2010年世界トラック選手権自転車競技大会2日目は現地時間の25日、デンマーク・コペンハーゲン近郊のバレラップスーパーアリーナで男女5種目が行われた。
日本からは男子ケイリンに渡邉一成(26=福島)と浅井康太(25=三重)、男子スクラッチに盛一大(27=三愛工業レーシングチーム)の3人が出場した。ケイリンは渡邉が1回戦7位、敗者復活戦3位で敗退、1回戦4位の浅井は敗者復活戦で1位になったが2回戦で6位に沈んで決勝進出はならなかった。
スクラッチでは盛が3位に入り、銅メダルを獲得した。世界選手権における日本勢のメダル獲得は93年ノルウェー大会の男子ケイリン(3位=吉岡稔真)以来17年ぶりで、同競技では初めて。 |
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【男子ケイリン1回戦、敗者復活戦、2回戦、7-12位決定戦】 |
1回戦には第2組に浅井が登場。号砲とともに飛び出した浅井は前攻めをとる。突っ張ってマイケル・トムソン(南アフリカ)の上昇を阻むと、真後ろからサム・ウェブスター(ニュージーランド)にたたかれて3番手に後退し、そのまま仕掛けられず4位に終わった。渡邉はミハエル・サイデンベッヒャー(ドイツ)-アジズルハスニ・アワン(マレーシア)の後位=3番手=で周回を重ねたが、真後ろからサイモン・バンベルトホーベン(ニュージーランド)が発進するやズルズルと後退、最後尾の7番手に置かれたまま見せ場なく7位に沈んだ。
1位のみが2回戦進出となる敗者復活戦。渡邉は第3組で、残り3周を切ると3番手から仕掛けて駆け出したが、真後ろから踏み上げたミハエル・サイデンベッヒャーにのみ込まれて3位に終わった。最終組に出走した浅井は、3番手からまくり出たカルステン・ベルグマン(ドイツ)を差し切って2回戦に進んだ。
渡邉「1回戦は読みが外れましたね。仕掛けようと思ったけど行けなかった。敗者復活戦は番手に入ったドイツの選手に、いいようにやられちゃいましたね。さらに半周を踏み切る力がないとダメでしょう。自分は次のオリンピック(2012年ロンドン)を目標にしているんで、そこで勝負できる状態に持っていきたいです」
浅井「(1回戦は)とことん突っ張るべきでしたかねぇ。引くかどうか迷いもありました。(敗者復活戦では)自分が一番後ろでしたけど、前が仕掛けると思ってました。何度も追い出しをかけたら行ってくれましたね。ギアが3・92だったんで、最後は吸い込まれるように前を抜けました」
大舞台での勝ち星に浅井は気をよくしていたが、2回戦でトップクラスの強さを思い知る。シェーン・パーキンス(オーストラリア)を降ろして前に出るや王者クリス・ホイにたたかれ、いったんは3番手に入り込むも力尽きて後退し、6位に終わった。
浅井「キツかったぁ。前に出てそのまま先行か、だれかが来たら飛びつこうと。ホイは2周を駆けましたか。めちゃくちゃ強い」
班目秀雄総監督「だけど、いいレースだったよ」
阿部良二監督「うん。前に出ていけるだけでも大したもんだ。久しぶりに、いいレースを観たよな」
中野浩一氏「うん。きっと飛びついた時点で脚がいっぱいだったろうね。でも作戦的には良かったと思うよ」
最下位に沈んでも浅井の走りは高く評価された。すっかりその気になった浅井は、入賞をかけた7-12位決定戦で〝勇み足〟をやらかす。残り3周を切ると2番手から勢いよく前に出たまではよかったが、誘導ぺーサーに並ぶまで踏み込んでしまった。失格を告げる号砲が鳴り響き、レースは中断。浅井が除外されて再発走となった。
浅井「やっちゃいました。(誘導に)並んだらダメでしたね」
阿部良二監督「日本の競輪とはルールが違うからな。そういうところまで徹底してなくちゃダメなんだ。でもなァ、惰性がついたら止まらないんだから、しょうがないんだよ」
自滅した浅井はがっくりと肩を落として帰り支度。「勉強になりました」と頭を下げて会場を後にした。 |
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男子ケイリン1回戦 浅井康太選手 |
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男子ケイリン1回戦 渡邉一成選手 |
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男子ケイリン2回戦
浅井康太選手 |
男子ケイリン7-12位決定戦
浅井康太選手 |
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男子ケイリン敗者復活戦に出場する
浅井康太選手 |
男子ケイリン敗者復活戦
渡邉一成選手 |
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【男子ケイリン決勝】 |
土つかずで勝ち上がったクリス・ホイ(イギリス)が発走台につくや、スタンドは歓声の嵐。スタートして間もなく第1周回2コーナーの接触トラブルで再発走となり、仕切り直したホイは前攻めのマキシミリアン・レフィ(ドイツ)に続く2番手で周回を重ねた。最後尾のフランソワ・ペルビス(フランス)が上昇すると、ホイはマキシミリアンと車間を開けて牽制、フランソワが単騎で強引にたたいて出たところで3番手から出て行く。2周を残しての仕掛けとなり、踏み上げて3コーナーで出切ると独壇場に。真後ろのアジズルハスニ・アワン(マレーシア)をつきっきりにして押し切る圧勝劇を演じてみせた。どよめくスタンドに、王者は拳を突き上げて応える。ホイにとって当地は因縁の地でもあった。昨年2月の当地ワールドカップ第5戦(ケイリン)で落車し、ケガで1年間を棒に振っている。勇ましく復活を遂げたヒーローは、母国開催の五輪(2012年ロンドン)照準を合わせていく。
「北京五輪(トリプルクラウン達成)の後は期待に応えられるように努力してきた。ここで勝てたことには大きな意味があるし、本当にうれしい。今後は2012年に向けて頑張っていきたい」 |
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男子ケイリン決勝ゴール |
男子ケイリン表彰式 |
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【男子スクラッチ】 |
27歳の盛一大(愛三工業)が大きな仕事をやってのけた。見事な逃げを決めて3位入賞。世界選手権で日本勢の表彰台は1993年の吉岡稔真以来、17年ぶりで、中長距離種目でのメダル獲得は五輪、世界選手権を通じて日本勢初の快挙だ。
250メートルのトラックを60周するレースの序盤はあまり先頭を引っ張らずに集団の中で力を温存した。「勝つためには単独で逃げるしかない。一か八かにかけていた」。抜け出す機会をうかがいつつ周回を重ねていた盛に、レース中盤でチャンスが訪れた。北京五輪の団体追い抜き銀メダリストでこの種目を2005年世界選手権で制した地元デンマークのアレックス・ラスムセンとともにスパートをかけ、2人で逃げた。けん制し合う主集団を尻目にどんどん差を広げ、残り20周でついに主集団に1周の差をつけた。最後は「いっぱいいっぱい」になって、その後に単独走で主集団をラップしたコロンビアのフアンエステバン・アランゴカルバハルに抜かれて3位となったが、表彰台の一角をしっかりと確保。「最後は力負けだったが、メダルを取れたので良かった」と喜んだ。
いつも冷静さを失わないクールな男は「運良く(逃げが)決まった」「展開がはまればと思っていたが、こんなにうまくはまるとは…」「自分の力というよりも流れに乗っただけ」などと謙虚に振り返る。それでも幸運をすばらしい結果につなげられたのは地力があるからこそ。阿部監督は「実力があったからメダルを取れた」とたたえた。日大時代から盛のことを知る斑目総監督は「器用な選手ではないが、うまくできるようになるまで頑張る努力家。効率よくペダルを踏むテクニック、頭を使った駆け引きを苦労してつかんできたから、土壇場でもぶれない。それが彼の強み」と目を細めた。
レース中は日本のトラック中距離種目で長く日本をけん引してきた39歳の飯島誠(ブリヂストンアンカー)がコースそばに控え、さかんに指示を送って盛をサポートした。北京五輪のポイントレースで8位入賞を果たしたベテランは「今までの日本は短距離主体で、中長距離のメダルは遠かった。彼が大きな扉を開いてくれた」と大喜び。表彰式後は飯島とケイリンの渡邉一成が細身の盛を抱え上げて祝福した。 |
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男子スクラッチ決勝 |
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男子スクラッチ表彰式 |
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男子スクラッチでメダルを掲げる盛選手 |
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【男子個人追抜】 |
2連覇を狙った19歳のテーラー・フィーニー(米国)が圧倒的な力を見せつけた。予選は4分16秒102で、ジェシー・サージェント(ニュージーランド)の後塵を拝したが、決勝は21歳で北京五輪の団体追い抜き銅メダリスト、サージェントを寄せ付けなかった。序盤からリードを奪い、じわじわと差を広げた。4分16秒600でフィニッシュし「世界記録を狙っていたので、不満足」と余裕たっぷりに話した。
父のデービス・フィーニーはツール・ド・フランスでステージ優勝の経験があり、1984年ロサンゼルス五輪の銅メダリスト。母のコニー・カーペンター・フィーニーはスピードスケートとロード、トラックで活躍し、ロサンゼルス五輪でロードの金メダルを持つ。ロード種目でも活躍するサラブレッドは「ロードに取り組んでいることがトラックにも非常に役に立っている。ロードでもトラックでもタイトルを取りたい」と意気盛んだった。 |
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男子個人追い抜き
テーラー・フィーニー選手 |
男子個人追い抜きで優勝した
テーラー・フィーニー選手 |
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【女子団体追抜】 |
ロンドン五輪から実施種目になる女子団体追抜は、前回大会3位のオーストラリアが3連覇を狙った英国を決勝で破った。予選をトップ通過したオーストラリアは、決勝で英国を序盤からリードして優位に試合を進め、そのまま押し切った。
3位決定戦では前回の個人追抜を制したアリソン・シャンクスを擁するニュージーランドが3分21秒552の世界新記録を樹立した。 |
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女子団体追い抜き |
女子団体追い抜き表彰式 |
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【女子チームスプリント】 |
こちらも2012年から五輪に採用される注目種目。前日の500メートルTT優勝のアナ・ミアーズ率いるオーストラリアが予選と決勝で世界記録をたたき出して2連覇した。
予選は昨年の世界選手権で自分たちがマークした世界記録を0秒112上回る33秒037。決勝ではさらに0秒114更新する32秒923を樹立し、中国を下した。
オーストラリアは2003年から2005年まで日本代表監督を務めたゲーリー・ウエスト氏がトラックの短距離種目を指導する。ミアーズは「ゲーリー(ウエスト)と一緒に頑張っていることが好結果につながっている」と満足そうだった。 |
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女子チームスプリント |
女子チームスプリント表彰式 |
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~コペンハーゲンから~ |
みなさん、こんにちは!
ついにやりましたっー!!!!
日本チーム待望のメダルです!
男子スクラッチで盛一大選手が、3位銅メダルを獲得しました!
いや~ シビれました!!
世界選手権でのメダル獲得は、17年ぶりの快挙!
しかも中長距離種目では、初のメダル獲得なんです!!
盛選手はスクラッチ種目で、
世界選手権'08で6位、'09で5位と着実に成績をあげ、
そして、今回の銅メダル獲得。
前々日のインタビューでも、
「今回は優勝を狙います」と言っていた通り、
たしかな自信と感触をつかんで
レースに臨んでいったんでしょうね。
聞いた話だと、日本の朝のニュースでも
取り上げられてるみたいですね。 |
ところで、スクラッチってどんな競技?
と、思った方!説明いたしましょう。
競技方法は非常に明快です。
15kmを走って、誰が1番早くゴールするか。
これだけです!
(※距離は男女や大会で変わります)
ところがこの競技、じつに奥が深いんです。
レポートを読んでいただくとわかる通り、
選手は、集団の中の自分の位置を把握しながら、
常に、先頭やまわりの選手の動きに気を配り走っています。
誰が集団を飛びだすのか?
それとも、自分が引き出し役になり
新たな流れを作るのか?
レースは30周すぎ、ラスムセン(デンマーク)と盛が勝負にでた。
集団の中に一瞬隙が生じた。
その瞬間、2人が勢い良く飛び出していく。
本当にあっという間だった。
2人はお互いの位置を確認するかのように、
そして、何度も先頭を交替してレースを進めていく。
一向に追いつく気配を見せない後方集団。
その差は、じわりじわり開いていく。
ラスムセンと盛との、まさに二人旅。
観客席からは、耳をつんざくほどの大歓声と
鳴りやまない拍手。
気づけば、われを忘れ無我夢中で応援してました。
鳥肌が立ち、足が震えていました。
最終的に、3位でゴールを果たした盛選手。
ゴール後も、現場にいた日本人のみならず、
外国の方々からも大きな拍手と、
祝福の歓声をうけていました!
本当におめでとうございます! |
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緊張感が漂う直前控えスペース |
短期登録の選手が勢ぞろいしたレース |
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そして、今日のもうひとつの注目種目が、
男子ケイリン!
日本チームからは、浅井康太・渡邉一成選手が
出場しました。
結果はレポートのとおり、
渡邉選手は敗者復活戦3位で敗退。
浅井康太選手は、敗者復活で2回戦に進むも、
決勝進出ならず、7-12位決定戦においては
失格という結果に終わりました。 |
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出走直前の浅井選手 |
みなさんご存知の通りケイリンは、
世界においても「KEIRIN」と呼ばれ、
とても愛されている自転車競技です。
オリンピックにおいては、
2000年シドニー五輪から正式種目として採用され、
今や、スプリントなどと肩を並べるほどの
人気種目となりました。
まさに「日本が生んだ世界のスポーツKEIRIN」
いいフレーズですね。もう1回言いましょうか?
そのKEIRINの迫力を、実は日本でも間近で
体感することができます。
それが競輪です。
ほぼ毎日、日本のどこかで開催されている競輪。
今日もどこかで、ジャンが鳴っているかもしれません。
多少のルールの違いはありますが、
本家、競輪の魅力をぜひ感じてみてください!
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