『函館競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 初日編
 
配信日:8月9日


 函館競輪開設59周年記念「黒船杯争奪戦」が開幕。快晴に恵まれ、絶好のコンディションとなった初日は、各レースとも好勝負が連発。特選3個レースでは伏見俊昭の落車があったものの、地元の菊地圭尚、山田敦也に海老根恵太、岡部芳幸らが順当に勝ち上がり、明日の優秀戦「五稜郭賞」へ駒を進めた。
 本場ではイベントが盛りだくさんです。明日(10日)は藤巻昇氏と井上茂徳氏によるレース予想会、ふれあいミニ動物園、素敵な景品が当たる車券購入抽選会、スピーチーズや現役競輪選手らも参加するサイクルダッシュ!などが行われます。どうぞ、函館競輪場にお越しください。


<1R>
 1レースは中団がもつれて隊列が短くなると、後方から篠塚光一がひとまくり。マークの宮崎裕一朗を連れて近畿両者でワンツーを決めた。
 「下田(和美)さんが前を取ったし、粘るかなと思った。実際そうなったし、ああなれば行きごろですよね。絶好のタイミングで仕掛けられました。出切ってからは、もうまくってくる人もいなかったし、余裕を持って踏めました」
 近畿コンビに切り替えた下田和美は3着を確保した。
 「今日は前を取って何でもやろうと。引かずに前に攻められたのが正解でしたね。スイッチしたあと、バックで突っかかってしまい危なかったけど何とか付いていけました」


<2R>
 ここでは宿口陽一が後方七番手からまくりを決めて快勝。最近続くミニスランプを払拭するような、鮮やかなまくりだった。
 「前受けはずっと考えていました。窪田(陽介)君と葛西(雄太郎)さんがやりあってくれればと思ったんだけど、そううまくは行きませんでしたね(苦笑)。展開とは違ったし、中団取りの時に脚を使ってきつかったけど、落ち着いていたし、まくれると思った」


<3R>
 レースは徹底先行の大沼孝行と池崎太郎の両者が、赤板からけん制しあう展開に。すると、ホーム過ぎから即座に巻き返した小堺浩二が両ラインを飲み込んだ。
 「二人があんなに早めにやりあうとは思わなかったから前と離れてしまいました。追いつくのに結構脚を使いましたけど、自分もスピードが乗っていたし、大ギアなんでもう緩められなかった。バックが追い風だったしスピードに乗せられると思ったんで、少し早めだったけど、すかさず仕掛けました」
 1着は小堺マークの高田晃裕。「小堺が早めに仕掛けてくれたから自分にチャンスができた。グングン加速していったし、少し離れ気味になったくらい」と、ただただ小堺を称えるコメントに終始する。


<4R>
 ジャンで近藤隆司が強引に叩いて前に出ると後方で落車が発生。このアクシデントを尻目に近藤がマイペースに持ち込み、まんまとラインで上位を独占した。1着は番手から有利に追い込んだ小林裕司
 「僕が付くと南関の先行屋はいつも頑張ってくれるから心強いよ。ジャンで高橋君に抵抗されたけど、思い切って行ってくれたね。あれだけ行ってくれたんで交わせました」
 近藤隆司は逃げてファンの人気に応えた。
 「ジャンで(高橋陽介が)合わせて踏んできたけど、ホームが追い風なんで、そこまで我慢して踏もうと思っていました。そうしたら踏み止めたし、大屋(健司)さんも引いたのが見えたんでペースに入れました。顔見せでは重たかったし、最終ホームで力を出し切るつもりで攻めようと思ったけど、誰も来なかったの巧くペースで駆けられました。最後に小林さんに抜かれるのは仕方ない。ラインで上位独占できたのでよかった」
 一方、「落車があって後ろを確認できなかった。行っても単騎になるかもしれなかったし。脚も気持ちも余裕がなかった」と言うのは高橋陽介
 大屋健司は「高橋君と近藤君でやり合う展開になってくれるのを期待したんですけどね。引いて中団に入れるかと思ったら、高橋君にキメられてしまった。落車もあったし、高橋君の動きを見る余裕がなかった」と肩を落とす。


<5R>
大森慶一選手
大森慶一選手
   5レースは、先行した乾準一の番手に大森慶一がはまると、その後位に塚本和宏が入る形に。2センターで大森が番手から抜け出ると、直線を塚本和宏が鋭く伸びて1着をさらった。塚本はこれがS級初勝利。ところが、本人に笑顔は無い。
 「打鐘を目掛けて目一杯踏んでおけば番手に入れたかもしれませんね。三番手になったけど、乾さんが掛かっていたし、前が大森(慶一)さんだったんで仕掛けにくかった。仕掛けが遅くなってしまい、自分だけが連にからむ競走になってしまい、後ろに申し訳なかったです」
 大森慶一(写真)は好展開となるも、結果は2着に。
 「乾さんは踏んでやめてと、緩急の付け方がすごくうまくて、なかなか前に踏めませんでした。だけど後ろに塚本もいたし、ギリギリまで様子をみてから仕掛けました。もっと車間を空けてから踏めば良かったけど、今日は風がきつかったからそんなに空けられなかった。1着を取らなきゃいけない展開だっただけに、ちょっと悔しいですね」


<6R>
藤田大輔選手
藤田大輔選手
   6レースからは選抜戦。後方から巻き返した藤田大輔(写真)が最終二角からスパートすると、逃げた松岡孔明をまくり切って快勝。マークの会田正一とワンツーを決めた。
 「本当なら後ろ攻めから斬ってと、松岡さんのような組み立てがしたかった。でも誰も出ないし、仕方なく前を取りました。引いたときに中団で5(橋本強)も車間を切っていたし、合わせられてしまうと思ったから、じっくり待って脚を貯めていました。もう少しスコンとまくれるかと思ったけど、松岡さんがかかっていましたね」
 先行したのは松岡孔明。藤田のまくりに屈したが、末脚も良く3着に逃げ粘った。
 「中団の橋本が結構上まで上がって藤田をけん制していたでしょう。あれが良いアシストになりました。ホームからなかなかカカらなかったけど、自分のタイミングで先行できたしペースに持ち込めたから最後までいけた。逃げて3着なら十分ですよ」


<7R>
小岩大介選手
小岩大介選手
   先行した橋爪亮の三番手を固めた大澤雄大が直線で突き抜けて1着をゲット。久しぶりの1着だけに嬉しさもひとしおだ。
 「チャンスがあれば狙っていました。四角を過ぎて加藤(日出和)さんが内によれかけたでしょう。あれでコースができた感じ。うまく突っ込めましたね。勝ち上がりで1着が取れてうれしい」
 レースでは小岩大介(写真)の暴れっぷりが大いに目立った。中団に追い上げ、小林則之との外併走を耐え凌ぐと、最後は巧みなコース取りで直線で鋭く伸びて3着に食い込んだ。
 「自分は中団までに行かないと勝負圏にならないですから。だけど、今回はずっと踏みっぱなしだったし、しかも外併走だったからきつかったですね。ダッシュが無いぶん、地脚でカバーしたって感じです」


<8R>
中澤孝之選手
中澤孝之選手
   8レースは前を任せた金澤竜二が不発となると、自力を出した明田春喜が自ら活路を開き、ピンチを切り抜けた。
 「叩かれてしまい『ヤバイ』と思ったけど、地元だし負けられないので切り替えていかないとと、必死で前に踏みました。狭いところを行ったからバックで落車しそうになったけど、最後もコースが開いてくれたので1着が取れた。初めての地元記念だし、何とか決勝までいきたいですね。車の伸びは良いし踏んだ感じは軽い。最後まで踏み切れてますね」
 2着には中澤孝之(写真)が。先手を奪った吉村和之の三番手から直線を伸びた。
 「前が良いレースをしてくれたし、ここはやらなきゃね。最後、からまれてきつかったけど、スピードを乗せて直線を伸びました。ピンクの服(8番車)だし、三番手だったし、気楽に走れたのが良かったかな」


<9R>
岡部芳幸選手
岡部芳幸選手
   9レースからは特選競走。ここは岡部芳幸(写真)が出色のまくりを決めて快勝。抜群のスピードは、出来の良さをうかがわせるものだった。
 「地元の(山田)敦也が付いているし、1周くらいは駆けようとも思っていました。そのくらいの気持ちがあったから、結果的に良い位置が取れたんだろうね。石丸(寛之)の仕掛けを待ってからでは行かれると思ったんで、少し早めに踏んだ。宗景(祐樹)のブロックがきつかったけど、あれは覚悟の上。落ち着いて対処できたし、問題ないでしょう」
 山田敦也も2着に続き、優秀戦進出を決めた。
 「最後、内にいくか迷ったけど結果的にそのままで正解でした。2センターのブロックがきつかったけど、岡部さんなら乗り越えられると思った。準決勝進出を最低目標に置いていたし、ひとつプレッシャーから解放されましたよ」
 吉永和生はバック最後方から差し脚を伸ばし、3着に食い込んだ。
 「石丸さんのスピードをもらったから自分の脚が生かせました。余裕もあったし、コースも見えていた。それに判断も良かったですね」
 小林大介は積極果敢に先制した。
 「今の自分の状態を確かめるにも先行しておきたかった。先行ならどこが良いとか、どこが悪いとか分かりますから。まくられはしたけど、調子が悪いわけではない。しっかりレースができたと思います」


<10R>
村本大輔選手
村本大輔選手
   10レースはホームカマシの海老根恵太を利した村本大輔(写真)が直線で抜け出して1着に。
 「海老根が無理やり仕掛けてくれたから、自分の展開になりました。そうは言っても、今日は逃げイチみたいなものだったし、からまれたからきつかったね。自分の出来は6割くらい。四角からの抜け出しが、いい時に比べればまだまだなんです」
 中団からスパートした佐藤悦夫が2着に食い込んだ。
 「藤野(孝彦)君が粘るようなかたちになったんで、仕掛けやすくなりました。展開といえば展開だけど、今は車の伸びもいいし、行ける手応えはずっとありました。結果に出て良かったです」
 海老根恵太は辛うじて3着に入線。ところが、「身体が重たいですね。バンクうんぬんよりも、自分の状態でしょう」と体調に不安を残し言葉少な。


<11R>
菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
   11レースは伏見俊昭と前田拓也がゴール寸前に落車するアクシデントで高額配当が飛び出す波乱の展開に。レースは先制した金山栄治をまくった菊地圭尚(写真)が1着となった。菊地はレース後に起こった地元ファンの歓声に思わず感激の面持ち。
 「久しぶりにあれだけの声援を受けました。レース中からもの凄かったですよ。今日は金山さんのスピードをもらって、行けるところからならどこからでも行こうと決めていました。ちょっと早めでしたけど、金山さんを叩かないことにはどうしようも無いし。まくったあと、四角からずっと後輪がハウスしていて不安だったんですが、ここまで良い感じで踏めていたし、(後続を)振り切れると思った」
 2着には金山栄治ライン三番手を回った大木雅也が入線する。
 「伏見君と前田さんだから、落車するとは思わなかった。自分は落車のときにもう外を踏んでいたから、避けることができた。もしも内にコースを取っていたら巻き込まれていたかもしれませんね」 片や、有賀高士は「避けるので一杯で、最後は集中できなかった。ゴール寸前だときつい。3着に入れただけでもありがたいと思わなきゃね」とヒヤヒヤの展開をしのぎ安堵する。
 前田拓也は落車棄権となったが、レース後医務室から姿を現し、「擦過傷程度だし、大丈夫でしょう。明日も今日の分まで頑張ります。今日はきつい展開やったね」とひとこと。明日以降へ向けて巻き返しを誓う。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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