デュッセルドルフ通信 2010年4月24日

2010-11シーズン突入!

 
 
世界最高828mのビル(ドバイです)
世界最高828mのビル(ドバイです)


シャルジャのモスク
シャルジャのモスク


最大片側8車線がありました
最大片側8車線がありました
 皆さんこんにちは!風邪など引いていらっしゃいませんか?なんと、4月も半ばに雪が降ったそうですね・・・桜が咲いた後に雪なんて・・・桜と言えば花粉症でぐしゃぐしゃな状態に暖かい春の日差しと花粉症の薬の効果で頭がなんだかぼわ~んという状態になんだか眠気が・・・という感覚を持っているのですが、雪ですか・・・体調も崩れちゃいますよね・・・新年度早々なんだか世界は大丈夫なのか?という感じですね。
 そう新年度。桜と言えば入学式=新年度。トラック競技も3月の世界選手権を最後にシーズンが終了、ということは4月から新たなシーズンの開幕となるんですね。今シーズンは2012年のロンドン・オリンピックの出場枠の争いが始まる、これまで以上に大事なシーズン。各国、チームが血眼になってレースに挑んでくるはずです!というシーズン開幕に設定されたのがアジア選手権。場所がなんと中東、UAE(アラブ首長国連邦)のシャルジャです。シャルジャというと聞き覚えがない方がほとんどだと思いますが、国名より有名かもしれないドバイの隣に位置するところなんです。ドバイ、アブダビ、シャルジャなどといった首長国の集まりがUAEとのことで、首長国が違うとは言っても、ドバイ国際空港から車で20分もあれば着いてしまうといった立地。ドバイといえばオイルマネーにものをいわせたのか分かりませんが、開発にガンガンと力を入れたアラビアの中でも近代的なというかバブリーというか、急速にそして巨大に発展していった、なんかすっごいねー!という場所というイメージなのですが、果たしてそんなドバイのお隣、シャルジャでの大会、そして競技場はどんなところなのか、興味が大きく沸くところです。ということで、早速どんなところなのか、どうやって行くのか調べようとチェックしたのですが、主催者の情報では、シャルジャの空港通りにあるシャルジャ・ヴェロドロームで開催、周長は250mでトラックの表面はセメント、シャルジャの街中から車で20分のところとしか記されていません。ネットで検索してみても、空港の近くに最近出来た、ZAYEDヴェロドロームという名前だ、ということぐらいしか情報を拾えません。でも今は便利ですよね。ネット上の地図でシャルジャ空港を探し、地図から航空写真に切り替えて、空港近辺を隈なくチェック!すると、おー、なんだか建設中みたいなトラックのようなものがあるではありませんか。ほかで調べても新たな情報も見つからないので、多分ここだな、ということで、宿泊先の検討に入るのですが、チームのホテルはどうやらこのシャルジャのお隣のアジマンというこれまた別の首長国にあるようで、これはともかく、シャルジャにしたものか、ドバイにしたものか・・・少し調べているとなんだか、シャルジャはお酒を飲むことが禁じられていて、ドバイは飲酒可能な場所がホテルにあるとか・・・という情報を得てしまった以上、全くストイックではない私にはドバイ以外の選択肢が・・・また、ドバイ近辺では渋滞がひどく、特にドバイ~シャルジャ間が特にひどい、との情報も得てしまったのですが、皆がドバイに行きたいときにドバイを去る、皆がシャルジャに戻りたいときにドバイに戻る展開になるだろう、ということ、ドバイ空港からシャルジャ空港まで車で2、30分という情報もチラと見えたことからドバイ滞在を決定。混みそうな街中を避けてよりシャルジャ空港に近いドバイ空港近辺に宿を取ることを決めたのでした。なんだか良く分かんないな・・・そんな雰囲気でスタートしたのですが、アラブ→オイルマネー→すんごい競技場という図式が頭の中から離れないものの、トラックの表面はセメント、という情報から、やっぱり屋外か?という想像もしてしまうのですが、そう、成田にも就航し始めたというエミレーツ航空が良いらしい、ということと、バンバンと開発されるドバイの印象でやっぱりすんごい競技場なのではという期待をもって出発となりました。
競技場正面
競技場正面

エアコンの効いたVIP席も
エアコンの効いたVIP席も

なんとなく波打ってるの、分かります?
なんとなく波打ってるの、分かります?
 そもそも何故、このアジア選手権へと向かうのか、と申しますと、先ほどのとおり、この新たなシーズンから、2012年ロンドン・オリンピックの出場枠に向けての争いが始まるからなのですが、ちょっと整理してみましょう。ロンドン・オリンピックの種目はお伝えしているとおり、男女同じ種目で行われ、スプリント系がチーム・スプリント、スプリント、ケイリンの3種目、エンデュランス系が団体追抜き、それに新たなオリンピック種目のオムニアムの5種目ずつ。これらにどのような出場枠が設けられるのかというと、まずはチーム・スプリント。この種目には10カ国が出場可能となっています。ですので上位10位に入らなければならないのですが、各大陸での枠があり、これがヨーロッパ5、アメリカ2、アジア2、オセアニア2、アフリカ1となっています。つまり、たとえ日本が上位10チームに入ったとしてもアジアで第3位以下であれば出場権は獲得できません。また、たとえ上位10位を逃したとしても、上位10チームに例えばヨーロッパの国が6カ国以上入っていれば6カ国目以下のヨーロッパ大陸の国々には出場権は与えられず、その下位で大陸枠をクリアする国々へと振り分けられていくシステムとなっているので、アジア2位をクリアしていれば出場権を取るチャンスがある、ということです。そしてこのチーム・スプリントで出場枠を獲得すると、その他のスプリント系種目、スプリント、ケイリンの出場権も同時に獲得することとなります。ですので、スプリント系種目に関しては、チーム・スプリントでアジア2位以内、そして上位10位以内なら間違いなく出場権3つを獲得ですので、まずはこれを目指してがんばっていく、ということになるでしょう。万が一、このチーム・スプリントで出場権を逃してしまった・・・などというあってはならない不測の事態の場合には、スプリント系2種目に関しては更に8つの出場枠が与えられています。これをチーム・スプリントで枠を逃した国々と争うのですが、これらにも同様に大陸枠があり、こちらはヨーロッパ4、アメリカ2(男子ケイリンのみ3)、アジア2、オセアニア1、アフリカ1となっています。ですのでチーム・スプリント枠を逃したアジアの国々で2位以内、総合で8位以内(先ほどのチーム・スプリントと同様、大陸枠による繰り上がりあり。)を目指していくこととなります。団体追抜きもチーム・スプリント同様、10カ国が出場可能となっており、大陸枠はヨーロッパ6、アメリカ2、アジア2、オセアニア2、アフリカ1となっており、決定方法は同様。オムニアムは18カ国が出場可能で大陸枠はヨーロッパ8、アメリカ6(女子は5)、アジア5、オセアニア2、アフリカ1でこちらも決定方法は同様です。個人種目(スプリント、ケイリン、オムニアム)には各国1名のライダーしか出場できず、団体種目(チーム・スプリント、団体追抜き)には各国1チームでの参戦となります。ではこの枠をどのように争うのか、というと「オリンピック・トラック・ランキング2010-2012」というランキング制度によって、ということとなります。このランキング制度、各大会の成績に基づいてポイントを付与していく制度になりますが、各国の一番成績が良い選手のポイントがその国のポイントとなり、それによって国の枠を争っていくこととなります。ではどの大会がそのポイントの対象となるのか?北京の時の「UCIポイントが付与されるすべての大会」、これとは大きく異なり、ワールドカップ2010-2011シーズン(全4戦)、2011-2012シーズン(開催数未定も4か5戦)のすべての大会、2011年世界選手権大会(オランダ・アペルドールン)、2012年世界選手権大会(オーストラリア・メルボルン)といった主要大会に直近2回の大陸選手権(日本の場合はアジア選手権)となっています。そして2012年メルボルンの世界選手権をもってポイントの累積は終了、その最終結果で枠取りが決定するというシステムです。恐らく。はい、おそらく。というのも肝心のUCIからそのオリンピック参加国の選考方法が全くアナウンスされていないんです。されてはいないもののACC、アジア自転車競技連盟からはオリンピックの選考方法についてUCIの経営会議で承認されたということでその原案がホームページに3月の2日に掲載されたりといった感じで・・・デンマークのコペンハーゲンで私もUCI関係者に聞いたりはしたものの、大会期間中のトラック委員会なる会議が終わればアナウンスすると言っていた話が、会議終了後には、1週間以内にアナウンスできればいいな、という内容に変わってしまったり、他の大陸については次回からポイントの対象だけれど、アジアについては次の4月のUAEは対象ならないかもしれない・・・などと、はっきりしないまま、このアジア選手権へと至ってしまったのです。
 そんな、肝心要のオリンピックの選考ポイントの対象となるか分からないまま迎えてしまったUAE、シャルジャの大会ですが、私は朝の5時にドバイ国際空港に到着。どんなところにあるか分からないので、自由に動けるようにレンタカーを借りたのですが、聞いてみたらGPS、ナビゲーションもあると言うではないですか!これは助かると迷わず借りて、これでなんとかなるな、と思ったのですが、GPSには私のホテルが登録されていない。ホテルのホームページの住所表記も「ドバイ国際空港のターミナル3の逆側」としか書かれていない・・・なんとか地図表記をたどってこの辺だろう、というところでセットして、あとは「そこであってくれ、頼む」と祈りながらの運転。早速曲がれない道を曲がれと指示されたりし、不安が伴いましたが、空港の近くにしておいて良かった、祈りが通じてホテルが見つかりました。次は競技場の確認。案の定、シャルジャの空港通り、と入れてみても、そんなところはありません、と返事を返されてしまう始末。空港に近いんだから空港に行ってみるしかない、ということでシャルジャ空港をセットしスタート。あとは指示どおりに行くだけが・・・分岐先が2つに分かれていて違うほうに行ってしまったり、手前の分岐に入ってしまったり、側道に入らなければいけないところを通りすぎてしまったり・・・全く思ったところにいけません。その都度GPSは再検索、再検索と・・・とにかく分岐が分かりにくく、また下手すると出口がなく、4km先まで行って実質Uターンといったり、やっとコツを掴んできて順調だと思っていると工事で行きたい道が閉鎖されていたり・・・勿論こんな私でも学習し、成長したりはするもので、後日慣れた後には、途中片側8車線もあったりする高速を通過したりしながら、ホテル~競技場間を20分で行くようになったのですが、なんとこの日は1時間半かけてようやく、空港の近くに色々な旗がはためいている場所を見つけなんとか到着。確かに空港の近くの何もないところに、屋外の競技場が・・・残念ながら私の「屋内のすんごい施設」の妄想は吹っ飛び、現実は灼熱の地UAEはシャルジャに雄雄しく孤高にせせり立つ屋外トラックでした。
 競技場の中に入り日本チームにご挨拶。日本チームを含め、日本からの方々はやはり直行便で楽、ということでかの成田就航直後のエミレーツ航空でいらした方がほとんどでした。その噂にたがわぬ内容なのかと皆さんに聞いてみると、これがみな、期待はずれでたいしたことない、アテンダントの態度が悪い、狭いなどと一様に厳しいご意見。その噂に妄想が妄想をよんでしまったからか、過度の期待を皆さんしてしまったのかは分かりませんが良いお話は聞けませんでした。そんなお話をしながら、選手が練習をするトラックに目をやると、途中一定の場所で走路の選手みんなが上下にうわんうわんと動くではないですか!何だあれ、とその光景に目を疑い、もう一度良く見てみてもやはりすべてのライダー達が同様にうわんうわんと上下動します。そう、トラックが平らじゃないんです。波打っているんです。あちゃー、これはひどい、というと、そう、ひどいけど前回のインドネシアもこんな感じだったし、アジアだからね。と、意外とスタッフも選手も受け入れ気味。確かに文句のひとつも言いたくなるような状況も、各国、各選手ともに条件は一緒。受け入れて早く慣れてしまうのが得策ですものね。しかし、参加選手で国際大会の常連、渡邉一成選手の「走路、ひどいのはひどいんですけど、これが日に日に状況が悪くなっているような・・・いや、確実に悪くなってます。」という意見。いやあ、さすがにセメントだったらそんなに1日、2日でどんどん悪くなるなんてないでしょう・・・と祈りたいところです。
成田・渡邉・新田のチーム・スプリント
成田・渡邉・新田のチーム・スプリント


なんとかこの種目でオリンピック枠を獲得したい!
なんとかこの種目でオリンピック枠を獲得したい!
  さて、今回のアジア選手権はエリートとジュニア両部門が開催され、一足先にロードが開催され、ロード終了後1日挟んでトラックが開幕といった内容。エリート男子に成田和也、渡邉一成、新田祐大の競輪選手勢に世界選手権メダリストの盛一大、これに大学生の高橋翔太、窪木一茂、佐々木龍、元砂勇雪を加えた8名。エリート女子にロードと掛け持ちの萩原麻由子、上野みなみに石井寛子、前田佳代乃、和田見里美の5名。ジュニアは伊藤裕貴、木村弘、坂本将太郎、矢野智哉にロードにも出場の一丸尚伍と黒枝士揮を加えた6名で総勢19名という陣容。肝心のオリンピックに向けたポイントについては、前日にACC、アジア自転車競技連盟の総会があったにもかかわらず、今回は関係ない、他に大会が開催されれば関係ないが開催されなければポイントが加算される、といったように様々な情報が錯綜。そんなはっきりとしない状況の中でスプリント系種目で一番鍵を握るチーム・スプリントが開催されることとなりました。実績上位、先の世界選手権で44秒002で銅メダルには及ばなかったものの競合をびびらせた中国が世界選と同じジャン・レイ、ジャン・ミャオ、チェン・チャンソンのベスト・メンバーで出場するとあって、やはり各国もポイントに向けて本気モード。マレーシアもおなじみアジズルハスニ・アワンに怪我で戦列を離れていた昨年の世界選手権1kmTTの銅メダリスト、モードリザル・ティシンが出てくるなど気が抜けません。日本は2組目にインドとの対戦。中国は3組目にイラン、マレーシアは4組目に地元UAE、韓国が5組目にクウェートとの対戦となっての戦い。この組み合わせが気になってしまうところなのですが・・・有力どころで先陣を切って登場の日本はポイントのために日本の競輪競走を急遽欠場して参加、おなじみの第1走者成田、第2走者渡邉、第3走者新田の陣容。今後2シーズンに渡ってのオリンピックに向けての戦いをこの陣容がメインとなって戦っていくという決意の表れでしょう。日本のタイムは47秒131。屋外でこの走路ではこのタイムがいかほどのものか計りかねますが、次の中国がどんなタイムか・・・この中国イランとの対戦ですが、スタート後、途中まではイランがリード・・・最後はチェン・チャンソンがイランを突き放しますがタイムは47秒428と日本を下回りました。その後マレーシアも恐れていたほどにはタイムが伸びず48秒494。そして最終組韓国対クウェートで恐れていたことが・・・なんと、チーム・スプリントで韓国がクウェートを追い越すという珍事が!ホームとバックからスタートするチーム・スプリントはお互い3周でのタイムを競うものですが、周回数の短さから相手チームを追い越す、という状況は基本的に想定されていません。しかしながら力差があまりにもありすぎて・・・という結果です。短距離のタイム種目、このロスは正直小さくはありませんが、結果的にはこのタイムで上位4位が決まり、1-2位決定戦が予選1位の日本と2位の中国、3-4位決定戦が予選3位のイランと4位の韓国で争われることとなりました。力差があるのは分かっているのでもう少し違った組み合わせで対戦させるべきだろうという事前の予測から、もしか、まさか起きないよね、という事態が発生してしまった場面でした。決勝は予選のタイム差そのままに中国に快勝!といきたいところでしたが、屋外、このトラックに慣れたのか、中国が46秒079としっかりと予選からタイムを伸ばしてこちらが快勝。日本も予選からタイムを上げてきましたが46秒480と0秒4差で銀メダルとなりました。第1走の成田選手は「世界選も休んで(腰の痛みで大事をとって)日本の競走も休んだので、それだけチーム・スプリントが大事だと思っていたので結果を出したかったんですけれど・・・0.4秒差ですか・・・ちょっとありましたね。予選よりは決勝の方が自分としてはスムーズに結構良い感じで踏めたというのはありました。タイムは予選よりは伸びたとはいえ、予選で中国に勝っていたのでこういう時にしっかりと勝ちたかったですね。」、第2走の渡邉選手は「世界選を休んでいた割には成田さんの仕上がりが良かった気がするので、どうせなら屋内、良いコンディションでやりたかったです。相手は44秒フラットを出すチームなので今後は43秒台を(屋内で)出さないといけないですね。ワールド・カップまで少し間があくのでその間に個々がどのようにレベルを上げていくかですね。ステップ・アップしなければならないので色々と頑張ってやっていきたいと思います。」、第3走の新田選手は「なかなか普段とは比較できないコンディションですが、まあ中国も風がなくなって力を発揮というところなんですかね・・・普段の力で考えればなかなか現状では逆転できないタイム差が中国とはありましたからね・・・まあ、この後の1kmTTとスプリントでどうか、というところですね。頑張ります。」と話してくれました。
萩原は終始ワンとのマッチ・レース
萩原は終始ワンとのマッチ・レース


ポイント・レースの萩原 数少ない金メダル・・・
ポイント・レースの萩原 数少ない金メダル・・・


Jr.チーム・スプリント銅メダルの左から坂本・伊藤・木村
Jr.チーム・スプリント銅メダルの左から
坂本・伊藤・木村
  チーム・スプリントが行われた初日で嬉しかったのはトラック日本勢金メダル第1号となった萩原麻由子の女子エリート・ポイント・レース。ここまで行われたジュニア、エリート併せた9つの種目では金メダルを韓国が6つ、中国が3つと淋しい限り・・・序盤から香港のワン・ワンイゥとの一騎打ちの様相。2人で2ラップと他を突き放しての一騎打ちだったが、序盤リードしていたポイントも徐々に詰められて、同点のまま最終スプリント、つまり先にゴールしたほうが勝ちという展開へ。結果萩原が4番目でゴール。ポイントを1つ増やして1点差で金メダルをもぎ取り、今大会初の君が代を聞かせてくれた。
走路に穴ぼこが!
走路に穴ぼこが!


こうなって
こうなって


翌日こうなった・・・大丈夫なのか?
翌日こうなった・・・大丈夫なのか?
  しかし、今回の大会運営、コミッセールの判断やコミッセール傘下の地元の運営には首を傾げざるをえないことが多かった。男子エリート・ポイント・レースでの得点集計に大幅に時間がかかったことやこれに対するクレーム、またこのレースを含めた他のポイント・レースでの先頭認定など、見ているだけでもおかしいと思われる場面が多発。そしておこったのが2日目、ケイリン種目1レース目のジュニアの第1回戦。ペーサーがオートバイということで号砲とともにスタート。何かいつもよりペース速いなあ・・・というペースが更に速くなったと思うといきなりバック・ストレッチでペーサーが退避。えっ!と思ってホームの周回板を見てみると”4”の表示が!残り2周半で退避のところを2周回早い時点で退避です。「何が起こったんだ!」「やめさせろ!」「止めろー!」という各チームのコーチの怒声が響き渡る中レースは続行。かなりペースが上がった状態から4周半のレースとなり結局これがそのまま成立・・・いいんですか、これで、という話になりましたが、「去年のインドネシアなんかもっとひどかったよ。ペーサーがグイングイン行っちゃってレースにならなかったもん。」ということで再度更にひどかった昨年のインドネシアが引き合いに出され、ま、こんなもん、みたいに収束・・・しかしその後、またしても・・・なんと今度はトラックに・・・穴が・・・穴があいてます。なんだかぽろぽろとはがれおちてしまったような・・・これを見てコミッセール、「テープ持って来いテープ!」テープを張って応急処置です。木製トラックでのクラッシュ後にペダルが掻いてしまった後などにテープで対応することはありますが、今回は穴の大きさもそれなりだし、深さもそれなりだし・・・危ないんじゃないの?の問いに。「危ないね、でも大丈夫、今日の夜に修理するから。」ということで結局続行・・・事故は起きませんでしたが、はあ、いいんだか、これで。ここでも「去年のインドネシアは屋内なのに雨漏りで走路がスリッピーになっちゃって・・・ちゃんと拭けーっ、ってなったけど・・・すごく時間が・・・」というインドネシア比較・・・
ケイリンの成田・渡邉
ケイリンの成田・渡邉

2連覇で面目躍如もさらに上を!
2連覇で面目躍如もさらに上を!
 そんな状況の中、男子エリート・ケイリンは日本勢、成田、渡邉が日本のテレビクルーの映像提供による、韓国降着のコミッセールの判定なども含め、順調に決勝戦に進出。決勝はインからスタートしてペーサー後位からすすめる成田と5番手で様子を伺う渡邉でレースが流れます。ペーサー退避後周囲がけん制する中、残り2周となるホーム・ストレッチで渡邉が一気に上昇、ペースがやや上がりますがバック・ストレッチで出きり、渡邉、成田という展開に。結局最終スプリント状態は残り1周で、という状況で渡邉が先行押し切りで昨年に引き続きアジア選手権2連覇!成田もそのまま続き日本勢のワン・ツーフィニッシュで終えました。「いや。良かったです。とりあえずこれで2連覇ですからね。でも目指すところはここではないんで・・・目標を持ってしっかりやっていきたいですね。世界のトップとでは今日みたいなレースはさせてもらえないですからね。そういう中で自分の形に持ち込めるよう、対応できるように頑張ってやっていきたいと思います。」という渡邉選手。
 そして3日目。この日が一番暑いんじゃないか!というくらい太陽がギンギン。すでに持ってきた日焼け止めを塗り忘れた初日で国籍不明のどちらさま状態ですが、まあ、連日暑いのですが、この日はトラック内の温度計が52度を表示・・・直射日光であがってしまっている部分もあるんでしょうが、まあ40度は超えているといった状況・・・この日は金曜日でこちらの金曜日は休日でお祈りの日のようなのですが、ということでお昼休みもいつもより長めの2時間半という設定。シャルジャ空港でお昼を食べていると大音量でコーランが流れ出しましたが、結構皆さん普通にしてますね。でもお祈りどころは混雑しているのでしょうか?クーラーの効いた空港から灼熱地獄のトラックへと戻ると、バック・ストレッチが向かい風となる風が連日吹いてはいたのですが、この風がいつにも増して強くなってきています。とりあえず競技は始まったのですが、この風が強くなるばかり。なんせ周りは砂漠状態ですから、次第に砂がトラックに入りだし、走路が危ない状態に・・・ホースで水をまこうとする動きもみられましたが、いやいやそれも逆効果なんじゃないか・・・といった状況。なんだかんだしているうちに、競技を中断して30分ほど様子を見ることに、状況は変わらず30分延長、やや悪化も更に30分延長と続き、結局この日は中止で翌日に持ち越しとなってしまいました。
 風も収まった翌最終日はオムニアムの250mフライング・タイム・トライアルからのスタート。結局この日まで出番のなかった盛が当初6種目から4種目(1kmTT、スクラッチが削除、個人追抜きは4kmから3kmへ変更)に減らされて行われたこの種目に出場。オムニアムにはこの大会、ポイント・レースで優勝しており、1999年ベルリンでの世界選手権で銅メダルを獲得している韓国のチョ・ホソンも参戦。韓国競輪の選手もしていたチョがフライング・タイムトライアルで2位以外はすべて1位という合計5ポイントでエンデュランス系、スプリント系での幅広い対応力を見せて圧勝。盛もコペンハーゲンの世界選手権以来2度目のオムニアムでエリミネイション、ポイント・レースで着順をまとめ銀メダル獲得となった。「オムニアムはきついです。嫌いです(笑)チョ・ホソンが出るんで1位は無理なのは分かっていたんですけど。競輪選手とかで特にタイム・トライアル系で良いタイムを出せる選手がいれば代わる気、あるんですけど、今は捕らわれの身、いけにえ状態ですかね。(笑)なので頑張って上を目指していきたいと思います。もちろんロードも頑張りますよ。いいチームで走らせてもらってますんで。」と表彰後の盛選手。この日も運営では、炎天下で厳しさが予想されるマディソンについて、「距離を40kmから30kmに縮めたのでレース中の補給は絶対禁止です。」と何度もアナウンス。大丈夫なのか、との声も上がっていたが、やはり残り10周の時点でいきなり「残り6周まで補給可」のアナウンス。はじめから・・・という感じであったがそんな中、佐々木、元砂のペアが銅メダルを獲得。最後は1/2決勝で勝ちあがれなかったものの3-4位決定戦を制した新田が男子エリート・スプリント銅メダルを獲得し、全日程を終了しました。インドの選手がコフィディス・チームのレーサー・パンツで登場したり、スプリントなのに、相手のことなどまったく見ずにひとり独走状態で黙々と走る選手がいたり、それはそれである意味面白い、良い経験をさせてもらったとも思いますが、とりあえず終わって良かった、というのが率直なところでしょうか。しかし、今回強かったのは韓国!男女エリート、ジュニアで33種目中22個の金メダル!男子のエンデュランス系は9種目中8個の金メダル、男子ジュニアのスプリント系は4種目全て金という状況・・・昔はアジア選手権は金メダル、日本ばっかりだったのに・・・という声も聞かれますが、こんな中日本は金メダル2個に終わってしまいました・・・これは本当に本当に真剣に今後の対策を考えていかないと自転車競技の灯が・・・と、本当に何とかしていかないといけない状況です・・・  

Jr.1kmTT銅メダルの坂本
Jr.1kmTT銅メダルの坂本

Jrスクラッチ銅メダルの一丸
Jrスクラッチ銅メダルの一丸

風に倒されて・・・
風に倒されて・・・

オムニアムの個人追抜きに挑む盛
オムニアムの個人追抜きに挑む盛

Jr.チーム・スプリント銅メダルの左から坂本・伊藤・木村
補給は分かってましたが勝負どころなんで
貰いませんでした!銅メダルの佐々木・元砂

Jr.ポイント・レース銅メダルの黒枝
Jr.ポイント・レース銅メダルの黒枝

女子チーム・スプリントに挑む石井・前田
女子チーム・スプリントに挑む石井・前田
1kmTT銅メダル新田の走り
1kmTT銅メダル新田の走り

荒れ狂う風
荒れ狂う風

さすが砂漠・・・空もなんだか黄色っぽいんです
さすが砂漠・・・空もなんだか黄色っぽいんです

チョの圧勝も銀メダルを確保
チョの圧勝も銀メダルを確保

Jr.チーム・スプリント銅メダルの左から坂本・伊藤・木村
新田は3種目全てでメダル。
「オリンピックまでは競技中心です!」

コフィディス女性ライダー獲得か!
コフィディス女性ライダー獲得か!

女子団体追抜きの萩原・上野・和田見
女子団体追抜きの萩原・上野・和田見
  結局オリンピックに向けたポイントについての話はうやむやではありましたが、そもそもプログラムに入っていなかった女子のケイリンが監督会議において、加わるかもしれないという話になったようなのですが、それもなく・・・まあその時点でポイントには関係ない、ということでしょうが・・・マレーシアのアワンのケイリン、スプリントでの全くらしくない走り。マレーシアのコーチがこの大会は関係ない、と断言していた、との話もありますし、大会終了後に次回はタイでアジア選手権が開催されるとのアナウンスがあり、それが2011年の2月20日より前に開催されるとのこと。ワールドカップ真っ只中のこの時期、いったい何時に開催するんだ?という感じですが、おそらくこれと同様、2012年も2月くらいにアジア選手権がどこかで開催され、この2大会がオリンピック・ランキングに関連するということになるのでしょうか?まだUCIからのアナウンスはない状況・・・
 と、色々あったUAEですが、やはりシャルジャは飲酒厳禁!でお酒を出すお店はないらしく、私の泊まったドバイも、ホテルのバーでお酒が飲めるものの、一般的には販売されていない状態でした。正直なんてことのないホテルなんですが、大体ビールが1杯900円程度という感じでしたので・・・到着後の空港に免税店があり、みんなそこでケース入りのビールをばんばん買っている理由が良くわかりました。そして、ホテルで日本の競輪の成績でも見ようかな、とインターネットを接続し、KEIRIN.JPを見ようかな、と思いましても・・・繋がりません・・・ギャンブル関連、接続禁止なんですね。ストイックに生きるのにそんなもんは必要ない、というのでしょうか・・・確かに競馬場やラクダ・レース場があるようですが、馬券や、なんていうんだ、駱券?駝券?響き的に駝券ですかね?は売られていないようです。人生のスパイスとして大いに楽しんで良いと思うんですけど・・・是非アラブの皆様には日本に来て競輪、楽しんで欲しいものです。楽しみ方、教えますから。
 それでは皆さん、としたいところですが、私の泊まっているホテル、朝食のときなんかいつも一人ポツン状態か、多くて3,4組と、すいてるなー、という感じだったのですが、日に日になんだか人が増え始め・・・そう、皆さんはふーん、という感じだったと思うのですが、アイスランドの火山噴火の影響でヨーロッパに帰れなくなった人たちとおぼしき方々でどんどんと人が増えてるんです。どうやらチーム含め日本からの皆さんに悪評高かったエミレーツ航空が、このホテル、空港に近いもんですから指定ホテルみたいな感じにしたみたいで、会議室に特設カウンターみたいのも設置したみたいで・・・人はどんどん増え、フロント近辺が混みだし、なんかわさわさ状態になってきて・・・最初はまあ解決するだろうと思っていた私ですが、雲行きが怪しくなり・・・とうとう私の便もキャンセルされてしまいました。予約は変更されたものの、結局当初の5日後の便とのこと・・・エミレーツ航空ではない私はその後ホテルの部屋の延長も出来なくなり追い出され・・・ということで大会終了後の今もドバイにいさせていただいてます。じたばたしてもしかたないのか・・・ということで、街中にときおり大音量で鳴り出すコーランにあわせ、予定の便で帰れるようアラーの神に祈る日々です。それではお祈り、してきます。
 
 
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