『函館競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:5月15日

 函館競輪開設72周年記念「五稜郭杯争奪戦」が5月14日に開幕。雨は上がって好天の下で始まったナイター記念は、強風が選手を苦しめ波乱の決着もあったが、人気を背負った機動型はおおむね一次予選をクリアしていった。初日のメイン特選レースでは、先制する福島勢をロングスパートでねじ伏せた郡司浩平の番手から守澤太志がきっちり抜け出して幸先よいスタートを決めた。15日の2日目は準決進出をかけた二次予選7個レースが行われる。
 なお、函館競輪場では、激アツのステージイベント(15日はテツandトモのお笑いライブ、大道芸ユニット・おどけ箱に よるパフォーマンス)、122期卒業チャンピオンに輝いた畠山ひすいが登場する北海道支部新人選手紹介、各種キッチンカーの出店をはじめとして様々なイベント、ファンサービスをご用意してご来場をお待ちしています。新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から通常開催と同様、一般入場の場内滞留人数の上限は1350人となっていますが、是非とも函館競輪場で迫力のレースを生でご観戦ください。

<1R>

櫻井祐太郎選手
櫻井祐太郎選手
 ジャン前に出た櫻井祐太郎(写真)が格清洋介の巻き返しを合わせて主導権。格清は武田豊樹のけん制にもあって外に浮き、先行した櫻井は力強く踏み直して1周半を逃げ切った。
 「この風の中で勝てて良かったです。1レース1番車で後ろに武田さんでプレッシャーはありました。自分の中では、逃げるしかないし、どんな風の中でも行くしかなかった。格清さんがこの中で先行するタイプだったし、カマせないのが一番良くないと思ったので(格清の)後ろからいきました。ブロックもあって逃げ切れたしラインのおかげです。風が強くて、一杯一杯だったので状態は分からないですけど、悪くはないと思います」
 2着に強襲したのは山本伸一。最終バック過ぎから車を外に持ち出すと、櫻井に続いた武田の外を勢いよく伸びた。
 「前の方から組み立てようと思っていました。ジャンで格清が行くなら追い上げていってで、合わされていたので、降りて、そこから行きました。3コーナーで小埜(正義)さんと引っかかってしまって、その分届かなかったですね。ただ、今回からフレームを新しく変えて、ギヤも新しくしてここ最近で一番いい感じだと思います」


<2R>

 後ろ攻めの竹内翼に横関裕樹、吉田昌司の順で動くと、前受けの後藤悠が後方に下げてから吉田を叩いて先行策。竹内は初手の位置取りと同じ8番手になったが、最終の1センターからスパートして豪快に前団をまくり切った。
 「(初手は)予想外でミスった。後ろ攻めで苦しかったが、動いた分、行けたので、こういう組み立てもあるのかなって。風は吹いている方が好きですね。これくらいの方が。仕掛けられたのは大きいし、(坂本)貴史さんの上を行けたのは収穫でした。前回のダービーで力のなさを感じていたが、1着スタートで前向きにいけます」
 後藤悠の先行に乗った坂本貴史は最終バック手前から番手まくりを放つが、最後は竹内にのみ込まれて2着スタート。
 「吉田君がけっこう踏んでいたので、(後藤は)出切れないかと思ったけど、出切れて強かったですね。2コーナーから詰まってきて、吉田君が行きそうな雰囲気があって、自分に余裕がなくて前に踏みました。(1着を取れないのが)いまの実力。竹内君が強かったです。(後藤に)感謝です。地元の八戸で弟子たちといい練習ができているので、あとは実戦で出せるようになれば」


<3R>

 後ろ攻めの末木浩二が押さえて先行態勢に入ると、中井太祐が関東勢を追いかけて中団を確保。後方に置かれた上田尭弥も懸命にまくり返すが、志村太賀のけん制を受けて失速。中井は終始好位を回って脚をためると、直線で中のコースを強襲した。
 「中団中団は確実に取ろうと思っていました。(上田尭弥が)想定していたより仕掛けが遅かったですね。一緒に出て行ければ良かったが被る形になった。冷静に余裕を持って走れているとは思う。徐々に手応えを感じているし、十分戦える状態だと思います」
 末木浩二は3メートルの強風が吹く中で押さえ先行で2着に粘り手応えを感じていた。
 「車番が良くなかったので後ろからなら2周で切ってそこからと思っていた。上田君が全引きしていたので、あとはカマされないように駆けました。調子自体はいいので、駆ける時は逃げ切る気持ちで踏みました。今ある力を出せたし、初日に先行して勝ち上がれたのは明日(15日)以降につながると思う」


<4R>

伊原克彦選手
伊原克彦選手
 後ろ攻めの小森貴大に合わせて中団から動く坂本周作を、蒔田英彦が突っ張ったところでジャンを迎える。一旦ペースが緩んだところを小森が再度のアタック。最終ホーム過ぎにライン3車で出切り、番手の伊原克彦(写真)が好展開を生かして差し切った。
 「小森を信頼して、どこからでも仕掛けてくれると。(小森の仕掛けを追走する時に)タイミングをミスした感じはあったが、そのあとは落ち着いて追走できた。みんなが脚を使っている感じだったので、そうそうこれないと思った。感触はいいと思います。1走、1走集中して走ります」
 小森貴大は警戒されるレースになったが、ジャン過ぎ2センターからの巻き返しでラインを上位独占に導く先行策を披露した。
 「後ろになる可能性もあると思って想定はしていた。早めに動いて、前の動きを見て、自分の判断で行ければと。変なタイミングで行って(後ろに)すみませんと思いながらでした。出切ってからは自分のペースだったけど、気温なのか、アップの方法なのか、体が硬いと感じたので明日(15日)からアップなりを修正していきたい」


<5R>

 兼本翔太が赤板過ぎに誘導を切ると、前受けの川口聖二が中団を確保。大石剣士は7番手になるが、ジャンの3コーナーからロングスパートを敢行。2コーナー前で兼本を捕らえて先頭に立つと、番手の山賀雅仁が、川口聖二のまくりを阻んで、最後は大石を交わした。
 「伊勢崎(彰大)さんがいないのは分かったし、川口を見て、きたら止めようとは思っていた。(大石が)仕掛けるのは1コーナーかなと思ったけど、すかさず行ってくれました。ただ熊本の兼本君が思っていた以上に強くてひょっとしたら出切れないかなと思いました。ラインのおかげですけど、悪かったら1着を取れていないと思うし、脚もたまっている感じはあったので問題ないと思います」
 大石剣士は山賀にタイヤ差で交わされたが、長い距離を踏んで、直線でもしっかりと踏み直した。
 「出切れたから我慢すれば残れるかなとは思いました。兼本君が遅めに勢い良くきたので付いていけなくて、無理矢理行くとキツいと思ったのでワンテンポ遅らせていきました。(兼本が)思いのほか、掛かりが良くて脚を使いましたね。出切ってからは風が強くて止まった感じがしたんですけど、何とか踏み直せました。3人で決められなかったのが残念ですけど、しっかり出切れているし悪くないと思います」


<6R>

 スタートでけん制が入り前を取らされる形になったのは中四国ライン。関根健太郎が後ろ攻めから先行勝負にでると、山根将太は7番手まで引いてから巻き返す。山根の豪快な仕掛けに香川雄介が離れてしまい、山根の後ろにスイッチした石毛克幸が交わして高配当を演出した。
 「風が強い中で(関根)健太郎が頑張ってくれた。(山根は)くるよなーって思っていました。(スイッチして)このままかと思ったけど、アレ、これ差せるぞ!って思って、抜けましたね。バンクが重かったからですかね?前回も初日は失敗したけど、そのあとは1着1着だったし、暖かくなって寒い時期よりは体が動くようになってきた」
 山根将太はポテンシャルの高さは見せたが、末の粘りを欠いて2着スタート。
 「後ろからの予定で前は考えてなかったので、あれしかなかったのかなって。長い距離を行ったら、僕に有利かなって思ったけど、最後は粘り脚がなかった。気温も低くて、体が硬くなってしまいました。緊張もありました。いつも初日は緊張するが、今日(14日)でやわらいだと思う」


<7R>

柴崎淳選手
柴崎淳選手
 後ろ攻めの藤井侑吾が赤板前に上昇。一度は道場晃規に突っ張られるが、再度のアタックでジャン前にハナに立つ。藤井は徐々にペースを上げて主導権を握ると、番手の柴崎淳(写真)が余裕をもって交わした。
 「藤井(侑吾)が一回やめたので、ビックリしました。あれで口が空きましたね。普段自力でやっているし、最近の中では余裕はありました。(レースは)何が起こるか分からないし、このコンディションなので油断はしていなかったですね。一時に比べれば良くなっているだけですけど、最近1着を取れていなかったので、これがいい弾みになるといいですけどね。今日(14日)に関しては気温が低いので不安はありましたけど、明日以降も気持ちで乗り切っていきたい」
 藤井侑吾は配分が空いて久しぶりのレースとなったが、持ち味の先行勝負で感触を確かめることができた。
 「車番が悪かったですし、久し振りのレースだったので力を試すためにも後ろから押さえていこうと思っていた。中途半端な所で上に上がってしまったし、後ろの2人に迷惑をかけてしまった。レース勘がおかしいのかな。もうちょっとしっかり押さえて行くべきでしたね。ホームぐらいから上げていったんですけど、風が強いのか自分のイメージと脚が追いついていない感じ。長い距離は踏めたので、明日からもしっかり自力は出したいですね」


<8R>

佐々木豪選手
佐々木豪選手
 太田龍希が中団の佐々木豪(写真)にフタをした状態から打鐘をめがけて出て先行勝負。中団には磯島康祐が入り、佐々木は後方に7番手で最終ホームを迎える。中団の磯島が先にまくりを打つも、その外を佐々木がまくって包囲網を突破した。
 「太田君はやる気だなと思っていたけど、フタをされていたので、ヤバいなと思った。ジャン過ぎまで引っ張られたのできつかったです。磯島さんが早くに行ってくれれば良かったけど、そうではなかったので、バック線をめがけて行った。今日(14日)は先行が残っていたので、ヤバいと思ったけど、何とかまくれて良かった。ダービーのあとで調整が難しかったが、1着を取れてひと安心」
 先まくりを放った磯島康祐はレースプラン通りの競走で勝ち上がりを決めた。
 「いい位置を取って攻めるだけでした。佐々木豪君が押さえられていて、もがく距離が短かったのは良かった。先にまくりに行けたので、調子はいいと思う。冬期移動も終わって、地元に帰ってメインの練習をできたのが大きい」


<9R>

大森慶一選手
大森慶一選手
 前受けの菊池岳仁はジャンで後方の7番手に置かれるが、そこからの巻き返しは早い。2センターから一気に加速をすると、ホームで宮崎大空を叩いて主導権を奪う。菊池と大森慶一(写真)の2車が出切ると、3番手以下は車間が大きく空き、番手の大森が一騎打ちを制した。
 「何とか人気に応えることができて良かったです。(初手は)中団と思ったが誰も前に出なかったので。菊池君がすかさずいってくれて、後ろがどのぐらい離れているのかは分からなかったけど付いていけて良かった。前回のダービーでメンタル面と体の疲れがあったので、走ってみるまで状態は分からなかった。明日(15日)から厳しい戦いですし、また気持ちを入れて頑張ります」
 菊池岳仁は圧巻のスピードで前団を叩き切っており、近況の成績通りに状態面は良好だ。
 「前なら突っ張りか、中団なら切った所を叩こうと考えていたが、山田(諒)さんにスピード差をつけてこられたので踏み合わずに下げました。落ち着いて走れたとは思う。車輪を引きずっちゃう感じがして感覚にズレがあるので、車輪かセッティングを変えて調整します」


<10R>

 前受けの野口裕史が上昇した伊藤慶太郎を突っ張ると伊藤は3番手に入り好位を確保。今度は後方から巻き返した青柳靖起を小原太樹がけん制すると、野口も合わせるようにバンクの上に上がって対応。すると、ガラリと空いた内から伊藤がまくって追走した柿沼信也が交わす。
 「僕の力よりも、(伊藤)慶太郎君の力。矢島(一弥)君もアシストをしてくれて攻めるレースができたので、いい位置が取れた。先行する気で踏んでいたので、いい位置に入れた。内に入って行った時も落ち着きがあって、冷静だった。(状態は)前回よりも全然いいです。レースが続いていたけど、今回はしっかり練習できたので」
 伊藤慶太郎は長期欠場のあとに不振が続いたが、今回はしっかりと練習ができ、縦横無尽の立ち回りを見せた。
 「後ろからになるのは、作戦の範囲内。小原さんのところで勝負しよう!くらいの気持ちでうまく(3番手に)入れて良かった。(1コーナーの)動きは(自分でも)予想外だったけど、自分の思うより体が反応してくれた。体調を崩してから、宇都宮と青森はひどかったけど、青森が終わってからは練習ができていた。体調を崩す前より感じがいいので、初日が勝負と思っていました」


<11R>

鈴木浩太選手
鈴木浩太選手
 早坂秀悟と森川康輔が踏み合ったところを原田研太朗がホーム前に叩いて主導権を握る。鈴木浩太(写真)は勝負所で空いた内を進出して3番手を確保。最終の2センターからまくり追い込んで記念競輪に初参戦で初勝利を挙げた。
 「前受けも考えていたので落ち着いていけたとは思う。中団の森川さんの所で粘って踏ませてと思ったが、番手の人が降りてきたので位置を取る感じになった。原田さんが構えてくれるかなと思ったんですけど、行っちゃったので内に行って切り変えて行くしかなかった。(9車は)展開が早くなるのは聞いていたし、そこだけは気を付けていた。3番手からのまくり追い込みで勝ち切った感じがないので、明日(15日)は風を切ってラインで決められるように」
 湊聖二は先行した原田を交わして2着をキープ。
 「原田君が上手でしたね。逆らわず行ってくれたし、今日(14日)の戦法なら離れることはないかな。バックが向かい風で原田君もキツかったと思う。気温も低くて、楽なレースではなかった。外したら佐藤(龍二)君が内から来ると思ったので、内を警戒していた」


<12R>

守澤太志選手
守澤太志選手
 小松崎大地が郡司浩平にフタをした態勢からジャンをめがけて先制攻撃。7番手になった郡司だが、2センターからすかさずに巻き返すと、2コーナーの出口で前団を捕らえる。郡司の番手を回った守澤太志(写真)が好展開を生かして抜け出す。
 「(郡司は)取れた位置からしっかりと仕掛けてくれる。早めに行ってくれて、レースも上手だし良かったです。ダービーは長丁場だったので、疲れもあったが、普通に練習をしてきたし、調子は悪くないですね」
 佐藤慎太郎は道中で菊地圭尚を弾いて、最終4コーナーでは内に切り込み直線で中割りと、一流の技術を見せて2着にくい込んだ。
 「前に山崎(芳仁)もいたし、難しい部分もありました。(ダービーのあとで)気持ちが緩んでいるかなと思ったけど、号砲が鳴れば気持ちは入りますね。(二次予選10Rは)菊池(岳仁)君へ。強いところを見ていますね」
 ロングスパートを見せて前団をまくり切った郡司浩平。力強い競走を披露しており、状態面に問題はなさそうだ。
 「行けるところから行けたし、出切れて、ゴール前まで粘れていた。思ったよりも重たさは感じずに、体でカバーできている。(二次予選12Rは菊池圭尚、大森慶一の)地元の2人と決まるように頑張りたい」