8月4日、トラック競技3日目。男子スプリントに出場した日本の中川誠一郎は、この日の午前中に行われた予選200mタイムトライアルを、緊張からくる力みなのか、スピードが今ひとつ伸びず7位のタイム(10"144)で通過した。
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そして本選最初の1/16決勝の相手は予選12位(10"247)のアメリカのワトキンス。普段の中川ならここは難なくクリアできるはずが、この時も体の力みが取れず、予選タイム下位の選手に対し、勝負どころの踏み後れから不覚をとってしまった。 |
そして昼をはさんで4時間半ほどのブレイクを置いて迎えた1/16決勝敗者復活戦。ここでようやく持ち直した中川は、ポーランドのジリンスキーを相手に、得意とするゴール前の追い込みを決め1/8決勝に駒を進めた。
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しかし次の相手は今年の世界チャンピオンであり、このオリンピックでも優勝候補の筆頭に挙げられているフランスのボジェ(予選タイム2位ー 9"952)。
やはり最初の1/16決勝での敗戦が、勝ち上がりを厳しくしてしまった。中川はボジェに対し必死の逃げを打つも、踏み出しともにあっさり交わされ2着。
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その後敗者復活戦に最後の望みをかけたが、マレーシアのアワンの巧妙なレース運びに屈し、この時点で上位への勝ち上がりの夢は潰えてしまった。
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中川は最後に出場した7-12位の順位決定戦では気力の走りで1着を勝ち取り、最終成績9位で初めてのオリンピックを終えた。男子スプリント、明日はベスト8の戦いから始まる。
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「レース前は緊張というか、両肩に重りが乗っているような、初めて経験する体の重さを感じました。普段はあまり緊張しない方なのですが、緊張しているのも分からないぐらい緊張していたのかも知れないです。それで予選は体が硬くなって思うようにタイムが伸びませんでした。チームスプリントの時は仲間がいたのでこんな重圧は感じなかったのですが、今日は1人だったので・・・。仲間がいることのありがたみがすごく分かりました。それでも本選に入ってからは状態が良くなって自分なりに戦えると思ったのですが、やはり4年に一度のこうしたすごい舞台なんで、他の選手の仕上がり具合が、ワールドカップなんかとは全然違うなぁということを実感しました。最後の順位決定戦は何とか意地が見せられたかなと思います。オリンピックには出場できるだけで満足と思っていたのですが、やはり負けると悔しいですね。オリンピックを目指そうと思うきっかけを作ってくれた人とか、この3ヵ月練習だけに専念させてもらった環境などにしっかりと感謝して、次のオリンピックのことはまだ考えられませんが、まだ世界の舞台では戦えると思うので、それを目標に進んでいきたいと思います。オリンピックは楽しいところですが、それと同じぐらい厳しい場所でもありました。」
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