今年最後のGI「第54回競輪祭」が11月29日、北九州メディアドームで幕を開ける。タイトル争いはもちろんだが、それ以上に注目を集めるのは12月30日に京王閣競輪場で行われるKEIRINグランプリ2012の出場権をかけた賞金ボーダー争いだ。グランプリには今年のGI優勝者と獲得賞金額上位の選手が出場できる。競輪祭が終了した時点でグランプリに出場する9選手が決まる。獲得賞金額でボーダー上にいる選手にとっては1日1日が勝負。まさに雌雄を決する戦いだ。
現時点でグランプリ出場が確定しているのは今年のGIを制している成田和也、武田豊樹、佐藤友和、山崎芳仁の4人。賞金ランク4位の深谷知広は競輪祭の結果がどうであれ、獲得賞金で5人以上に逆転されることはなく、当確ランプが灯っている。6位の長塚智広は賞金ランク10位以下の選手が優勝して、なおかつ7~9位の3人が決勝で2~4着に入るようなケース以外は逆転されない。それも長塚自身が競輪祭で全く賞金を上積みできなかったと仮定しての話であり、その可能性を考えればゼロに等しい。長塚までは当確と言っていいだろう。
残る3つの椅子を巡り、熾烈な賞金争いが繰り広げられる。賞金ランク7位の村上義弘は獲得賞金5569万円。直前の松阪記念で決勝に進出して賞金額の上積みに成功。8位の岡田征陽に600万円以上の差を付けて、大一番を迎えられるのは、大きなアドバンテージになる。決勝進出なら3年連続のグランプリ出場は確実な情勢だ。勝ち上がりに失敗した場合でも、3人に逆転を許さなければ問題ない。ボーダー選手の中でもかなり優位な立場に立っている。どのような状況下においてもレースに臨む姿勢に変わりはない。一戦入魂の走りで最終日まで突っ走る。 |
村上義弘選手 |
岡田征陽選手 |
賞金ランク8位以下は大混戦だ。8位の岡田征陽は地元グランプリ出場へ、年頭から全力で戦ってきた。この順位を維持できれば悲願に手が届く。しかし、追いかけてくる選手も実力者ばかり。特選スタートをフルに生かして、まずはしっかり決勝まで勝ち上がることが大事。当面のライバルとなる9位の浅井康太、10位の脇本雄太よりもいい結果を残して最終日を迎えるられるかどうか。この4日間で持てる力と技の全てを出し尽くす。 |
浅井康太は松阪記念で完全優勝。賞金ランクを9位まで押し上げた。4回転ギアという新たな武器を手に入れ、自慢のスピードはさらに凄みを増した。自信を胸に最終決戦に挑む。賞金ランクで浅井よりも下の選手が優勝した場合は岡田を追い抜かなければグランプリの出場権は得られない。しかも10位の脇本との差はわずか10万円。最後まで予断を許さない状況だが、浅井自身はプレッシャーを感じるタイプではないし、優勝することしか考えていない。 |
浅井康太選手 |
脇本雄太選手 |
賞金ランク10位の脇本雄太は日本一の先行選手として今年は特別競輪のV戦線を賑わしてきた。9月の前橋オールスターの落車で身体のバランスを崩したが、一戦ごとに本来の走りを取り戻している。グランプリ初出場を決めるには順位を上げなければならないが、やることはいつもと何も変わらない。迷いのない先行策で4日間を走り抜く。結果はあとから付いてくるはずだ。 |
渡邉一成は賞金ランク11位。ロンドン五輪に出場して、3カ月以上も本業の競輪から離れていたことを考えれば、文句なしの成績だろう。特に帰国してから充実ぶりには目を見張るものがある。浅井、脇本とは約100万円の差。決勝に乗らなければグランプリは見えてこないが、今のデキならGI初制覇も可能だろう。ドームとの相性は抜群。世界のスピードで魅せる。 |
渡邉一成選手 |
賞金ランク12位の岩津裕介、13位の村上博幸は決勝で上位に入らなければ出場圏内に届かない。それでも他のボーダー選手の結果次第だ。決勝2着の賞金は1350万円、3着は884万円。とにかく決勝に勝ち上がらなければ何も始まらない。14位以下は獲得賞金3000万円台。決勝2着でもかなり厳しく、優勝以外、グランプリへの道は残されていない。伏見俊昭は賞金ランク17位。グランプリには5年連続で出場中だが、今年は厳しい状況に追い込まれた。北日本勢はすでに3人がグランプリ出場を決めている。若手機動型も豊富で勝ち上がりは有利。開き直って、わずかな望みにかける。昨年のGPチャンプ、山口幸二も18位と今年は苦戦を強いられている。グランプリ連覇の挑戦権を得るためには、決勝に勝ち上がってワンチャンスをものにするしかない。
選考用賞金獲得額ランキング(11月21日時点)
1位 |
成田和也 |
121,877,000円 |
2位 |
武田豊樹 |
102,709,399円 |
3位 |
山崎芳仁 |
88,370,600円 |
4位 |
深谷知広 |
68,864,300円 |
5位 |
佐藤友和 |
60,363,400円 |
6位 |
長塚智広 |
59,659,000円 |
7位 |
村上義弘 |
55,690,368円 |
8位 |
岡田征陽 |
49,553,600円 |
9位 |
浅井康太 |
47,441,600円 |
10位 |
脇本雄太 |
47,341,500円 |
11位 |
渡邉一成 |
46,429,000円 |
12位 |
岩津裕介 |
44,852,200円 |
13位 |
村上博幸 |
42,288,800円 |
14位 |
園田匠 |
39,945,400円 |
15位 |
神山雄一郎 |
38,628,600円 |
16位 |
稲垣裕之 |
37,896,500円 |
17位 |
伏見俊昭 |
35,982,800円 |
18位 |
山口幸二 |
34,541,133円 |
19位 |
三宅達也 |
33,275,400円 |
20位 |
井上昌己 |
32,710,000円 |
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※選考用賞金獲得額とは
『GP・GI・GII等の出場選手を選考する際に使用する賞金獲得額。』
KEIRIN.JP等で発表されている賞金と異なり、以下の賞金が含まれません。
・先頭誘導選手として出走したことによる各種手当
・予備選手への各種手当
・雨天時等における出走時の特別出場手当等
第54回朝日新聞社杯競輪祭【GI】 決勝レース終了後(12月2日)に発表される、『KEIRINグランプリ2012出場選手選考』及び『S級S班選手の選出』は、この選考用賞金獲得額を使用します。(平成20年度の各特別競輪等の選考から導入されました。)
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真提供:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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