『函館競輪開設74周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:5月20日

 函館競輪場でナイターで開催された令和6年能登半島地震復興支援競輪・開設74周年記念「五稜郭杯争奪戦(GIII)」は、5月19日に最終日が行われた。決勝は松井宏佑が先行策。飛び付いて番手を奪取した古性優作が、追い込んで優勝。3月の松山記念以来、通算11回目、今年3度目のGIII制覇を遂げた。

決勝戦 レース経過

 三谷竜生がスタートを出て、古性優作-三谷-東口善朋の近畿勢が前団に構える。岩津裕介-棚橋勉、松井宏佑-郡司浩平-佐藤慎太郎に単騎の小倉竜二が最後方で周回を重ねる。
 岩津、松井はそれぞれ前との車間を空けるが、隊列が崩れないまま赤板を迎える。6番手の松井は、1コーナーから踏み上げる。2コーナーで松井が先頭に立つと、合わせて踏んだ古性は一度は郡司に出られるも盛り返して打鐘。主導権を握った松井の後ろで古性、郡司の併走。3番手の内から三谷が佐藤を張って、そのあおりで小倉が3コーナー過ぎに落車。松井のペースで最終周回へ。
 逃げる松井後位は、2コーナー手前で内の古性が競り勝つ。7番手の岩津もまくるが、松井の掛かりが良く中団まで。郡司は三谷を制して3番手から前の2人を追いかけて、狭いコースを3コーナー過ぎから東口が追い込む。押し切り図る松井を直線で交わした古性が、抜け出して優勝。松井が2着に粘り、外を伸びた東口が3着。


古性優作選手
古性優作選手

 初日特選から際立っていた古性優作(写真)の縦横無尽な攻め。決勝でも戦況に応じた走りを見せた。主導権を握った松井宏佑の番手を郡司浩平から奪い、直線はしっかりと交わした。
 「松井君が来るのが遅かったですし、自分の横で緩めたので、そこでスピードが合った。(郡司と併走になったが)必要最低限の動きで、その位置を確保することを考えた。大きい動きで取るのではなく、技術で取りたかったので、重心の位置を考えながらでした」
 現在の競輪界で最強といえるヨコの強さ、技術力を遺憾なく発揮した。最終2コーナーでは松井の番手を取り切り、あとはタテへと踏むだけだった。
 「(番手を取り切ってからは)岩津(裕介)さんも(最終)バックで仕掛けてきたのが見えたし、踏んだら(近畿の)3人で決まるかなって思ったけど、(三谷)竜生さんは見えていなかった。ラインで決まらなかったのは、自分の力不足です」
 前回の日本選手権決勝では「ただ、ただ力不足でした」と、語っていたように、地元で行われる6月の高松宮記念杯に向けてハードなトレーニングを行っている最中に今シリーズを迎えていた。「今回はしっかりトレーニングをした分、筋肉痛も残っていたし、2日目から徐々に筋肉痛はなくなっていった。また帰ってから、(トレーニングをして)しっかり疲労をためたいと思う」
 次回はいよいよ地元、岸和田でのGI、3連覇のかかる高松宮記念杯。だが、古性にとっては、そこが最終目標ではない。
 「(そこまでに)思い切りトレーニングをして獲ることを目標にするのではなく、通過点にしたい。(GI優勝を)当たり前にしたいです。GIを1個なら今のままでも獲れると思うけど、複数を普通に当たり前に獲りたい。そのためには相当レベルアップしないとダメだと思う」

 松井宏佑は周回中が想定外の後ろ攻めになったことで、プラン通りにレースを運ぶことができなかった様子。後ろが古性になってしまったが、最後まで全力で風を切り、2着に粘り込んだ。
 「スタートで失敗して…。前以外は考えていなかったです。それでも踏み出したタイミングは悪くなかったと思う。飛び付かせないように行ったけど、飛び付かれてしまった。出切るところまではしっかり踏んだと思ったけど、ちょっと甘かったです。古性さんがやっぱりすごかった。いい感じに駆けて、(郡司が)外でツケマイなら勝ってくれるだろうと思った。古性さんが上手でした。(シリーズ振り返って)初日はらしくないレースだったけど、2日目以降は力を見せつけられたと思う。力は出し切れたと思います」

 東口善朋は、近畿ラインの3番手回り。前の三谷が佐藤慎太郎と激しくぶつかり合う中で、しっかりと追走しながら脚力を温存。最終3コーナー過ぎからは狭いコースを踏んで、直線で外を伸び3着に入った。
 「何がなんだかわからなかった。僕は竜生の動きを見ていた。(最終)バックで竜生に付いていって、あとは(古性)優作を追っていった。僕だけ脚を使っていないし、だいぶ伸びた。感覚的には2着までいったかなと」







次回のグレードレースは、全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪が5月25日、26日の2日間に渡って高知競輪場で開催されます。
グレードはFIIながらSS班8名が参戦。更に全日本選抜の覇者・郡司浩平、ダービー王・平原康多をはじめ北井佑季、嘉永泰斗、犬伏湧也、松井宏佑らスピードスターが集結します。
輪界のトップレーサーによる短期決戦の頂点に立つのは果たして誰なのか?

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