『函館競輪開設74周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:5月17日

 令和6年能登半島地震復興支援競輪・函館競輪開設74周年記念「五稜郭杯争奪戦(GIII)」が5月16日に始まった。選手を悩ます強風に、雨とあいにくの天候の下で行なわれた初日は好配当が続出したが、8レースでは地元の大森慶一が一番人気に応える1着をゲット。同じレースを走った川津悠揮とともに二次予選へ駒を進めた。また、メインの特選レースは、単騎で後方からまくった眞杉匠が先手を奪った北日本勢を豪快に飲み込んで勝利した。大会2日目の17日は二次予選7個レースで準決への勝ち上がりを争う。
 ナイター記念シリーズは開催中の毎日、藤巻昇さん、山口幸二さん、内林久徳さん、村上義弘さんらが日替わりで参加するSPEEDチャンネルトークショー、キッチンカー大集合、先着入場者プレゼント、ガラポン抽選会が実施されるほか、週末の18日、19日には多数のイベントが予定されています。函館競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

松岡篤哉選手
松岡篤哉選手
 前受けの菊池岳仁が上昇してきた阿部架惟都を突っ張るが、阿部は踏み止めずに、両者の踏み合いは打鐘過ぎの2センターまで続く。菊池は主導権を取りきるが、脚力を消耗。最終1センターから仕掛けた松岡篤哉(写真)のまくりが決まった。
 「思ったよりも(前と車間が)空いたけど、詰まった所で行けたと思う。展開が向いてくれてよかった。(仕掛けるなら)あそこしかないなって思っていました。(佐藤礼文のブロックは)計算しながら避けられるようにと。状態はだいぶ良くなってきたと思う」
 2着に入ったのは小川賢人。松尾勇吾が前に前にと攻めて松永将をすくって3番手の位置を確保すると、最後は自ら2センターから外を回した。
 「庄子(信弘)さんに入られたけど、落ち着いて空いた内をすくって自分のポジションに戻れた。風が強くて、松尾君の動きもそこまでだったので、動きのすごかった松岡さんにスイッチしていった。4コーナーの風がひどくて、あれが精一杯ですね。フワフワしていたので、明日(17日)頑張りたい」


<2R>

 後ろ攻めの竹内雄作、中団の蕗澤鴻太郎の順番で動いたところを、渡邉一成が打鐘前に巻き返して主導権を奪う。永澤剛は車間を空けて援護をするが、4番手を確保した蕗澤が2センターから外を踏み1着まで届く。
 「初手は中団からでしたね。(前に出てからは渡邉が)来るか、来ないかでしたけど、来たので、やりあってもと思って。余裕はあったけど、徐々に上がっていってペースに入っていました。バックで行ったら、永澤さんにやられているので、ゴール前勝負でした。調子はいいですね。(前回は失格を)やってしまったので、(来々期の)S級点を取れていないので、取れるように点数を上げられるように」
 渡邉の先行に乗った永澤剛は援護してから抜け出すも、蕗澤の強襲に屈してしまった。
 「自分のセンスのなさが出てしまった。バックで一本棒だったんで(決まると)。蕗澤君が強かったですね。(状態は)風が強くてよくわからないけど、体調はいつも通りです」


<3R>

 初手で4番手の位置から進めた真鍋顕汰は、小笠原光、山賀雅仁が動いたところを打鐘で叩いて先行。久米康平は中部勢の動きに瞬時に反応して3番手を確保。最終2コーナー付近からまくり出るが、長尾拳太のけん制を受けて失速。木村隆弘は長尾の後ろに入り、直線で真鍋との間のコースを鋭く伸びた。
 「全部、久米君に任せていた。前々に攻めてくれたので僕のコースができた。久米君のおかげです。久米君が仕掛けて行ってくれて、長尾君のブロックを貰ってスピードが落ちたので、内へ行った。1着まで行けたし、状態は悪くない。ちょっと疲れはあるけど、脚自体は問題ないです。函館は200勝もしたし、相性いいバンクにしたい」
 長尾拳太は番手の仕事をこなして久米のまくりを止めてから踏むも、1着の木村とはタイヤ差で2着。
 「前か前中団でどっちでもいいかなと。真鍋君は先行したい感じだったので、切って、切って、叩いてと。1センターで準備して(久米を)止めようと思っていたけど、もう少し巧くやれば良かったかな。2車だし、難しかった」


<4R>

林慶次郎選手
林慶次郎選手
 鈴木浩太、大矢崇弘が動いたところを打鐘前に出た高久保雄介が一気にペースを上げて主導権を握る。林慶次郎(写真)は前の近畿勢と距離の空いた3番手の位置に追い上げて好位を確保。車間を詰める勢いで仕掛けると、最終バックで近畿勢をとらえ、そのまま押し切った。
 「大矢さんがけっこう流していたので、近畿についていったら、結果的にいいところに入れた。バックでちょっと流れる感じがあって、そこをめがけていきたいなって。自転車は進んでいるので、いいとは思います。(今回は)準決勝まではいきたいですね。(近況は)GIの裏開催で、高得点の人がいなかったので、裏ではないここで結果を出して調子が良かったんだと思いたい」
 高久保雄介は林にはまくられたものの、その後は追いかけるように踏み直して2着に逃げ粘った。
 「前の2つのラインがペースを緩めていたので、いいピッチで行った方が、みんな苦しいと思ってバーンと叩いて行った。まくられて1着はとれなかったけど、ラインの競走はできました。久しぶりのレースで緊張しました。(ここまでは)練習しかすることがなかったので、ずっと練習をしていた」


<5R>

岩津裕介選手
岩津裕介選手
 後ろ攻めの吉川希望に、嵯峨昇喜郎が動いて、晝田宗一郎が打鐘前に出て先頭に立つ。前受けから後ろまで下げた小林稜武がカマして主導権を奪うと、晝田は南関勢を受けて3番手の位置を確保。最終1コーナーからすかさず巻き返してバックで前団をとらえ、番手の岩津裕介(写真)は嵯峨のまくりをけん制してゴール前で晝田をきっちり交わす。
 「晝田君が強くてそれに乗っかれた。(嵯峨を)止められるかなって感じでした。前回が悪かったので自分の中でモヤモヤしていたけど、1着を取れて気持ちも軽くなりました。今回はメンバーがいいので、その中で勝ち上がれたら自信になります」
 晝田宗一郎は動いて位置を確保した後もすかさずに仕掛けて岡山ワンツーに導くが、末の粘りに課題を残した様子。
 「めちゃくちゃキツかった。風は思ったより感じなかったけど、思ったより車が出なくて2センターからは止まりました。ダービーからあんまり練習できていないので、そのせいかなと」


<6R>

武田亮選手
武田亮選手
 後ろ攻めの山田久徳から動いて、久島尚樹、佐藤一伸が切ったところを武田亮(写真)が叩いて主導権。山田は関東勢の動きに反応して4番手の位置に追い上げてから、3番手の小林圭介をさばいて好位を確保。だが、2コーナーから仕掛けるも、車はなかなか進まず、武藤篤弘のけん制も受けて勢いが止まる。軽快に駆けた武田はゴール前でもしっかりと踏み直して力強く押し切った。
 「スタートを取ってもらったので、駆けられた。前まではすんなり行けましたね。(最終)ホームくらいで、(後ろが)もつれているのが見えて、あとはガマンでした。ペースが良かったと思います。前回の福井の後に自転車を変えて、セッティングも見てもらって、道中が楽になった。風が吹いていたけど、止まるような感じではなかったですね」
 武藤篤弘は9番車ながら、号砲とともにスタートを取りにいき、関東勢が駆けやすい初手の位置取りにした。しっかりと援護して関東ワンツーに貢献。
 「(ワンツーは)できすぎですけど、ラインのおかげです。風が強くて、初手が大事なので、前が取れて良かったです。山田君は絶対くると思っていたし、いつもはあせってしまうところで車間を切って合わせて、そこで武田君がうまく駆けてくれた。及第点ですね。疲労はあって体調管理は難しいけど、気持ちでカバーして結果が出てよかった」


<7R>

 スタートは松坂洋平が出て和田真久留と神奈川勢が正攻法からレースを進める。坂本紘規、脇本勇希が動いたところを秋本耀太郎が打鐘で出て先制。前受けから8番手まで下げた和田だが、2センターからダッシュ鋭く巻き返す。1センターで早々に前団をのみ込むと、最後までスピードが落ちることなく押し切った。
 「ダービーで仕掛けて行き切れなかったポイントだったので不安はあったけど、払しょくしようと思って、力勝負をしました。(これまで)先行が残っていなかったので不安だったけど、あとは松坂さんが残してくれるだろうなって。落車明けの時こそしっかりした走りをしないと自分自身も(感触が)わからないので。正直なんとかって感じです。日に日に良くなると思うので、そう信じたい」
 和田をマークした松坂が脇本をけん制すると、その後ろから清水一幸が鋭い伸びで2着に入る。
 「脇本君が頑張ってくれた。和田君のスピードがすごかったので、やっぱり格が違った。この風なので緩んだら来るだろうなって。松坂さんも2車だったし、内も外も気にしていたのでそこを上手く突けた。自転車が重たくて何とも言えないが、着は悪くないです」


<8R>

 1番車の大森慶一がスタートを出て高橋晋也を迎え入れる。中団に九州勢が入り、南関勢が後ろ攻めになった。青板バック前に上昇して堀内俊介が赤板で誘導を切りにいき、そこを津村洸次郎が押さえ、後ろまで引き切った高橋は打鐘と同時の巻き返し。最終ホーム前に津村を叩き切ると、番手の大森が絶好の展開から交わした。
 「風もあるし、引いてカマシでいいのかなって思っていました。(仕掛けた)ジャンのところも余裕はありました。毎回、初日はいいスタートを切れているけど、(函館記念は)決勝に乗れていないので、今回こそは決勝にと思っています。フレームを新しくして、1走した感じは軽いし、悪くない」
 北海道出身の高橋晋也は迫力満点の打鐘ガマシを披露。ライン3人での上位独占に導いた。
 「駆けだしたところで3人で決まったなって。練習のように駆けることができた。もうちょっと巧く踏み直せればいいですね。自分がタレて(大森に)押し出されるように抜かれたので。そこを何とかです。疲れがたまっていたので徐々に抜いていければ、また、明日(17日)走れるかなって思います」


<9R>

小川勇介選手
小川勇介選手
 後ろ攻めの寺沼拓摩が赤板で誘導を切り、中団の田村大が打鐘前に叩いて先制。前受けから7番手まで引いた三谷竜生だったが、2センターから怒とうの巻き返し。田村を最終2コーナーでまくり切る。中近3番手の八日市屋浩之が離れてしまうと、小川勇介(写真)は山本伸一の後ろにスイッチ。4コーナーから内を突き、三谷と山本の間のコースを強襲した。
 「(田村と)初連係だったので。自分の持ち味は出せたと思う。前のおかげですね。前々に攻めてくれたので。(ここに来るまでに)練習も普段通りできたし、ダービーでいろいろ経験できた。(北津留)翼と連係して、アドバイスをもらったのが大きいですね。コンディショニングも含めて。(今回は)メンバーがすごいので一戦一戦集中です」
 山本伸一はすかさず巻き返した三谷の動きを称賛し、自身には番手技量を課題に挙げた。
 「三谷君は流石です。この風で長い距離を行ってるんで。あとは僕がどれだけ残せるかなと。中の割られ方は反省です。体的には問題ないので、明日(17日)に向けては特にないです」


<10R>

 青板のバックで上昇した菅原大也は中団の町田太我にフタをすると、前受けの中村隆生が赤板の1コーナーで誘導を外して先行態勢に入る。関東勢が波をつくりながらバンク中団に上がると、町田が内からスルリと抜けて主導権を奪い返す。打鐘で先頭に出た町田の前に、別線は仕掛けられずに一本棒の展開に。小倉竜二の追撃からも力強く逃げ切った。
 「菅原さんが切ってくれると思ったが、切ってくれなくて、内を行きました。体が勝手にです。雨なので参考外かもしれないですけど、感じは良かったです。雨だったので、また明日(17日)感触をつかみたい。(ここまでに)しっかりと練習をしてきたので疲労はあるけど、徐々に取れてくれれば」
 町田をマークの小倉竜二は直線で抜きにかかるが、交わすことはできなかった。自身とバンクのコンディションを踏まえて、こう語る。
 「(町田は)引いてカマシにならずに(中団に)こだわって、内が空いた。外の菅原君も前の波で脚を使っていたと思う。(町田が)踏んだりやめたりの繰り返しできつかったですね。バンクが重たい方が、(町田に)ついていて後ろはきついと思う。いつもより、余裕はなくて、どうかなと思ったけど、抜けなかったですね。最近はずっと良かったと思うが、今日(16日)はちょっと重かったので、疲れがあるのかなと」


<11R>

渡部幸訓選手
渡部幸訓選手
 後ろ攻めの小林泰正が上昇すると、前受けの谷和也は誘導と車間を空け、小林が誘導の後ろにおさまる。佐伯亮輔は赤板で誘導を切ってバンク中団に上がる。そこを小林が内を突き、谷が叩いて先行。中団をキープした小林だが、佐伯亮の巻き返しも早い。小林は中四国勢の動きに対応するために、渓飛雄馬を振って位置を確保。そのままの勢いで仕掛けていき、追走した渡部幸訓(写真)が交わした。
 「このメンバーだったら、(小林が)警戒されるのは仕方ない。そこを巧く立ち回ってくれた。(小林の)踏み出しが良かったので、そこをしっかり追走できたのは良かったと思う。最近、走れていないので、レース勘はもう少し欲しいけど、体調は上がってきているかな。張り切りすぎちゃうとやっちゃうのでそこは自制しつつ自分の仕事をしていきたい」
 警戒された小林泰正は動きの多いレースでもしっかり対応をしてGIファイナリストの意地を見せた。
 「けっこう緊張しちゃいました。絶対飛べないって思ったので。このメンツなら前からが良かったけど、後ろになっちゃって。フタをされたので、ジャンでは切り替えて内へ行きました。谷君の仕掛けを待ったけど、待たずに先行していれば良かったかな。レース勘が微妙でしたね。脚に余裕はあったし、感じは悪くない」


<12R>

眞杉匠選手
眞杉匠選手
 松井宏佑が新山響平の仕掛けに合わせて誘導を切り、そこを新山が叩いて先行。古性優作は郡司浩平をさばくと、追い上げていき松井をキメて、今度は守澤太志をさばきに出て3番手を確保。すると、内を進んできた松井と3番手の位置で再び併走になる。古性は3番手を取りきったが、前団の攻防を見極めていた眞杉匠(写真)が後方から一気にまくり切った。
 「(単騎だったので)その場、その場で走りましたけど、北勢の後ろは考えていなくて、そこは考えて走りました。ジャンあたりまでは見えていたけど、そこからは雨がすごくて、見えなくて、詰まったところから仕掛けました。郡司さんとあたって失速したけど、行けるところまでと思って行った。(状態は)良くはなかったですね。寒さもあったのでなんとかでした」
 佐藤慎太郎は眞杉をけん制する動きから先行した新山を交わした。
 「(新山)響平がいい先行をしてくれた。眞杉を止めにいったけど、止まる感じではなかったし、滑る感じもあった。(自転車は)進んでいる感じはあります。声援をくれるファンのためにもまだまだ頑張ります」
 大雨の降るバンクコンディションの中でも後手を踏まないという古性優作の大立ち回りは光っていた。
 「バンクコンディションが悪かったし、かなりきつかったです。松井君がイン切りだったので、簡単にインを切らせないように、あったところで勝負と。サラ脚だった眞杉君にスイッチができなかったし、そのあとの(佐藤)慎太郎さんを抜ける感じもなくきつかった。(明日17日に向けて)クールダウンをして、筋肉痛が残っているので、取れるようにしたい」