2015年トラック世界選手権 2月22日(日)第5日レポート

配信日:2015年2月23日
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 最終日の日本勢は女子ケイリンにベテラン加瀬加奈子(JPCA)が出場した。1回戦は第3組で6人中最下位、続く敗者復活戦は第4組で4人中3位に終わり、2回戦へと進むことはできなかった。
 強豪の揃った1回戦は後方のままでレースが終わってしまったが、敗者復活戦では残り1周半で先頭に立つ積極的な走りを披露した。しかし、最終コーナーを回ったあたりで力尽き、ゴール前でかわされてしまった。
 国際大会を何度も経験し、加瀬は「先行するのが(各国チームに)分かられている感じがうれしい」と意気に感じている様子。それでも勝負どころでは突き放され「どうしてもダッシュ勝負ではかなわない」と悔しがった。
 加瀬は大会初日は女子4000メートル団体追い抜きにも出場した。日本チームの中で、短距離と中距離の両方に挑むベテランの存在感は大きい。「日本の女子のレベルだと、中距離でも短距離でも(自分が)通用してしまう」と若手の追い上げを期待しつつ、「私も引っ張っていけるようにしたい」と気持ちを新たにしていた。
 今大会は女子ポイントレースで上野みなみ(鹿屋体育大学大学院)が日本勢として5年ぶりのメダルとなる銀メダルを獲得して明るいニュースを届けたが、そのほかの種目では厳しい戦いが続いた。来年にリオデジャネイロ五輪を控え、5年後には東京五輪を迎える。坂本監督は、外国勢とは圧倒的なパワーの差があると指摘し「選手たちに現状の力を痛感してもらって、一歩一歩と上に上がっていけるように、やっていくしかない」と決意を固めていた。
 男子ケイリンと1000メートルタイムトライアルの2種目を制していたペルビス(フランス)は、スプリントの準々決勝でボジェ(フランス)に敗れて2年連続の3冠制覇を逃した。ボジェは、決勝でドミトリエフ(ロシア)を下して優勝し、地元大観衆の喝采を浴びた。女子ケイリンはアンナ・メアーズ(オーストラリア)が勝った。
 ペルビスは日本の競輪でもおなじみのスターで、ことしも4月に来日する予定。世界トップの脚を披露してくれるだろう。


【選手のコメント】
 加瀬加奈子
 「今回はスタッフがお米を持ってきて、おにぎりをつくってくれ、力が入った。来シーズンに向けて頑張ります」

【坂本監督総括】
 「正直、今回の結果は力不足、としか言いようがありませんね。すべての面において他国と比して足りない部分が多すぎる、そのことをまた痛感させられたところです。今回もロンドン以降、合宿もできずに準備がしっかり出来ていない、という事実があったとはいえ・・・。今回ここでは他国の選手とのギアの違い、スピードの違いをデータとして取ってもらって、それを選手たちに見せることが出来ているので、これを活用してなんとか今後につなげていければと思っています。やはり、選手個人個人が自分に何が足りないのか、そしてそのためには何が必要か、ということに気付いて考えてやっていかないと世界と戦うというのは難しいと思いますし、そしてそのようなサポートを少しでも多くしていけるようにしたいです。単純に現時点では男女ともにスプリント勢はパワーで劣っていますし、女子は特に戦術面、テクニック的にも大分遅れを取ってしまっているので、いろいろな部分、場面でチャレンジしてレースをきちんと作れるように導いていかないといけないですね。男子スプリント陣は勿論みんな頑張っているのは当然なんですが、残念ながらずっと同じメンバーになってしまっています。アンダーの方はコンスタントに合宿をし、やる度にタイムが伸びる、というような状況にありますので、こういったものを上手く結び付けてなんとか効果を上げていければと考えています。タイムを出して、やる気があるような子がいればどんどん組み込んでいって、刺激を与えて欲しいと思ってますので、強化指定選手はこれから増やしていければと思っています。アンダーだけでなくスプリント陣は若い競輪選手にもっともっと入ってきてもらって刺激しあって欲しいんですよね。良い素材の持ち主は多くいると思いますので、難しい部分はありますけれど状況を少しでも変えていきたいですね。もう予定を立て終わっていますが、来シーズンはコンスタントに合宿を行なうことにより底上げを図って、可能であれば多くの選手をワールド・カップに出し、リオの権利もかかっており、あまり悠長なことは言っていられませんが、その先の東京を見据えてさまざまな部分を強化していかなければいけないと思っています」