デュッセルドルフ通信 2009年8月19日

歴史的快挙にスパシーバ

 
 
赤の広場
赤の広場

競技場の外観
競技場の外観

競技場内部
競技場内部
 お目通しいただいている皆様、お元気にお過ごしでしょうか?お盆休みも明け、やや、あー、俺の/あたしの夏も終わった・・・などと少しブルーになったりしてませんでしょうか?残念ながらこちらはお盆休みなどあるはずもなく、お陰様でそんな憂鬱な気分からは逃れられておりますが・・・ただ、事務所の引っ越しなんかありまして、これが面倒くさい!煩わしい!ほとんどの方、引越しのご経験があるかと思いますが、まあ、荷物をまとめあげるのも面倒ですが、またこれを新たな場所にフィットさせなきゃいけないんですものね・・・いや面倒くさい・・・  ちゃんと計画的にやっていない自分が悪いのですが、そのお盆の真っただ中、ロシアの首都、モスクワに行って参りました。ということで、改めまして、皆様、スパシーバ。本来なら「こんにちは!」というところなのでしょうが、私、この「スパシーバ(ありがとう)」しか知りません。なので言われて分るのも「スパシーバ」のみ。完全アウェーです。なんだかニヤとかニェーとかダーとか聞こえてきますが「スパシーバ」にしか反応できません。反応したからなんだということもないのですが、しかも自分ではこの「スパシーバ」を発することをしないんですねー。離れてしまってからなんですが、ということで皆様、スパシーバ。 なんで、モスクワまで行ってきたのかと申しますと、ジュニア世界選手権がモスクワで開催されたんです。場所はモスクワの中心からやや郊外に向かった所にあるクリラツコエ・ヴェロドローム。モスクワ・オリンピック開催のために建設されたこの競技場、屋内で木製の周長333.3mのトラックを有し、今年が開設30周年とのこと。それを記念して、「世界新記録が出た場合は賞金を!」なんて文字も見えます。ま、賞金の額は400ユーロ、5万円強といったところですか。ジュニアですしね、あるだけ励みになるというところでしょうか。でも、この競技場、ジュニアを含め、最近世界新記録が出ているトラックなんですねー。そう、先日遅ればせながらお伝えしました、ケヴィン・シローが出したフライングの200mタイム・トライアル、9秒572はこのトラックでのものなんです。ロードもこの近郊で開催され、ジュニア世界選手権の日程はロード、7・9日、トラック、11~15日で、私はトラックの日程に合わせて行って参りました。今回はそのレポートです。
ポイント・レースで激走する元砂選手
ポイント・レースで激走する元砂選手
やった!銀メダル!
やった!銀メダル!

表彰式の元砂選手。いー笑顔です。
表彰式の元砂選手。いー笑顔です。

日の丸が!
日の丸が!
  いきなりですが、ジャパン・ジュニアにとっての第1のクライマックスは初日にやって参りました。この日、女子500mタイム・トライアル、男子チーム・スプリント予選に続いて、出場選手32名で行われたポイント・レース。24km、トラック72周回で行われ、6周ごと12か所に中間スプリント(ポイントが与えられる。)が設けられての戦いに元砂勇雪(もとすな・ゆう 奈良 榛生昇陽高校)選手が出場。元砂選手、メリハリをつけながらも積極的な競走を展開し、4つ目(残り48周)の中間スプリントを見事先頭で駆け抜け5ポイントを獲得。7つ目(残り30周)の中間スプリントでも3番手で通過し2ポイントを獲得し7ポイント、この時点で2位!おー、これは!と思わせたその後はなかなかポイントを獲得出来ず、6位と後退し、残りは最終周回(ゴール)でのスプリントのみとなります。既にアタックをかけて抜け出た1人を除いて、2番手集団は5人。その中には10ポイントでトップにたつデンマークのランダーの他に元砂選手の姿も。集団の先頭に立ちスパート時期を見計らいながら、残り1周のホームストレッチから強気に先行体制。この強気が功を奏し、そのまま後続を振り切り2番手でゴール!3ポイントを獲得、これで10ポイントとなり、ゴールの順位が2位と上位だったことからなんと銀メダルを獲得!初日早々にビッグなメダルを獲得したのです!振り切ったランダーが3番手でゴールし、2ポイントを獲得し12ポイントで金メダル。このランダーがたれてくれていれば・・・というところですが、それでも見事な銀メダル獲得です!いきなりありがたいものを見せていただいて・・・
「思ったより良い位置が取れなかったりして、道中結構苦労しましたが、前々でレースを進めることを考えました。昨年のジュニア世界選手権でラップ(1周差をつけること)されて、悔しい思いをしたので、今回は悔いを残さないように積極的なレースを心掛けました。最後は引いたら負けだと思って強気に逃げました。結果がでて嬉しいです。」
 いやいや初日から大仕事をやってのけてくれました!本当におめでとうございます。
 元砂選手は翌日の個人追抜き(3km)にも出場。しかし、この個人追抜きでは残念な出来事が・・・もちろん大会のスケジュールは事前に発表されているのですが、この日のスタート時間は14時の予定。これに合わせてチームは動いていたのですが、なんと、このスタート時間がいつの間にか13時に変更されていたのです。確かに観客席にもほとんど人がおらず、プレス・センターにも人がいないわ、昨日はいたカメラマンも今日は一人も姿が見えません。1組目のチリの選手、3組目のコロンビアの選手、5組目のマレーシアの選手と前半の選手が次々と出走せず、と開始時間の繰上げが伝わっていないのが明らかに見て分ります。そんな状況でウォーミング・アップも出来ずに7組目で出走した元砂選手。3分39秒735と自己記録の33秒に遠く及ばずに終えました。
「残念です。自己記録を目指していたんですが、アップも出来ずに、やっぱり足が回らなかったっです。周回を重ねるごとにどんどんたれていってしましました。」
 いやー、昨日の激走で疲れが残っちゃったのかなあ・・・なんて思っていたのですが、とんでもない。こんな状況だったのですね・・・これが世界、と言えばそうかもしれませんが、いやいや、とんだ洗礼を浴びてしまいました・・・それでもポイントでの銀メダル獲得は立派。今後は大学に進学して競技を続けていくとのこと。更なる飛躍を期待したいです。
スクラッチで積極的な走りを見せた木下選手
スクラッチで積極的な走りを見せた木下選手
  銀メダル獲得のお知らせに始まったので、エンデュランス系の選手から紹介しましょう。2日目のスクラッチ、10kmに出場した木下智裕(きのした・ともひろ 神奈川 関東学院六浦高校) 選手。31人で争われたこのレースで中盤から後半にかけて前々で積極的な競走を展開。途中4、5人で逃げるか、というような場面も見られましたが、集団から飛び出すことはなく、最後は包まれるような形で12着。上位入賞もいけるのでは?と思わせた場面もあっただけに少し惜しいレースとなりました。
「元々僕はロードなので、普段長い距離を踏んでいるのでレースがきついということは全くありませんでした。普段この人数でトラックを走ることはなかったので、道中何度も接触したり、また他人が接触してるのを見て、そちらにばかり気がいってしまいました。レース経験が少ないのでどのタイミングで上へあがって仕掛けるべきか分からなくて結果が出せませんでした。今後は日本での成績で満足したくないので、フランスへ行って力を伸ばしたいです。誰に聞いてもフミユキ・ベップ、ユキヤ・アラシロは知っているのでやはりツール・ド・フランスが僕の夢です。」と志高く話してもらいました。積極的に海外遠征も重ねて経験を積んでいる木下選手、高校に自転車部もなく、普段は一人で練習しているとのことで、一人じゃ難しいのでは?と聞くと「良くそういわれますが、自分の弱いところをやるだけなので・・・元々みんなで、というタイプでもないので僕には合っているような気もします。でもやっぱり大会に出る時なんかは大変ですね。右肩にトラック、左肩にロードみたいな・・・」とのこと。頑張って、また成長した姿にどこかでお目にかかりたいです。
ちょっと残念だった矢野選手。次回に期待!
ちょっと残念だった矢野選手。次回に期待!
  元砂選手と同じ個人追抜き3kmに出場した矢野智哉(やの・ともや 岐阜 岐南工業高校)選手。矢野選手は更に早い3組目での出走。何も準備していない状態でレース開始を告げられ、あわてて出走。3分37秒257と自己ベストの34秒に及ばず残念な結果に。
「ウォーミング・アップも何も出来ないままでスタートになってしまいました。やはり走っていても足があまり回らない感じでした。練習でも軽くてスピードが出るトラックだな、と思って、自己記録の更新を狙っていたので残念です。初めての海外遠征で他国の選手の走りを見て刺激を受けたのでこれからも頑張っていきたいです。」
 エントリーもこの1種目のみで、残念ながら不完全燃焼となってしまいましたが、まだ高校2年生。今回得た刺激を上手く形に変えて、来年の世界選手権でこのもやもやを一気に晴らしてもらいましょう。
ケイリンでぺーサーの後位から先行した末木選手
ケイリンでぺーサーの後位から先行した末木選手
  さあ、続いてスプリント系選手です。
  まずは末木浩二(すえき・こうじ 山梨 甲府工業高校)選手。2日目に行われたケイリンに出場。1回戦は6人での競走で1着のみが2回戦に駒を進めるという狭き門。インから3番目の位置からの出走となりましたが、号砲後、ダッシュ良くペーサーの後位をゲット。そのままペーサーの退避後も先頭を走り続けます。そして最終周前回の4コーナーから果敢に先行体制。気風の良さを見せますが、最後は飲み込まれ5着。敗者復活戦へと回ります。敗者復活戦も5人中1着のみが2回戦行きというこちらも厳しいもの。最内からのスタートとなったこのレース前から2番手で周回を重ねることとなります。最終周回ホーム・ストレッチでウクライナのコカレフが先行体制もすぐさまロシアのツールキンが1コーナーでその上をまくっていく体制、ドイツのシュヴァイツアー、末木選手と続きます。シュヴァイツアーが満を持して4コーナーで抜け出しにかかり、末木選手もその外から追い込み体制でゴール。わずかに届かず2着となり、2回戦への道が閉ざされてしまいました。
「1走目は力がどこまで通用するかと思い、とにかく先行しようと決めていました。結果、少し気持ち良く行き過ぎたかな、と思っています。2走目は勝ちにこだわって位置取りとかも気にしましたが力が足りませんでした。重いギアを踏む練習をしていないので、2走目は軽いギアに変えて走りました。重いギアを踏めるように、今後はそのあたりが課題だと思っています。」
 末木選手は初日のチーム・スプリント、4日目のスプリント予選にも出走。チーム・スプリントは2走目を務め、スプリント予選は2番目の出走で11秒051は出走50人中43位の成績。残念ながら1/16決勝へは進めませんでした。
 
ケイリンで周回を重ねる横山選手
ケイリンで周回を重ねる横山選手
  ケイリンに出場したもう一人が横山尚則(よこやま・ひさのり 茨城 取手第一高校)選手。1回戦は7人中インから3番目の位置からの出走。道中5番手で周回を重ね、動きが出だしてからも後方での位置取り。最後は追い込んだものの及ばず4着で敗者復活戦回り。敗者復活戦は5人中最内からのスタート。スタート後は3番手の位置で周回を重ねますが、ペーサー退避後のやや牽制状態の中、果敢に最終周前回のバック・ストレッチから先行体制に入ります。必死に逃げる横山選手でしたが、最終3コーナーで番手のオーストラリア・ハモンドが番手捲りを打ち、その後ろのフランス・ヴァレンツァとの一騎打ち。ハモンドの勝利となり横山選手は残念ながら5着で2回戦進出はなりませんでした。 「今回の結果は正直に言って足の違いとしか言いようがありません。海外遠征も木製トラックも初めてで、トラックは軽いけれど、滑るという印象でした。1走目は感じをつかもうと思っていたら後手後手になってしまって何も出来ませんでした。2走目は結果が良くても悪くても良いから先行しようと決めていました。非常に良い経験になりましたが、良い経験をした、というので終わりにしたくないので、この経験を生かして更に頑張っていきたいと思います。今後は競輪学校の入学を目指して、その先、東京オリンピックも目指して頑張ります。」  結果は伴いませんでしたが、思い切りの良さを見せた横山選手。この積極性が今後の努力とあいまって、良い結果につながっていくことを期待したいと思います。ケイリンは1回戦、敗者復活戦ともに1着上がりという厳しい条件でしたが、やはり強豪はこういったところをしっかりクリアしてくるもの。そういう強さも身につけてくれることを願っています。
1kmタイム・トライアルでの窓場選手
1kmタイム・トライアルでの窓場選手
  1kmタイム・トライアル、スプリント、チーム・スプリントにエントリーした窓場千加頼(まどば・ちかより 京都 向陽高校)選手。1kmタイム・トライアルは31名中16番目の出走、後半にしぶとさをみせたものの1分7秒765で23位。
「ギアをかけてタイムを狙いにいきましたが自己ベストの5秒台には及ばず残念です。インターハイ直後ということでこの大会に向けた練習があまり出来なかったし、こちらに来てもあまり乗り込めず調子は良くありませんでした。」
スプリント予選は17番目の出走で10秒646。自己ベストの11秒1を大きく更新し、日本勢の最高タイムを出しましたが50人中24人が進める1/16決勝には届かず34位。
「自己ベストを更新して自分では予選を突破できると思いましたが、世界はもっと上でした。でもこの経験を生かしてエリートになっても頑張りたいと思います。進路は競輪学校を目指したい気持ちもありますが、大学に進学して競技に磨きをかけたいと思います。」
チーム・スプリントでは第3走者を務めました。ロードでの海外遠征はあるものの、トラックは初遠征。それでハロンの記録を大きく更新ですから世界で互角に渡り合えるように力をつけていってほしいです。
ハロンに臨む伊藤選手
ハロンに臨む伊藤選手
  スプリント、チーム・スプリントにエントリーした伊藤裕貴(いとう・ゆうき 三重 朝明高校)選手。インターハイのスプリントを制してモスクワに乗り込んできました。スプリント予選は25番目の出走も10秒940の42位で予選通過ならず。
「こちらに来て足的には落ちてしまい、目標だった自己ベスト10秒8の更新ができませんでした。ただ、今までは練習にしても言われたとおりにやるだけだったのが、どういった練習をすれば結果につながるか、どういう練習をしていかなければならないかということを意識していこうと、考え方が変わったので、頑張って先々につなげていきたいです。今後は競輪学校を目指します。早生まれで来年もジュニア世界選手権の出場資格があるので是非出場して結果を残したいと思います。」チーム・スプリントは第1走者として出走。末木選手、窓場選手と3人で臨んだ結果は1分2秒987で出走14チーム中9位の成績。インターハイ直後の急造チームというハンデがあったわりには皆、そこそこうまく連携できたと満足なようでした。しかしながら予選1位のニュージーランド・チームとは2秒55の差。この差を縮めるには伊藤選手も暗に言っていたように重いギアを踏むという課題をクリアする必要があるのでしょうか。
自己ベストを記録した野上選手
自己ベストを記録した野上選手
  1kmタイム・トライアル出走の野上侑矢(のがみ・ゆうや 岡山 岡山工業高校)選手。31人の先陣を切ってトップで登場。最後はややスピードを落とすものの1分6秒908。7秒台だった自己記録を見事更新です。
「現地に入って調整不足で足的にはあまり良くない状況でした。海外遠征も初めてで、このトラックも正直言うと、ちょっと怖かったです。でも慣れてくると走りやすく、自己ベストの更新を狙っていたのでその辺りは正直にうれしいです。今後は大学に進学して競技を続け、頑張っていきたいです。」初めての海外遠征での自己ベスト更新。新たな何かを掴んでこの先も頑張ってもらいたいです。
競輪での前田選手。今回は3種目にエントリー
競輪での前田選手。今回は3種目にエントリー
  男子だけでなく女子だって頑張ってます。女子は2名の参加。スプリント系、エンデュランス系と別れてそれぞれ3種目ずつに参加。
  スプリント系担当が前田佳代乃(まえだ・かのよ 兵庫 鹿屋体育大学)選手。男女通じて唯一の大学生で、直前に修善寺で合宿を行ってからの現地入りです。
  まずは500mタイム・トライアル。19人が出場した中で前田選手は5番目の出走。初めの半周は出走選手中1番と突っ込んだ入りから、後半はやや失速したものの49秒846と嬉しい自己ベスト更新。この時点で2番目の記録です。その後次々と出走するものの、前田選手のタイムを更新するものはほとんどあらわれません。気づくと2人を残して3位という状況。これは、と期待が高まりましたが、残る2人に記録を上回られ、残念ながら5位。
「それまでは個人でやっていて、大学に入ってから周りと一緒に練習するようになり、正直自分でも力をつけ、伸びてきているな、と感じています。自己ベストを目指していたので嬉しいんですが、ひょっとして・・・とも思っていたので・・・でも金メダルが中国の選手だったので、まずはアジアで勝てるように頑張りたいです。フライング200でも日本記録を目指して頑張りたいです。」
 続いてスプリント。自己記録、ジュニア日本記録を目指して臨んだフライング200mのスプリント予選は22人中3番目のスタート。残念ながらスピードにのれず、12秒268で22人中21位の記録。その後の1/16決勝は500mタイム・トライアルで金メダルのツォン・チャンシと対戦するも残念ながら敗退。
「ハロン、駄目でした・・・本選はやりたかった中国の選手で良かったんですけど・・・テクニックはともかく、パワーだけで負けてしまいました。テクニック的にはなんとかなる気がしたので、やはり課題は足ですね。」
 最後はケイリン。7人中、上位2人が準決勝に進む1回戦は、内から2番目の位置からの出走。3番手の位置を取り、周回を重ねます。各選手が動きをみせる中、前田選手は5番手の位置で最終周回を迎えます。1センターから2コーナー付近でまくりをみせるか、といった場面も不発。結果7着での入選。続いて5人中、こちらも上位2人が準決勝へという敗者復活戦。こちらも内から2人目での出走でスタート後は2番手を取りキープします。最終前回1コーナー付近から上昇をみせ、2コーナーでは先頭に立ちます。動きを窺いながら最終ホームから先行体制に入りますが合わせて発進し、勝ったギリシアのパタピに2コーナー付近でまくりきられ、結果は4着で残念ながら敗退となってしまいました。
「1走目は何もできなかったので2走目は積極的に、前にいないと勝負にならないので先行しようと決めていました。やっぱり地足ですね。強化します。」
  500は出来すぎと語ってくれた前田選手ですが、エリートになり、世界を見据えて更に強い相手との対戦も経験し、これからも女子トラック界を盛り上げてもらいたいと思います。
ポイント・レースで何度も逃げた上野選手
ポイント・レースで何度も逃げた上野選手

表彰式。笑顔とメダルが素敵!
表彰式。笑顔とメダルが素敵!

今回2度目の日の丸です!
今回2度目の日の丸です!
  最後となりました、エンデュランス系担当の上野みなみ(うわの・みなみ 青森 八戸工業高校) 選手。今回のジュニア世界選手権はロードにも出場。アクシデントもあり、トラックで巻き返したいところです。
  まずは個人追抜き2km。29人出走の4組目での登場。前半は無難にまとめるも後半失速しタイムは2分37秒781の26位。
「1月のユース・オリンピックが初の海外遠征で、そこで自己ベストを出せたけれどもトップとは10秒以上離れていたのでもっと頑張らないとと思いました。そこで強かったオーストラリアの2人が印象的で今日もものすごかった・・・(1位 アンダーソン 25秒925)全然ダメでした。スクラッチは経験が少ないけれど頑張ります。」
  続くスクラッチは22周、7.3km、出走20人で争われました。レースは終始淡々とすすみ、大きな動きもないまま、3/4がすぎ、残り5周を迎えようというホーム・ストレッチで、なんと上野選手が果敢にアタック!後続するものもなく、たった一人での逃げとなります。後続が牽制する中、淡々とひとり逃げ続ける上野選手。周を重ねるにつれその表情も苦しそう。集団も段々とスピードをあげ、いよいよ最終周回を迎えます。最後のスプリント合戦となり、近づく集団。最後のバックストレッチ、ついに集団に飲み込まれます。結果は16位。しかしながら結果以上に、あ、行ってくれた!という気持ちの良さを与えてくれた、積極的なレースでした。
「スプリント力がないので、逃げられれば逃げたいと思って機会を伺っていました。どこで仕掛けようとかいうのはあまりなく、正直何を考えて走っていたのか分らないのですが、下にいて前があいたのであのタイミングで仕掛けました。誰か来てくれれば良かったんですけど・・・ひとりはきつい・・・あのままいければとは思いましたが、悔いはないです。」
  そして最後、60周、20kmで6周毎、10か所に中間スプリントが設けられたポイント・レース。「ポイント・レースは更に経験が少なくて、スプリント力のなさが気になります・・・」と語ってくれていましたが・・・
  レース序盤、最初の中間スプリントではオーストラリアのダンがスプリント力を見せて5ポイントを獲得。その後次の中間スプリントまで4周以上残したところで、なんと、上野選手がひとり集団から仕掛けて飛び出します。淡々と逃げる上野選手。後続も牽制が入りなかなか差が詰まってきません。いよいよ中間スプリントというところ飛び出してきた選手1人に交わされますが3ポイントを獲得。序盤から積極的な走りを見せてくれます。4つ目の中間スプリントまで残り1周近くというところ。牽制状態の集団を見て上野選手果敢に逃げていきます。スプリントに入った集団の3人にかわされてしまいますがここでも1ポイント獲得。続く5つ目でも同様に1周前のホーム・ストレッチから発進もここは飲み込まれて0ポイント。しかし7つ目の中間ポイントではまたしても、4周以上残して一人アタック!またまた3ポイント獲得でこの時点で4位!んー頑張りますなあ。
そして迎えた9つ目のポイント、またもまたも残り4周以上を残しての一人旅です。なんとなんと上野選手、このつらく長い一人旅を制しての5ポイント獲得!3位に押し上げました。もうゴールでのポイント獲得はきつい・・・えーと、1ポイント差のメキシコ、4ポイントのデンマーク、デンマークはダメそうだ(わりと私の好みでしたが・・・)、お願いメキシコ来ないで、お願い。追い込み気味にポジションを上げてきますが、時遅く届かず。上野選手の銅メダルが確定しました。
 いや、2つ目のクライマックス、これもポイント・レースでした。しかも女子のメダル獲得はジュニア世界選手権初!歴史的快挙といえるでしょう。それ以外でもB世界選手権での獲得以外ないのではないでしょうか?やってくれました!「見ててそこは休んでたほうがいいのにー、とか思っちゃいましたよ。」といったら「どこで休んでいいのかなんかわかんないですよー。」と。いやいや、女子自転車、一歩踏み出す、の記念日に立ち会わせていただきありがとうございました。それよりなにより、本当におめでとうございました
  大会期間中には選手たちを影で支える坂井田監督、折本コーチ、大野コーチに大変お世話になり、また色々とお話を聞かせていただきました。大会は昼過ぎから始まり夜9時過ぎまで。午前中の練習もありますから、やれ後片付けだ、移動だ、食事の手配だなんだかんだと、監督、コーチという役割だけでなく、雑用係まで監督、コーチがこなさなければなりませんので、1日1日が過ぎるのはあっという間で疲労がどんどん蓄積されていきます。そんな中、インターハイとの兼ね合いの中でのジュニア選手権での戦い・強化の難しさ、高校生へのギア規制がある中での強化の難しさなどなど、ジュニア強化の実態、抱える問題点等、色々お聞かせいただきました。確かにここで戦っている選手たちがいずれはエリートを支えていくわけですし、他国の選手たちの驚くようなタイム、そして強さを見ると本当の手遅れになる前にやれることをやっていかないと、という気持ちになります。今回の大会でもオーストラリアのエンデュランス系の強さ(世界新記録)が目立ち、ニュージーランドのスプリント系での台頭の予感、イギリス女子も次世代が育っていますし、中国女子もと色々と考えさせられてしまいます。また遠征時に思うように荷物が持ち込めないこと、例えば調整用のロード・バイクを1人1台持ってこれないこと、工具が重くて持ってこれず、隣のチームに借りたりしていることなどの悩ましい問題もお聞きしました。色々と大変なことだらけだと思いますが、ニッポン自転車界の発展のために今後も引き続き頑張っていただきたいと思います。私も微力ながらやれることをやらせていただきたいと思います。色々とありがとうございました。
 海外勢で光っていたのは、スプリント、ケイリン、チーム・スプリントの3つで金メダルを獲得した、ニュージーランドのサム・ウェブスター。自分の足の強さを把握し、強気の先行で押し切るレースが多かったように思います。女子では、こちらもスプリント、ケイリンの2冠を制したイギリスのレベッカ・ジェームス。力の違いを見せつけていましたし、エリートでもすぐに頭角を現してきそうです。エンデュランス系ではオーストラリアのマイケル・ヘプバーン。個人追抜き、団体追抜きで世界記録樹立。残念ながら団体追抜きはアクシデント(1人が接触、落者)で金メダル獲得はなりませんでしたが、やはり今後に注目です。
  いやー、今回のロシア・モスクワ、皆さんに何かまたやらかしちゃったり、やられちゃったりのお話をお伝えできるかと思ったんですが・・・いたって普通、特筆すべきことなし、というか、ホテルと競技場にしか行ってないものですから・・・でもなんでこの人たちあんま、笑わないんだろう。笑顔を振りまく、ってことをしてくれないですよね。きれいな人、多いのに、なんか、淋しい・・・でも昔報道されていた、店に行っても品不足で・・・なんてのをまだ引きずってたんで(いつだそれ・・・)物が豊富で物価が高いのは少しイメージと違っていました。でも2車線が勝手に3車線になっちゃう道路は運転できませんな・・・なんか捕まってる車、一杯いるし。でもこうなると、旧ソ連邦時代の姿をちょっとのぞいてみたい気も・・・あっ、でも飛行機が到着したときに、じっと席にいさせられて、乗務員にこの人です、次はこちらです、なんてやられた人が10人くらい、係員になんだか不思議なガンみたいなの、あてられてました・・・新型インフルエンザ関連のなんかですかね・・・う、ドイツからくる怪しい日本人もターゲットか・・・皆嫌な目でみんのか???と思いましたが、おー、ありませんでした。あの時はなんか異国感とともに、なにかが起こる、きっと起こる感があったんですけどねえ・・・いやはや。ではでは、まだ残っている夏、楽しくお過ごし下さい!それでは皆様、スパシーバ、スパシーバ。
 
 
TrackMania
 
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved.