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08-09シーズン、開幕!
マンチェスターから次の4年の序章がスタート |
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こ・・・こんにちわぁ(おそるおそる)・・・あの~、僕ですけど・・・(「よぉ~!ひさしぶり!何してたんだよ!」と、やさしい声をかけてもらいホッとする)
あ、あぁ・・・覚えててくれました?よかったぁ。あまりに久しぶりで、このサイトに顔出してもうまくなじめるのか心配で心配で・・・なんか自分探しの旅に出て、部活をずーっと休んでしまって久しぶりに帰ってきた時(すっごいムリヤリなたとえだ)みたいな気分ですね。「先輩、怒ってないかなぁ・・・」みたいな。
永井選手の銅メダル以来、ちょっとふぬけになってしまいまして・・・引きこもって気がついたら、もう次のシーズンがはじまってしまっていたというわけなんです。いやぁ、充電が必要なほどの仕事はしていないんですけど、根が生まれたての子馬のように弱々しいもんですから・・・すみません。
でも、久しぶりにレース会場に行って、日本ナショナルチームの顔を見たら、私も元気が出て「また頑張るぞぉ」と思いました。これからまた日本チームや外国人選手の裏話などしっかりお届けして行きますんで、よろしくお願いします。
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08-09シーズン、ワールドカップシリーズは北京オリンピックでも強くて強くてどーしようもなかったイギリスチームのホーム、マンチェスターで開幕。まぁ~だいたいオリンピック直後のワールドカップはファンの興味もすごく集めるわけではないので、観客動員なども落ちるのが普通ですが、どうしてどうして3日間ともすごいお客さんでした。きっと大会運営側も喜んでいることでしょう。クリス・ホイさまさま、ビッキー・ペンドルトン女王様というところですね。
イギリスといえば日本円に対しイギリス通貨のポンドがだいぶ下がり、チップをあげるのも前ほどいやではなくなりましたね。せこい?いや、死活問題ですよ。チップを小銭でジャラジャラあげるのはエチケット違反であるとするならば、最低単位は1ポンド。ちょっと前まで1ポンド250円なんて時ありましたからね。ちょっと荷物を運んでもらったり、寒いから毛布をもう1枚部屋まで持ってきてもらったりと、そのたびにあげてるとすぐ1000円ぐらいなくなっちゃうんですよ!(人間ちっちゃ!そんなのが気になる人はバックパッカーズホテルに泊まりなさい!)
レストランなんかでもそうですけど、チップって国によってもスタンダードが違うし、わかりにくいですよね。私の住んでいるドイツでは普通のレストランなんかだとちょっと端数を切り上げるぐらいしかやらないですけど、アメリカだとウェイターさんウェイトレスさんの給料はほとんどがチップから生まれるということで、ちゃんとあげないとかわいそうだしなぁなんて思ったり。 |
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一説によるとTIPはTo Insure Prompt serviceの頭文字で、早くサービスを受けるために支払うものだったそうです。シルクハットをかぶったヒゲの紳士が相手のポケットにお札をねじ込みながら「あ~、チミチミ、我輩はちと急いでおるのだ。待っている時間がないものでね。そもそも待つのはすかんのだ。わかるよね。そうそう。ウム、よろしい。ハーッハッハッハ」なんて言っている姿が容易に想像できるわけですが、今となっては、後にあげることも多いってことで、「よいサービスだ」と思ったら渡すということでよしと自分的には解釈しています。まぁ、チップを渡さなくてもよいサービスを受けるのが当然の日本人としては、やはり理解しがたいシステムですけどね。
そういえば、以前に泊まったホテルで、部屋のシャンプーがなくなっていたのに補充してくれていなかったので(長塚選手のすすめで頭洗うのせっけんに替えたんじゃ?→デュッセルドルフ通信「北京オリンピックの回」参照)「昨日、シャンプーの補充をしてもらえませんでした」と書置きをしてチップを置かなかったら、帰ってきてみるとシャンプーは補充されていて、テーブルの上にエッチな本がきちんと置かれていました。
うーん、おわびのつもりか?それとも、どこかの部屋にあって回収したものをたまたま忘れていったのか?すっごい理解に苦しみましたが、とりあえずゴミ箱に捨てて・・・(わ、わかりましたよ。「ものごとの記述は正確に」でしょ!ハイハイ。「熟読の後」というのを文頭につけて!)・・・熟読の後、ゴミ箱に捨てて、翌日はチップを置いて出ました。
帰ってみると、部屋はきれいになっていて消耗品も補充してありましたが、なにも置いてありませんでした。(あたり前でしょ!なんか期待してたのか?)いや、別に何も期待はしてなかったんですが、5ドルにしておけばよかったのかなと・・・
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あれ?脱線してますね。長い間休んでも、脱線のクセは直ってないみたいです。マンチェスターのワールドカップの話でしたね。今回、日本チームはメンバーを変更。ワールドカップ本戦にエントリーしたのは、全員競輪選手で渡邉一成選手、成田和也選手、新田祐大選手、稲垣裕之選手でした。出走は、渡邉選手がケイリン、スプリント、チームスプリント。成田、新田両選手がチームスプリント、稲垣選手はエントリーしたものの出走はしませんでした。
結果は例によって大会レポートのほうをご覧になっていただきたいのですが、最終日にはこの4人に中川誠一郎選手を加えた5人が日本VS世界のケイリン世界版とも言えるインターナショナルケイリンに出走しました。こちらの結果としては渡邉選手の9位が最高位ということで残念ではありました。やはりこのイベントは「日本の競輪ライダーの強さを世界に示す」という位置づけでなくてはならないので、出場する選手にももっとそれに向けて練習する余裕を与えてあげたいものです。
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インターナショナルケイリンイベント。
外国人ライダーの目の色が違う |
このイベントを語る上で前置きしておかなくてはならないのが賞金です。1着およそ200万円。1日で200万円ですから、外国のレースではトップクラスの賞金で、外国人ライダーはみんなチョー本気です。そんななかに調整不十分の日本人ライダーが走って勝てとは、無理難題だというのが私の本音です。
ただそんなことは、観客は知らないで見ていますから、何度もマンチェスターでやっているうちに「なんだ日本の競輪選手、強くないじゃないか」とイギリスの自転車ファンに思われてしまうのではないかと心配です。一方で、直前まで日本にいてワールドグランプリを走っていたロス・エドガー選手が、このイベントでは2位ですから、おそるべしというかなんというか・・・でも、エドガー選手も日本ではあまりいい成績を残せませんでしたよね。彼と話したところ、正直に「日本の競輪ライダーが強かった。きちんと日本競輪用に練習をしないと勝てないと思う。もし、次に呼ばれたら"勝てる練習"をして行く」と言っていました。テアン・ムルダー選手も同じようなことを言っていたので、ワールドグランプリを走った外国人選手に共通した感想なのでしょう。
ですから、「競輪とケイリンは似て非なるもの」とはずっと言われていますが、エドガー選手の言葉を借りれば「日本競輪用に勝てる練習をすれば、よい成績を残せる」ということになります。その逆もまた真なりだと思うんですよね。つまり世界大会に出るならそれ用の練習をしっかりとする必要がある。
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結局、成田選手が目をつけていた
クランプトンは優勝
表彰は滝澤正光 競輪学校名誉教官 |
日本チームはこれまで、日本競輪とのスケジュール調整のなかで「なるべく勝てる選手を派遣する」ということを考えてきたわけですが、次なる1歩は「勝てるポテンシャルを持った選手が、勝つ練習が出来る環境をつくる」ということになろうかと思います。
それが、例えば、海外と同じ仕様のトラックであり、海外競走用の練習をする期間であり、と整えるべき環境がさらにあると言えるでしょう。気がつくとだいぶカタい話になってしまいましたが、環境は環境として、選手たちはなんとか外国勢に一矢を報いようと、いろいろ作戦を話し合ったり、走り終わるといろいろ反省をしたりしていたようです。これは、前半の競走が終わったピットでの会話。
私「なかなか、全般的に厳しい戦いを強いられましたね」
成田「あの、イギリスの・・・クランプトンですか?あいつのスタートの踏み出しを見て、後ろにいれば、カタいなと思ったんですけど(渡邉選手を指差して)チャッカリこいつがピタッとつけてるでしょう!」
渡邉「エヘヘ、抜け目ないですよ」
稲垣「僕はもう前々で行って、いいやつが来たら飛びつこうということばっかり考えてましたよ。でも、来ないんですよね。そういう時は」
新田「稲垣さん、2回目、なにもできなくってスミマセン」(新田選手は敗復で稲垣選手と同乗。残り2周半まで新田、稲垣という順で並んでいたが、ペーサー退避のタイミングで稲垣選手が意を決したように前に出るも、新田選手はそれにうまくつけられず二人とも着外)
稲垣「ああいう展開だし、せっかく新田のために行ってやろうかと思えば、来てないし・・・」
新田「あれ、"オレ行かなきゃいけないよな~"と思ってタイミングはかってたんですよ!」
稲垣「ウソつけ!(新田選手を指差して)アジア大会のときもこいつの後ろにつけたんですけど、後ろから"新田、そろそろどう?"って声かけても無視。"おい新田まだか?"→無視。"にーったぁぁ!!"→無視。そして最終バックで捲くり追い込みですからね。こぉの役立たずが!!」
新田「ちがいますって!タイミングが・・・・あ、成田さんはよかったすね。3着すか?」
成田「ふざけんなヨ、てめぇ!(成田はファーストラウンド3着も勝ち上がりは2着まで)」
(一同爆笑)
稲垣「新田、お前この後、チームスプリントでちゃんとアピールしろよ!」
こんな感じで、ピットにいると笑える会話が聞けて楽しいんですが、勝つことも重要。やっぱり次回は十分準備期間をとって、「やっぱり、インターナショナルケイリンに出てくる日本選手はプロ競輪ライダーというだけあってケイリンでは譲らないなぁ」とイギリスファンに思わせたいですね。
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公式プログラムにも写真入りで紹介
ムルダー選手とリザルトを見ながら
談笑する渡邉選手 |
さてさて、そんななかで国際大会常連となった渡邉一成選手、今回はオフィシャルのパンフレットでも写真入りで紹介され、イギリスのメジャー自転車雑誌「サイクリングウィークリー」にも「オリンピックでの走りと、そのコンスタントなワールドカップ出場でイギリスのファンにもおなじみのライダー」と紹介されました。外国のファンが日本の選手を覚えてくれることはとてもうれしいですよね。
前もとりあげましたが、渡邉選手は外国人選手とコミュニケーションをとるのも得意です。このマンチェスター大会で渡邉選手を何度も牽制したドイツのセバスチャン・ドーラーとも会話したようで「アイツ、(何度も牽制して)"悪かったね"なんて謝ってましたよ。"まぁレースだから仕方ないよ"と言っときました。基本的に悪いやつじゃないみたいです。マユゲつながってますけど」なんて話していました。マユゲと人格の相関関係は別として(笑)、こんな感じで、外国人ライダーと情報交換しているうちに新しい練習方法なんか見つけて、さらに強くなったりするといいですね。
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見本市会場に展示されていた
LOOK KG596Track。
今、日本チームが使っている496の次世代機種
展示会場にあっさりトラックが
出来てしまうもんですね |
ところで、私はマンチェスターのあと、イタリア・ミラノに行ってきました。ミラノの6日間レースを見学するためですが、このレースは自転車とオートバイの見本市に併設して行われるもので、昨年からはじまったのですが正式に6日間レースの形態になったのは今年が初めてです。
見本市の会場に仮設のトラックを作って、見本市の呼び物のひとつとして行われているもので他に類をみない面白いコンセプトです。ご存知の方は想像してみていただきたいのですが、日本の幕張や大阪でやっている自転車トレードショー「サイクルモード」のパビリオンのひとつにトラックがあってそこで常にレースが行われているイメージです。どうです?自転車ファンならワクワクするのではないでしょうか?
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ベッティーニ+リァネラス。なんか後ろの女性に
フォーカスが合ってないか?いや気のせい
やっとケガが直って走れるようになったクリス・ホイ。レーシングパンツにはカタカナで名前が |
さらに、走っている選手が「よく集めたなぁ」と思われるような選手たち。例えば、パオロ・ベッティーニ、フィリポ・ポザート、ヤロサレフ・ポポヴィッチなどなど。マディソンのベッティーニのペアはホアン・リァネラスですからね。いやらしいぐらいの豪華チームです。それに華を添えるスプリント系の選手たちは、クリス・ホイ、アルノー・トゥルナン、テアン・ムルダー、ロベルト・キャッパ。錚々たるメンバーでしょう?
レースに加えて、ベッティーニの引退式はあるわ、マリオ・チッポリーニのトークショーはあるわ、レベッリン、シモーニは来るし、バラン、クネゴのサイン会もあるという、すごいイベントになっています。
「なんで、早く教えないんだよぉぉ!イタリア旅行企画したのにぃぃ!」という自転車ファンの声が聞こえてきそうな豪華な6日間です。そうですよね、早くご案内すべきでしたね。2ヶ月も引きこもっている場合じゃありませんでした。今度、こういう面白いものがあるときには、必ずお知らせするようにしますね。
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イギリスチームの選手のサイン会の
ブースは常に人だかり |
結果として、このイベントには6日間で50万人以上の人が訪れたということです。早く日本からも、こういうイベントに呼ばれる選手が出てきて欲しいですね。そうそう、
もし次の機会(現在、次回開催未定)にこのイベントに日本から行く方がいらっしゃったら、ミラノでは車は運転しないほうがいいですよ。私、ひどい目にあいましたから。あそこ、路面電車が走っているんですけど、車のみが走る道と、電車のみが走る道と両方走っていい道の区別が、一見さんにはよくわかりません。しかも、車線という概念もあまりないみたい(そもそも引いてない)ですので、どこをどう走ってよいのかわからず、私はパニック状態で走っているうちに電車のみの軌道にはいったらしく、電車の駅に到着してしまいました。状況的には、都電の駅に私の車が到着した状態です。駅で電車待ちをしていた人も、みんな「えぇえ?なんなの?この車ぁ??なんでぇ??」みたいな顔で私を見ています。
私もパニックながら心のなかで「お下がりください。お下がりください。電車が通過いたします。この電車は回送ですので、お乗りにはなれません」とアナウンスするのですが、イタリア人にこのユーモアがわかるはずもなく(←っていうか、ユーモアじゃなく単に迷い込んじゃった困った人だろ!)最終的には、「私、フツーの車に戻ります!(キャンディーズか!お前は!)」とグワーンと軌道を乗り越え、車道に復帰しました。いや~電車の運転をしたのは電車でGO!以来ですよ(それって電車の運転って言うの?)。ヒヤヒヤもんです。電車と車のハーフになりたくなかったら、ミラノでは車に乗らないほうがいいと思います。
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さて、トラック競技世界シリーズのほうは、ワールドカップ第2戦がまもなく!場所を南半球に移し、オーストラリア・メルボルン大会に突入します。2004年の世界選手権以来、4年半ぶりの世界大会開催となるメルボルンでの日本チームの戦いはいかに?次回をお楽しみに!!チャオ! |
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