デュッセルドルフ通信 2008年12月3日
ワールドカップメルボルン大会。大御所不在も次世代を担う野心的なライダーたちが活躍!
 
メルボルンの町はすでに気の早いクリスマスモード
メルボルンの町はすでに気の早いクリスマスモード
 皆さん、こんにチワワ!かわいいなオイ!・・・なんでワを重ねるだけで、こんなにかわいくなるんですかね?以前にカメラマンの砂田弓弦さんが「ブエルタ・チワワというロードレースの取材に行く」と言っていたとき「なんですか!そのカワイイレースは?みんなホイール径10インチぐらいの自転車に乗ってるんじゃないでしょうね!」なんて話をしたことがありますが、チワワって本来は地名ですからね。
自然に笑顔がこぼれます
自然に笑顔がこぼれます

やっぱり、これに拍手打って「日本にメダルください」って言ったのが効いたな。(サンタへの手紙を入れるポストであって使い方がちと違うような・・・)
やっぱり、これに拍手打って「日本にメダルください」って言ったのが効いたな。(サンタへの手紙を入れるポストであって使い方がちと違うような・・・)
 今回はそんなちっちゃな犬の話よりも、ビッグなニュースがあります!もうご存知の方も多いと思いますが、日本ナショナルチーム、久しぶりに世界大会でメダルとりました!チームスプリントで銀メダル。メルボルンで開催されたワールドカップで獲ったわけですが、ワールドカップでチームスプリントのメダルは2006年3月のシドニー大会以来、2年8ヶ月ぶりですから!うれしいじゃないですか!
選手たちは「強いチームが来ていなかった」と謙遜しますけど、世界大会でメダルを獲るというのはどんな場合でも簡単なことではありませんからね。これで、勝ち癖みたいなものをつけていけるといいですね。照れくささもあって、「運がよかった」みたいなことを言った選手たち。でもメダルはうれしいんですよね。どの写真をみても100万ドルの笑顔でした。いや・・・今はドルの価値がメチャメチャ下がっているゾ。特に円に対しては・・・うーん、100万トルコリラの笑顔・・・いやいやこれもよくないな、ポーランドズロチの・・・(いったいいくらやねん!)とにかく素晴らしい笑顔でした。
エミューよ、キミはなんで1位のマスコットに選ばれたんだ?
エミューよ、キミはなんで1位のマスコットに選ばれたんだ?
 メルボルンは夏のはずなのに雨が降って寒くて、みんなしょんぼりしていたところでしたから、この結果と笑顔のおかげですごく元気になりました。今回、メルボルンはオーストラリアということもあって、表彰台に立った選手への記念品としてオーストラリア固有の動物のぬいぐるみが贈られていました。1位にはエミュー、2位にはディンゴ、3位にはウォンバットだったと思うのですが、これ、カンガルーとかコアラじゃダメだったんですかね。主催者にベタなのが好きではない人がいたか、オーストラリア動物プロモーション委員会委員みたいな人がかんでいて「オーストラリアはカンガルーやコアラだけじゃないゾ!」なんて言ったか・・・この1位のエミューが物議のもとだったんですよねぇ。だいたい表彰台の上にいるときにどんな格好で待つのかはだいたい決まってますよね。手は前で合わせますよね。しかも、エミューのぬいぐるみを持っているわけですから。なんで考えなかったのかなぁ。エミューでもいいからそれを一番高い場所に立つ、一番目立つ人にあげなくてよかったわけです。もういいですね、この話は。熱く語る部分ではありませんでした。そういう目で見なければ、いい話ですから。
あぁぁぁぁ、ダメです。僕には全身を写す勇気がありましぇん!
あぁぁぁぁ、ダメです。僕には全身を写す勇気がありましぇん!
 でも、このおかげで大会の期間中、志村けんさんの「イーッチョメ、イーッチョメ、ウワァ~オゥ」というフレーズがずーっと頭をまわっていました。もう、あえて説明しませんけど、気になる人はYou Tubeとかで「東村山音頭」かなにかで検索してみてくださいね。日本の3人はエミューじゃなくてよかった。と、負け惜しみではなくいいたいですね。金メダルは名誉ですが、あの写真が残るのはかなり不名誉です。しかも1位ですからだいたい満面の笑顔なんですね。笑顔にエミュー。あぁぁぁぁイーッチョメイーッチョメ。
アジアにまた強いライダーが誕生
アジアにまた強いライダーが誕生
これはすでにウイリーのあと。とにかくハンドル投げる投げる!
これはすでにウイリーのあと。とにかくハンドル投げる投げる!
 ところで、今回の開催ですごく目立ったのはマレーシアのアジズルハスニ・アワン。今年のアジア選手権でもケイリン・スプリント2冠。北京オリンピックでもスプリントは8位でしたが、クリス・ホイ相手にいい勝負をしていました。そして今回、世界大会でははじめて表彰台の頂点に立ちました。メルボルンに住んで、練習を続けている20歳のこれからが楽しみです。彼の競走におけるトレードマークは切れ味のあるダッシュと「ハンドル投げ」です。
オーストラリアのライアン・ベイリーなどがゴールの時に前輪が浮くほど強力にハンドルを投げるシーンを何度か見たことがありますが・・・ちなみに「ハンドルを投げる」ってわかりますよね?このページをご覧になっている方にはほとんど説明無用かとも思うのですが、一応説明させていただくと、ゴール直前でハンドルを持った手をグッと突き出すことにより、少しでも早いゴールを狙うもので、数センチの勝負の世界ですからこれをやるのとやらないのでは結構な差になるんですね。
アジズ・アワンはこのハンドル投げを派手にやってウイリーするのが好きらしく、しょっちゅう前輪が上がっています。彼の兄貴のような存在のジョサイア・ヌグにハンドル投げの話をすると「あいつ、あればっかり練習してるよ」と言っていました。でも「アジズ、グッドオイコミライダーネ!」と、ダッシュのきく弟分を頼もしく見ているみたいです。
このハンドル投げ、すごくこだわっているらしく、やらないほうがよさそうな時も必ずウイリーするんですね。ゴールのスローを見ると、ウイリーしたばかりに逆転されそうなときもあります(まぁ、それでも勝つのでよいといえばよいのですが)。
なぜそこまでやるのか悩んだので本人に聞いてみました。「あぁ、あれね。お客さんに楽しんでもらおうと思ってやってるだけだよ」とあっさり。確かにあのウイリーのときは観客もみんな「おぉっ!」と湧いていました。本来、勝つために必死に少しでも前に出ようとしたのが、ハンドル投げのはじまりだったと思いますが、それをエンターテイメントに変えるとは、おそるべしですね。強いことが一番大切ですが、魅せるということも重要な要素ですからね。カッコをつけて負ければ逆にカッコ悪いので、これをやるためには勝つことが必要になってきます。強いライダーにのみ許されたパフォーマンスということになりますよね。
渡邉選手とアワン選手。よいライバル関係を築いて欲しい
渡邉選手とアワン選手。よいライバル関係を築いて欲しい
 渡邉一成選手が「アワンに負けて悔しい」と言っていましたが、同じアジアから強いライバルが出てきて日本の選手にもよい刺激になるのではないかと思います。今後とも注目していきたいですね。
さて、今回耳にした外国人ライダーのニュースをいくつかご紹介しましょうね。北京オリンピックでは、いつものように強さを発揮できず、クリス・ホイフィーバーの陰に隠れてしまった感じで、オリンピック後も元気がなかったテオ・ボス。シーズンがはじまっても大会にも出てこないしどうしているのかと思ったら、11月はじめにカリブ海にあるオランダ領の島、キュラソー島で行われたアムステル・キュラソーレースで3位になっていました。
「テオが3位?1位じゃないの?」って言ってる人、アムステル・キュラソーレースはロードレースです!距離こそ70キロちょっとのレースですが、アンディ&フランクのシュレック兄弟やクイックステップ、サイレンスロットなどの超一流ロード選手の出ているような大会ですよ!いくらロードのワールドシーズンオフとはいえ、そのメンバーのなかで3位はすごくないですか?リザルトをみたら「3位 テオ・ボス=チームラボバンク」って・・・えぇっ?ロード転向?しかもいきなりプロチームですか??完全転向なのか、トラックの大会もたまには走る気なのか?でも、トラックのスプリント種目を走りながらロードも走れるほどプロチームは甘くないと思うので、トラックを走るとしても中長距離になるんですかねぇ。まだ情報が錯綜していて整理できていないので、これからどうするのかよくわかりませんが今の段階ではロードレースの方にスタンスを置いているとのこと。
来シーズンのロードのワンデーレースでテオの姿を見るほうが、日本の競輪でその姿を見るより確率が高いと言えそうです。今シーズンのUCIのトラック競技世界大会には、ほぼ現れないでしょう。競輪で強いテオを見られないのは残念ですが、今度はジャパンカップなんかで見る可能性が出てきたということですね。しかし、転身が早いというか、順応性が高いというか・・・3ヶ月前には、トラックスプリント種目で世界最高峰のレースに出場していたわけですからね。テオについては、気になる人が多いと思いますので、新しい情報が入り次第、またお知らせしますね。
 一方、前回「ケガから復活してミラノの6日間レースに出場していた」とお伝えしたクリス・ホイですが、今度はレース・オブ・チャンピオンズの呼び物のひとつとして、F1スターと対決です。レース・オブ・チャンピオンズとは毎年行われている4輪レーサーのなかで誰が一番速いのかを決める大会でF1レーサーやWRCなどオンロード、オフロードのドライバーを問わず参加するお祭り大会です。今年はロンドンのウェンブリースタジアムで12月14日に開催されるようですが、クリス・ホイが出場するのはそのサブイベント。決戦の相手は今年F1最年少ワールドチャンピオンとなったイギリス人ドライバー、ルイス・ハミルトン。
ハミルトンはF1ではなくメルセデス・ベンツの乗用車、もちろんホイは自転車で対決です。接戦になるようにコースレイアウトがかなり曲がりくねって設定されているらしく、イギリス2大レーサーの異種格闘技のようなレースに興味を惹かれないイギリス人は少ないでしょう。しかし、こんなイベントに呼ばれること自体が、クリス・ホイがどれだけイギリスで人気者になっているかを証明していますよね。「速そうなヤツは誰でも競走させちゃえ!」っていうイギリス人の発想、好きですね。せっかくだったらジャマイカからボルト選手も呼べばよかったのに!
 こういうレース日本でもやってみたいですよね。永井清史選手VS中島一貴選手とか、北島康介選手VS伏見俊昭選手の足こぎ白鳥ボートとか。いずれにしても、超人クリス・ホイがマシンの力に勝てるのか、14日の結果を楽しみにしたいと思います。
さて、トラック競技ワールドカップシリーズは、ほどなく第3戦カリ大会に突入。混戦が予想されるこの大会。日本は次世代を担うフレッシュな学生チームで挑みます。中米コロンビアでの戦いはどのようなものに?いやー楽しみです。コロンビアってヘラクレスオオカブトムシが獲れるらしいんですよね(そっちかよ!)。いやどっちも!それではまた近いうちに!バイバイソン!(うーん、チワワよりかわいくないな)
 
TrackMania
 
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved.