第55回全プロ選手権自転車競技大会レポート

配信日:2008年5月12日
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 5月11日(日)、奈良競輪場にて、第55回全日本プロ選手権自転車競技大会が行われ、競輪選手達が競技のパフォーマンスを披露しました。
 今回は例年になく、かなり盛り上がった大会となりました。特にスプリント決勝は、北京オリンピック代表候補選手同士の戦いとなり、場内を大いに盛り上げていました。渡邉を声援する観客と北津留を応援する観客の声が入り乱れ、大興奮状態に。
 これは競輪には見られない盛り上がり方で、とても楽しい雰囲気でした。
 競技的には、ケイリンは武田豊樹3連覇、スプリントは渡邉一成が2連覇。4km個人追い抜きは内田慶が6連覇、チームスプリントは四国が同一メンバーで3度目の優勝と、強い選手、強いチームが特徴的でした。



各競技のレポート

ケイリン

 ケイリン決勝は、決勝に進出した山崎芳仁が棄権し、8名で行われた。決勝進出者は、昨年覇者武田豊樹、村上義弘、金成和幸、飯嶋則之、新田康仁、岡部芳幸、幸田光博、加藤慎平。レースは、残り2周で加藤が村上を連れて先行するが、3番手を取った武田が残り1周過ぎ捲って出て、そのままぎりぎり押し切り1着。2着は後方から捲り追い込んできた岡部。3着飯嶋。

ケイリンゴール ケイリン表彰
ポイントレース

 序盤から、積極的に出た四宮哲郎が第1、第2、第3ポイント周回を1位で通過し一気に15ポイントを獲得。また後半の第8ポイント周回を1位で通過し、2位以下を突き放し、優勝を確実にした。昨年覇者の岡村潤は第4ポイント、第5ポイント周回を1位で通過するが、その後の追い上げが出来ず3位に終わった。三重の舛井幹雄は序盤と後半でポイントを積み上げ、2位となった。

四宮哲郎
 「2回目の優勝ができると思っていませんでした。最初の方で3回5ポイントをとれた時に順調にいけば優勝できると思いました。前回はゴールして戻ってきてから優勝とわかったんですけど、今回は途中で優勝を確信していたので、ガッツポーズは大きめにあげておきました(笑)」

ポイントレース四宮選手 ポイントレース表彰
スプリント

 まず、200mTTから。一番時計は渡邉一成の10秒388。さすが北京オリンピック代表候補選手であるところを見せつけた。2番時計は北津留翼、10秒573、3番時計は金子貴志10秒667、4番時計が成田和也10秒689。この4人が1/2決勝に進出し、渡邉VS成田、北津留VS金子となり、渡邉、北津留がそれぞれ2本先取し決勝進出。3-4位決定戦は金子VS成田となった。3-4位は成田が逃げ切って3位となった。決勝は1本目、渡邉が先行の構えも北津留に逃げられ、ゴール前勝負となり、追い込んで渡邉が1本先取、2本目も1本目同様、北津留が逃げゴール前に追い込んで渡邉が勝利。昨年に引き続き渡邉が優勝し、この種目2連覇となった。

渡邉一成
 「負けたくなかったです! アジア選手権で不甲斐ない成績だったので、万全じゃない中でも手応えはつかんで入ったんで、勝てて良かった。北津留が逃げて、追い込む展開でしたけど、紙一重だったと思うけど勝てて、新しい練習もムダじゃないとわかったし、北京オリンピックに向けて大きな弾みになりました」

スプリントゴール スプリント表彰
渡邉選手の優勝を称える北津留選手
4km団体追抜

 レース前にパンクのアクシデントに合った関東・群馬チーム。しかし、キャプテン役の田中将彦が皆を落ち着かせ、鼓舞させた。4分32秒821のタイムを出し、2位九州・大分チームの4分34秒566に、1秒以上の差をつけて優勝を決めた。

手島志誠
 「嬉しいですね、優勝というのは! これで若手が寛仁親王牌に出られるのも嬉しいです」
田中将彦
 「皆で頑張りました。若手が地元の寛仁親王牌に出てくれて、これで盛り上がってくれればいいですね」
篠原忍
 「4人の中で一番僕が弱いんでついていくだけでした」
石川雅望
 「まさか優勝できると思ってなかったんで嬉しいです」

団体追抜き関東チーム 団体追抜き表彰
1kmタイムトライアル

 1番目に登場した稲垣裕之が1分4秒728を出し、そのタイムを誰も上回ることが出来ず、稲垣の優勝が決まった。「(他の選手が走っている間)正直、負けてくれー!って祈っていました(笑)」という稲垣。奈良のファンも稲垣に盛大な拍手、声援を送った。

稲垣裕之(優勝)

 「これで理事長杯が決まったのが嬉しいです。競輪につながる競技という意味で、競輪一本にしぼった中でも、こういう競技でタイムを出せたのは自信になりました。地元地区で、全プロで優勝できたことは嬉しいです。30歳になりましたけど、まだやれるよっていうところをみせました」
中川誠一郎(2位)
 「ペース的にはうまくいったんですけどね。コンマ1くらいはしょうがないです。やっぱり地元の気合の違いですかね」

稲垣選手 1km表彰
歓声に応える稲垣選手
チームスプリント

 第1組目に登場した四国・愛媛チーム、1分1秒845の好タイムを出し、2年ぶり3度目のチームスプリント優勝を飾った。

岡本大嗣
 「1走目の僕は負けていたので、先輩さまさまですね。」
濱田浩司
 「気合いだけは入っていましたね。3人が頑張れたと思います」
渡部哲男
 「去年負けたんで、今年はチームは違うけどリベンジというか、優勝できて良かった! 昨年の前までは連覇していたし、意地があったので、今年はどうしても勝ちたかったです」

チームスプリント四国チーム チームスプリント表彰
4km個人追い抜き

 4km個人追い抜きは、過去の全プロ個人追い抜きの王者・飯島規之が4分49秒942を出し、ファイナルに登場した6連覇の期待がかかる内田慶のタイムで勝敗が決まる展開となった。圧倒的に有利と見られていた内田は、スタートし3周目でサドルに不調が発生し、タイムが伸びず、あわやと思われたが、3秒差の4分46秒661で優勝。

内田慶
 「サドルが下がってしまって、自分の姿勢で走れませんでしたね。5連覇で気が緩んでいたのかも、来年はしっかり気を引き締めていきます。一応、優勝はしましたけど、なんか悔しい」

個人追抜き内田選手 個人追抜き表彰