デュッセルドルフ通信 2009年1月23日

ワールドカップ・北京大会。
新人、現わる。ケイリンがますます楽しみになってきた

 
天安門広場も以前のようなピリピリした雰囲気はない
天安門広場も以前のような
ピリピリした雰囲気はない
 みなさんこんにちは。「月刊 滝澤先生通信」の時間です(いつからはじまったの?)。北京でのトラック競技の世界大会はオリンピックも含め、今回のワールドカップで3回目。大会運営もだいぶ慣れてきた感じで、「えぇぇぇ!まじでぇぇ??」みたいなことが少なくなりました。それとも私が、この対応に慣れてきたのか?
 しかし、オリンピックって本当にすごいですね。オリンピックを境にいろんなものが変わりました。それまではトイレに扉がなくて、究極の姿のおじさんと目が合うなどという、その夜夢に出てうなされそうな経験をすることもあったわけですが、今となっては扉のないトイレを探してもあまり見つかりません。
 空港も超近代的ですし、建築物のデザインも洗練されたものが増えました。オリンピック後、これらの施設がそのスペックを活かしきれているかというと若干の「やっちまったな!」感も漂わないわけではないのですが、外の人間が無責任な言い方をすれば、明らかにオリンピックを機に快適度の標準値が上がったわけです。  
 さて、その北京での滝澤先生(あ、やっぱりこれ滝澤先生通信だったの?)ですが、私と会うたびに機関車が走るポーズをして「元気ぃ?デュッセル、デュッセル!!」と、やってくれます。 分析1:機関車のポーズは「ラッセル機関車」で、デュッセルとラッセルの語感が似ていることから来たものと思われる。 分析2:2回繰り返すのは、プロレスの小川直也選手がやる「ハッスル、ハッスル」にこれまたデュッセルの語感が似ていることで採用されたもののようだ。 と、いうことで2つの意味を取り入れた、実に巧妙な決めポーズです。しかし、これ、すっごくよく考えると、パクリなんじゃないかと・・・・本物のお笑いになるためには(自転車の世界で「本物」だった先生が、なぜお笑いにおいても「本物」にならなければならないのか理解に苦しむが)私と一緒にオリジナルを考案しましょう!そして、デビュー→M-1グランプリです!競輪とM-1の2つのグランプリを制した人はまだいませんから!(ふつうそうだろう)コンビ名は「斜め45度 滝澤デュッセル」で!(それも語感を利用したパクリだろ。しかも“滝”と“ル”しか合ってない!)
 さて今回は「北京に降り立った滝澤先生、行商に引っかかる」の巻。
 北京では、観光客が集まる場所にはたいてい行商の人がいていろんなものを売っているわけですが、これが玉石混交(玉があるのか??)でして・・・「GORETEX」と書いた手袋を売ろうと滝澤先生にアタックしているオジサンがいたのですが、先生も情にほだされて、「寒いし、安いし、ゴアテックスならまあいいか」と1個買ってあげました。(皆さんゴアテックスってご存知ですか?アウトドア好きな人なら知らない人はいない水は通さないけど、ムレないというスーパー素材です)早速、袋を破って装着しようとした先生。 「・・・・くっ!んっ!んあ゛ぁぁぁ、小さくて手がはいらなぃぃぃ!!しかも、なんかカタい~っ!!これ、ゴアテックスじゃなくて、ゴワゴワテックスだよぉぉぉ。おぉぉお、血がとまるぅぅ!!」
 皆さん、北京の路上でゴアテックスの手袋売ってたら、気をつけましょう。
佐藤選手。楽しんでいる様子が表情に表れている
佐藤選手。
楽しんでいる様子が表情に表れている
 では、そろそろデュッセル通信、開始!デュッセル、デュッセル!(相当、気に入ってんじゃねーか!)
 今回のワールドカップ北京大会でうれしかったのは、やはり佐藤友和選手の参戦&レース内容でしょう。とにかく「楽しんで走っていることがいい」「躊躇のないレースぶりがいい」「一戦ごとに学びとっていることが、傍目にもわかっていい」といいことづくめ。今回は結果から見ると元気のなかった日本チームですが、この沈滞ムードを支えたのが佐藤選手のケイリンだったと思います。
 ケイリンって、スゴく難しいはずなんです。特に強い競輪選手にとっては。逆説的に聞こえるので説明が必要でしょうね。強い競輪選手は、脚がありますから世界のケイリンで勝つポテンシャルは高いといえます。一方で、強い選手は日本の競輪で持っている勝ちパターンが頭に残っていて、どうしても自分が日本でやっているパターンを持ち込みがちです。その証拠に日本のトップ競輪選手が世界のライダーたちとケイリンで激突する「インターナショナルケイリンイベント」でも「あの選手がなぜ?」といいたくなる負け方をすることがあります。頭で違うとわかっていても、身体にしみこんでいるんですね。海外経験の少ない選手が負けたときのコメントに「気がついたら横に来られてた」とか「迷っていたら、あっという間に置いていかれた」などというのが多いのです。ペーサーが退避したあとでも急にスピードが落ちたり、落ちたと思うと、また急に上がったりするのが、世界のケイリンです。わりと徐々にスピードの上がっていく日本の競輪との違いに戸惑うことが最初の関門です。スタート時の踏み出しに負けて後方に置かれ、脚をためて捲くりの機会を待っていると、予想とは違うタイミングでペースが上がり、自分が「このあたりからなら」と思っていた地点ではスピードがトップまで上がっていて捲くるに捲くれず、終始後方でそのままゴールというのもよくありますから、思い切りよく前に出る今回の佐藤選手の走りは、その関門をあっさりとクリアしたわけです。佐藤選手は頭で理解したことを身体で実現する能力に長けているのだと思います。
アワンと一緒に走りたいです
アワンと一緒に走りたいです
 そして、その走りの順応性の高さと、持っている情報量の少なさのギャップが面白くて、私は笑いが止まりませんでした。「パーキンスが来たときは、予想どおりだった?」なんて聞こうものなら「パーキンスって、誰ですか?」と返すし、「あのフランスの黒人の選手が・・・」「ボジェですね」「あ、ボジェですか」って、こんな感じですから。
 もちろん、ビデオを見て事前にいろいろ研究したりする熱心なところもある反面、外国人選手の名前はどーでもいいみたいです。そんな佐藤選手にもマレーシアのアジズ・アワンの走りは印象に残ったらしく「あいつはスゴいですね。アワンと一緒に走ってみたいです。僕はハンドル投げらんないですけど(ハンドル投げでウィリーするのはアワンの得意技)」なんて言ってましたよ。
7-12位決定戦のゴール。惜しくも2位だったが、順応性の高さがよくわかる競走だった
7-12位決定戦のゴール。
惜しくも2位だったが、
順応性の高さがよくわかる競走だった
  負けたレースの反省が次の競走にはっきりあらわれるのも気持ちがいいですね。セカンドラウンドでは、ペーサー退避から先頭を走っていましたが、想定していた選手と違う選手が捲くってきて迷ってしまい5着。その次のレースは、躊躇なく踏んでいきました。「“同じ負け方をするな”いつも師匠に言われていることです。何度も同じ失敗をしたら、バカですもんね」おっしゃるとおりなんですけど、それがなかなか出来ないんですよ。
 とにかくまだまだ走りたい様子の佐藤選手。「あぁ、決勝まで行っていたら、世界選に出してもらえたと思うんですけどネ」まだ誰が出るか決まっていないし、マニエ監督も「Sato is good !」を連発していたから、今回かなりアピールをしたと思いますよ。
 「同期の永井選手もオリンピック銅メダルだし、頑張ってください」の声かけには「ハイ。あの永井が銅メダルなら、僕もやれる気がします・・・なんちって(ペロリ)」イヤミのないビッグマウス、佐藤選手の挑戦は、はじまったばかりです。
ポケットロケット、アジズ・アワン。ポケットに入りそうな身体に、ロケットのようなダッシュ力
ポケットロケット、アジズ・アワン。
ポケットに入りそうな身体に、
ロケットのようなダッシュ力
  さて、佐藤選手も注目のアジズルハスニ・アワンが今回もケイリン優勝。さらにこれまたマレーシアのリザル・ティシンは1kmTT優勝。スプリントでは中国のジャン・レイが2位と最近、日本以外のアジアの国が表彰台に立つことが増えてきているんですよね。アジア全体のレベルアップは喜ぶべきことなんですが、日本も本当にウカウカしていられなくなったなと。選手強化や派遣の体制も業界全体で再考すべきでしょう。出来ない理由を探すより、出来る方法を死ぬ気で考えるべきところに来ている気がします。・・・・ハァハァハァ・・・すみません。まじめな話への持久力がないんで、乳酸がたまって、いっぱいいっぱいです。インターバルとらせてください。
  話はガラッと変わりますが、皆さんはパソコンのバックアップとってますか?実は北京で私のパソコンの調子が悪くなりまして、なかなか立ち上がらなくなっちゃいました。自分のオフィスのハードディスクにはある程度のバックアップがとってあったんですが、そんなにしょっちゅうは更新しないでしょ?なにより、現場で記事がかけないわ、過去のデータは調べられないわで仕事にならない・・・完全にあきらめ切れないのは何十回かに1回ぐらい思い出したかのように立ち上がるから。運よく立ち上がり、「よっしゃー仕事が出来るぞ!」と、トイレに行って戻ってきたら画面がブラックアウト!
 これを繰り返すと、心理的には「怒り」→「願い」→「祈り」→「まじない」の順に推移します。「怒り」のステージでは、ことの重大さに気がついていません。悪態をつくことで自分にかかるストレスをとりはらおうとする段階です。「願い」のステージに移行すると多少弱気になりながらも、冷静にハード故障なのかソフト故障なのか原因の切り分けを行い、現象を分析したりしてまだ傍目からも正常な人に見えます。「祈り」のステージに入ると「立てぇ、立つんだぁ、ジョー。うっうっ、ジョーよぉ~」(丹下段平口調、しかもパソコンを勝手にジョーと命名)、さらにパソコンが立ち上がらないのは自分に徳がないからで、神様が怒っているのだと、急に善行を心がけるようになります。
 「まじない」のステージにおいては、もはや理論などはどうでもよく、前回立ち上がったときにはどんな靴下をはいていたとか、左の耳をさわってからボタンを押したはず、などと妙なゲンを担ぐようになり、さらに症状が進むとファイテンのネックレスをパソコンにかけてみたり、サプリメントの錠剤をキーボードに並べてみたりと明らかな奇行を繰り返すようになります。最後には自分の思考は完全に停止し、面白がるまわりの人から「西の方向に向けろ」だの、「黄色い布をかけろ」だの言われて、それを忠実に実行しはじめます。我に返ると恐ろしいのですが、霊感商法にはまってしまう人の気持ちがちょっとわかった気がした北京大会でした。(どんな北京大会やねん)
中国チーム。地元開催は、チーム力を引き上げたか?
中国チーム。地元開催は、
チーム力を引き上げたか?
みんな渋々着ていたベスト。でも着慣れると、ポケットがいっぱいあって便利だったかも?
みんな渋々着ていたベスト。
でも着慣れると、ポケットがいっぱいあって
便利だったかも?
 北京でのワールドカップも今回が2回目。中国の連盟の意向としては、来シーズンも開催を目指すようです。あれだけ立派な施設を作ったのですから、コンスタントに大きな大会をやりたいという気持ちは当然のことですね。これを続けているうちに選手強化が進み、お客さんも定着してくる。こういうよい循環につながるまであと一歩のところまできていますね。女子の競技レベルという点では日本はすでに中国に水をあけられています。
 一方、参加する外国チームからの評判、取材するマスコミの評判というとどうでしょう。ビザの問題、滞在の快適さの問題、言葉の問題、取材への融通性の問題など、チームやマスコミが積極的に参加したい開催地かというとまだまだそうではないようです。話があちこち飛んで恐縮なんですが、今回なぜかインフィールドに入る報道関係者には背中に「撮影」と書いた釣り用のようなベストの着用が義務付けられました。私なんか「何ですかコレ!ボクのオシャレが台無しじゃあないですか!」と騒いでいたのですが、滝澤先生は何の文句も言わずキリッとそれを着用し、かなり似合ってました。「何でその写真を載せないんだ」って?今は、ダメです。先生には今は「釣り師」じゃなくって「酪農家」でいてもらわないと。(参考www.sho-ri.jp
  冗談は置いておいて、回数を重ねるごとに少しずつ大会というものはよくなっていくんだと思います。そういう意味では単発開催というのは、もったいないわけですね。北京ではじめからよかったことといったら食べ物が美味しくて安いこと。これはさすがです!今回は「中華風しゃぶしゃぶ」をはじめていただきましたが、うまい!!ちょっと辛いゴマダレのとりこです。そういう要素まで含めると、「中国開催はイイネ」という風になってきます。もしや、オリンピックが北京に決まったのは、IOCの委員の人がしゃぶしゃぶのゴマダレを食べたからじゃ???(ないない)
 でも、どうです?来年も北京開催が決まったら、ワールドカップ見に行ってみては?日本選手たちも日本語の声援があれば、ますます気合が入ると思いますし、レース観戦後は安くて美味しい中華料理のおまけつき。ネ!
カツノハ、「タレ」ダ。リョウリトハ、ナンダ。(フッ、決まったゼ)

コイツ、パクリばっかなんで、次からカットだな(プロデューサーの声)
 
TrackMania
 
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved.