『函館競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:5月18日

 函館競輪場で開催された開設71周年記念「五稜郭杯争奪戦(GIII)」は、5月18日に最終日が行われた。決勝で主導権を握ったのは近畿ライン。4番手からまくった松浦悠士が、武雄記念、ダービーに続く3場所連続V。GIII通算11度目、今年のグレード6回目の優勝を飾った。

決勝戦 レース経過

 号砲で松谷秀幸が出て行って、野口裕史-松井の南関勢が前受け。松浦悠士-柏野智典の中国コンビが続き、以下は古性優作-村上義弘-椎木尾拓哉の近畿勢、守澤太志-佐藤慎太郎の北勢となって周回。
 青板2コーナーから守澤が上昇を開始。前団まで上がって野口に併せ込んでいった守澤は、赤板経過と同時に誘導を切って前に出る。北コンビに近畿勢、中国勢と切り替えていって野口は8番手に。古性、松浦のけん制もあって野口は巻き返せず、守澤がスローに流したまま打鐘。2センターで古性が一気にスパートしていく。4コーナーで古性の主導権に変わり、近畿勢を追って上がってきていた松浦が守澤を制して4番手に割り込む。好位を奪った松浦は休まず2コーナーからまくり発進。村上の再三のブロックをしのいだ松浦は2センターで古性をねじ伏せて先頭に。松浦を追えなかった柏野が椎木尾をキメながら村上の内に入ってきて古性の後ろはモツれ、1コーナーからジワジワまくってきていた野口は不発。脚を使っていた守澤も動けない。松浦を古性が追う形で直線に入ってきて、松浦は楽々押し切り。直線中コースを鋭く伸びてきた佐藤が、粘る古性を交わして2着に入った。

松浦悠士選手
松浦悠士選手

 「もちろん優勝するつもりでは来ているんですけど、そう簡単にはいかないんじゃないかと。3場所連続っていうのはデキすぎですね」
 ゴールデンウイークのダービーで3度目のタイトルを奪取。今年の獲得賞金でも1億円を超えて賞金レースでも独走状態に入っている。3年連続でのグランプリチケットを手にした6日制のGIから中4日。一息つきたいところだろうが、初日特選を終えると「感触は日本選手権より良かった」と言い放ち、その進化は天井知らずだ。
 「(今シリーズは)精神的には楽でした。ダービーを目標にやってきたんで、リラックスして臨めた」
 流れるように軽やかに。北日本のS級S班のコンビ、逃げきりの3連勝で勝ち上がってきた野口裕史、3車で結束した近畿勢。一筋縄ではいかないメンバーだったが、難なく4番手をキープした。
 「(周回中は)野口さんが前だったんで、僕が先行するくらいの気持ちでいた。(打鐘で3番手にいた古性優作が)行かなければ、自分で行こうと。そしたら古性君が行くそぶりをしてた。行ったらしっかり4番手を取らないとって。そこからすかさず(まくって)行けたんで良かった」
 飛び付く守澤太志を制して、最終ホーム過ぎに単独で4番手は確保。そこからまくりを打って、村上義弘のブロックを乗り越え近畿勢を仕留めた。
 「昨日(準決)の悔しさが生きた。(柏野智典と)ラインで決めたいなと思ってた。けど、僕が休んじゃった。それで柏野さんがキツくなったかなと」
 準決では南関勢をわずかにとらえ切れず、野口に逃げ切りを許した。1月の和歌山GIIIからグレードレースで6度の優勝を果たしているが、その6回のすべてが準決では土がついている。断然のV実績は、松浦悠士(写真)の修正力と勝負強さの賜物(たまもの)だろう。
 「広島は負けられない、そこは」
 次回は5月29日からの地元、広島での全プロ記念。2日間の短期決戦だけに、いまの松浦にとっては連勝がノルマになる。

 北日本のS班コンビは目標不在。最終バック過ぎから踏み込んだ守澤太志に乗った佐藤慎太郎が狭いコースをこじ開けるように2着に突っ込んだ。
 「展開的には守澤が泳がされる感じでキツかった。そのあとは守澤は地脚を発揮してくれた。レース的には失敗だったんで、よくあそこから2、4着にこられた。前に踏んだ時はコースがなくて、空くのを祈ってました」

 野口を後方に置いて、最終ホーム手前で主導権を握った古性優作が先行策。3着に粘り込んだ。
 「村上さん、椎木尾(拓哉)さんが付いてくれているし、もつ距離から行ってラインの3人に可能性のあるレースをしたかった。ホームでは村上さんが優勝してくれたらくらいの気持ちで、全開で松浦が来たら合わせられたらと。あれで行かれたら仕方ない。(駆けたのが)1周なんで。ラインから優勝者を出せていないのが悔しい」





次回のグレードレースは5月20日~23日の日程で、前橋競輪場にて開設71周年記念「三山王冠争奪戦」がナイターで開催されます。
今回のナイターGIIIシリーズには平原康多、清水裕友、和田健太郎のSS班3名をはじめ、山崎芳仁、山田英明、太田竜馬ら全国各地からトップレーサーが終結。ドームの短走路を舞台に繰り広げられるスピードバトルで記念覇者となるのは果たして誰か!?
5月12日時点の出場予定選手データを分析した前橋競輪場開設71周年記念「三山王冠争奪戦」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

プロスポーツ号外版(表)は"こちら"
プロスポーツ号外版(裏)は"こちら"