2013-14ワールド・カップ第2戦アグアスカリエンテス大会

配信日:12月10日
12月6日(金)開催2日目 天候:晴れ
 ずっと2日目に男子ケイリン、女子スプリント、最終日に男子スプリント、女子ケイリンというプログラムで安定していたワールド・カップだが、今回は2日目に男子スプリント、女子ケイリンという形となった。まずは男子の今日のメインとなるスプリントの予選が午前中から行なわれた。前回河端は9秒台を出しながらの予選落ち。タイムが出るここでは仕方がないが、41人のエントリー数に更にメンバーが揃った今回、更に厳しい状況となっているのは間違いない。その河端と中川がこのスプリントに出場。中川は前回のここアグアスカリエンテスでの予選で200mフライング・タイム・トライアルの日本新を記録しているが、今回は更にそのタイムを更新するまたとないチャンスとなる。41人中、河端は17番目、中川は29番目のスタートとなる。何故か14番目のスタートだった日本にも短期登録制度による競輪出走でお馴染みのペルビス(フランス)が、同じフランスのシローが2009年に333mトラックであるモスクワで出した9秒572の世界記録を大きく上回る9秒347を叩き出し、序盤で早くも会場がざわめく。17番手の河端は9秒865と昨年よりタイムを伸ばしてきたが、この時点で13位と早くも予選通過は厳しい状況。29番手の中川は9秒714と自身の日本記録9秒702に及ばず、こちらも予選通過なるか、というところ。結局予選通過の足切りタイムは9秒692で2人とも残念ながら予選通過は出来なかった。予選トップ・タイムも結局そのままペルビスの9秒347がトップ・タイムでオーストラリアのグレッツアーが9秒459で続いた。夜のセッションで行なわれた決勝は世界新のペルビスを1/4決勝で破ったオリンピック金メダリストのケニー(イギリス)と予選2位のグレッツアーの対戦となり、若いグレッツアーがケニーを2-0で下し強さと調子の良さを見せて制した。
スプリント予選の河端
スプリント予選の河端
スプリント 中川も予選落ち
スプリント 中川も予選落ち
グレッツアーが強さを見せた
グレッツアーが強さを見せた

 女子のケイリンには今シーズンから1チーム1人しかエントリーできなくなったこともあり、前田が出場。17人がエントリーの今回は、3ヒートに分かれての対戦、1回戦は上位2選手が2回戦へ、その他は2ヒートで行なわれる3着まで勝ち上がりの敗者復活戦へ。前田は5人で争う第1ヒートに出場となり、周回を2番手で重ねる。残り1周半で後方からリー(香港)が上がり先行体制を取るところ、それに続くムスタパ(マレーシア・YSD)もリーとは離れるが、それを追う前田は更にムスタパから離れてしまう。結局そのまま、あっさりとリーが1着、ムスタパ2着、流れ込んでの前田は3着で敗者復活戦へとなった。
 5人中3着までが2回戦進出と言うヒート1に入った前田、メンバーも比較的手薄なここはしっかりと切符を掴み取りたい。スタートでしっかりと出てペーサーの後位を取った前田、なんとか前々から3着以内を、という作戦か。しかしそこは他の選手も同様、ペーサー退避を狙ってじわじわと2人が上昇し、前を取ろうとするところ、前を死守しようとした前田はまだ退避場所まですすんでおらず、退避していないペーサーの後輪に差し込んでしまう。号砲が鳴り、レースは中断、退避前のペーサーの後輪に差し込んだとして前田は失格。ここでレースが終わってしまった。
 夜の部で行なわれた決勝戦、ペーサーが退避した後にムスタパが前を取ったところ、残り1周半で9月に来日、ガールズ・ケイリンに参戦したジェームズがこれを交わし、先頭に出て逃げる展開。残り1周となって4番手からようやく動き出したフォーゲル(ドイツ)が外々を捲っていって最後の2センターでジェームズを捕らえてそのままゴール。圧巻の強さを見せ付け、余裕の3連勝でこのレースを制した。フォーゲルの後位に乗ったリーが2着、逃げたジェームズが3着に残った。
ケイリンの前田は2回戦に進みたかった
ケイリンの前田は2回戦に進みたかった
フォーゲルの強さだけが目立った女子ケイリン
フォーゲルの強さだけが目立った
女子ケイリン

 女子のスプリント種目はケイリンの間に500m」タイム・トライアルも組み込まれた。スプリント系種目全種目に出場する前田がここにも出場。ケイリンで失敗してしまった分、ここで何かしたいところ。22人がエントリーしたこの種目、前田は11組中、9組目での出走。6組目に世界記録保持者、オーストラリアのメアーズが登場。当然ここでも新記録の期待がかかる中、メアーズのタイムは33秒を切って32秒836。期待に応えて自らの記録を更新した。9組目、こちらは日本記録更新が期待される前田は、ここで35秒を切る34秒882、2004年のアテネ・オリンピックで大菅小百合が記録した35秒045を9年ぶりに塗り替えた。前田は14位、優勝は勿論メアーズ、2位に33秒062でヴェルテ(ドイツ)が入った。
前田の500TTは日本新
前田の500TTは日本新
そしてメアーズは世界新
そしてメアーズは世界新

負傷しながらも最後まで走りきった橋本
負傷しながらも最後まで走りきった橋本
 昨日の落車により、目の周りに数箇所、切り傷を負い縫合も行なった橋本だったが、2日目、男子オムニアムの最終日も出走、難しい要素もある中ではあるが、まずまずな成績な中、少しでも上を目指して欲しい。まずは4種目目の個人追抜(4km T.T.)。6組目で出場した橋本だったが、落車の影響もあるのか、タイムは4分38秒962と自身の持つ日本記録の30秒441には遠く及ばず、この種目の順位を16位とする。5種目目はゲーム系、スクラッチ。橋本は前半から積極的に飛び出した選手を追ったり、自ら集団から出てみたりと動き、結局3回ほど何人かでの逃げを打つがことごとく吸収されてしまう。残り11周でリャン(香港)が集団から抜け出たところを橋本も追い、2人での逃げ。残り3周でラップを達成。この時点で2位以内がほぼ確定。ゴール前のスプリントでリャンを離してゴールし、この種目1位という結果となった。オムニアムの中でのスクラッチなので、優勝争いに絡んでいなければ、簡単に逃げさせてもらえるという面はあるものの、終始積極的な要素を見せた橋本の走りは評価されて良いだろう。スクラッチで1着だったものの、最後の1kmタイム・トライアルは1分5秒451で16位。最終的には60ポイントで11位で優勝は30ポイントのダヴィソン(オーストラリア)、2位は34ポイントのデ・ブイスト(ベルギー)で初日の上位がそのまま1、2位となった。やはりオムニアムで上位を目指すには3つあるタイム・トライアル系である程度しっかりとしたタイムを出さないと厳しいため、オムニアムを目指すのであればやはりこの辺りが今後の橋本の課題となってくるであろう。

コメント(橋本 スクラッチ終了後):「ありがとうございました。昨日の落車の傷は、そうですね、もう大丈夫と言うしかないですね。スクラッチは距離を走った後に強い人たちとスプリント勝負をしても絶対勝てないんで、ずっと狙っていました。強い選手と逃げたりもしたんですけれど、やっぱりマークされちゃいますよね。ダメかなと思っていたところで香港が行ってくれたんで、これはと思って追いました。まだまだですけれど、とりあえずあと一つ、頑張ります。」

 女子のオムニアムは2日目の今日が初日。この種目も前回マンチェスターと同じ塚越さくらが出場。19名のエントリーでこちらも予選はなし。最初の種目、フライング・ラップ、250mのF.T.T.は4番目の出走で14秒564、トップのハマー(アメリカ)から0秒7以上遅れ、13位でのスタート。2種目目のポイント・レースは80周、20kmのレース。序盤こそ前目に位置し、スプリントに加わろうか、という姿勢を見せていたものの、徐々に追走に苦しみだしてしまう。集団の後方にほぼ位置する形となり、ついには集団から離され、周回遅れとなり20ポイントを失ってしまう。その後も追走に苦しみ後方で集団についていくのが精一杯の様相となり、 最終的には15番手でゴール。ポイントを上げることは出来ず、-20ポイントでこの種目は最下位となってしまった。この日最後のエリミネイションでも集団の後方を回る形となり、残念ながら一番初めに除外となってしまった。ウクライナのナヒルナが失格となり18位となったが、初日の3種目を終えて50ポイント、17位という成績となった。ハマーが8ポイント、ロンドン・オリンピック金メダリストのトロット(イギリス)が11ポイントで続いた。

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