第54回全プロ選手権自転車競技大会レポート

配信日:2007年5月14日
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 5月13日いわき平競輪場において、第54回全プロ選手権自転車競技大会が行われました。
当日のいわき平競輪場は、お天気も良く、バンクの中は自転車競技を観るお客様で一杯でした。最後まで多くの観客の方々に残っていただく中、スプリント、ケイリンの表彰式が行われ、大いに盛り上がっていました。
 こんにちは、KEIRINマガジンの若生です。
 今大会は、サプライズのてんこ盛りでしたね。
 まず、1kmタイムトライアル。1分3秒台が二人も出る(大会新記録)など、相当ハイレベルな戦いになっていました。
 4km団体追い抜きも大会新、チームスプリントも参考記録ながら新記録。さらにスプリント予選200mフライングダッシュタイムトライアルでも大会新記録が続出していました。
 ではレポートです。

 全プロ選手権自転車競技大会には、全国8地区の地区プロ選手権大会を勝ち抜いた選手が出場してきます。また全プロ選手権の前年度チャンピオンには出場資格があります。約180名の選手達が参加し、日頃の練習の成果を披露しました。
 競技は午前10時からスタートし、競技、表彰式が終了したのは19時でした。



各競技のレポート

スプリント
 スプリントの予選200mフライングダッシュタイムトライアルからスタートしました。これはスプリント本選に進む為の予選で、上位16名が進出します。参加選手は26名。一番最初にスタートした選手が、周回誤認で失格するハプニングがありましたが、後半にまず石橋慎太郎選手が10秒46を出し大会を盛り上げました。そこから渡邉一成選手10秒528、松岡健介選手10秒518、さらに10秒4台が続出。北津留翼選手10秒484、金子貴志選手10秒442(今大会トップタイム)と続きオープニングを盛り上げました。
 本選は2周回800mで行われ、先にゴールした者が勝ちとなります。8分の1決勝、4分の1決勝までは一本勝負で行われ、2分の1決勝、決勝は2本先取した者が勝ちとなります。
 2分の1決勝まで勝ち上がったのは、渡邉一成選手、金子貴志選手、北津留翼選手、石橋慎太郎選手でした。2分の1決勝の組み合わせは、渡邉選手と金子選手、北津留選手と石橋選手の組み合わせで行われ、渡邉選手、北津留選手が共に2本ストレート勝ちで決勝進出。3位4位決定戦は金子選手と石橋選手の対戦となりました。
 3位4位決定戦は、金子選手が勝ち、決勝は、渡邉選手が捲って一本先取、しかし、2本目は北津留選手が逃げて勝ち、3回戦に。3回戦は渡邉選手の逃げが決まり、全プロ選手権初優勝に輝きました。

渡邉一成

「地元のお客さんの声援が凄く後押しになりました。決勝一本目は余裕があったんですけど、(北津留選手と)同じような脚質だから力残していたのに二本目は全く敵わなかったので…。これでは昨年と同じだと思ったから三本目は自分で仕掛けていこうと思っていました。これで日本一にならないとオリンピックなんて言えないからアピール出来たと思いますよ。日本のチーム内での戦いも始まっているんですよ」
4km団体追い抜き
 4km団体追い抜きは、一チーム4名で連係して走り、先頭交代をしながら4kmを走る競技で、ゴールは、3人でゴールしても良く、3番目にゴール線を切った選手のタイムで競う競技です。この競技は、チーム京都が優勝候補でしたが、なんとチーム福岡が4分29秒313という大会新記録を出し、京都はそれを上回る事が出来ず、福岡の勝利となりました。出場した選手は、柊元則彦、梶山裕次郎、白水洵、田中孝法の4選手。

白水洵
「素直にうれしいです。落車がなければもっと良かったですけど(ゴール後落車)。4人でタイムを出す練習はしませんでしたが、スタートは練習してきました。走っているときに「25、25」と言われたので、3位までには入れるかなと思っていなかったので、まさか、ビックリです」
柊元則彦
「京都の久米さんに話を聞いたら、自信満々だったので、勝てるなんて思ってもいませんでした。優勝できたうれしいです!」
ケイリン
 予選は5レース45名で争われ、決勝に進出したのは、武田豊樹、海老根恵太、小嶋敬二、手島慶介、山口富生、岡部芳幸、合志正臣、伊藤大志、吉田敏洋で行われ、見事3番手から捲って勝ったのは武田選手でした。

武田豊樹

「競技のケイリンで勝ったのはうれしいですね。今日はメンバーも良かったし、いつもの競輪とは違って、追い込み選手がひっぱったりしたから勝ち上がりがきつかったですよ。今日は勝たないといけなかったので(寛仁親王牌の初日理事長杯の出場権利獲得)、3番手から捲って行きました」
ポイントレース
 20km、参加選手17名で行われました。今回のポイントレースは、5周回毎にポイント周回が設けられ、ポイント周回を1位から4位で通過した選手にポイントが与えられ、その合計ポイントで勝敗が決まる競技です。1位の選手には5点、2位は3点、3位2点、4位1点となります。20kmですので10回ポイント周回がありました。
 勝ったのは、静岡の岡村潤選手。ポイント周回4回目、5回目、7回目、9回目を1位通過。6回目は3位通過で合計22ポイント獲得しました。2位は佐藤朋也、3位田村武士の結果になりました。

岡村潤
「9回目でポイントを取った時に、優勝はいけたと思いました。でも念のため、最後まで踏んだんですけど。藁科での街道練習もすごく感じが良かったので、今回は優勝を狙っていました。青森の全プロからポイントレースを走ってきて段々に成績は良くなって来ていましたし、国体やジュニアは出られなかったけれど、ランキング1位だった時もあったので、自信はありました。」
1kmタイムトライアル
 17選手が参加し、前年覇者矢口啓一郎の連覇の期待がかかったレースでした。
 まず場内にどよめきが起きたのが、2番目に走った中川誠一郎選手のタイム。1分3秒333という素晴らしいタイムでフィニッシュ。さらに大きなどよめきは6番目にスタートした大森慶一選手でした。1分3秒156。鳥肌もののタイムでした。12番目の松田優一選手も1分3秒989をマーク。3秒台が三人もでるハイレベルなレース結果となった1kmタイムトライアルでした。前年覇者矢口選手のタイムは1分4秒689で5位の結果となっています。

大森慶一
「ベストタイムが出ましたね。今まではアマチュアの時に出した1分3秒32が最高でした。今日は風が強かったんですけど、吸い込まれて行くような良い風になったと思います。
 2番目で中川誠一郎さんが1分3秒33を出した時点で抜けるとは思いませんでした。まさかのタイムでびっくりです。」
チームスプリント
 参加チームは8チーム。前年覇者、チーム愛媛(濱田浩司、渡部哲男、岡本大嗣)が再度チャンピオンに輝くか否かに注目が集まったこの種目ですが、これを打ち破ったのが、チーム福島(佐藤慎太郎、伏見俊昭、佐々木雄一)でした。
 チームスプリントは3人一組で走り、バンクのホーム側チームとバック側チームに分かれ対戦する競技です。バンクを3周走りますが、先頭を走る選手が1周毎に抜けていき、最終走者のゴールが対戦する相手チームより先着すれば勝ちとなります。今大会では予選はタイムで順位を決め、決勝に進出する上位2チームを決定し、決勝で対戦しました。
 予選のタイムは愛媛が大会新の1分14秒555をマークし、1位通過。2位福島は1分15秒485、3位チーム栃木(坂本英一、神山雄一郎、松岡慶彦)1分16秒025。
 決勝は、チーム福島が1分14秒763、愛媛が1分15秒256で福島が逆転勝利を飾りました。

伏見俊昭

「全プロ、チームスプリントで初優勝なんですよ。本当に嬉しいです。」
佐藤慎太郎
「いやー本当に良かったです。(二人に)本当にありがとう!」
佐々木雄一
「伏見さんがえらく掛かっていましたね。きつかったですよ。でも伏見さんの時点で勝てると思っていました。」
4km個人追い抜き
 4km個人追い抜きは、今回タイムで着順を決定し優勝者が決まるルールで行われました。本来であれば、予選はタイムで足切りされ、2分の1決勝、決勝はホーム側、バック側で分かれ、相手を抜くか、タイムで勝つかで勝敗が決まる競技です。
 この競技の注目は内田慶選手。前年覇者でもあり大会5連覇が懸かったレースでした。
 決勝で行われ、内田慶選手のタイムに注目が集まりました。
 内田選手を脅かしたのが、倉野隆太郎選手。4番目バック側からスタートし出したタイムが4分40秒200というタイム。これは速いタイムでした。これに奮起をしたのが内田選手。王者の貫禄を見せ4分33秒976という大会新記録でフィニッシュ。5連覇達成、大会新記録も達成しました。

内田慶

「脚が軽かったしリズムよく踏めましたね。チタンのギアを使ったのに横風が凄かったから、いつもの合金と間違えたかと思いましたよ。これで5連覇し、節目を迎えられましたね。」