WEB月刊競輪世界選レポート(4日目)
 
第5報 【3月27日】  

 2010年世界トラック選手権自転車競技大会4日目は、現地時間の27日、デンマーク・コペンハーゲン近郊のバレラップスーパーアリーナで男女4種目が行われた。男子スプリントには渡邉一成(26=福島)、新田祐大(24=福島)、浅井康太(25=三重)が出場。予選の200メートルタイムトライアルでは、渡邉は27位、新田が29位、浅井は39位に終わり、そろって敗退した。女子スプリントではビクトリア・ペンドルトン(イギリス)が4連覇を達成、同種目5度目の優勝となった。男子マディソンはオーストラリアが、女子オムニアムではタラ・ウィッテン(カナダ)が優勝を飾った。
  【男子スプリント・日本勢】

 200メートルタイムトライアルで争われる予選には46人が出場した(上位24人までが1回戦に進出)。日本勢のトップバッターは渡邉で9番目に出走し、10秒362に終わった。引き揚げてきた渡邉はさばさばとした表情で「大して評価もされないレベルで平均的なタイム。今の状態では、こんなもんでしょう。1カ月かけて体を作って臨むのと、(競輪)競走の合間に2週間で体を作って走るのでは違ってくるんで」と素直に結果を受け入れる。14番目に出走した新田は前日(1キロメートルTT)の疲労もあったか、10秒429と平凡なタイム。「いや、思った以上に疲れが抜けていたんで。もうちょっとタイムを出したかったですね」と悔しがる。10秒611に終わった浅井は苦笑い。「これでもベストタイムなんですよ。なにしろ初めてですもん。(走路上部への)上がり方もわかんないし、やったことがないから普段の競走でアップする時みたいな感じで走りました。もっと練習しないとダメでしょう。でも楽しかったな」と話していた。
 浅井と新田は早々と敗退が確定。渡邉は35番目のダミアン・ジェリンスキ(ポーランド)が走り終えた時点では14位=暫定=だったが、すでに阿部良二監督はあきらめていた。「ほぅ。残りは11人か。(出走表を見て)この中で落としてくるやつは…うん、いないな。」ときっぱり言い切る。残るはクリス・ホイ(イギリス)をはじめ、マシュー・クランプトン(イギリス)、シェーン・パーキンス(オーストラリア)など強豪がめじろ押し。まもなくして渡邉も予選敗退となった。日本勢3人はこれですべての競技を終え、それぞれが誓いをたてて会場を後にした。

渡邉一成
「(調整する)時間を十分に与えてもらっていないのに『結果を出せ』と言われても無理ですから。こういうところの見直しが必要だと思います。自分にも足りないものがある。今回もいっぱい勉強しました。パワーアップも課題ですし、もっとスピードもつけないといけない。やることは見えてますから、あとは時間がほしい。タイム競技は運じゃ勝てないんで。次のオリンピック(2012年ロンドン)を目指して来年度は勝負をかけます」

新田祐大
「来年度からはナショナルチームの人数も増えるだろうし、まずはそこで負けないように。さらに海外に行っても、いいレースができるように。まずは、どうしたら1キロメートルTTが速くなるか…それを頭に入れて練習しなきゃ。うまくいけば競輪にもつながるはずですし。そういえば去年もこんなことを言ってたな(苦笑)。『思ってるだけ』『言ってるだけ』にならないように、さっそく計画を立てます」

浅井康太
「世界のパワーを見せつけられて刺激を受けました。また挑戦したいな…と思わされましたね。今回は『ケイリン一本』と思い込んでいたんで、その他の競技には準備もできない状態で臨みましたからね、チームスプリントやスプリントには練習を重ねてから改めて挑戦したいです」
男子スプリント予選 渡邉一成選手  
男子スプリント予選
渡邉一成選手
男子スプリント予選 浅井康太選手 男子スプリント予選 新田祐大選手
男子スプリント予選
浅井康太選手
男子スプリント予選
新田祐大選手
 
  【男子スプリント1/4決勝】

 クリス・ホイ(イギリス)はグレゴリー・ボージュ(フランス)と対戦した。1回戦でホイが鮮やかな差し切りを披露すると、2回戦ではボージュがホイを差してイーブンに。競技中には、牽制し合った2人がバンク上部で数秒間にわたって静止する場面もあり、スタンドが沸いた。3回戦はホイがボージュを突っ張って踏み合いなり、併走状態でラスト1周をまわるデッドヒート。外側のボージュがわずかにホイを抜いて勝ち切った。マシュー・クランプトン(イギリス)対ロバート・ホーストマン(ドイツ)も1勝1敗となり、3回戦ではホーストマンが逃げ切り勝ち。シェーン・パーキンス(オーストラリア)はフランソワ・ペルベス(フランス)を2-0で下し、ケバン・シロ(フランス)はジェーソン・ケニー(イギリス)に連勝してベスト4進出を決めた。

 
  【男子マディソン】

 前回大会は2位に終わったオーストラリアの若いコンビが金メダルを勝ち取った。22歳のキャメロン・マイアーは今大会のポイントレース、団体追い抜きに続いて3個目の金メダルとなった。「信じられない。こんなことは夢にも見ていなかった」。ゴールすると3本の指を突き上げて誇った。
 200周のレースは序盤にフランスが果敢にアタックし、1周のリードを奪って優位に立った。続いてベルギーも主集団をラップした。だがオーストラリアのコンビは慌てなかった。「前回はあまりポイントを取ることを考えていなかった。今回は中盤までにたくさん点を稼ごうと思っていた」とマイアー。作戦通りに120周終了までに15点を獲得し、終盤のスパートでフランス、ベルギーと同じ周回数に持ち込むと、その後は2連覇を狙ったデンマークなどのアタックを封じて勝利をもぎ取った。
 マイアーと組んだ20歳のリー・ハワードは前回のオムニウム世界王者。オーストラリアが制した団体追抜は予選で4人のメンバーに入りながら、決勝はマイアーと交代した。「あの時は複雑な気持ちだった。でも今日は仲がいいキャメロンと一緒に金メダルが取れたので、本当に良かった」と笑った。

男子マディソン オーストラリアチーム 男子マディソン メダルを手にするオーストラリアチーム
男子マディソン
オーストラリアチーム
男子マディソン
メダルを手にするオーストラリアチーム
 
 
  【女子スプリント】

 決勝は女王ビクトリア・ペンドルトン(イギリス)と今季のワールドカップ(W杯)でスプリント総合を制した北京五輪銅メダリスト、郭爽(中国)の顔合わせ。北京五輪を制した第一人者のペンドルトンが2連勝し、世界選手権4連覇を達成した。
 1回目は外からまくってわずかに先着し、2回目は先行して最後の直線に入って、相手を抑えきった。ペンドルトンは「とても苦しかった。中国の選手が確実に強くなってきているのが分かっていたから」と両手を突き上げて喜びを表した。破れた郭爽は「自分にはもっと経験が必要。ペンドルトンはメンタルも体も両方強い」と脱帽した。
 3位決定戦は、前回3位のシモナ・クルペクカイテ(リトアニア)が北京五輪2位のアナ・ミアーズ(オーストラリア)にストレート勝ちした。

女子スプリント ビクトリア・ペンデルトン-郭爽  
女子スプリント
ビクトリア・ペンデルトン-郭爽
女子スプリント 女子スプリント 表彰式
女子スプリント
女子スプリント
表彰式
 
 
  【女子オムニアム】

 ロンドン五輪から新採用される自転車の混成競技。今大会は(1)フライングスタートの200メートルタイムトライアル(2)5000メートルスクラッチ(3)2000メートル個人追い抜き(4)10000メートルポイントレース(5)500メートルタイムトライアル-の5種目を1日で行い、各種目の順位の数字を足した合計が最も少ない選手が勝者となる。
 前回2位で悔しさを味わったタラ・ウィッテン(カナダ)がスプリント種目で強さを発揮して金メダルをもぎ取った。最初の200メートルタイムトライアルは2位で、最後の1000メートルタイムトライアルも3位。スタミナが問われるスクラッチを9位、ポイントレースを6位でしのぐなど、隙がなかった。「今回は200メートルと500メートルの練習に力を割いてきた。技術が大切な500メートルは思ったよりも良くできた」と喜びをかみ締めた。

女子オムニアム 表彰式
女子オムニアム
表彰式
 
~コペンハーゲンから~

みなさん、こんにちは!

今日は開催4日目。
コペンハーゲンは、朝からあいにくの雨。

こんな天気にもかかわらず、
会場には、たくさんのお客さんがつめかけました。

さて、今日の注目種目は、男子スプリント!

レポートをご覧の通り、
日本チームで出場した浅井・新田・渡邉選手は、
惜しくも予選敗退という結果に終わりました。

また明日の準決勝には、
4月に来日予定のシェーン・パーキンス選手が登場します!

彼の活躍に期待したいですね!

ところで、スプリントとは一体どんな競技?
と思われた方も多いと思います。

ルールはとても明快!

二人でトラックを走り、どちらが先にゴールするか?

これだけです!

ただこのスプリント、
かけ引きが、ものすごく重要になるんです。

スタートから思いっきりダッシュして
ゴールまで突っ走れば、
かけ引きなんて必要ないでしょ?

そう思われるでしょう。

しかし、それだけで勝つことは難しいんです。

なぜか?

それは、風圧があるからです。

みなさんも自転車をこいでいて、
強い向かい風が吹いてきた時、
前に進めなかったという経験があるでしょう?

そんなイメージです。

前を走り続けると、全身に強烈な向かい風を
浴びることになり、かなりの体力を消耗します。

ところが一転、誰かの後ろにくっついて走ると、
ビックリするほど楽に走れるのです。

自分が前に出るのか?
それとも、後ろで相手の動きを見るのか?

ベストな位置を確保するため、
足を止めてしまうこともあります。

かけ引きが必要とは、そういうことなんです。

レースは進み、
残り1周あたりから2人は力の限りペダルを踏み、
ゴールを目指します。

このかけ引きは、とてもおもしろいです。
かなりエキサイティングしますよ!

さて、短期登録選手として4月に来日する
ロス・エドガー選手から、
日本の方へメッセージをもらいました!

(ロスエドガーより)
Hello!日本のみなさん!
ロスエドガーです!
おひさしぶりです。

日本の競輪にでるのは、今度で4回目ですが、
とても楽しみにしています!

競輪場では、どんどん声援を送ってください!
そして、みなさんにお会いできることを
とても楽しみにしています!

それでは、4月に会いましょう!!

グッバイ!
ロス
ロス

おっとりした表情で、いつも穏やかなエドガー選手。

インタビューなどにもしっかりと答えてくれる、
本当に気持ちのいい選手です。

男の僕が言うのもなんですが、
とてもかわいらしい表情で、
いつもニコニコしています。

イギリス自転車界のハニカミ王子と
いったところでしょうか?

しかし、レースになると一変、
その表情とは似つかわないくらい、
積極的な走りを見せてくれます!

そして、ご存知のとおり、
彼は北京オリンピックのケイリンで
銀メダルをとっているんですよ!

さすがです!

穏やかな表情の裏には、
みなぎる闘志がメラメラ燃えているんでしょうね!

昨日もお伝えしましたが、
世界選手権で活躍中の外国人選手が、
4月より日本の競輪を走ります!

ぜひ、みなさんも一度、競輪場まで足を運んで
世界の走りをご覧いただきたいと思います!

さて、今日は世界選手権にかかわる人たちに
カメラを向けてみましょう!


今大会を支えるスタッフ(ボランティアを含む)は、
合計150名。たくさんの人が働いていますね。

プレスは、世界各国からなんと
200名以上集まっているそうです。

そして日本からは、
テレビクルー、フォトグラファーなど
たくさんの方が会場に来ています。

日本のテレビクルーさんです
日本のテレビクルーさんです

それでは、場内を見てまわりましょう!

まずは、大会の運営スタッフ。

大会全体の進行をコントロールしています。
いわば中枢ですね!

とても忙しそうな様子です
とても忙しそうな様子です

その先には、選手達がアップや休憩を取るピットがあります。

ピットを見渡すと、選手のほかにもたくさんの
スタッフがいるのがわかります。

監督・コーチ、メディカルスタッフ、通訳、
総務、プレスアタッシェ(広報)などなど。

そして、選手の自転車の調整や修理を行なう
「メカニック」と呼ばれるスタッフも、
チームにはかかせない存在です。

いろんな人のサポートにより、
選手はレースに臨むことができるんですね。

フランスチームのメカニック
フランスチームのメカニック

会場には、万が一の場合に救護を行なう
「メディカルチーム」が待機しています。

レースの合間、つかの間の休憩です。

医師・看護師が常時待機しています
医師・看護師が常時待機しています

そして、スポーツ中継には欠かせないTVスタッフも、
会場にはたくさん来ています。

地元デンマークのテレビ中継
地元デンマークのテレビ中継
イギリスの中継車 中継車の中に案内してくれました
イギリスの中継車 中継車の中に案内してくれました

このカメラマンは、セグウェイらしきものにまたがり、
選手を上手に追っかけていました。


さあ、場内ではケイリンが始まったようです。

ケイリンは、日本の競輪と同じく、
ペーサーと呼ばれる誘導員が前を走り、
選手達を引っ張っていきます。

ちなみに、ペーサーの自転車はデルニと呼ばれ、
エンジンがついています。

ガニ股気味なのが少し気になりますが、
エンジン付きなので、かなりのスピードがでます。

ケイリンのペーサー(誘導)
ケイリンのペーサー(誘導)

さあ、ペーサーがいなくなりレースも終盤へ!
残り1週の鐘がなりました!

残り1周を知らせる鐘
残り1周を知らせる鐘

そしてゴール!

いよいよ表彰式です。

表彰式をサポートするのは、
地元デンマークの女子大学生たちです。

優勝者に授与されるジャージ
「マイヨ・アルカンシエル」を持っていますね。


そして下の写真は、女子団体追抜で優勝した
オーストラリアチームです。

彼女たちが着ているのが
「マイヨ・アルカンシエル」

優勝者のみに与えられる、栄光の証!

彼女たちは、これから1年間これを着用し、
レースに出場します!

団体追抜優勝オーストラリア
団体追抜優勝オーストラリア

そして、同じく2位にイギリスチーム、
3位にはニュージーランドチームが入賞しました!

カメラを向けると、みんなうれしそうな
表情でにこにこ笑ってくれました!

メダル獲得おめでとうございます!

団体追抜2位イギリス 3位のニュージーランド
団体追抜2位イギリス 3位のニュージーランド

つぎは、男子選手にカメラを向けてみましょう。

カメラ片手に、ピットをうろうろしていると
「ハイ!」と声をかけられました。

振り返ると、ギリシャチームの選手。
言葉がうまく通じなかったのですが、

「おれたちは最強のサイクリストだ」

みたいなことを言っていたので、
とりあえずカメラを向けると、ニッコリ笑ってくれました。

声をかけてきたギリシャチームのふたり
声をかけてきたギリシャチームのふたり

なかなかのイケメン選手でしたか?

イケメンで思いだしたのですが、
じつは日本の競輪選手にもいっぱいいるんです!
イケメン選手が!

先日、女性向け雑誌で、
「'09KEIRINイケメングランプリ」という
特集があり、読者による投票が行なわれました。

見事1位に輝いたのは石丸寛之選手!
なかなかカッコいいですよ。

男の僕から見ても、いいオトコです!
とても謙虚な方ですしね!

ぜひ、みなさまもイケメン選手に会いに
競輪場にお越しください!


さて、いよいよ明日は大会最終日!
注目種目は、男子オムニアム!!

先日、銅メダルを獲得した盛一大選手が出場します!!

盛選手の活躍に期待しましょう!!

マレーシアのテレビクルー。アワンとヌグの活躍に大興奮していました ロシアチームの選手
マレーシアのテレビクルー。
アワンとヌグの活躍に大興奮していました
ロシアチームの選手
 
 
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