世界のトップレーサーが集結し、2010年世界トラック選手権自転車競技大会が24日、デンマーク・コペンハーゲン近郊のバレラップスーパーアリーナで開幕した。まずは女子個人追抜予選が行われ、盛大な開会式を経て女子500メートルTTに進んだ。続く男子チームスプリント予選には日本勢が参戦して10位、男子ポイントレースに出場した飯島誠(チームブリヂストン・アンカー)は10位に終わった。男子チームスプリントではシュテファン・ニムケらドイツ勢が強豪フランスを破って優勝。また女子500メートルTTでは、アナ・ミアーズ(オーストラリア)が世界記録保持者のシモナ・クルペクカイテ(リトアニア)を下して優勝を飾った。 |
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【男子チームスプリント予選】 |
第4組でギリシアとともに登場した日本は、新田祐大(24=福島)-渡辺一成(26=福島)-浅井康太(25=三重)と並んで出走。発走前、班目秀雄総監督は「できればベスト4に入りたいね」と期待を込めていたが、第1走者を務める予定だった成田和也の欠場についても触れ「スターターが成田だったのが(新田に)代わったことによって、スピードの乗りがどうなるか。アテネでメダルを獲れたのもスタートが(長塚智広で)良かったからなんだから」と話していた。そんな懸念が現実となり、第1走の新田は18秒072と平凡なタイムで、第2走の渡辺、第3走の浅井とも伸び上がることなく、タイムは45秒136で10位に終わった。
引き揚げてきた渡辺は「スムーズに流れて気持ちよく踏めましたけど、第1走が17秒台を出せるようじゃないと通用しない。前にちぎってもらって、第2走が追いかける勢いで進んでいかないと。悔しいですね。新田に対してじゃなく、チームとして強化できなかったことが」と唇をかむ。一方の新田は「久しぶりだったんで、びびった。自分がもっと速ければね。スピードが乗り切っていないから後半の伸びもなかった。1走目が肝心なのはわかっているんですけど、練習も足りなかったんで。今回は急遽でしたけど、もう少し経験をつめば17秒台は出そうな気がします」と表情は明るい。さらには「これでもタイムは自己ベストなんですよ。スタートさえうまくいけばタイムトライアルでも好結果が出せるはずですし」と付け加え、3日目に出場する1kmTTをにらむ。第3走者の浅井は「慣れていないせいもあるし、キツかった。スムーズに流れたとは思いますけどね、もっと練習しないとダメ」と経験不足を強調していた。
クリス・ホイが率いるイギリスは第7組として出走し、43秒802をたたき出したが、最終組のフランス(43秒373)とドイツ(43秒458)に敗れ、決勝進出を断たれた。
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男子チームスプリント 日本チームスタート |
男子チームスプリント 日本チーム |
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【男子チームスプリント決勝】 |
予選に引き続いてフランスとドイツの対戦となり、接戦の末にドイツが0・02秒差の43秒433で勝ち切った。04年アテネ五輪の同競技で金メダルを獲得したシュテファン・ニムケが「優勝なんて考えていなかった。また3人でトップに立てて本当にうれしい」と言えば、ロバート・ホースマンは「強いフランスに勝てるとは思わなかった。自分たちが力を出し合ったからこのような結果を出せた」と喜びを爆発させた。
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男子チームスプリント |
男子チームスプリント 表彰式 |
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【男子ポイントレース】 |
250メートルのトラックを160周し、10周ごとの通過順位上位選手にポイントを与える4万メートルの長距離レースで、2000年シドニー大会から五輪3大会連続出場の飯島誠(ブリヂストンアンカー)は10位だった。ハイペースで進んだ序盤は後方で力を温存し、後半に勝負をかけた39歳のベテランが悔やんだのは終盤の走りだった。
140周通過までにしぶとく8点を重ねた。入賞圏内を目指し、150周目とラストの160周目はいずれも好位置から4位までに与えられるポイント獲得を狙った。しかし、いずれもあと一歩及ばなかった。「最後のところは悔いが残る。どちらかは得点を取らないと。躊躇してしまった」と残念がった。
8位入賞を果たした北京五輪後、ロード種目に重点を置き、国際舞台でポイントレースに出場したのは久しぶり。それだけに「これが今の実力」と納得もしている。「多分、世界選手権出場はこれが最後。あとは自分の経験を後輩たちに伝えたい」とさっぱりした表情で話した。
激しい駆け引きが魅力のレースで圧倒的な力を見せつけたのは、前回優勝のキャメロン・マイアー(オーストラリア)だった。中盤に4人集団で抜け出して主集団をラップし、終盤にも単独走で1周の差をつけた。ロード種目にも強いマイアーについて、飯島は「(ポイントレースでは)当分はマイアーの時代が続く。将来はツール・ド・フランスで勝てるような選手になるんじゃないか」と絶賛した。2008年にはツアー・オブ・ジャパンで総合優勝した22歳の王者は「トラックでは五輪金メダリスト、ロードではツール・ド・フランス優勝。どちらも狙っている」と自信満々だった。
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男子ポイント |
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飯島誠選手 |
男子ポイント 表彰式 |
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【女子500メートルTT】 |
前回準優勝のアナ・ミアーズ(オーストラリア)が、同種目の世界記録保持者で前回優勝のシモナ・クルペクカイテ(リトアニア)に雪辱した。
今季のワールドカップ(W杯)2勝でランキング1位のミアーズは、抜群のダッシュで序盤の125メートルを21選手中トップの11秒519で駆け抜け、そのまま押し切った。「これが自分のベスト。前回は勝てなかったシモナに勝てて本当にうれしい」とにこやかに笑った。
クルペクカイテは後半250メートルのタイムでトップだったが、ミアーズには届かず。「今季は500メートルTTには力を入れていない。まだ勝ったことがないケイリンとスプリントで優勝を目指して、エネルギーを費やしてきた」と淡々としていた。 |
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女子500mTT |
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女子500mTT 表彰式 |
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【女子個人追抜】 |
2006、07年の世界選手権でこの種目を2連覇したサラ・ハマー(米国)が3分27秒826の好タイムで予選1位となり、同2位のウェンディ・ホベナゲール(英国)との決勝にも圧勝し、3度目の優勝を果たした。26歳のハマーは「世界王者のタイトルはいつも私にとって特別。きょうは朝から完璧に集中して楽しいレースができた」と喜びに浸った。
英国のサットン監督は予選終了後に「サラを捕まえるのは難しい。(予選でついた)3秒近い差はとても大きい。ウェンディが勝つのは難しいだろう」と話していたが、決勝はその通りの結果となった。序盤の500メートルまでは北京五輪銀メダルのホベナゲールがリードを奪った。だが、ハマーは625メートルで逆転すると、どんどん差を広げ、最終的には4秒近い大差をつけた。
北京五輪5位のハマーは2年後のロンドン五輪で金メダルを夢見る。「1シーズン1シーズンを楽しんで、最終的に五輪金メダリストになれたらすばらしい」と話した。
ちなみにサットン監督によると、北京五輪でこの種目の金メダルを獲得したレベッカ・ロメロ(英国)は既にトラック種目から引退して現在はロード種目に専念しているという。
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女子個人追い抜き |
女子個人追い抜き 表彰式 |
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