アテネ現地レポート(10) 日本、チームスプリントで銀メダル獲得! (8月21日)
 
伴 達朗 (シクロ・イマージュ)
配信日:8月22日
 
 
 自転車トラック競技開催2日目。日本はこの日行なわれたチームスプリントで、オリンピックにおける日本の自転車競技史上初となる銀メダルを獲得した。
 日本のメダル獲得は1980年ロサンゼルス大会(坂本勉・スプリント銅メダル)、1996年アトランタ大会(十文字貴信・1kmタイムトライアル銅メダル)に続いて3度目。銀メダルは過去最高位となる快挙だ。

 


その第1歩は今日最初の競技として行なわれたチームスプリント予選。第1走者に長塚智広、第2走者に伏見俊昭、そして第3走者に井上昌己という不動の布陣で臨んだ日本は、ここで44秒355という好タイムを出し参加12チーム中3位につける。このタイムは、今年5月の世界選手権で出した45秒219の日本記録(250mトラック)を1秒近く上回る日本新記録だ。
これで勢い付いた日本は、次の1回戦では予選タイムを上回る44秒081の驚異的とも言えるタイムで対戦相手オランダを下す。この1回戦は2チームずつ4組が対戦し、勝ったチームがタイム順に1-2位、3-4位の決定戦を行なう勝ち上がり方式となる。日本は結局勝った4チーム中2番目のタイムで1-2位決定戦行きが確定。同時にこの時点で金か銀かのメダル獲得も決定した。
その決定戦。相手は予選を44秒251、そして1回戦を43秒955という日本以上の驚異的なタイムで勝ち上がってきたドイツ。レースは2周目までほぼ互角のペースで進んだが、最終的には第3走者に1kmタイムトライアルの前世界チャンピオン・ニムケを擁するドイツが競り勝ち金メダル。日本は2位・銀メダルとなった。

■日本選手のコメント

--- 長塚智広 選手 ---

「念願のメダル獲得ですけどまだ実感がありません。日本に帰ってからいろいろ感じるんだと思います。今日はスタートの調子が良かったので17秒6はいけると思っていましたが、17秒5が出てたのでビックリしました。銀メダルは3人のチームワークの賜物だと思います。決定戦で負けたのは仕方ないことですが、あともう少し時間があったら金メダルも獲れたと思います。でもとにかく今日は井上君がよくがんばってくれたと思います。」

--- 伏見俊昭 選手 ---

「やりました。感無量です。この1ヶ月間少しオーバーワーク気味だったけど、いろんなものを犠牲にしてオリンピックを目指してきた甲斐がありました。今日は3人とも本当に調子良かったし、僕自身こっちにきて最高の調子だったのでやれる気はしていました。また、予選が1番スタートだったのもプレッシャーなく走れて良かったと思います。でも、走る前の目標タイムが44秒5だったので正直この結果には自分たちも驚いています。決定戦はいい勝負だったけど、僕が走り終わった時点で負けたと思いました。でもこの銀メダルは十分すぎる結果です。」

--- 井上昌己 選手 ---

「この3人でメダルが獲れて本当に嬉しいです。走る前は緊張よりも気合の方が勝っていました。腰の痛みに関しては不安もあったけど、こっちに来て快方に向かっていたので大丈夫だと自分に言い聞かせていました。予選を走り終わった段階で痛みがなかったのでこれで行けると思いました。この1ヶ月間、集中してトレーニング出来たことがこの結果につながったと思います。」

チームスプリント 銀メダル獲得 お祝いの言葉
日自振会長 小川邦夫
 伏見俊昭、長塚智広、井上昌己の競輪選手3名がチームスプリントで銀メダルを獲得したとの朗報に接し、心からの喜びと感動を覚えております。この偉業は、アメリカでの厳しい合宿を含め、長期に渡るトレーニングに励み、チームワークを強化した3選手はもとより、それを一丸となって支えた日本チームスタッフ全員の努力の賜物であると思います。3選手とスタッフの努力に心からの敬意を表します。96年のアトランタ大会から競輪選手がオリンピックに参加するようになり、アトランタでの十文字選手の銅メダル獲得に続くオリンピックでの競輪選手の活躍は業界の悲願でもありました。3選手には今後、本業の競輪でも大活躍していただき、日本中を盛り上げてくれることを期待しています。そして、この日本チームの快挙が若い人々に夢を与え、日本の自転車競技が盛んになるきっかけとなることを期待してやみません。


 
 
 
 
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