リオ五輪 男子ケイリン

配信日:2016年8月16日
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【1回戦】
男子1回戦は、第2組に渡邉一成(福島)、第4組に脇本雄太(福井)が出場。
第2組7人中、外から2番目の位置からスタートの渡邉、道中は6番手での周回。
残り2周半でペーサーが離れるタイミングでドミトリエフ(ロシア)が先頭に立つところを更に後方からジェリンスキー(ポーランド)が交わして先行体制。ドミトリエフも再度追撃し外で並走し、交わしにかかるも内でジェリンスキーも粘り苦しい体制。結局ジェリンスキーがしのいで1位。外から追い込んだグレッツアー(オーストラリア)が2位。
渡邉は途中4番手まで上がるも外々を回らされるロスから前方へは上がれず6位入線。ドミトリエフが降格となり5位で敗者復活戦へ。

第4組の脇本も7人中、外から2番目でのスタート。道中は最後方で周回を重ねる。
残り2周半、まず動いたのはカネロン(ベネズエラ)で5番手から一気に先頭に上がるも4番手にいた、ここまで金メダル2つのケニー(イギリス)が残り2周で交わして先行。4車身の差をつけて残り1周。3番手から飛び出したプエルタ・ザパタ(コロンビア)が最後猛追するもケニーはきっちり残って1位。プエルタ・ザパタ2位。
脇本は最後方から結局は何も出来ず、最後に力尽きたカネロンを交わしたのみで流してゴールの6位。こちらも敗者復活戦での勝負となった。


【敗者復活戦】
敗者復活戦は4人から5人での対戦で4組、各組1位のみが2回戦へ進出となる。
日本勢は2人共に1回戦を突破できずに敗者復活戦回り。
まずは渡邉が第2組に登場。5人での戦いの中、スタートは真ん中、内から3番目のポジション。道中は韓国勢2人とカネロン(ベネズエラ)を前に4番手の位置での周回となる。ペーサーが退避し、3番手のイム(韓国)が前を窺う中、渡邉もこれに続き残り1周半では2番手に。渡邉を追ったマクセル(ポーランド)が更に外から捲って行くところ、渡邉もこれに飛びつきたかったが行かれてしまい、残り1周でマクセルが先頭。渡邉は車体を外に出し懸命に追うも伸びず、更に内をすくわれて4位。ロンドンの無念ははらせなかった。

渡邉一成:「力不足ですね。ここまで調子は良かったし、気持ちの面でもよし、という感じだったんですが…1回戦はグレッツアー(オーストラリア)が行くと思って付いたんですが読み違いでした。敗者復活戦はマクセル(ポーランド)が思いのほか行きっぷりが良くて、これに対応出来ませんでした。9割9分悔しいですが、1分はほっとしている部分もあります。(涙ながらに)」

脇本は続く第3組。5人中、外から2番目の位置からスタート。スタート良く飛び出したが前の位置は取れずに道中は4番手から。残り2周半を切って2番手にいたドーキンス(ニュージーランド)が前のペルビス(フランス)を交わして後続の様子を見る。ペルビスもコンスタブル(オーストラリア)に並走されるも内で2番手をキープ。最後方となっていた脇本は残り1周半から進出開始で前を追う。最終バックストレッチでペルビスに並ぶがペルビスも前を捕らえにかかる。3車並走の大外で3、4コーナーを回る厳しい展開の中ペルビスを追うも3/4車届かず2位。残念ながら2回戦に進出することなく、2人共にリオでのオリンピックを終えることとなってしまった。

脇本雄太:「体調は問題なかったです。1回戦は緊張でまともなレースが出来ませんでした。1回戦を終えて緊張も取れたので敗者復活戦はいけると思ったんですがちょっとタイミングを外したかな、と思います。やはり負けた悔しさというのは大きいですね。ワールドカップや世界選手権に比べるとスピードは段違いでした。仕掛け所も早いですね。皆ここへ向けてピンポイントで仕上げてきているのですごいですよね。その差を感じました。結果は応援してくれた方々には申し訳ないですが、今回のオリンピックは得るものが多かったのでその部分は満足しています。僕の目標は次の東京に兄弟で出ることなので、ここで得たものをそこに向けて生かしていきたいと思います。」


【2回戦】
男子ケイリン2回戦は、6名ずつ2組、それぞれ3位までが決勝進出となる。ここまで来ると誰が勝ち上がってもおかしくないようなメンバー。

第1組は、道中ペーサーの後位に位置したアワン(マレーシア)を目掛けて最後方にいたグレッツアー(オーストラリア)、4番手にいたダルメイダ(フランス)が上昇。残り2周で2人が並走するが、一時5番手となったここまで金メダル2つのケニー(イギリス)が大外を周って残り1周で一気に先頭、後続を突き放して先行体制。離れた位置からブフリ(オランダ)が追い、内でグレッツアーも粘る。直線でブフリがグレッツアーを振り切り、更に外からアワンが追い込む。ケニーが離して1位、ブフリが2位、アワンが最後に交わして3位で決勝進出を決めた。以下グレッツアー、ヴォリカキス(ギリシャ)、ダルメイダの順。

第2組、ペーサーの退避時を目掛けて5番手から昨年の世界チャンピオン、アイラース(ドイツ)が飛び出て先頭。3番手からジェリンスキー(ポーランド)も前へ出て、プエルタ・ザパタ(コロンビア)も追う。アイラースはそのまま強気に先行し、内5番手のペルビス(フランス)はやや苦しい展開。結局アイラースは2周半先頭で押し切り勝ちでさすが世界チャンピオンという走り。ジェリンスキー、プエルタ・ザパタもそのまま流れ込んで2、3位で決勝へ駒を進めた。4位にマクセル(ポーランド)、5位ペルビス、6位ウェブスター(ニュージーランド)。


【決勝戦】
決勝戦に向かったのはプエルタ(コロンビア)、アワン(マレーシア)、ケニー(イギリス)、ブフリ(オランダ)、ジェリンスキー(ポーランド)そして世界チャンピオンのアイラース(ドイツ)でこの順番で内からのスタートとなった。
スタートを決めたアワンがペーサーの後位に位置し、プエルタ、ケニー、ブフリ、ジェリンスキー、アイラースで周回となる。アイラースが最後方から動き出すと皆、前へ前へと動き出す。ペーサーが退避するかというタイミングでケニーとアワンが先頭を譲らずに仕掛けだす、とそこで号砲。退避する前のペーサーの後輪に選手は前輪を差し込んではならず、この場合失格なのだが、ケニー、アワンについてコミッセール(審判)はVTR判定。長い審議の結果、どちらが前か、また差し込んだのか否か判然としなかったのか、結局は6人で再スタートとなる。
さて再スタート。ここでもアワンが好スタートを決めるが内からスタートのプエルタも譲らない。結局プエルタ、アワンの順でその他は1回目と変わらぬ順番で周回となる。ここでも最後方から前を窺うアイラースに併せ、皆前を意識するが、ここはアイラースが先手を取りそうな状況。しかしペーサーはまだ退避しておらず、アイラースも差し込まないように外へ外へと動きをみせる。とまたここで再度の号砲。アイラースの差込があったかについてまたもVTR判定。6人の各国のコーチが集められ注意の後、全員で3度目のスタートとなる。
3度目のスタートも注文をつけて行ったアワンがペーサー後位を奪取。並びは最初のスタートと全く同じで周回となる。残り3周というところで最初に動きを見せたのはやはりアイラース。ゆっくりと車体を前へと進めるがこれを見たケニーも上がっていく。ペーサーの後輪が気になるアワンはペーサーとの車間をやや空けながら後方をけん制、今度は問題なくペーサーが退避し、ようやく勝負の時を迎える。外からやや強引にアイラースが先手を取りケニーも併せて内から前へ。ジェリンスキーも前を窺い、アワンは車体を下げる。アイラース先手もジェリンスキーが残り2周から並び掛け、1周半で先頭で先行モードに。一回はジェリンスキーに行かせたアイラースだったが残り1周からジェリンスキーを捕らえにかかる。残り半周で先頭に立つもその後ろにいたケニーも一気に加速、3コーナーで並びかける。外に持ち出したアワン、後方から、粘りこみを図るアイラースとケニーの間に割って入ったブフリの争いになるが、ケニーが差しきって優勝。狭いところを突いたブフリが2位、外を伸びたアワンが3位。アイラースは力尽き4位、5位プエルタ、6位ジェリンスキーとなった。
3度のスタートの後金メダルを手にしたのは失格の危機にもあったケニーでなんとこれでチーム・スプリント、スプリントに次ぐ今大会3つ目の金メダル。スプリント種目を総ナメにしたケニーと、この日、男子ケイリンの前に一足早く女子オムニアムで団体追抜に次ぐ今大会2つ目の金メダルを獲得したフィアンセのトロット(イギリス)は何度も中継画面に映し出されることとなった。

男子ケイリン 決勝戦結果
1位 ケニー(イギリス)
2位 ブフリ(オランダ)
3位 アワン(マレーシア)
4位 アイラース(ドイツ)
5位 プエルタ・ザパタ(コロンビア)
6位 ジェリンスキー(ポーランド)