デュッセルドルフ通信 2009年7月31日

Viva la France!

 
 東京では梅雨が早くあけたのに、戻り梅雨でさえない・・・なんてお話も聞こえてくるのですが、皆さんいかがおすごしでしょうか?
 さえない、といえば、まあ、私はいつもさえませんが、私事少し早めに夏休みなどいただきまして、フランスへと行って参りました。ここはドイツ人に合わせて大型連休のバカンス(良い響きですねー。)、といきたいところですが、1週間ほど、いやいや、ありがたいことです。フランスはお隣の国なので、隣接している辺りなら車で3時間弱で行ってしまいます。ということで、前回書かせていただきました、愛車パトカー、ポリツァイ号とともにここデュッセルドルフから旅立つのでした。で、最初に訪れたのが通り道にあるフランス北東部にあるランスという町。この町はシャンパンを産するシャンパーニュ地方の中心都市で、あらま、街中の右も左もシャンパン・ハウス、なんてところもあってビールは飲めませんが酒好きの私にはすこしわくわくしてしまう町。そんな町の近郊をドライブしている際、旅の2日目にして事件がおきるのでした・・・
 ぴよよよよ~ん、という小さい電子音がしたかと思うと、ポリツァイ号のインパネにはオイル・ランプとエンジン・ランプが点灯、点滅・・・んんんっと、ややブルーな気持ちになりながら走り続けるものの、すぐに坂を迎えたところでパワーが出ずに減速状態・・・完全にブルーになり、車を側道に停車。車のことなど疎い私。とりあえずエンジンルームを空けて、なんとなくエンジン・オイルをチェックしたりした後、エンジン止めといてしばらくしたら何事もなかったかのように走り出さないかな・・・などと思い、しばし放電状態。頃合い(何の頃合い???)を見計らってエンジン再始動。頼んます、と神に祈りながらアクセルを踏みスタートするも、あえなく再度のランプ点灯・・・動揺しながらも、とりあえずは動き、エンジンの温度の上昇などもないことから5km先のホテルまではなんとか、と泣きたくなるのを押さえて運転。いやあ、長かったです。ヨーロッパの日曜、ほとんどの店がお休みしちゃったりという感じで、動きのとりようがないんですね。どよーん、とした気分のまま日曜の夜をやりすごし、ホテルで調べてもらった、とりあえず近くのディーラー兼修理工場みたいなところへ行くことに。昨日と同様、1日たったら何事もなかったかのように動き出してください!という祈りも通じず、あっさりランプの点灯・点滅。あいかわらずパワーも出ません。さっさと目的地に到着したいところだったのですが、ランスの町はトラム(路面電車)の敷設工事真っ只中で、どこもかしこも工事中だらけの迂回路だらけ。またまた泣きたくなったのですがなんとか到着。いやー、これも長かったです。で、早速車を止めて店内へ。近くにいた若いお兄さんに「ちょっと車の調子が悪くて・・・」と、当然フランス語は「メルシー」としか言葉を発したことのない、というか知らない私には英語で話しかけるしか為せることがないのですが、お兄さん、ん、とこっちを見た後にしばし直立不動。その後さささっと動き、あるお姉さんを指差しどこかへと去って行ってしまいました。仕方なくそのお姉さんに「車の調子が・・・」というと、「あー、ホテルから電話くれた?」と反応してくれ、話が動き出しました。「オイル・ランプとエンジン・ランプとあとひとつランプが点いてるんだけど・・・」と言うと、「ちょっと修理担当にきいてくるわね。」という言葉とともに去った彼女、しばらくして戻ってきてくれたのですが、「いずれにしても取り込んでいて、今すぐというわけにはいかないみたい・・・」と。手のうちようがありませんので、「いずれにしてもチェックしてほしいんだけど・・・」「じゃあ少し時間をくださいね。いつこれる?明日、明後日?」んー。はてどうしよう。ここでホテル見つけて泊まって状況を見守っても仕方ないし、この先のホテルも予約済みだし、キャンセルしてもお金も返ってこないし、旅行やめちゃうのも癪だし、ということで「じゃあ4日後にまた来ます。」ということに。「じゃあチェックしてどこどう直すかとか、修理するかしないかとか、担当に電話させますね。」と。いやあ、彼女がいなかったら困るとこだった、とりあえず良かった、ということで、レンタカー借りて旅を続行することに。「歩いて5分くらいのところにレンタカー屋があるからそこで借りると良いわよ。」ということでそのレンタカー屋に行き「車借りたいんだけど・・・」「ノー。」、「ノー?」「ノー。」それ以上何も話してくれません。てくてくまたディーラーへ。彼女、ぱたぱたあっちに行ったり、電話に出たりと忙しそう。隣のお姉さんはなんか忙しそうじゃないんですけど、やはり英語が話せず相手にしてくれません。忙しい彼女、ひと段落の後、笑顔で「どうだった?」「いやなんだか分からんけどノーだって。」「えー何それ!信じられないわねー!頭きちゃうわね。」「どっか他にないかなあ?」「ちょっと待ってね、えーと駅前にハーツ(発音、アーツになってました。)とエイビス(アビスになってました。)があるわね。ちょっと行ったところのパン屋の前からバスが出てるからそれで行くといいわよ。」んー彼女いー人だ。これは恋?私、恋しちゃったのではないですか?どうですか。皆さん?親切なフランス人、オー、フレンチ・イズ・ソー・キュート、なんてどこかで聞いたことがありますが、なんか妄想が起きてきませんか???そう、これは恋なのですよ。やはり夏は恋の季節。良い夏の到来ですか、と困っているこの状況を遠くに追いやりたい私は思うのでした。駅前にはやはりいくつかのレンタカー屋があったのでそのうちの1つへ。「ちっちゃい車が1台あります。」「はい、じゃあそれで。」「免許証を。」「はいはい。」ドイツの免許証はEU内で有効なのですが、しばし私の免許証を見て、隣の同僚となんやら話してます。「これ、有効期限は?」変っちゃ変なのですが、ドイツの免許証、期限がない、ずっと有効なんですねえ。「いや永久に有効ですよ。」「は?」「いやだから有効期限はないです。」また同僚となんか話してます。「これ免許発行されてから1年経ってないんで・・・」「は?駄目なの?んー、じゃあ日本の国際免許あるからそれでいい?」「あ、ほんと。じゃあそれOKです。パスポートも。」「今ロシアのビザを取るので預けちゃってるのでコピーですけど、はいこれ。」また同僚となんだか・・・「いやオリジナルじゃないと・・・」「いやでもコピーとったりして終わりなんでしょ。だったらいいじゃない?」また同僚と・・・「やはりオリジナルが・・・」なにー!あんたらケ・セラセラのラテンの民族じゃなかったんかい?そんな細かいこと気にして生きる民族じゃないだろうが!そんなの気にしてどうすんじゃあ!とパスポートを持たない自分の事は棚にあげ、色々とうまくいかない状況にキレ気味になりながら、「ってことは結論は駄目なの?」「・・・そうですね。」はいはい。じゃあね。何事もうまくいかない苛立ちと、車、借りれないんじゃない、という焦りと、とても複雑な感じ。でも前向きにならないと・・・次だ次!と思い2件目のドアを開けたものの、おやじ「あー、今日車1台もないんだよ。多分明日はあるんじゃないかな?またねー。」明るく断られました。どうなってんだい、だめかこりゃ。駄目もとで少し離れた最後の1件・・・「車、あるよあるよ。じゃあ免許証ね、あ、パスポートもね。」やっぱパスポートいるのか・・・「コピーなんだけどいい?」「もちろんもちろん、はい、パーフェクト!」これだよ、これ。なんで初めからこうならないの?パーフェクトじゃないの。やっぱラテンはこうじゃないと。最後になんとかなった報告と、よろしくとの挨拶のために再度ディーラーに、というかお姉さんに。「借りれた?良かった。じゃあ電話させますからね。またねー。」とお姉さんの笑顔とともに300km離れた目的地へとやっと旅立つのでした。その後特に電話もなく、んー、でも大したことなくてあっさり修理終わっちゃってるかもしんないし、なんて思っているうちに4日後。朝早起きし、300km離れたランスへ再度。またまたお姉さん笑顔で「ちゃんと車治った?」「へ、いや、それを聞きに来たんだけど・・・」「あれ、電話なかったの?」「うん、なかったけど。」「えー、電話するように言ったのに・・・ちょっと待っててね。」すごく嫌な予感。「オイルのポンプが調子悪いみたいなんだけど、もっと調べなきゃいけないのと、フォルクスワーゲン本体の見解とかも聞かなきゃいけないから、もう少し時間がかかるみたい。どうする?」と。乗って帰るわけにもいかないし、立替払いはしなければいけないものの、保証でなんとかなりそう、との話も聞いていたので為すすべもなく、「じゃあ、お願いします。」「じゃあ見積もりとか、状況とかメールで連絡させますねー。」って、治らないことを想定してなかった私、車今日までしか借りてないんですけど・・・なんとか期間延長&デュッセル乗り捨てOKをゲットし、再度300km離れた地へ・・・今日、何しに来たんだ・・・翌日600km離れたデュッセルドルフへ帰ったのですが、あれからもう10日以上。メール、来ないんですけど・・・何の連絡もないんですけど・・・フランス・・・いやフランスが悪いんじゃない・・・フランスが悪いんじゃない・・・催促のメール、しよう・・・
 そう、しょうもない話で長くてスミマセン。そんなことよりフランスといえば、自転車レース最大の祭典、ツール・ド・フランスが終わりましたね。今年のツールはやはりあのランス・アームストロング(アスタナ)の復活が大きく注目されると同時に、13年ぶりに日本人もツールに参戦!ということで随分と日本でも盛り上がったのではないでしょうか?しかも別府史之選手(スキル・シマノ)、新城幸也選手(Bbox・ブイグ・テレコム)と一気に2人もの参戦ということで、ついつい遅くまでテレビの前に釘付け状態で、毎日眠たい目をこすりながらお仕事なんかに励まざるを得なかった人も多かったのでは?結果は別府選手112位、新城選手129位と日本人初の完走!フランスの大日刊スポーツ紙、レキップにも記事が取り上げられたりと、参加するだけでも、まあ、すごいのに、地元フランスのメディアにも注目を浴びていました。それだけでなく、別府選手は最後に区間敢闘賞を得る快挙まで!日本、そして日本人にとって特別な、忘れられないツールとなりましたね。ご存じのとおり、レースは偉大なチーム・メイト、ランス・アームストロングとの確執・関係が連日報道されたアルベルト・コンタドール(アスタナ)の2年ぶり2回目の優勝で幕を閉じましたが、ランスは既に来季は別のチームでマイヨ・ジョーヌ獲得を目指すことを公言。今後の2人、そしてそれを取り巻く環境には注目ですね。
 そんな彼らのほかに今ツールで輝きを放っていたのは、やはり6ステージで優勝と昨年の4勝を上回る活躍で、そのスプリント力をまざまざと見せつけていたマーク・カヴェンディッシュ(チーム・コロンビア・ハイ・ロード)でしょうか。ジロ・デ・イタリアでの好調さをそのままに、なんか気付くと、またまーくんかい、というような感じで、インタヴューも何度も受けていたような印象がありますが、それでもスプリント王の証、緑のジャージ、マイヨ・ヴェールは僅差で獲得出来なかったのですからその難しさが分かるというものです。で、この人、ツール期間中にフランス人に対して余り良い印象を持っていないのか、その発言がちょっと取り沙汰されたようなのですが、え、フランス人が嫌い?あ、なんか、そのー、お友達になれそうなー、気が合っちゃったり、いやいや私は何も言ってませんよ。日仏友好の精神で邁進するのみです。
 先ほど書かせていただいたとおり、この彼、昨年は4勝をあげたものの、ツール途中で参加をやめちゃったんですね。で、何をしてたのか、というと気付けばもう1年前の北京オリンピックに参加していたんですねー。その北京で参加したのが、我らがトラック競技はマディソン。結果は9位と入賞を逃しているものの、もともと2005年、2008年の世界選手権で金メダル獲得という歴とした元世界王者。いやいや頭が下がります。この2008年の世界選手権の金メダル、そして北京オリンピックでのパートナーに目をやるとこれが今度はブラッドレー・ウィギンス(ガーミン・スリップストリーム)。でまたこの人がカヴェンディッシュと組んだマディソンはともかく、個人追抜ではアテネ・オリンピックを制したディフェンディング・チャンピオンとして登場し見事に連覇、そして団体追抜では3分53秒314の世界記録で金メダルを獲得したイギリス・チームの主力と、1大会3つの金メダルを獲得したクリス・ホイの陰に隠れてしまっているようですが、北京においてトラック種目10種目中、驚異の7種目を制したブリティッシュ・サイクリングの長距離系の大エースなのです。
 そんな彼らの活躍もあるのでしょうか?しばらく前にこのブリティッシュ・サイクリング、もちろん大成功を納めた北京に続く次の五輪を地元、ロンドンで2012年に開催するわけですが、これは一生に一度というくらいのまたとない機会でしょうということで、世界的な規模での成功を収めるために、スポーツ、レクレーションそして地球に優しい移動手段として、皆がサイクリングに参加するようになるように、ということで2009年から2013年にわたる4カ年計画、というものを発表しました。この勢いにのって、ブリティッシュ・サイクリングという傘の名のもとに一つになって、それこそ底辺から競技者トップ・クラスの頂点まで、トラックだってロードだってBMX、マウンテン・バイクも、移動のためのママチャリだってなんだって、どんどん推進しちゃいましょうや、オリンピックもあるんですぜ、ということのようですね。まあ色々、底辺クラスの競技を拡大します、誰でも使えて、競技からレクレーションまでを守備範囲にしちゃう環境をもっと整えます、サイクリングのための道路整備を政府と一体になってすすめていきます、なんて感じで、中にはとにかくみんな自転車に乗ろうよ、ということで2013年までに月に1回は自転車に乗ります、はい、という人を100万人、週1はいきますよ、という人を12万5千人以上に、これが目標、なんてものもあります。この自転車人口増を目指して開かれるのが、ブリティッシュ・サイクリングの大スポンサー、Sky(TV放送局、先日ドイツでも広告が・・・拡大してるんですねー。)による道路をクローズして行う、みんなで自転車に乗ろうイベント。この夏にロンドン、マンチェスター、グラスゴーほかの全5都市の街中で開催し、おそらく、「みんな、サー・クリス・ホイと一緒に自転車に乗ろう!ヴィッキー・ペンドルトンも来るよ!」という感じですすめちゃうんでしょう。また、競技面での明確な目標として掲げられているのが、このSkyによるプロ・ロード・チーム、チーム・スカイを立ち上げ、5年以内にツール・ド・フランスでイギリス人優勝者を出す!というもの。確かにこのトラックでの成績と比べてしまうと、ロードでのイギリスはちょっと他の国々におされ気味。さきほどのマーク・カヴェンディッシュがいるものの、タイプ的に総合優勝、という感じではないですし、ブラッドレー・ウィギンスがこのツールで収めた総合4位というのがツールにおけるイギリス人の25年ぶりのタイ記録、ということですので、立ちはだかる壁は高いのでしょうが、この明確な目標に加え、あのブリティッシュ・サイクリングのこと、気付けば5年後にはロードの中心国イギリスというのは世界の常識、なんてことも?この辺りもどのように動いていくのかこれまた注目ですね。
 さて今回はVIVA ラ フランス!日仏友好特集ということで、今更ですが、私がこちらの生活にいっぱいいっぱいでお仕事をさぼっている間に、そうです、ケヴィン・シロー、しばらく前に最近強いなー、なんて思っていたのも束の間、フランス・チームの主力に入り込んで北京のチーム・スプリントでの銀メダル獲得に貢献、今年3月ポーランドでの世界選手権では同じくチーム・スプリントで金メダル連覇の彼が、5月にモスクワで行われたグランプリ・オブ・モスコウでのフライング・タイム・トライアル200m(スプリント予選のあれですね。)で9秒572と世界記録を更新。従来の記録が9秒772と、これをなんと0.2秒以上縮めての快挙。いやすごい数字ですね。実は前日にグレゴリー・ボジェが9秒654を叩き出した後に9秒650、そして翌日この新記録とのこと。昨年、一昨年のワールド・カップではそれぞれスプリントで1回ずつ優勝していますが、若干22歳の若手ライダーがフランスのエースとなるのか、はたまたフランスにとどまらず個人種目でも世界一の座に君臨するのか、今年のシーズンが本当に楽しみになりますね。
 で、この記録が破られるまでの記録も同じくモスクワはクリラツカヤ・ヴェロドロームで記録されたものですが、この持ち主が、そう、ロードに転向し、少しトラック界を淋しくさせてしまったテオ・ボス。「テオがいないとつまんなーい。」と世の女性トラック・ファンに幾度となく言わせたであろう、強さ、ルックス、文句のつけようがない彼ですが、ツキもないまま、結果が残せなかった北京オリンピック以降、ロードへ、ということだったのですが・・・4月に行われた8日間のステージ・レース、ツアー・オブ・ターキーの最終日でのダリル・インペイ(南アフリカ バルロワールド)に対する行為、これで彼は失格、罰金となったのですが、この行為により先日、UCIはテオ・ボスを8月15日から9月14日までの資格停止処分とすること、競輪でいうところのあっせん停止状態とすることを発表しました。またこの行為の後ほど、テオはスペインのマヨルカ島へ行き、良く?ありますよね、車のバックハッチ開けて先導してもがく、というやつ・・・あれで140km出したとかいうようなものも目にします。小さいレースで優勝、というのもあるようですが、なんだか少し迷走してしまっているような・・・ダリル・インペイへの行為はわざとではない、ということですが、皆さんにはどのように見えますか?トラックに戻ってきて欲しいという気持ちもありますが、ロードでも満足のいく結果を出して欲しいという気持ちもあり、なんだか複雑ではありますが・・・今後の活躍に期待したいところです。
 なんだか今回、写真もないまま、文章だけでのお伝え、しょうもない話が多く、内容的にもうっすくて申し訳ありません。次回はジュニアの世界選手権後に写真付きでお知らせさせていただきたいと思います。では。あ、メールがやっときました!やった!う~ん・・・フランス語だあ~・・・
Nous avons bien recu votre mail ,nous devons・・・
 
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