■Pickup Race
川崎FII(9月14日~)
 VOL21で紹介したばかりの晝田宗一郎(写真)が、115期5人目の特別昇班を懸けて出走する。その記事にもあったように、高校時代はジュニアオリンピックのケイリン種目で優勝の実績を残していて、在校順位に関係なく前評判が高かった選手。8月地元の玉野FIIミッドナイトで逃げ切り3連発を決めて初優勝を果たすと、続く9月武雄FIIミッドナイトも3連勝。連日、上がり11秒台の快速で他を圧倒と勢いに乗ってきた。ここも勝負所を逃さず一気に踏み出して決着を付けるか。
 しかし、同期のライバルも強力そのもの。照井拓成、土田栄二、藤井侑吾、岩谷拓磨とまさに粒ぞろいだ。最も怖いのは強力ダッシュを武器に好走を重ねる岩谷。決勝となると、まくり届かずだったりで詰めを欠くレースが続いているが、その悔しさを晴らすべく早めの仕掛けで晝田に襲い掛かりそう。
 また、このシリーズは、地元の佐藤水菜、長澤彩に、116期トップクラスの活躍を見せている久米詩、村田奈穂の2人が挑むガールズ戦も必見だろう。


■Pickup Rookie
藤井稜也(岐阜)15357
 S級実績もある兄の準也(105期)の姿に憧れて競輪界入りを果たした藤井稜也(写真)だが、ここまでの道のりは平たんではなかった。高校までは野球に打ち込み、自転車に乗り始めたのは高校卒業後。3回目の試験で競輪学校の試験に合格したが、成績は下位に甘んじた。デビュー後は決勝が遠いものの、兄と同様の強靭な地脚を生かした先行勝負を挑み続ける姿は光るものがある。
 「先行で頑張るだけです。兄の姿は見ていたんですが、(自転車に)乗ってみたら思っていたのと全然違いましたね。(デビューして)だいぶ慣れてきましたが、準決勝はレースになっていません。しっかり押さえてペースで駆けられればいいんですが」
 同期の出世争いには遅れを取ったが、2年間苦しめられきたヘルニアを克服して上昇ムードに転じた兄はいいお手本になるはず。勝負はまだ始まったばかりだ。


出水菜央(大阪)15405
 大学3年生の時に参加した愛好会のバンク走行をきっかけにガールズケイリン選手の道を志した出水菜央(写真)。競走訓練では下位に低迷し、デビュー後もここまで苦戦続きだ。3場所目の8月弥彦の最終日に3着で初の確定板入りを果たしたのを除けば大きな着が並んでいる。
 「一戦、一戦、毎回違う失敗をしてるので、ちょっとずつそこから学んでいきたいです。今期のうちは流れをつかむじゃないですけど、タイミング良く仕掛けられるようなレースをしたい。まだ仕掛けるタイミングが悪いので」
 まだまだ緊張も抜けない中、試行錯誤が続く。強い選手の後位を狙う競走が目に付くが、前に出てそのまま先行策を取ったレースもあった。いずれにせよ、勝負所で一回は動いて勝負している。まくり勝ちした南円佳の後位に追い上げて3着に入った前記の弥彦のようなレースが今は理想か。
 「ガールズの選手と一緒に練習がしたいので、広島で(同期の)吉岡詩織と練習したり、鈴木樹里と高地トレーニングをしたり出げいこをしてる。ダッシュがないので、3カ月後をメドに付けられたら」
 自ら長所に挙げる“強い気持ち”で難局を打開していく。


情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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