決まり手が多く、上位レースは自力選手が活躍するというパターンが多くなるのでは…。
そして私の中部地区では、山口幸二さんの長男がデビューをむかえます。練習仲間によると「さすが幸二さんの息子さん、センスは抜群」とのことです。50をこえるおじさんがまだまだ頑張ってる中部、本当の意味でまだまだ頑張ってる山口富生叔父さんに負けないような活躍を期待したいと思います。
山田裕仁(61期 岐阜)
1968年昭和43年6月18日岐阜県・GI6勝・KEIRINグランプリを3回制覇。その強さに「帝王」と呼ばれた。61期で同期は神山雄一郎。2014年3月に日本選手権競輪を最後に引退し現在は競輪評論家として活躍中。