第29回オリンピック競技大会(2008/北京) 自転車競技トラック男子ケイリン・ポイントレース詳報
 
伴 達朗 (シクロ・イマージュ)
配信日:8月17日
 
 
■ケイリンで永井清史が銅メダルを獲得!ポイントレースで飯島誠が8位入賞!

8月16日・北京オリンピック9日目。

この日行われたケイリンで、オリンピック初出場の永井清史が、銅メダル獲得という快挙を成し遂げた。この種目のオリンピックでのメダル獲得はこれが初めて。日本の自転車競技はアテネオリンピックのチームスプリント銀メダルに続き、2大会連続のメダル獲得となった。

中央、金メダルのホイ選手、左は銀メダルのエドガー選手(ともにイギリス)
中央、金メダルのホイ選手、左は銀メダルのエドガー選手(ともにイギリス)
 
決勝戦、果敢に先行する永井選手
決勝戦、果敢に先行する永井選手
表彰式の永井選手
表彰式の永井選手
永井は、2着までが勝ち上がる最初のレース・1回戦では、イタリアのキアッパのラフプレーにもあって3着となり敗者復活戦に回った。しかしその敗者復活戦では1着、続く準決勝となる2回戦も2着で勝ち上がり、決勝となる1-6位決定戦に駒を進めた。そしてその決定戦では、残り3周からの早めの仕掛けで主導権を握り、最後は強豪イギリス勢2人に抜かれはしたものの3着でゴール。見事銅メダル獲得となった。優勝したのは今年3月の世界選手権でケイリンとスプリントの2冠に輝いたイギリスのクリス・ホイ。ホイは圧倒的なスピードを武器に1回戦・2回戦をともに危なげなく逃げ切りの1着で勝ち上がった。そして最後の決定戦でも、永井に先手は取られたものの残り1周からの踏み出しで一気に先頭に立ち、そのままゴールラインを駆け抜けた。ホイは昨日のチームスプリントに続き今大会2つ目の金メダル獲得となった。なお、もう一人日本から出場した伏見俊昭は、1回戦を3着で落とし、挽回を期した次の敗者復活戦でも最後に力尽き4着。日本のエース伏見がアテネの雪辱を期して臨んだ2度目のオリンピックケイリンは、アテネと同じ1回戦・敗者復活戦敗退という結果に終わった。

またこの日、これが3度目のオリンピック出場となる飯島誠が男子ポイントレースに出場。途中抜け出した少人数の逃げに乗ってラップポイントを獲得する など終始積極的な走りをみせ、オリンピックでは過去最高位の8位入賞を果たした。

■日本選手のコメント
<永井選手表彰式後のコメント>
まだ信じられないけど、嬉しいです。今日は伏見さんの影で目立たずがんばるつもりだったので、緊張もせず自分のレースが出来ました。どのレースも先行することだけを考えて積極的に動いたのが良かったと思います。1回戦はキアッパに絡まれて勝ち上がれなかったのですが、その分敗者復活戦は燃えました。2回戦では、周回中の落車で人数が2人少なくなったのは、自分にとってラッキーだったと思います。決勝では、自分には失うものは何もないと思って躊躇無く踏み出せたのがこの結果につながったと思います。決勝に乗れただけで嬉しかったのに、メダルまで獲れて本当に感無量です。
 
<伏見選手コメント>
永井君がメダルを獲ってくれて本当に良かったけど、自分としては調子が良かっただけに残念です。1回戦はスタート順が悪くて動かざるを得ない展開になったんですけど、後ろから来たホイに飛びつけなかったのが敗因です。敗者復活戦は後ろのトゥルナンを出さないように考えて走ったんですけど行かれちゃいました。ゴール勝負ぐらいまでは粘りたかったですね・・・。ここに来るまで3ヶ月ぐらい集中してやって来たのに負けてしまったということは、やっぱりまだ何かが足りなかったのだと思います。でもこれで競技生活が終わりというわけではないので、一晩寝て気持ちを切り替えて、今度は日本に帰ってからのレースに備えたいと思います。
 
<飯島選手コメント>
8位入賞はオリンピックのベストリザルトなので、結果は結果としては満足しています。でもトップ3とは力の差がありすぎるので納得できない部分もあります。ちょっとトレーニングで絞りすぎてレース前は調子はいい方ではありませんでした。序盤は様子見で、中盤以降チャンスがあれば行こうと決めていました。ちょうどタイミング良くいい逃げが出来たので良かったです。それでラップは成功したのですが、そこからが凄く速い展開になって、ついて行くので精一杯でした。3度目のオリンピックを走り終わったのですが、満足出来たかというと決してそうではなく、思い返すといろいろ後悔もあって複雑な心境です。今後は、まだ現役を続けるか、それともこの経験を後輩に伝えていくか、今の時点では正直迷っています。

◆ケイリンの決勝レースが終わった後、銅メダル獲得の興奮さめやらぬ永井に駆け寄り、固い抱擁で祝福するマニエ監督の姿があった。永井がプロ入り前に 自転車の英才教育を受けたワールドサイクリングセンター時代、当時コーチと して永井の才能を見い出し開花させたのはマニエ氏だった。一昨年マニエ氏は 縁あって日本のナショナルディレクターに就任し、選手育成・強化の責任者と なったが、永井にはいずれはトラックチームの柱にとの思いで接してきたに違 いない。その可能性を信じ同じ目標に向かってともに歩き続ける監督にとって、 今日の喜びはメダルを獲得した本人以上だったかも知れない。
<マニエ監督のコメント>
とても不思議な気分です。私にとってこれは6度目のオリンピックで初めてのメダル獲得と言うことになります。でもこれはキヨ(永井)のメダルです。このメダルを獲ることがどれだけ難しいことなのか私はよく知っています。キヨは私のトレーニング方法を良く理解し従ってくれました。まだ改善の余地はありますが、今回の結果に私はとても満足しています。また、日本の競輪選手がオリンピックで初めて決勝進出を果たし、初めてメダル獲得したということは、日本の競輪界にとってもとても素晴らしく意義のあることだと思います。
 
 
 
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