『函館競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:8月12日


 今年の函館記念は函館開港150周年の記念大会。函館競輪場59周年記念「黒船杯争奪戦」は今回も盛り上がりを見せた。優勝候補の大本命・伏見俊昭は落車のアクシデントで初日に早々と戦線離脱。岡部芳幸も2日目の優秀戦で痛恨の失格を喫するなど、今シリーズは波乱に満ちた開催となった。注目の決勝は海老根恵太が優勝。黒船杯2連覇を果たした。

決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると大外から吉永和生がスタートを決めて誘導を追った。間もなく石丸寛之を迎え入れると、藤野孝彦、小岩大介の九州勢が続いた。中団に菊地圭尚-斉藤正剛-関戸務の北日本勢、後方に海老根恵太-渡邊健の隊列で周回する。
 赤板から海老根が上昇すると、石丸は誘導との車間を空けてペースを緩める。打鐘で海老根が前に出ると更に菊地が叩いて北日本勢が出切る。まだペースは上がらずにホームはイン海老根、アウト石丸で中団を取り合う形となるが、石丸が1センターから仕掛けると、吉永は一瞬踏み遅れて海老根が石丸の後位に割り込んだ。一角手前からスパートした菊地を、石丸が2センターで捕らえ直線に入るが、ゴール前で海老根が鋭く差し切りV。昨年に続き同大会の連覇を果たした。中を割った斉藤と、外を伸びた藤野が3着同着。


海老根恵太選手
海老根恵太選手
 伏見俊昭のまさかの落車欠場により、シリーズの主役は海老根恵太、石丸寛之のSS勢に引き継がれた。決勝は両者のマッチレース。まくった石丸の番手に海老根が巧くスイッチすると、最後は直線で追い込んだ。
 「まさか番手にはまるとは。ビックリしました。作戦は3番車だしスタートで飛び出して脚を使うよりは、後ろから一旦動いてから待って流れを見ようと思っていた。石丸さんがホームでカマしたからモガき合いになると思ったけど(中団に)戻ってきた。引いて巻き返すのは厳しいし中団にこだわりました。外をどかそうとしたけど、石丸さんは半車前にいたし、内が重たくて。駄目かと思ったら外が空きました。(斉藤)正剛さんが外に振ってたのが見えたから、車輪を差し込みながらコーナーを回りました」
 SS班2人の実力が抜きん出ていたものの、前回の全日本から中3日の強行日程で、決勝戦で疲労はピークに達していた。今シリーズは決して楽に戦えた訳ではなかった。
 「疲れがたまっていたし、今回は最低限決勝に乗ることを目標にしていました。石丸さんのデキの方が良かったから、まさか優勝できるとは思わなかった。このあと日程が空くから、北海道旅行をしてリラックスして、そのあとまた練習して立て直したい」

 海老根と同様に石丸寛之も連日奮闘。あと一歩で優勝を逃したものの、SS班としての務めを果たした。
 「疲れがあったわりには今回は走れていた方ですね。今日は菊地(圭尚)君がやる気だったし、モガキ合いをすると海老根のまくり頃なんでね。4コーナーで行くふりをして、中団をキメるのは作戦のひとつでした。一か八かあそこで止まって蓋をしてからまくりました。後ろがどうなっているのか分からなかったし、直線で(吉永)和生の優勝かと思った。まさか海老根だったとは。ああなったら抜かれるのは仕方ないよね」

 菊地圭尚の好リードから斉藤正剛が3着同着。競輪祭の出場権を手にして笑みがこぼれる。
 「最低でも3着に入りたかったし、競輪祭の権利を取ってよかったよ。レース前、圭尚が行く気だったのは分かっていたけど、本当に思い切って行ってくれたね。(最終)ホームは苦しい所だけど、踏んでおけばバックで流れるのを知っているし、その通りに駆けたね。でも、2人のスピードが違った」

 菊地圭尚は初の地元記念決勝で8着に沈んだが、最後に自分のレースを地元ファンに見せた。納得の様子で検車場に引き揚げてきた。
 「正剛さんが付いているし、今日は自分の着よりも正剛さんに勝ってもらうつもりで駆けました。正剛さんは調子が上がってきているしね。早めの仕掛けだとキツいけど、相手はそんなに早く叩いてこないから先行でいけると思ったんだけどね。これ(先行)が自分の仕事だし、先行して残れるようでないと上はないからね。まだまだ力不足ってことですよ。帰ってまた練習してきます」

 吉永和生は石丸に付け切れず。大魚を逃し悔しがる。
 「(石丸は)ホームでドンかと思ったけど、止めたんでキツかった。1コーナーの上りから仕掛けたし付いて行けなかった。何とか海老根君の後ろへと思ったけど、(渡邊)健さんにからまれて。一旦緩めてからまた行ってしまうんだからSSはすごい。パンチのあるまくりに付いていくのはキツい。今日はチャンスだと思ったのに…、悔しい」


ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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