デュッセルドルフ通信 2010年8月25日

まだまだ夏!ジュニアの夏!

 
 皆さまご無沙汰しております。残暑とはいえ、まだまだあっつい日が連日続いているようですね!なんだかガリガリ君が品薄状態だとか・・・いやあ、くっそ暑い夏の夜にあまりの暑さに目が覚めて、寝ぼけながら冷凍庫からガリガリ君ソーダ味をやおら取り出して立て続けに2本食べたりしたことが懐かしく思い出されます。ホント、ガリガリ君はその名のとおりにガリガリ、ガンガン食べないといけませんよね。ガリガリ君が食べられないのも淋しいですが、もっと淋しいのが天気。あっついのも勿論つらいですが、こちらはもう7月終わりから吹く風もうすら寒いような・・・薄手のコートを来ている人もあちこちに・・・「終わったな、夏も。」という感じなんです。6月下旬から7月中旬にかけて、まあ日本の湿気たっぷりにはかないませんが、くっそ暑い、「こりゃ久し振りの猛暑だ。」などと言われ、40度までいってしまったあの時期、普通の家庭などにはエアコンがないドイツでエアコンバカ売れのあの時期が嘘だったかのように、ほとんど晴れない、さえない天気が続いております。そう、確かあまりに暑すぎてオフィスにエアコンがないここでは耐えきれない、と新たにエアコンを発注しちゃったようなのですが、届くころにはなんだこれ・・・という感じなんでしょう・・・まあ、過ごしやすい、と言えば過ごしやすいのですが、やはり晴れない、どよーんとした天気では気持ちもどよーん、となってきてしまいます。
会場のモンティキアリ・ヴェロドローモ
会場のモンティキアリ・ヴェロドローモ

会場入り口
会場入り口

会場はコンパクトな造り。
冷房なし・・・ハエ多し
会場はコンパクトな造り。
冷房なし・・・ハエ多し

 そんなあるどよーんとした天気の日に向かった先は空港。デュッセルドルフの空港は家から5分ほど歩いたバス停からシュネル・バスという急行バスに乗れば10分ほどで到着という非常に便利な場所にあります。とはいえ、この早いバスは平日の普通の時間帯に1時間に1本程度しかこないので、まあ大体は良く来るバスにちょっと乗って乗り換えて、そこから15分ほど、という感じですが・・・で、どよーんとした気分で向かった先は乗り換え地のミュンヘン。オクトーバー・フェスト(日本でもなぜか春にやってるそうで・・・)というビール祭りで有名ですが、ビール嫌いの私には何の魅力も感じさせません。ちなみにドイツで一番大きい空港はフランクフルト、その次がミュンヘンでさらにその次がデュッセルドルフとなっているようです。まあその乗り換え地として良く使われるミュンヘン、そこでの乗り換え時間がわずか30分という設定でのフライトだったのですが、出発が少々の遅れ。そして到着すると雨がザーザー。どよーん度が更に増すのと同時に乗り換えも間に合わないんじゃないかと更にどよーん。しかもバスでのターミナル移動で更にどよーん。もうこりゃ間に合わん、ダメだな・・・と思いつつ機体から出ると外にはバスと2台の車が。車の前にはメッセージ・ボードを掲げたおじさんが。メッセージの内容をちら、と見るも、何かどっかの団体さん向けの送迎か?と思いそのままバスへ。しばらくすると全員が乗り終わりましたが何故だかバスはなかなか出発しない。あーん、早くしてよと思いいらいらしていると、つかつかとメッセージ・ボードおじさんがバスに乗り込んできて大声で「マイランド!」と叫びます。マイランド、マイランド、おー!マイランド!それ私です!と急いで車へ。そう、私ミラノがドイツ語でマイランドを失念、というか全然気にもかけていなかった・・・皆さん、バスの出発が遅くなったのは私のせいです・・・ごめんなさい・・・ どよーんとしていた気分がほっとした感じになり気がつけばイタリア・ミラノ。アルプスを越えると雲は次第に薄くなり、ミラノ到着時にはなんと晴れ。山越えただけでこんな変わっちゃうんですねえ、というくらい、気温は30度以上で失われた夏がまだそこにはあったのでした。
 で、マイランドはミラノになぜに行ったのかというとトラックのジュニア世界選手権がイタリアで開催されたからであります。こうなったらマイランドつながりで続けちゃいますが、イタリアではマイランドへ行くために私が乗り換えたミュンヘンはな、なんとモナコだというではありませんか。ひえー、じゃあモナコはどうなっちゃうのよモナコは!となりますが、これはこれでモンテカルロ、だそう。ふーん。そういや聞いたことあるな、なんて。なんかやめてほしいな、こういうの、と思うのは私だけでしょうか。さきのドイツ語に戻って、ドイツ語でニュージーランドはニューを意味するドイツ語ノイに変わってノイジーランド、インドのニューデリーもノイデリーですがニューヨークはニューヨーク・・・もうやめましょう。愚痴ってもはじまりません。
大会開催前に練習する選手たち
大会開催前に練習する選手たち

チーム・スプリントに向けて
チーム・スプリントに向けて

 さてさて今回トラック・ジュニア世界選手権が開催された場所はイタリアはモンティキアリというミラノ空港から車で2時間弱、150km行った先にある、正直、取り立てて取り柄のない町(ごめんなさい!)。今年はロードはイタリアの他の地で開催され、ここモンティキアリでの開催はトラックのみで期間は8月11日から15日の5日間。日本チームは大会5日前の6日に同じくミラノのマルペンサ空港に到着しました。今回の日本チームは男子のみの総勢6名での構成。前回のモスクワ大会にも参加した日本競輪学校100回生の伊藤裕貴選手、同じく日本競輪学校生の木村弘選手、法政大学の一丸尚伍選手、鹿屋体育大学の黒枝士揮選手、そして高校生、大分・日出暘谷高校の大西貴晃選手と栃木・作新学院高校の坂本将太郎選手という顔ぶれでの戦い。早速翌日から1日に2時間割り振られているトラックでの練習時間に合わせて各選手本番に向けての調整を行うこととなりました。では、各種目のレポートです!
チーム・スプリントでの3人の走り
チーム・スプリントでの3人の走り

 初日、日本勢のトップを切って出場となったのがチーム・スプリント。4人のメンバーから3人へ絞り、第1走が坂本、第2走が競輪学校生伊藤、第3走が同じく競輪学校生木村というオーダー。競輪学校100回生2人は大会開催前に「スプリントでの予選突破は去年の様子を見ていてもちょっと厳しいと思うんですが自己ベスト(10秒9)は更新したいと思います。チーム・スプリントもまずはベスト。タイム更新でしょう。ケイリンでは決勝進出を目標にして頑張りたいと思います。」(伊藤)「やっぱり世界戦に出てみたい、という思いで一生懸命やってきたので出られるのはうれしいですけれど何かある程度結果を残せたらな、と思っています。タイム・トライアルの種目はやっぱり自己ベストを目指して頑張りたいと思います。」(木村)と話してくれました。このメンバー、オーダーでの出走は4月のUAEでのアジア選手権で経験済みで全く初めてではないのでその辺りは期待したいですが、アジア選手権で韓国、イランに次ぐ銅メダルだったことからレベルが数段上がるここは厳しいでしょうが、3人でのベストの49秒3という記録は超えて欲しいといったところでしょう。17カ国出場予定だったもののトップ・バッターのコロンビアが回避して8組16チーム出場の中で日本は5組目、ロシアとの対戦での出走でした。相手のロシアはなかなかの強豪で、1走の坂本から2走の伊藤に引き継がれる時点で日本の19秒477に対しロシア18秒453ですでに日本とは1秒以上の差。続く伊藤も差を詰めることは出来ず、木村も食らいつくもやや離され結局日本48秒289、ロシア46秒821と1秒半近く離されてのゴールでした。
コメント 坂本:(1走16人中12位の記録)「いやー、もうちょっと出したかったですね。3人でのベストはベストですけれど、自分がもう少し出せばタイムももっと上がったと思うんで・・・ちょっと悔いが残ります。」
コメント 伊藤:(2走16人中13位)「上手く流れにのせていきたかったんですけれど・・・今ひとつでした。まあ3人でのベストはベストでしたけれど、もうちょっとやれたかな、とは思います。コーナーでの走りとか上手く踏めないようなところもあったので経験不足というのも大きかったかな、とも思います。」
コメント 木村:(3走16人中6位)「もうちょっと出したかったですね。ちょっと悔しいです。いけると思ったんですけど・・・たれちゃいました。」
 結局予選を45秒402のジュニア世界新記録で1位通過したフランスが決勝でもオーストラリアを下して金メダル。3位決定戦でイギリスを下し、オーストラリアの予選、決勝のタイムを上回る45秒908を出したドイツが3位で、日本は12位という結果となりました。
スクラッチでの一丸、今後に繋げていきたい
スクラッチでの一丸、今後に繋げていきたい

 続いてはスクラッチに登場の一丸。2組に分かれた予選の2組目で15人中3人が決勝へ進めないという状況なのでここは是非とも突破して決勝へ・・・レースは3選手がラップした状況で一丸が集団のスピードが緩んだところで途中単独でアタックをかけたが再び集団がスピードを上げたのを見てスピードを下げて集団へ。その後は集団でも後方に位置する形が続き、最終周回に入っても後方で苦しい展開となり最後は大外からまくる形で順位を上げましたが最後は微妙な順位での入線。3人のうち2人が勝ちあがりという写真判定に持ち込まれました。なかなか結果が出ない中、一度は13位で予選敗退と聞かされるが、結局は12位でぎりぎり予選通過。というのは結果がなかなか出ないので写真判定員に私が結果を聞いたところ、「この3人が対象で1,2,3の3番目」と聞かされたのでそのように伝えてしまったからなんですが・・・一丸選手、そして関係者の方々、すみません・・・
コメント 一丸:「後続のスピードが上がって吸収されてしまうと思ったのでスピードを落として集団に戻りました。その判断は間違っていなかったと思うんですが・・・なかなか自分の思ったような位置取りが出来ませんでした。展開に大きく左右される種目なんですが、うまくよめないまま最後までいったしまった感じでした。」
 気を取り直して決勝です。決勝は予選を勝ち上がった24名での戦いとなり、途中から流れの速い展開となり、ところどころ仕掛ける選手もいたもののなかなかラップが決まらないまま後半へ。一丸は残り11周辺りで集団の前に位置し、仕掛けるチャンスがあったが動かず、また残り7周の場面でもアタックする展開になったが動けず、結局最後のスプリント争いにも加われず、結果14位での入線。残り12周辺りから仕掛け、追われた後に再度仕掛けてラップしたロシアのカルペンコフが優勝となりました。
コメント 一丸:「日本でのレースのスピードとは違いますね。250mのバンクでのレースもほとんどしたことがないのでやはり経験の差を感じました。レースの展開がどんな感じだとか、どう立ち回っていいか良く分からなかったです。スピードは力を付ければなんとかなる気がしますが、レース展開をよむ、レースが上手くなるには経験というのは大きい感じがします。(勝負どころでアタックしなかったけれど・・・という質問に)イタリアの選手が目に入って、ここでいっても追いつかれて吸収される気がしたのでいけませんでした。」
坂本のスプリント予選、あと2人だったが・・・
坂本のスプリント予選、あと2人だったが・・・

スプリント予選の木村
スプリント予選の木村

伊藤のスプリント予選
伊藤のスプリント予選

 2日目はスプリント予選にチーム・スプリントの3人、伊藤、木村、坂本が出場。まずは55人のエントリー中、24位までが本選に進むこととなる200mのフライング・タイム・トライアル。持ちタイムから厳しい戦いになることが予想されますが、こちらもベスト・タイムは更新したいところ。出走順は31番目坂本、36番目木村、43番目伊藤の順。思ったほどは周りのタイムが上がりませんでしたが、坂本が10秒930、木村が11秒119、伊藤が11秒332。予選通過のボーダーが10秒881、坂本が26位とあと2人というところでしたが少しタイムの差がついてしまっていた感じ。木村は36位、伊藤は43位で全員が予選通過はなりませんでした。
コメント 坂本:(24位通過のところ26位)「あと2人でしたか・・・結果論になりますけど(バンクの)上に上がってからもう少しスピードを上げておけば良かったです・・・とりあえず自己ベストなのでそれは嬉しいんですけど、去年も誰も本選に進めなかったみたいなので、やってやろうと思ってたんですが・・・残念です。この後は国体までレースがなくてそこで終わりなんですが、スプリント高校4冠目指して頑張りたいと思います。」
コメント 木村:「全然ダメです。緊張しちゃいました。走る前はそんなでもなかったんですが、トラックに入って上にあがったら緊張しちゃって・・・このままでは終わりにしたくないので絶対なんとかしたいと思います」。
コメント 伊藤:「んー、なんなんですかね。ちょっと分かんないです。朝は足が軽い感じだったんですけど・・・緊張したんですかね。ちょっと分かんないです。自己ベストは出したかったんですけれど、ずーっと最初から最後まで何か力が入らない、踏めてない感じでした。」
 スプリント本選の準決勝はそれぞれドイツ同士、オーストラリア同士での戦い。ともに2-0で、ドイツは予選を10秒304で1位通過した昨年銀メダルのベティッヒャーが、オーストラリアは10秒375で予選2位通過のグレッツアーが順当に勝ち上がり決勝へ、決勝戦はきわどい戦いになるかと思われましたが2-0でオーストラリアのグレッツアーが制し金メダルに輝きました。

スプリント準決勝のオーストラリア対決
スプリント準決勝のオーストラリア対決

スプリント優勝のグレッツアー
スプリント優勝のグレッツアー

レースセンスの良さを見せた黒枝
レースセンスの良さを見せた黒枝

 3日目に初登場はポイント・レースに出場の黒枝。ポイント・レースも決勝は24人での争いとなるため2ヒートでの予選からのスタート。黒枝は第1ヒート、15人中12人か勝ち上がる60周15kmというレースから。レース開始早々に抜け出たスペインのゴンザルベスを韓国のパクが追いかけるのを見ると黒枝も残り55周から発進。3人での逃げとなるが集団のスピードは上がらず、あっさりと残り51周でラップ、早くも黒枝には楽な展開となります。その後パクが再度ラップするなど結局合計6名がラップ。黒枝は最後も逃げ集団に加わるなどしたがポイントはなし。結局5位での予選通過となりました。
コメント 黒枝:「韓国の選手が強いのは分かっていたので早めに追って正解でした。早くにラップできたのでその後を楽に走れました。ちょっと調子を試したかったので後半も逃げに乗ってみました。決勝は24人で思うようには走れないかもしれないですけど、今は逃げようか、スプリント勝負するか考えています。でも仕掛けても簡単に逃げさせてはくれないですかね。」
 迎えた決勝は100周25kmでの争い。第1スプリントを迎える前に3人での逃げから飛び出したロシア選手がラップするという展開。その後も早くから飛び出しを見せる選手が現れる中、残り77周のところで新たな逃げ集団が形成され、これを追って黒枝も出、第2集団が出来るもしばらくしてこちらは集団に吸収されて結局逃げた選手たちは残り64周でラップ。他をリードすることとなります。中盤も選手たちがアタックをしかけるもののなかなか逃げることが出来ない状態、そんな中黒枝からはやや苦しそうな表情がみられます。終盤に差し掛かった残り28周でウズベキスタンとスペインが仕掛けるとイタリアが追い、これに黒枝も続きます。他も続いての第8スプリント、黒枝は3位通過で2ポイント獲得、その後は6人でラップを目指しての逃げへと移ります。逃げながらの第9スプリントはスプリント力をみせて黒枝は1位通過で5ポイント、残り10周でのラップを目指しますがスピードは思ったほど上がらずに残り4周で集団に吸収されて残念ながら上位への夢が断たれます。ラップした5人が4ポイント差にひしめく混戦でしたがリードしていたオーストラリアのカービーが2ポイント差で後続を抑えて優勝、黒枝は7ポイント、9位で決勝を終えました。
コメント 黒枝:「前半全然足が回らなくて、これはダメだと思って後半に切り替えました。あの逃げでラップしたかったんですけどちょっと遅かったですね。途中何度か行こうかと思ったんですけど内に包まれたりで・・・逃げは決まらないかなと思っていたんですけど、あっさり決まっていましたね。インターバル練習をしていなかったのでその分道中ちょっときつかったです。でも何も出来ずに終わった訳ではなかったのでその分は収穫が多少あったかな、と思います。今後はエリートでグンとレベルも上がるので練習して頑張っていきたいです。」
オムニウム、タイム・トライアルの一丸
オムニウム、タイム・トライアルの一丸

 3日目からはじまったのがオリンピック種目となったオムニウム。オリンピックでのフォーマット(6種目、250mフライング・タイム・トライアル、ポイント・レース、エリミネーション、個人追抜き、スクラッチ、1kmタイム・トライアル)が決まって大きな大会では初となるこの種目、24人が最大出場可能人数なのでこの人数に絞るためにまずは予選が行われます。予選種目はポイント・レース。2ヒートに分かれ、本選と同じく60周15kmで争われる予選の第2ヒートに出場するのが一丸。まずは15人で争われるこのレースで12位にはいらないとスタートに立てません。
 オーストラリアなどをマークしながらの一丸、特にイタリア選手を追いながらの展開になります。残り34周でデンマークが発進したところ、これをイタリアがすかさず追いかけます。これに反応した一丸、逃げ集団に加わり合計5人での道中。第3スプリントは5位通過でポイントをあげられなかったものの7人に増えた逃げ集団は残り25周で残り8人をラップ。(扱いは8人が周回遅れで-20ポイント)これで楽になった一丸はその後ラップは出来なかったものの、最終スプリントは先に逃げていた3人がいたものの集団から飛び出てスプリント、4位フィニッシュで1ポイント獲得し10位で予選通過となり、スタート位置への切符を手にしました。
コメント 一丸:「良かったです。オーストラリア、ドイツ、イタリアをマークとの指示だったんですが、上手く乗っかれてよかったです。はじめのうちはちょっときつかったですけど、最後は楽にいけました。スクラッチなんかでも最後にもがくスタイルが多いので気持ちよく最後にスプリントして1ポイント取れたのも良かったです。でも他の選手は大きいギアをかけてなおかつそれで踏み出しもいいんで、どうしても離されてしまうような・・・まだまだ大きいギアを踏むのを含めて練習が必要ですね。ここからスタートなので頑張ります。」
 本選に入ってからは、250mフライング・タイム・トライアルを14秒198で15位、ポイント・レースは集団での追走で終わり17位、スプリントが2周毎であったり3周であったりばらばらで、除外対象の選手がトラックから降りなかったりといった不備があちらこちらに見られ、今後の運営が不安視されるような形となってしまったエリミネーションでは早々に除外となってしまい21位という結果でまずは初日の3種目を終えました。翌日の3種目、3km個人追抜きは3分36秒953で21位、スクラッチでは残り8周で果敢に単独でアタックしましたが残り2周で集団につかまり20位、最後の1kmタイム・トライアルは1分9秒039で19位、合計113ポイントの20位で競技を終えました。
コメント 一丸:「ポイント・レースは予選に比べても流れがきつかったです。前半に仕掛けようと思ったんですが、足の感じを考えるとつかまってそのままずるずるといきそうな気がしてしまったので集団での走りになってしまいました。流れに乗っているだけでいっぱいになってしまった感じだったので課題がありますね。エリミネーションは走り出した瞬間に足が重くて・・・最初に外外を回らされていたので足に来てしまって早々に除外されてしまいました。スクラッチは前日のレースが中団以上をキープしてついていくだけで足が一杯一杯だったので、後ろに下がって休むことも意識しながら走りました。残り8周で前に出たときに後ろがついてくる、追ってくる感じがなかったので、足にも余裕があったし、今まで消極的な面が多かったので思い切って行きました。結果は残念でしたけど・・・タイム・トライアルの練習は正直していないので・・・でも高校3年以来のベスト・タイムが出たりもしました。全体的に重めのギアを踏み切れなくてスピードに乗り切れなかった感じですね。これからもこの種目に出るようであればタイム・トライアルを鍛えないとダメですね。疲れました。」
 優勝はスクラッチで銀メダルだったフランスのコカール。6種目中4種目で1位、残る1kmで3位、個人追抜きで8位、合計15ポイントと強さを見せ、特にエンデュランス種目でのスプリント力には光るものがありました。
積極さを見せた木村のケイリン
積極さを見せた木村のケイリン

伊藤のレース運びは悪くなかったが・・・
伊藤のレース運びは悪くなかったが・・・

ケイリンも優勝のグレッツアー
ケイリンも優勝のグレッツアー
 4日目はこのオムニウムのほかにケイリン。ケイリンには日本競輪学校生の2人、伊藤、木村が挑みます。ケイリンにはなんと42名がエントリー。1回戦は7人ずつ6ヒートで各1着の6人が2回戦へ。敗者復活戦も6人ずつ6ヒートでこちらも1着勝ち上がりと厳しい、狭き門での争いです。
 まずは1回戦2組目に木村が出場。内から5番目の位置からの木村はあまりスタートが良くなく後方から。途中7番手から6番手にあげて周回を重ねます。残り2周半でペーサーが退避すると一気に先頭に立ち、そのまま6選手を従えて先行しますが、ペースが上がり残り1周となるホーム・ストレッチで外からかまされ、その後バック・ストレッチではずるずる後退。思い切り良く先行したものの7着で敗者復活戦へ。
 続いては6組目に登場の伊藤。内から3番目の位置からのスタートとなった伊藤もあまりダッシュ良くなく道中は5番手の位置取り。こちらも先手を取って積極的に攻めますが、ペースが上がらない中後ろをけん制している4コーナーで内を突かれていることに気づかず、やや接触してペースを落とし内につつまれる形に。結果4着でこちらも敗者復活戦回りとなってしまいました。
コメント 木村:「いつもよりギアをかけて先行したんですけれど、やっぱり慣れていなくて踏み切れなくて・・・先行したあとにペースをあげることが出来ずに結局ずるずるいっちゃいました。次は1枚ギアを落として勝負します。勝ちたいです。何もしないで終わりたくはないので前々で行きたいと思います。」
コメント 伊藤:「内から来ているのが全然分からなくて・・・流して踏み出そうとしたところで内から来たのと接触して緩んでしまって、あー終わったなと。ほんとは誰かがカマしてくるところに飛びついて番手でと思っていたんですけど、あの流れだとみんな行きたくないんですね。走ってみても周りとそれほど足の差は感じなかったので敗者復活戦はしっかりと走りたいです。」
 気を取り直しての敗者復活戦、まずは木村が1組に登場。スタート良くなく最後方からの展開となってしまったが残り2周半のペーサー退避を狙って上昇する選手たちにあわせて木村も動くが外を回されてなかなかポジションをあげられません。ペースも上がっていくなか木村も踏みますが最終1コーナーの落車のあおりを受けて後退。再度踏みなおして差を縮めていきますが大きく遅れた3着での入線。落車は良く避けましたが残念ながら2回戦進出はなりませんでした。
 伊藤は4組での出走。道中3番手のポジションでペーサー退避が近づいても上昇する選手はなく、ペーサーと先頭選手の差が開きます。伊藤はしきりに後続を見て発進時期を探りますが後続はなかなか動きません。じわじわとペースが上がる中、残り1周半でようやく後続が仕掛けたのに併せて踏み出しますが一気にスピードはあがりません。前方の選手もペースはさほど上がらない中懸命に踏み、最終2コーナーあたりからかかりだして抜け出した選手を追走。差し切れるか、とも思われましたが半車身ほど及ばず2着。最後の4コーナーで急に内へ下りたことで警告を受け、ここでレース終了となってしまいました。
コメント 木村:「残り1周半で出切れればいける自信があったんですけど・・・外外を踏まされてやっぱりきつかったです。落車を避けられたのだけは良かったです。明日走れなくなっちゃうので・・・予期できたのでよかったです。明日の1kmで自己ベストを目指して頑張ります。」
コメント 伊藤:「自分で行っちゃおうかとも思ったんですけど、それなりの展開には持っていけました。ちょっと外を踏まされたりして結果差し切れませんでした。やっぱり重いギアだと踏み切れないので、分かっているんですけどこれは大きな課題ですよね。差し切れるような足にしないと・・・人と同じことをやっても筋肉とかパワーもつきにくいのでその辺りも色々考えながらやっていこうと思います。学校でも競走訓練が始まるので、師匠にも学校で良い成績を出しても仕方ないと言われているので先行主体で力をつけていきたいと思います。」
 決勝は4番手から残り1周半、バックストレッチから発進したオーストラリアのグレッツアーが残り1周となるホームで出切って先行。番手のドイツのベティッヒャーとの一騎打ちでスプリント決勝の再現かと思わせたその矢先、ベティッヒャーがグレッツアーの内に差し込み、接触落車。グレッツアーが差し切りスプリントに続いて金メダル獲得となりました。
出番を待ち続けた大西
出番を待ち続けた大西

4種目出場の木村
4種目出場の木村
 最終日は1kmタイム・トライアル。これで4種目の出場となる木村とここまで出場がなく出番を待ち続けた大西が出場。39人のエントリー中、2名が出走せず、大西は7番目、木村は16番目でのスタート。スタートを失敗した大西はその後の挽回を見せますがタイムは1分6秒947でこの時点で5位。木村は後半に大きく失速し1分7秒221でこの時点で11位。結局、最終結果は大西26位、木村29位で日本チームとしての今回の戦いを終えることとなりました。
コメント 大西:「スタートを失敗してしまって・・・いつもはあと1秒で上体を後ろに引いてゼロで出るんですけど、引っかかった感じになって・・・取り戻すために全力で追い上げた分、最後はタレちゃいました。トラックが軽いのでいつもよりは重いギアで、でも重すぎると踏み切れないと思って適当なギアを選んだんですけど、きつかったです。もう少し出したかったですけど、今までのベストが1分7秒48だったので最低限のことは出来たかな、と思います。でもDHバーのポジションのことでUCIから注意されてしまいました。今度やったら失格だそうです。また帰ったらレースなので頑張ります。」
コメント 木村:「タイムを出したいと思って最初から突っ込んでいったんですけど、かなりタレてしまいました。慣れてきたかなと思いましたけど、やっぱりちょっと違う形で緊張しました。自己ベストは自己ベストでしたけど、満足いく走りではなかったです。悔しいです。また課題はたくさんあるのでまた競輪学校で頑張ります。」
スプリント種目2冠のイ、左はグニデンコ
スプリント種目2冠のイ、左はグニデンコ

エンデュランス3冠のキュアー
エンデュランス3冠のキュアー
 今回のこの大会を振り返って感じられるのは新興国がどんどんと力を付けてきていること。今まで目立たなかった南アフリカやトルコといった国がところどころで見せ場をつくっていたしお隣の韓国も強さを見せていました。これらに共通するのがUCI傘下のWCC(ワールド・サイクリング・センター)でのトレーニングを積んでいること。やはり力を入れて強化すれば、いずれは形になって現れてくるということでしょう。何度も言われていることですが、本当にこのままいくと日本は世界との差がどんどんと開いていってしまう→どんどんと競技力が低下しレースもつまらなくなり競技者も減っていく→更に競技力が低下する、という負のスパイラルにどんどんと入り込んでいってしまいます。なんとか、なんとか手を打っていかなければならないでしょう。
 今回の大会で目立ったライダーは文中にも登場の、スプリント、ケイリンのスプリント競技2冠のオーストラリア、マシュー・グレッツアー。昨年この2種目とチーム・スプリントの3冠を制したニュージーランドのサム・ウェブスターがエリートでもそこそこの活躍を見せているので、体もある彼が日本に来たジェイソン・ニブレットやシェーン・パーキンスの後継者となれるかどうか。女子では韓国のイ・ヒェジンが500mタイム・トライアルとスプリントの2冠に。予選のハロンで1位から勝ち上がったスプリントはロシアのエカテリーナ・グニデンコに1本取られた後、2本連取で優勝。ケイリンでの3冠も期待されましたが、こちらは決勝で内々に進路を取り、足を余しての5着で、スプリントで下したグニデンコがオーストラリアの2段駆けを追い込んで優勝。エンデュランス系はオーストラリアのエイミー・キュアーが個人追抜き、団体追抜き、スクラッチで3冠達成。女子の世界記録はまだ歴史が浅いというものの、個人、団体追抜きの両方で世界新記録を樹立して優勝しました。全体的にはやはり各種目でバランス良く強さを見せたオーストラリアが目立ち、エリートで威力をみせるイギリスは、今回は特に男子であまり目立たず、ヨーロッパではむしろフランス(男子ですが)が目立った大会でした。
 今回は担当コーチの佐藤コーチ、高体連の中田先生、山脇メカニックという日本からのスタッフ陣でしたが、最初はアウェイ感があったものの、次第に水にも慣れ、また世界の状況を目の当たりにして色々と今後のジュニアの展開について考え、そして語ってくれたのですが、なかでも「色々と周りのサポートが少ない、というようなことを言っているだけでなく、実際に何かを投じて、実際にやってみて、それで結果を出していけば、周囲の見る目が変わり、アシスト、サポートをしてもらえる状況に逆になっていくと思う。そういった今までになかった第1歩、2歩を踏み出していってやろうという気になった。」というお言葉が印象的でした。実際にこの大会で得、そして考えられたことがどんどんと実になっていくような展開を期待したいですし、それがジュニアだけでなく自転車競技全体の活性にもつながっていくわけですから・・・私も微力ながらやれることをやって、また周りのサポートがどんどんと増えていくことを期待したいです。なんといってもジュニアの現状は将来のエリートの状況に繋がるわけですし、ジュニアをおろそかにしている状況がエリートの強豪国に見られることなどないわけですから。今回参加したライダーたちも自分に足りないもの、課題といったものが見えた大会だったと思うので、是非、今回のことを糧にして先々に繋げ、今後の自転車界を引っ張るようなライダーに育っていって欲しいと願わずにはいられませんね。それでは皆さんまた!



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