『函館競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:5月15日

 函館競輪場で開設71周年記念「五稜郭杯争奪戦(GIII)」が、5月15日に幕を開けた。初日メインの特選では、北日本ライン3番手の守澤太志が直線で強襲。目の覚めるような伸びで突き抜けて白星を飾った。また、一次予選では地元の大森慶一が、1着でファンの声援に応えた。16日の2日目には二次予選の7個レースで勝ち上がりが争われる。
 函館競輪場にご来場の際は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策のご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。本場では開催中の毎日、未確定車券「ガラポン抽選会」、移動販売車(2日目はカレー、クレープ、タピオカなど)などが予定されています。本場だけでなく、テレビ、インターネット中継などでも観戦をお楽しみください。

<1R>

 早坂秀悟がカマして関東勢が主導権を奪うと、最終ホームで追い上げた窓場千加頼が3番手を確保する。窓場は2コーナー過ぎからまくりを打って、付ける藤田勝也とのゴール勝負を制した。
 「早坂さんが来たのが見えたので、合わせるか、スイッチしてと思った。そこは冷静にスイッチできた。(最終)ホームで脚にきていなかったし、仕上がりはいい。(調子がいいのは)このご時世だし、自宅にトレーニング環境を整えたことですね」
 追い込んだ藤田勝也は、4分3車輪まで窓場に詰め寄って2着。
 「(窓場)千加頼を信頼して任せていました。賢いレースをしてくれましたね。(最終)2コーナー、どうするのかなと思ったけど、行ってくれた。最後まで踏み切れていたので、自分は抜けないかなと。(窓場が)強かった」


<2R>

佐藤博紀選手
佐藤博紀選手
 橋本瑠偉が先行態勢も、6番手でタイミングを取った藤根俊貴が打鐘の4コーナーから巻き返す。藤根が主導権を奪って、7番手に置かれた久木原洋は最終2コーナーからまくる。久木原のスピードもいいが、逃げる藤根の番手で間合いを計った佐藤博紀(写真)が追い込んで1着。
 「(藤根)俊貴のおかげです。ホームくらいではカマしますって感じだったんで、信頼して付いていました。出切ってからも、自分のなかでは(藤根が)掛かっている感じはあった。ただ、あんまり番手を回ることがないので、もう少し残せたかなっていうのはあります」
 7番手からのまくりで前団に迫った久木原洋はタイヤ差の2着。
 「(橋本を)叩きに行こうと思ったから、あそこに入れた。気持ちが前にいっている証拠だと思います。そのあとも1着までいかなかったけど、まくれてるんで自分の脚もいいのかと」


<3R>

 山下渡が連結を外して、主導権の菊池岳仁の番手に城戸俊潔がはまる。が、城戸も叩きに出て、両者の踏み合いで最終ホームを通過する。菊池が突っ張り切るも、脚をためた近藤隆司がまくりで仕留めた。
 「道中は油断をしたけど、(最終)2コーナーからまくりにいけるように前々に踏めたので良かった。ホームが向かい風で城戸君がアタックしていったので、菊池君も踏んでいてゴールまではもたないなと。自分は詰まったところから行きました。追い風のところから踏んだだけだし、状態は普通ですね」
 3着以下をちぎって千葉ワンツー。田中晴基が流れ込んだ。
 「ジャンは近藤さんのミスですけど、結果、それが良かったですね。付いていくのはできるけど、アレを抜くのは難しいですよ」


<4R>

柏野智典選手
柏野智典選手
 真船圭一郎ラインを受けた才迫開が、4番手で最終ホームを迎える。後方からまくった谷口友真に合わせるように、まくり追い込んだ才迫だったが一息。柏野智典(写真)は中のコースをシャープに突き抜けた。
 「スタートから組み立ては、予定通りでしたね。(才迫)開は自分の間合いを取って、詰まったら行こうっていう感じでした。(才迫は)後ろのことを気にしてたからか、出が悪かった。自分は1着にいけたんですけど、重いなっていうのが正直、感想です。ただ、みんなが重たいとは言ってたんで、自分が重たいのか(バンクが重たいか)…」
 谷口は不発も、酒井拳蔵は切り替えた最終3コーナーから冷静な判断で3着に伸びた。
 「後方になってしまったんで、谷口さんがアカン時を考えてました。最後は(最終)3コーナー過ぎくらいからしか踏んでないので、調子はわからないけど3(着)までいけたんで良かった」


<5R>

 前受けから7番手まで下げた坂井洋は、赤板の2コーナーからスパート。懸命に抵抗する蒔田英彦を最終ホームで叩いて主導権を取る。これで絶好となった神山拓弥が、きっちりチャンスをモノにした。
 「坂井君が頑張ってくれたけど、ゴール前の向かい風で失速したので、自分がくわれるのはダメだと思い踏んだ。ダービー後だけど、1走してしっかり走れたので大丈夫」
 後方からまくり上げた月森亮輔に乗って西田雅志が2着に突っ込んだ。
 「(月森に)すべてお任せでしたね。(最終)2コーナーから行ってくれたし、自分も2センターから外を踏んだら思いのほか伸びた。(前回の)松山の前に松浦(悠士)にハンドルまわりのセッティングを見てもらって、いい感じになりました」

<6R>

田尾駿介選手
田尾駿介選手
 押さえて出た橋本智昭に田尾駿介、野本翔太の高知勢が続く。打鐘過ぎに伏見俊昭が追い上げるが、田尾が踏み勝つ。8番手の中本匠栄は、最終ホームから仕掛ける。中本のロングまくりにわずかに遅れた松尾信太郎だったが、中本に追いつくとそのまま交わしてゴール。
 「(中本)匠栄に任せていたし、全部やってくれた。(中本の踏み出しに)口が空いた。やっぱり自分はあそこに難がある。ただ、付いていければ、ゴール勝負ができるだろうと。前回の最終日も1着が取れているんで、(最近の感じは)出だし以外には満足しています」
 橋本後位に競り込んだ田尾駿介(写真)は、伏見に踏み勝ち番手を奪取して3着に入った。
 「伏見さんも強いので遅れないようにと思ってました。落車をしたんでケアと直前にスピード練習をやってきました。いい時よりも7割くらいですかね。(競りも)まだまだヘタクソなので、これからうまくできたら」


<7R>

 打鐘前に切った坂本周作の後位で川越勇星が粘る。その隙を逃さず谷口遼平が踏み込んで先行策。4番手を確保した坂本は、最終2センターからの追い込み勝負で鮮やかに突き抜けた。
 「川越君が粘ったりと意外なこともあった。(最終の)3コーナーで余裕があったので、行こうと思ったけど、椎木尾(拓哉)さんが怖くていけなかった。でも、アタマまでこれて良かった。最近は1着を取れるようになったなって、ヤル気が出てきた。練習では踏めていたので、競輪で力が入らなかったのが、改善されてきた」
 番手絶好の椎木尾拓哉は、坂本の強襲に屈して2着。
 「風が強くて谷口君も最後はキツそうでしたね。外(坂本)とのスピードが違いました。自分の体調は問題ないけど、セッティングを煮詰めたい」


<8R>

村上義弘選手
村上義弘選手
 前受けの稲毛健太が押さえられると、一度はインを盛り返すが結局下げて7番手。打鐘の2センターから仕掛けて、最終バックで逃げる遠藤勝弥をとらえる。村上義弘(写真)は余裕をもって稲毛を差し切った。
 「(稲毛は)タテのスピードと航続距離はトップクラスなので、そこを生かしたレースをすれば。運行はうまくなかったですね。ヒヤッとしたところもあるけど、(稲毛が仕掛けて)行ってからは(最終)2コーナーくらいでは安心しました。自分は思ったより疲れが残ってたんで、自転車をいじったりしたけど一体感が出てない」
 村上とのワンツーの稲毛健太だが、組み立ての甘さを反省して二次予選から仕切り直し。
 「パッと引いたら良かったけど、自分ひとりで慌ててしまった感じでした。すぐに引いた方がラインで決まったのかなと。もうちょっと落ち着いてできたら良かった。脚は問題ない」


<9R>

小松崎大地選手
小松崎大地選手
 嶋田誠也、金子哲大の順で動いて先頭に立つ。前受けからすんなり7番手まで下げた小松崎大地(写真)は、打鐘の4コーナーから反撃。最終1コーナーで金子をあっさり叩いた小松崎がマークの菊地圭尚の追撃を振り切って人気に応えた。
 「(警戒されるのは)頭にあるなかで走っていた。仕掛けどころで見ちゃって申し訳ない。仕掛けた感触は悪くないけど、仕掛けどころを逃してしまうと、勝ち上がりでは厳しいので隙を見せないようにしたい」
 地元の菊地圭尚がきっちり続いて2着。北日本ワンツー決着となった。
 「(小松崎は)落ち着いていたけど、自分は焦っていた。明日(2日目)以降、修正して頑張りたい。勝ち上がりで強い選手と対戦するので、その辺を考えてセッティングを出したい。1歩1歩積み重ねて決勝にいければ」


<10R>

大森慶一選手
大森慶一選手
 打鐘の3コーナーで外併走から伊藤裕貴が踏み上げるが、鈴木庸之の反撃が早い。遅れ気味の坂上忠克をさばいて、最終ホーム過ぎには先頭に並びかける。鈴木が出切って、大森慶一(写真)、中村敏之輔の地元勢が追走。外を伸びる五十嵐力を引きつけた大森が追い込んだ。
 「(鈴木が)いいレースをしてくれました。ただ、自分のうまさがなかった。(鈴木を)残すことができなかったのが課題です。自分は落車明けで走ってみないとわからないところもあったけど、悪くないんじゃないかと。(落車の)影響はそこまでないと思います」
 伊藤との踏み合いに金野俊秋が負けると、追い上げるように切り替えた五十嵐力が2着に伸びた。
 「風が結構強いから、自力選手は踏み合いになるとキツい。それでタレきて自分に出番があったのかなって。練習の感じは、自信をもっていけるって感じじゃないけど。踏んだ感じは悪くなかった」


<11R>

 中団から先に切った外田心斗を野口裕史が打鐘前に押さえて先行態勢に入る。4番手に収まった外田だが、前との車間は大きく開いてしまう。軽快に飛ばした野口がそのまま力強く押し切って完勝した。
 「ダービーの一次予選でラインで出切れなったので、今回は3人でいけるように外を回って踏んだ。ジャンで踏んで、ホームは向かい風なので、転がっていく感じで踏んで、バックでまた追い風になるので踏めば伸びる。キツい時は4コーナーを回ってゴールが遠く感じるけど、今日(初日)はそう感じなかったですね。いつも初日は不安があるが、(北海道出身っていうのもあって)今回はやってやると、珍しく気合いが入っていた。お客さんがいると、気持ちも違うし、地元だぞって声も聞こえてきました」
 番手絶好の松谷秀幸は、野口を交わせず2着。
 「風がめちゃくちゃ強いなかで野口は強い。この風でも問題なくゴール前でもすごい踏み返し。本当にニュートラルがないし、ずっと踏み上がっていく感じ。普通の先行選手じゃない。自分の感覚はいいけど、展開がダメな時にどうやって3着にいけるか、そこが課題ですね」


<12R>

守澤太志選手
守澤太志選手
 松本貴治も主導権取りに意欲を見せるが、それを制した高橋晋也が風を切って駆ける。古性優作が抜かりなく中団をキープして、最終2コーナーからまくりを打つ。大阪コンビが前団をとらえたが、坂口晃輔を張って直線で外を追い込んだ守澤太志(写真)がハンドル投げで稲川翔をとらえた。
 「(高橋)晋也君も頑張ってくれて、(佐藤)慎太郎さんもいい仕事をしてくれた。そのおかげで自分が伸びたかなと。このメンバーで1着を取れたのは自信になるし、(踏んでる感じも)悪くない」
 古性がまくり切り、番手の稲川翔の通算300勝のメモリアルかに思われたが、タイヤ差で守澤に屈した。
 「(古性)優作にしっかり追走して、ゴール勝負しようと思って付いてました。優作と2人で決まったと思ったら、守澤君がすごい勢いで来た。自分のツメが甘かった」
 さすがの立ち回りからまくりで北日本勢を仕留めた古性優作は、ゴール勝負で3着に沈んでこう振り返る。
 「(高橋、松本の)どっちかが緩めたら(先行争いにならずに)自分が後方になるんで難しかった。ところどころミスがあったんで修正をしたい。(まくっていって)バックが取れたかと思ったけど、高橋君がすごく加速したんでキツかった。あれで3着なんで力不足ですね」