ワールドカップシリーズ開幕!第1戦モスクワ。
 
配信日:11月14日
 
 

 めでたーい!今シーズンは幸先がいいぞ!もう皆さんご存知ですよね。もう知ってるよと言われようがもう一度。日本の金子貴志選手がワールドカップモスクワ大会スプリントで銅メダルを獲得しました!このところ日本の競輪でも調子がよかったみたいですが、モスクワでも大活躍!その活躍ぶりは競輪らんどの大会レポートをご覧くださいね。
 さて待ちに待ったワールドカップ開幕戦でしたが、私、はっきり言って行く前からびびってました。寒さに弱いので。YAHOOの「世界の天気」なんか行く一週間前ぐらいから毎日見て、-7℃なんて数字を見たときは「身内に不幸があった」とか、「前歯が抜けた」とか「お気に入りの連ドラの最終回があるので」とか、いろいろ行かない理由を考えましたよ。しかし、一旦入国してみると、気温は思いのほか高く、それより寒さなんてどーでもよくなっちゃう状況がモスクワにはありました・・・・

 ひとぉ~つ。字が読めなーい!
ロシア語のアルファベットは通常英語なんかで使ってるアルファベットとかなり違うので、メチャメチャ苦労します。「これ、阪神のマークじゃないの?」とか「これ、“2ちゃんねる”の顔文字や文字絵でしか見たことないんですけど」みたいな字ばっかりでトイレなんか、「М」「Ж」って書いてあるんですが「う~む、普通に考えるとМが男だよなー。でもここはロシア。裏をかかれるかもしれない・・・Жは脚が3本あるように見えるし、3本足ってことは男???」とМとЖの間を行ったり来たり。明らかに挙動不審です。「電車男」のスレの住人たち、ロシア文字だって知ってて使ってたかな?
シ、シートン?ストップと読むらしいです。止まれねぇー!
<シ、シートン?ストップと読むらしいです。
止まれねぇー!>


 ふたぁ~つ。車の運転が地獄!
斜行、内外線同時2本切りなんかは序の口で、2車線の外側の斜線から左折(日本のイメージで言うと外側の車線から右折)しようとする車はいるし、2段階左折(お前「原付」かよ!)する車はいるし、中央分離帯のないセンターラインの上を乳母車押しながら歩いているおばさんはいるし(片側3車線ですよ!どこから入ったんですか!しかも赤ちゃんが危なーい!)で、驚きの連続です。後で聞いたら、横切る車がいないのに赤信号で止まってるヤツはロシアではウスノロ扱いらしいです。道路交通法遵法精神ゼロ。びっくり。
いつでもどこでも大渋滞。頭をねじ込んだものの勝ちです。
<いつでもどこでも大渋滞。
頭をねじ込んだものの勝ちです。>


 みぃ~っつ!融通がきかなすぎる!
当然、報道陣は「プレスセンター」で仕事をするのですが、通常IDがなければ入れません。そこで、まずIDを発行してくれるところ(アクレディテーションセンターと呼んでいます)に行って自分のIDをもらった後、選手がいるピットエリアなど場内を自由に行き来できるようになるのですがモスクワはこのアクレディテーションセンターがプレスセンターのなかにあった!!「なにがいけないの?」って思うでしょう。入り口に門番みたいな人がいるんですけどまず止められて「IDをみせろ」みたいなことを言われる。「はじめて来たからIDはない」というようなことをジェスチャーで言うと「では入れられない」と言われる。「アクレディテーション、アクレディテーション」とIDを発行していると思われる場所を指差して言うのですが「IDを持って来い」みたいなことを言われ「だーかーらー!あそこでIDをもらうんだよ!」って押し問答。志村けんの耳の遠い神様かなんかかと話している気持ちになります。そうしているうちに私が怒っているのを聞きつけて、なかから責任者らしき人が来てなんとか入れてもらえることに・・・。
  入ったら入ったで、お手伝いをしてくれる女性スタッフがたくさんいるのですが、ほとんどの人が英語をしゃべらない。ひとりだけ少ししゃべれるコがいて、しかもちょっとカワイイものだから、そのコに仕事が集中!記者やカメラマンが次から次に仕事を頼んで、そのコは大忙し。それを見ているほかのコたちは全く助ける気なし。「私言われてないも~ん。仕事なくて、ラッキー!」みたいな・・・わたしゃ、いじわるな継母と姉たちにこき使われるシンデレラの話を思い出しましたよ。そんな彼女に「ケイリンのリザルトちょうだい」とか「コーヒーください」なんて言えません。「とんでもねーな、コリャ」と思っていると、毎年来ている日本のテレビクルーから「運がいいね!今年はプレスセンター、パフォーマンスあがってるよ」などと言われ、「これ以上条件の悪いプレスセンターって、どんなんやねん!」と。意地悪なボスキャラが邪魔しに来て、そいつの身体にさわると、パソコン打ってる手がしびれて30秒動けない・・とか、そういうのを想像しちゃいます。


 よぉーっつ!ロシア人は笑わない。
毎日、競技場に入るときには金属探知機のゲートをくぐって持ち物検査を受けて中に入ります。チェックする人(誰だかわかりませんが軍隊みたいな制服)に毎日会うわけだから、「おはよう!」ぐらい言うわけですよ。一生懸命ロシア語覚えて、「ドゥーブレ、ウトゥラ!」とか。でも、ニコリともしないでうなずくだけ。何日通ってもそうです。最終日にはヅラとチョビひげぐらい付けて「よっ!元気?」なんて言ってみようか、なんて気にもなりましたが、やってたら首の骨ぐらい折られてたかもしれません。怖いんですよ。見た目、プライドのヒョードルみたいでしたから(格闘技好きでない方にはわからなくてすみません)これは、ホテルのフロントの人もそうでした。お店に行っても同じのようです。これが、「人間、笑顔が一番」と思っている私にはかなりのストレス。
女子ケイリン優勝ロシアのアバソワ、この人も笑いません。
<女子ケイリン優勝ロシアのアバソワ、
この人も笑いません。>


 今回、忙しくて街中をほとんど見られなかったんですが、マクドナルドがあるみたいなので、料金表のところになんと書いてあるか(通常、「スマイル \0」)見るのが次に行ったときの課題です。もし、日本と同じように書いてあったら「スマイル 売ってません」に書き換えてきます!プンプン!
両替ができないとか、ホテルの水が黄色かったとか、まだまだ信じられないことはたくさんありましたが、私の不満大会みたいになってしまったので、自転車の大会に話を向けましょう。
マク・・・???
<マク・・・???>


 今回、金子選手がスプリントで銅メダルを獲得したわけですが、私が感じたことは、「日本人選手のパワーが少しずつあがって来ているのではないか」ということです。もともと日本人選手のテクニックはかなり高いと思っています。しかし、テクニックでカバーできないパワーの差があったんです。
モスクワ大会を見る限り、車に例えるなら、足回りやステアリングの反応のよさもさることながら、エンジンの排気量が着実に上がってきていると感じます。
金子選手に言わせると「自分では、そんなにパワーが上がったという感じはないんですが、積み重ねが効いてきたんでしょう」と。金子選手は謙遜して言ったのかもしれませんが、私の目から見ればこれは明らかにパワーアップです。
金子選手から出はじめたオーラは
強者の証。
<金子選手から出はじめたオーラは
強者の証。>


 今回、金子選手や渡辺選手から「積み重ね」という言葉がよく聞かれたので、あえて流用させてもらうと、一流外国人選手とのパワーの差が「積み重ね」によって縮まりつつあると思います。それから、選手たちが吸収しながら走っているということ。テクニック面もメンタル面も「積み重ね」によって強化されて来ている。これは、中長距離の飯島誠選手にもいえることだと思います。
選手たちの意識変革によりいたずらに回数を重ねるというのではなく、「毎回何かを吸収しながら、一回、一回考えながら、いろいろなことを試しながら走る」ということが始まっています。今回、金子選手からなにかオーラのようなものが出ているのを感じました。これが、もっともっと強く感じられるようになるのを期待したいです。
集団の先頭に飛び出す飯島選手。
<集団の先頭に飛び出す飯島選手。>

 
 一方、渡辺一成選手は「スプリント1/8決勝の相手はケビン・シローだ」と言うと「え?それってジュニアからあがってきてオススメだって言ってた選手じゃないですか?えー、強いのかぁ」(デュッセル通信読んでくれてるんですね。うれしいなぁ)といいながらも、気合の入った顔で対戦。結果は残念でしたが、前日のケイリンもそうだし、「負けてなお強し」のいいレースをしてます。なかには「あっ!ヤッチャッタ」ってレースもあったけど、これこそ「積み重ね」によってどんどん改善できるものでしょう。
 その後、順位決定戦を走ることになり、チームの森メカニシャンに「スプリントは化かしあい。魚釣りみたいなもんよ」と言われた渡辺選手、今大会ケイリン銀メダルのルカシュ・クィアコウスキ選手を見事化かして勝利。「魚、一匹釣ってきました!」と元気に戻ってきました。まだまだ伸びる余地十分。どんどん経験を積んで「釣り師イッセー」として世界に名を轟かせて欲しいですね。
カルチャーショックとうまく行かないことの連続で滅入り気味だったこの大会。金子選手が銅メダルを獲った事で全て帳消し!さらに日本チームが今後も楽しみなことも確認でき、ご機嫌でモスクワを後にした私でした。
ただぁ~し、笑顔がないのは、やっぱり許せねぇ!朝は笑顔で「おはようございます」と決まってんだ、ハラショー・・・じゃなかったチクショー!