WEB月刊競輪世界選レポート(3日目)
 
 
第4報【4月6日】
 
【男子スプリント】
 日本からは中川誠一郎(32=熊本)渡邉一成(28=福島)新田祐大(26=福島)雨谷一樹(22=栃木)の4人が出場。新田、雨谷の2人は高速バンクに対応し、ともに自己ベストを記録したが、予選通過となる上位24人には入れなかった。10秒196を記録した雨谷は通常より重いギアを用いて臨み「コース取りを工夫すれば、まだまだタイムは削れると思う」と前を向いた。新田は10秒214。「勝ち上がれなかったのは残念。ただ、今出せるベストの力は出せたと思う。まだケイリンがあるので頑張りたい」と淡々とした表情で話した。


男子スプリント予選(新田祐大選手)

男子スプリント予選(雨谷一樹選手)
 
予選で10秒159(予選20位)を出し1回戦に登場した渡邉はグレッツアー(オーストラリア)に先行され、勝負を仕掛けるタイミングを逸した。「体が上手く動かなかった。コンディションが100%じゃなかったのかな。相手が絶対に前に出さないという雰囲気があった。僕みたいな選手でも研究されている」と悔しそうに振り返った。


男子スプリント予選(渡邉一成選手)

男子スプリント1/16決勝(渡邉一成選手)
 
一方、中川は1回戦でチャン・ミャオ(中国)に得意の先行逃げ切りで勝利したが、2回戦はフェルステマン(ドイツ)と顔を合わせたが、ポジションを確保できずに敗退。敗者復活戦では残り1周のスプリント勝負で、バンク上方から接近してきたグレッツアー(オーストラリア)に押し出されるように内側へ弾かれ、バランスを崩して転倒した。それでも予選では9秒台が目前に迫る10秒003(予選9位)をマークし、渡邉の持つ従来の日本記録10秒174を大幅に更新。今季はワールドカップ(W杯)で転戦して力をつけ「1年間通してやってきたことが出たのだと思う。いいときも悪いときもチャンスをくれたチームに感謝したい。最後が落車で残念だけど、ここまで成長できるとは思っていなかった」とこの1年を振り返った。


男子スプリント予選(中川誠一郎選手)

男子スプリント1/16決勝(中川誠一郎選手)

男子スプリント1/8決勝(中川誠一郎選手)

男子スプリント1/8決勝(中川誠一郎選手)
敗者復活
 
【男子オムニアム】
 第4種目:個人追抜
 オムニアム2日目の始めの種目が個人追抜。
 西谷泰治は2組目に出走。4分37秒450で17位。現在の総合ランキング18位。
この後の種目でランキングアップを狙いたいところだ。
 個人追抜で1位になったのは4分22秒330を出したハンセン(デンマーク)。ランキング4位に浮上した。
 現在のトップは、トータル16ポイントのオシェア(オーストラリア)。しかし、2位にいるベル(カナダ)も18ポイント、3位にいるクランシー(イギリス)が21ポイントと、この辺りはまだまだ逆転が可能だ。

男子オムニアム4種目目(個人追抜)西谷選手
 
【女子オムニアム】
 第1種目:250mタイムトライアル
 上位進出で五輪出場枠獲得が望める種目だが、加瀬加奈子(31=新潟県連盟)が苦手種目である1種目目の250mタイムトライアルで苦戦。15秒179と24選手中23位の滑り出しとなり、チームピットに戻ってくるいなや「すみません」とチームスタッフに平謝りを繰り返した。

加瀬加奈子選手
 
【男子オムニアム】
  第5種目:スクラッチ
15km・60周の勝負。残り31周でハンセン(デンマーク)、ベル(カナダ)、テルエル・ロヴィラ(スペイン)、オシェア(オーストラリア)、アーチボルド(ニュージーランド)の5名がラップに成功した。その後はアタックしては潰れの膠着状態に。ゴールは、ラップした5人の内の中でハンセンが最高位で入線し、この種目の1位を獲得。ハンセンが個人追抜に続きスクラッチでも1位となった。
 西谷泰治は積極的なレースをしたが、15位でフィニッシュ。

男子オムニアム5種目目(スクラッチ)西谷選手

男子オムニアム表彰式
最終種目:1kmタイム・トライアル
  全部で12組23人で争われた最後の1kmタイム・トライアル。11組目のクランシー(イギリス)が1分1秒948と圧倒的なタイムを出し、1位を獲得。しかし、トータルポイントで上位の2人、ベルとオシェアに敵わず、実質、最後の12組目が金メダルをかけた争いになった。
  結果、オシェアが1分3秒042を出しこの種目2位に、ベルは1分4秒216で8位。オシェアが団体追抜の銀メダルに続きこの大会2個目のメダルを金色に変えて手中にした。
オシェアは
「優勝出来た事は驚いています。1kmTTが終わった後に自分の優勝を確信して本当に驚き、また嬉しいです。オリンピックは、どうなるかわかりませんが団体追抜とオムニアムで金メダルを目指したいです」とコメント。
  西谷は2組目を走り、1分6秒749で20位。結果、総合で19位に終わった。
西谷
「オリンピックにこだわって、この種目を戦えたのは大きな経験になったと思います。結果にこだわりたかったので、総合で19位という結果は残念に思います。まだまだ改善するべきところはありますし、また4年後もありますし。また、若手にも、今回オリンピックを目指した経緯とか、どういう戦いをしてきたかを伝えて、もっと(中長距離系で)オリンピックに出場して当たり前になるような4年後にしたいので、この経験をムダにしないようにしていきたいと思います」


男子オムニアム最終種目(1kmTT)西谷選手
【女子オムニアム】
 第2種目:ポイントレース
 第1種目の250mタイムトライアルで出遅れた加瀬だが、ポイントレースではレース中盤で先行した3選手に上手くついていき、集団に周回差をつけて20ポイントを獲得。この種目4位につけ、16位に浮上した。「最後まで使用するギアを迷ったけど、思ったより軽めのギアを使い、うまく逃げることができた」と笑顔で振り返った。


女子オムニアム2種目目(ポイントレース)加瀬選手
第3種目:エリミネーション
 ポイントレースに続いて得点を稼ぎたいところで加瀬が痛恨のミスを犯した。集団につく形で内側の走路を走り、コーチから「外に出せ」とアドバイスを受けたが、場所取りに苦戦し、2番目に敗退となった。レース後は呆然とした様子で「センスがない。オリンピックがどうというどころじゃない。エリミネーションはどうしていいか分からない」と頭を抱えた。初日の3種目を終了し、19位。五輪出場枠獲得には最低でも10位以内に入る必要があるが、非常に厳しい前半戦となった。
 初日は全種目を5位以内でまとめた地元オーストラリアのエドモンドソンが首位に立った。


女子オムニアム3種目目(エリミネイション)

女子オムニアム3種目目(エリミネイション)
加瀬選手

女子オムニアム4種目目(フライングラップ)加瀬加奈子選手
 
【女子スクラッチ】
 10km・40周の勝負は、クードーデル(オランダ)ら何人もの選手がアタックしては潰れ、アタックしては潰れの動きが激しいレースになった。残り4周でマチャコヴァ(チェコ)がアタックをかけると、集団のペースが一気に上がり、逃げていたマチャコヴァを飲み込んだスピードでそのままゴールスプリントになったが、集団の後方から、最後に大外を伸びてきたパウロウスカ(ポーランド)が前団を差し切り優勝となった。
 田畑真紀は、序盤から終盤まで好位置にいたが、残り10周過ぎの判断ミスが響いて9位。
「残り10周でもっと前々にいかなければいけなかったですね。でも、いつもよりはいい位置でゴールできました。スピードにもついていけたし、いい感じではあったんですけど、もっと着をあげるために残り10周で前々をキープして、スピードが上がったところで前にいる。そうすれば、もう少し順位をあげられたと思うんですよね。でも、スピードについていけるし、力の差も感じないので、あとは勝負の仕方などでもっといけるかもって思います。また、色々やってみたいですね」


女子スクラッチ田畑選手

女子スクラッチ表彰式
【女子スプリント決勝】
 昨年、スプリントの世界選手権5連覇を阻まれた北京五輪女王のペンドルトン(イギリス)が王座を奪回した。長年のライバル、メアーズ(オーストラリア)とは準決勝で対戦。1本目で相手と接触して転倒したが、2本目をメアーズのスプリント時の走路違反で奪うと、3本目で競り勝って逆転勝利を手にした。
 決勝は1本目を取った後の2本目をクルペシカイテ(リトアニア)が走路違反を犯し、2年ぶりの金メダル獲得が決定。アナウンスを耳にした瞬間、通路にしゃがみこみ「今までの勝利の中で最も感情的になった。もう一度ワールドチャンピオンになると思ってやった成果が出た」と喜びを表現した。
 前日の予選では世界新記録を打ち立てたメアーズは3位決定戦に勝利して銅メダルを獲得。母国での世界選手権で2連覇はならなかったが、激闘を終えて「このメダルを誇りに思う」と胸を張った。


女子スプリント決勝

女子スプリント表彰式
 
>>back >>next
 
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved.