デュッセルドルフ通信 2007年11月09日
ヨーロッパライダーたちも準備万端。ワールドカップシリーズ開幕、まもなく!
 
 ワァッツアーップ、ヨー?(カタカナで書くとなんかヘン)最近、電動歯ブラシをもらったんですが、すごいですね。最近のヤツは、相当進化したんでしょうね。歯とかツルッツルになって気持ちいいですね。でも、あれなんで口の中に歯ブラシ入れる前にスイッチ押しちゃうんでしょうね。歯磨き粉飛び散りまくっちゃうじゃないですか。もう使い始めてから何週間か経ってるのになぜ覚えないんでしょうね。1.せっかちだから 2.スイッチを押すワクワク感でガマンができない 3.人呼んで「IQサプリモヤッと王」知能指数15だから 4.スイッチを押すように魔法がかけられている・・・・いずれにしても、口に入れる前にスイッチを押すとセンサーが働いてスイッチが入らないように次期モデルから改良して欲しいですね(お前がスイッチ押すクセを直せよ!)
 さぁて、いよいよトラック競技本格シーズン到来ですね。ワールドカップ第1戦シドニー大会は11月30日から。「シーズン到来だね!」って言ったら、UCIの担当には「トラックのシーズンはすでに始まっている。ワールドカップシーズン到来だ」と冷静に言い直しさせられましたけど・・・おっしゃるとおり。とは言うもののこれまでの大陸大会や、地域大会とは出場選手のレベルも、ランキングポイントの配点も格段にアップしますから、まさに前哨戦から本番突入といったところでしょう。日本チームも遠征メンバーが発表になってますしね。
テオ・ボス。今シーズンもこの笑顔健在か
テオ・ボス。今シーズンもこの笑顔健在か
 ワールドカップの話は次の回以降にしっかりお届けするとして、今回は情報が入ってきているヨーロッパライダーたちの近況をお届けしましょう。まず、オランダのテオ・ボスから。10月終わりのアムステルダム6日間レースに出場。相変わらず人気者です。オランダのスポーツマン・オブ・ザ・イヤーに選ばれたとかで、オランダのトラックサイクリングがこんなに盛り上がっているのも彼の功績が大きいでしょう。日本の国際競輪にまで密着取材したオランダ国営放送特別番組の粗編集がすでに出来上がっているらしく「見た?かなり笑える番組になってるよね」って、見れるか!オンエア12月末なのに!君が見たやつこっちに回してくれ!でも、会場にはテオ目当てのお客さんがいっぱい来てました。私の近くに座ったカワイイ16歳の女の子も「私もトラックサイクリングはじめたの!」なーんて言っていました。「じゃあ、テオのファンなんだね」「ううん。ベッティーニ!」ってエェェ?!・・・16歳にして、結構シブ好みなのね・・・皆さん!ちょっと髪の毛薄くなっても、自転車強ければモテるみたいですよぉ!テオに話を戻しますが、今のところワールドカップは、シドニーと北京は行くこと決定だそうです。話をしていると、本人は口に出しては言わないけれど、「あなたにとって、オリンピックでメダル獲るのは、当然のことなのね。その色が問題なのね。そりゃそうよね。うんうん」と、こっちが言いたくなるような雰囲気でした。自信にあふれていてかっこよかったです。
オランダ、ティム・ヴェルド。まだまだヒゲのびるのかな?ハリウッド俳優系ですよね
オランダ、ティム・ヴェルド。まだまだヒゲのびるのかな?ハリウッド俳優系ですよね
 次にテアン・ムルダー、彼もアムスの6日間レースに出場。その直前に行われたヨーロッパオムニウム選手権(いろんな大会ありますね。ヨーロッパは)のスプリンターズオムニウム(世界選やワールドカップの正式種目ではない。フライングスタート250mのタイムトライアル、ケイリン、スプリントの総合成績を競うもの)をフランスのアルノー・トゥルナン、フランソワ・ペルヴィス、ポーランドのダミアン・ジェリンスキ、ルカシュ・クゥイアコウスキなどを相手に総合優勝。オリンピックに向けて、早くもトップギアに近いところに入っています。「オリンピックもあるし、国際競輪にまた呼んでもらえるならリベンジもしたいし、マジでガンバル!」と気合が入っていました。テオ、テアンそれからオランダ3人目のスプリンター、ティム・ヴェルドで「北京が終わるまでヒゲを剃らない」と決めたらしく(ヨーロッパ人もゲンをかつぐんですね)、どんなルックスになっていくのか楽しみです。空気抵抗を考えると、あまりよくなさそうですけどネ(笑)。
ワールドサイクリングセンタートレーニングルーム。フルスクワット250kg 怪我する~!
ワールドサイクリングセンタートレーニングルーム。フルスクワット250kg 怪我する~!
 フランスのミカエル・ブルガン、彼とは直接会って話ができたわけではないのですが、彼のホーム、地中海に近いイェール競技場が現在改修工事中らしく、ケビン・シローやルーキーのディディエ・アンリエットらとともに、スイス・エイグルのワールドサイクリングセンターで合宿を行ったようです。エイグルのトラックは200mですが、ウエイトトレーニングの設備などもしっかりしているので、ウェイトトレ王のミカエルは張り切ってびっくりするような負荷でトレーニングしていたのではないでしょうか。
グレゴリー・ボジェ。今シーズンはどんなミラクルタイムを見せてくれる?
グレゴリー・ボジェ。今シーズンはどんなミラクルタイムを見せてくれる?
  07-08シーズンはついにフランスにトレードチームが出現。コフィディスというロードレースにもチームを持っていた企業ですがロードからは撤退の噂も・・・一方、トラックは今シーズンから。ブルガンはじめシロー、アンリエット、トゥルナンなどがチームライダーになります。
一方、“フランスの黒豹”グレゴリー・ボジェも人気で引っ張りだこらしく、自転車見本市ではスポンサー、ルックのブースでサイン会をやったり、イベントでロードレースに出場したり、なかなか忙しそうです。夏にはツール・ド・フランスに呼ばれて行ったり(もちろんゲストとして)フランスのロード選手セバスチャン・シャバネルと雑誌で対談したり、いろんなことをやったプレシーズンだったようですね。
その雑誌対談では「ツール・ド・フランスはライダーたちの様子が普段とは変わって、みんな乱暴に押し合うし、自分のスプリントをはじめるタイミングが難しい」と言ったシャバネルに対して、「それはケイリンと同じだね。いつも落車ぎりぎりだよ。特にオーストラリアの選手と一緒のときは、これは危ない仕事だね」なんて言っているくだりがありました。確かにオーストラリアには、シェーン・パーキンス、マーク・フレンチなど、なかなかのラフライダーがいます。でも、うまいんですよね。彼ら・・・もし、ボジェが日本の国際競輪に来てたら「オーストラリア」の部分が「日本」に変わってたかも??
 さらにさらにボジェは「今、トラックではスプリント(スパート)の距離がドンドン長くなっている。ギヤだって昔は48×14(大ギヤの歯数×小ギヤの歯数)だったのが、今なんて51×13、52×13なんかが当然だよ!」とも。いや~インターナショナルの世界でもギヤ倍4.00ですか。競輪の山崎芳仁選手は世界の流れにも乗ってるってことですね。

 シャバネルが「トラックの話をすると、まだ僕がトラック競技をやっていたときのことを思い出すよ。スタートの時にあっという間に5メートル遅れるのが僕の問題だった。だから君(ボジェ)がスプリントで後ろから相手をかわすためにわざと10メートルぐらい車間をあけるのを見ると“何てこった!”って笑っちゃうんだよ」なんて言っている場面もありました。ボジェはロードからトラックへ転向。シャバネルはトラックもやっていて今はロードのスプリンター。お互いの立場を知りながら、リスペクトしあったよい対談記事でした。「今度ロードでスプリント競走しよう」なんて言ってましたから、実現すると面白いですね。随分シャバネルに有利そうな想定コースでしたが・・・

 フランスもそれぞれのプレシーズンを過ごした選手たちがまとめてシドニーに集結。シドニー大会はエントリーがすごくて主催者の対応が大変なことになってるみたいです。のっけから大バトルが予想されますから、観戦旅行を計画するならまずシドニーですよ!
クレイグ・マクリーン。今回の話とは関係ないけどピアノの調律師の免許持ってるんですって
クレイグ・マクリーン。今回の話とは関係ないけどピアノの調律師の免許持ってるんですって
 さて今度はイギリスのクレイグ・マクリーンですが、彼のゴールドメダルへのあくなき追求を題材にした「STANDING START」という12分のショートフィルムが出来たようです。エジンバラ国際映画祭では5つ星の評価を受けたらしく、それを報じている紙面には吼えているようなクレイグの顔写真に”MAN,A BEING IN SEARCH OF MEANING(人、それは事の意味を捜し求める生き物である)”とあって、それを見た人の感想として「もし、これを見て心臓がバクバクしなかったら、あんた心臓持ってないかも知んないよ」と書いてありました。「おぉぉぉ!かっーくいー、ソートーかっこよさそー!!」と思い、どこかに映像がないかとAmazonのサイトに行ってみたり、YouTubeで検索したりしたんですけど、見つからないんですよね。
 どうしても見たいので、クレイグにメールを書いて、「ねぇ、ちょーだーい!」って言ってみたんですけど、返事が来ない!!おい!クレイグ、友達だろ!!・・・どうやら向こうはそう思ってなかったみたいです。今頃迷惑メールフォルダに入っているかも知れません。グスン。でも、私の「面白いことへのあくなき追求」(ちっちぇー)は、こんなことではくじけないので、いつか必ず手に入れて報告しますね。
クリス・ホイ(右)とロス・エドガー。今や完全にライバル
クリス・ホイ(右)とロス・エドガー。今や完全にライバル
 クリス・ホイはすでにシドニーに入っているようです。10月はじめに行われたイギリス国内選手権ではスプリント2位、ケイリン3位。まだ、本格始動ではなかったにしても、このクリスを破ってトップに立ったのはケイリンではマット・クランプトン、スプリントはロス・エドガーです。もしかしたら、これらの中堅クラスが今シーズンはブイブイ言わせるかも知れません。国の競技レベルが高く、いい選手がゴロゴロいるだけに、イギリスはチーム内の出場争いだけでも興味深いですね。
WCCストレージルーム。ルックがこんなに並んでるの、なかなか見られません
WCCストレージルーム。ルックがこんなに並んでるの、なかなか見られません
 さて、先ほどコフィディストラックチームのお話をしましたが、今年はその他にもトレードチームがわんさか!現在登録が公開されているだけで30以上あります。前シーズンが20程度でしたから、すごいことになっています。例えば、オーストラリアの「チームTOSHIBA」(おぉい!なんで日本じゃないんだぁ?!)はライアン・ベイリー、シェーン・ケリー、シェーン・パーキンス、女子ではアンナ・ミアーズ。そして昨年メダルラッシュを巻き起こしたイギリス「SIS(サイエンス・イン・スポート)チーム」は、エドガー、クランプトンにジェイソン・ケニー、ジェイミー・スタッフ、女子もビクトリア・ペンドルトンや今夏BMXの世界選手権も制したシャネーズ・リードなどスター揃いです。
 来るシドニー大会では新しいトレードチームとジャージーをリニューアルしたナショナルチームで、ごちゃごちゃになって誰がどのように走ったかを、きちんと追いきれるか今から不安です。

ところで、私、いっちょうまえにアシスタントなんて使ってるんですが、(←偉いからではない。ドイツ語が苦手なため、いないと仕事はおろか生活さえ危うい)その頼りになるアシスタント嬢がこの度、めでたくご懐妊されまして、産休に入ることになりました!「いや~、それはよかった。おめでとう!」と、その場では言ったんですが・・・内心、「ぐぇぇ。この時期にいなくなられると、ワールドカップなんかで出張に行ってる間もガンガン仕事がたまるってことよねぇ・・・ヒクヒク」と・・・おめでたいことにケチをつけちゃいけないし、ホントに祝福してあげなきゃいけないんですが・・・どーしても、顔がひきつっちゃうんですよねぇ。神様すみません、私は弱くてダメな人間です。
「そーんなの、自分の部下なんだから、“おめでた”までしっかりとコントロールしなきゃ」なんて冗談をいう人がいますが、そんなことしたら私、セクハラで莫大な慰謝料払うために今ごろ、夜バイトとかやってますよ!
  ってことで、現在いろんな候補者と面接中です。先日、ユリアさん(20歳)という人と面接することになってたんですが、「北斗の拳」世代の私は名前だけで大興奮。完全に妄想の世界に入りました。
  「あ~コホン。とりあえず私のことはオフィスでは“ラオウ”(ケンシロウではなくて?)と呼んでくれたまえ」「パソコンのキーはこのように打つのだよ。ア~アタタタタタタタタタタタタタ!」しかも、面接の数日前からなぜか筋トレ(オイオイ!)。
  満を持した面接当日、電話があり「ゴメンナサイ。他のところに就職が決まっちゃいました。ガチャリ」
「おぉユリア・・・なんということだ・・・」
「フッ、動揺しねぇ。オレはそんなちーさなことでは、まぁーったく動揺しねぇ。いやーよかった。オレのユリアのイメージが壊されなくて。あーもーほんっとに危ないところだった。ウン」←どう言っても負け惜しみにしか聞こえない。
  数時間後・・・「いやー、どーんな会社に決まったのかなぁ(まだあきらめきれてない)、写真だけでも送ってくれって言っときゃーよかったなー。クソー、どこぞの会社の太った(決めつけんな!)ドイツ人オヤジが、オレのユリアと(すでに“オレの”呼ばわり)アタタタタとかやってんのかなー(やるかっっ!!)」
  しかし、履歴書一枚でここまで楽しんだ私は、幸せです。なんか、「悩みゼロ人間」みたいですね。次の候補者に期待することにします。“ナミ”とか来ないかなー(今度は「ONE PIECE」ですか、いい加減マンガから離れなさい!)
  では、次回はアシスタント決定レポートをお送り・・・じゃない、とうとう幕を開けるワールドカップ大会のレポートをお楽しみに。でも、しっかりお届けできるかどうか・・・なぜなら、すでに仕事がたまって来てて、オレはもう・・死んでいっ・・・ひでぶぅう!(お前が死んどんのかいっ!!)

 
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