『函館競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:5月16日

 函館競輪開設72周年記念「五稜郭杯争奪戦」は5月15日に2日目が行われた。この日も3mの強風が吹き荒れる厳しいバンクコンディションの中での戦いとなったが、郡司浩平、清水裕友、佐藤慎太郎、守澤太志のS班4人はそろって1着で二次予選をクリアし人気に応えた。また、菊地圭尚、大森慶一の地元コンビも郡司との連係で準決へと勝ち上がった。16日の3日目にはファイナル進出をかけて、準決の3個レースで激戦が繰り広げられる。
 なお、函館競輪場では、各種キッチンカーの出店、抽選会、レース予想会、グッズ販売や現役競輪選手がブースに登場する選手会ブース等を用意して、お客様のご来場をお待ちしています。新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から通常開催と同様、一般入場の場内滞留人数の上限は1350人となっていますが、是非とも函館競輪場で迫力のレースを生でご観戦ください。

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山本伸一選手
山本伸一選手
 磯島康祐が動いたところを山根将太が押さえて先行勝負。8番手に置かれた大石剣士は猛然と巻き返すが、山根が合わせて踏み込み大石を封じる。前団が踏み合ったところを山本伸一(写真)が一気にまくった。
 「メンバー的にああいう(踏み合う)展開になると思ったので、前からでと思って。踏み出しは良くなかったけど、バックからは自分でもビックリするくらい進んだ。(今回から新車とギヤが要因?)間違いなくそうです。2日間ナイターの時間帯ではないけど、明日(16日)以降、ナイターで頑張ります。感じはすごくいい」
 山根将太を利した井上昌己は4コーナーから車を外に持ち出して山本を猛追したが、及ばなかった。
 「(山根が)いいペースで駆けてくれていたけど、大石君が上をきたので、何もできなかった。山本君もきていたので内に詰まって、引くか、迷うところでした。(山根は)この風で距離が長かったのかな。自分の感覚としては(山本を)抜けると思ったけど、抜けていないので、イマイチなのかな。(ダービーの疲れは)大丈夫」


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稲川翔選手
稲川翔選手
 石井洋輝、原田研太朗、道場晃規の順で動き、出入りの激しいレースになったが、最終的には前受けから引いた小森貴大が道場をホームで叩いて主導権。番手の稲川翔(写真)が車間を空けて別線をけん制してから余裕の差し切りを決めた。
 「小森(貴大)もしっかり勝負にいって、あとは自分がしっかり勝負をした。小森は赤板過ぎで一瞬、てんぱったと思うけど、状態の良さが出ていたレースだった。昨日(14日)失敗していたので、しっかり気持ちを入れて走れました。僕は抜群にいい時ほどではないけど力を出せていると思う」
 小森貴大は迫力のある先行策を見せて、原田研太朗との2着争いに踏み勝った。
 「後ろは稲川さんで澤田(義和)さんまで固めてくれていたし気持ちで走りました。原田君が切った所を叩こうと思ったんですけど、道場君がピッチを上げていたしキツかった。叩き切れば稲川さんがなんとかしてくれると思って、出切ることだけを考えていました。昨日は体が硬かったんですけど、今日はいい感覚で走れたと思う」


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柴崎淳選手
柴崎淳選手
 前受けの櫻井祐太郎が誘導を残してペースを落とすと、上昇した川口聖二が誘導の後ろに入り、佐々木豪が中部勢を追って4番手を確保。川口はジャン過ぎの2センターから腹をくくって先行。番手の柴崎淳(写真)は中団からまくってくる佐々木に合わせて前へと踏みゴール線を先頭で通過した。
 「(北日本の)巻き返しが早くなると思っていたけど、まさか、あの(川口が逃げる)展開になるとは。(佐々木を)張ったのか、分からないが、踏み込みながら張った感じ。内から湊(聖二)さんがきてビックリした。あれだけ行ってもらったので、1着を取らないとっていうのはあった。昨日(14日)より、今日の方が寒かったので動きは悪かったです。寒いのはどうしようもないので、せめて風だけでもやんでほしい」
 佐々木のまくりに乗った湊聖二は4コーナーで柴崎の内に入り詰め寄った。「佐々木君が中団で(櫻井を)威嚇したのが良かった。櫻井君は包まれて、嫌だっただろうけど。(佐々木は)いつも思い切って仕掛けてくれるし、いい時も悪い時も一緒」
 巧いレースで中団確保からまくった佐々木豪。2着は湊と同着で準決勝に進出。
 「いい形になって良かった。中団は取れたが、風が強くて川口さんも気持ちの入ったレースで車間が空いて第二先行みたいな形になった。柴崎さんもいて仕掛けづらかったけど、記念の二次予選は厳しいし、クリアできたので、いいと思う。気持ちは疲れているけど、力まずに落ち着いて走れている」


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守澤太志選手
守澤太志選手
 ジャンで出た山田英明を小松崎大地が最終ホームで叩いて先行。番手の守澤太志(写真)は後ろに入った藤井侑吾の動きをけん制しながら、小松崎との車間を空け、ゴール前で計ったように差し切った。
 「前の選手がしっかり仕掛けてくれたおかげです。できれば前を取りたくなくて、山田さんが出たので。みんな藤井君が先行だと考えていたと思うんですけど、小松崎(大地)さんが上手でしたね。周りは見えていて、みんな脚を使っていたし追い込み勝負だなとは思っていました。自分は車間を切れてうまく走れたと思います。函館は記念でもサマーナイトでも決勝に乗れているし成績はいいですね。地元地区の開催は少ないし走る時は気持ちを入れて走ります」
 小松崎大地は藤井侑吾を後方に置いて、力強い先行策で存在感を示した。
 「初手は取れた位置からを考えていました。(藤井侑吾が)出渋っていたので、想定外の動きがいくつかあったんですけどうまく対応できたと思う。(山田英明は)調子が悪い中でもジャンのああいう動きはさすがだなと思いました。長い距離を踏んでもいいなと思っていたし、出切った時はキツいと思ったんですけど後ろは守澤なので何とかしてくれるかなと。調子はもうちょっと上げたいなと思うし、調整していきます」


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佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 菊池岳仁がジャン前2コーナーから豪快なスパートで主導権。菊池が軽快に飛ばすと、最終ホームとバックは一本棒で別線は仕掛けられない。絶好の展開を生かした佐藤慎太郎(写真)が交わして人気に応えた。
 「スタートからゴールまで全部、菊池君がやってくれました。早い段階から前に出て、お手本のような先行。自分はすんなりの番手なので。後ろからまくりもきていないし、大丈夫かなって感じでした。体は問題ない。地元地区でお客さんも応援してくれているので、いいところを見せられれば」
 菊池岳仁はS班の佐藤慎太郎と初連係で緊張していたが、別線を圧倒する先行策でポテンシャルの高さを見せつけた。
 「慎太郎さんとは初連係だったので緊張していました。組み立てがうまくいったと思う。出切ってからは、自分のペースで走ることができた。昨日(14日)より落ち着いていたし、セッティングをいじったのもマッチしている。差されたが、したい走りをできたし、自信をもって走れている。記念の決勝は乗ったことがないので(準決)頑張りたい」


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清水裕友選手
清水裕友選手
 清水裕友(写真)はジャンで末木浩二との外併走から踏み出し、最終ホームで鈴木浩太を叩いて先行策。ラインで出切ると、番手の三宅達也が河村雅章のまくりを止め、3番手の濱田浩司はしっかりと内を締め、3人がそれぞれの仕事をこなして、清水が逃げ切った。
 「前受けは考えていたが、末木さんの先切りは予想していなかった。まあでもおおまかな感じは想定通りですね。(鈴木が)流していたので先行する形になりました。バックが追い風だったので、前半は流し気味に踏んで後半にかけて踏んでいきました。ワンツースリーで良かったです。昨日(14日)よりはいいですけど、ピリッとしないところもあるので修正していきます」
 三宅達也は番手の仕事をしっかりとこなしてゴール前は清水に8分の1輪差まで詰め寄った。
 「スタートを取って考えていた通りになった。(清水が)決まるように行ってくれましたね。絶対離れないように付いていくだけでした。誰もこないだろうなと思ったんですけど、3番(河村)がきたので仕事をして。今日は付いていけたら100点でした。昨日より今日の方が感じは良かったですね」


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郡司浩平選手
郡司浩平選手
 中井太祐が赤板過ぎに誘導を切ると、郡司浩平(写真)が追って中団は内に吉田昌司、外に郡司の併走となる。郡司はジャン過ぎ2センターを過ぎても前のペースが上がらないと見るや、最終ホーム前に中井を叩いて先制。そのまま力強く押し切った。
 「行けるところで仕掛けてって考えていたし、吉田君がカマシに行きたそうだったので、フタをしてテンポをずらしてでした。昨日(14日)も長い距離を行っているので、今日も楽に駆けることができたし、感じ良く行けた。3人で出切れた時には決まる感覚がありました」
 郡司にぴたりと続いた地元の菊地圭尚は、その強さを称賛した。
 「(郡司は)いつもいいレースを見ているし、前回ついた時もいいレースだったので心強かったです。(状態は)良かったけど、郡司君が強すぎた。(最後も)また加速をして行った。さすがSS級ですね」